環境感染
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12 巻 , 3 号
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  • 北島 浩美, 花園 淳, 福山 由美子, 浦田 秀子, 勝野 久美子, 田代 隆良, 松田 淳一, 平潟 洋一, 上平 憲
    1997 年 12 巻 3 号 p. 169-173
    発行日: 1997/11/28
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    内科病棟の隔離病室および一般病室の室内と廊下において, 空中浮遊菌の日内変動とシーツ交換による経時的変動を調査した.特にメチシリン耐性黄色ブドウ球菌 (MRSA) に注目し, 空気拡散を防止するための看護方法について考察した.結果は以下の通りである.
    (1) 室内および廊下の空中浮遊菌は環境整備やヒトの動きにより増加した.(2) シーツ交換中から直後にかけ空中浮遊菌は著明に増加し, 20分後に交換前と同程度に減少した.(3) MRSA保菌者病室以外からもMRSAが検出されたことから, 不顕性保菌者がいる可能性とともに空気拡散する可能性も示唆された.(4) 環境整備やシーツ交換などの看護行為に際し, 菌の拡散を最小限にする工夫が必要と思われた.(5) 医療従事者がMRSAの伝播者とならないため, 保菌者のケアに際してはマスクやガウンの着用が必要と思われた.
  • 渡邉 好文, 名和 肇, 小池 直人
    1997 年 12 巻 3 号 p. 174-176
    発行日: 1997/11/28
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    Studies of the effectiveness of compact size ultraviolet (UV) air disinfection system against airborne bacteria were conducted in patient rooms with 3.15m×5.0m, 3.8m ceiling. The air disinfection systems were activated 24 hrs per one day. Four points of air sampling of 8 ft3 in volume were performed every one week for 3 months. No limitations were applied to incoming/outgoing of patients and medical staffs.
    Mean colony count of airborne organisms of air samples with UV air disinfection systems off was 4.0±1.9 CFU/ft3, and reduced to 1.4±1.0 CFU/ft3 after UV air disinfection systems on. Rates of 65% reduction of microorganisms were observed under the condition with air disinfection systems activated (p<0.01). Under existence of patients with infected wound, mean colony count of organisms was still increased, from 2 to 10 times higher, after the treatment of wounds.
  • 石金 恵子, 境 美代子, 村藤 頼子, 広上 真里子, 杉政 美雪, 北川 洋子, 吉田 郁子, 中川 輝昭, 田内 克典, 水島 豊, ...
    1997 年 12 巻 3 号 p. 177-180
    発行日: 1997/11/28
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    病室内のカーテンの細菌汚染状態を知り, カーテンの適正交換頻度を知る目的で, 10病室 (一般病室4, MRSA隔離室6) のカーテンに付着している細菌をバイオエアーチエッカーを用い1週間隔で5回調査した.その結果, 下記の成績が得られた.1) 4週間を通じてカーテンの付着菌数の累積的増加は認められなかった.2) 分離菌ではブドウ球菌がもっとも多く, ついでグラム陽性桿菌, 真菌の順であった.3) MRSA隔離室のほうが一般病室より多くの菌数が検出された.4) MRSA隔離室6室のうち2室で濃厚なMRSA汚染が認められた.5) 消毒用エタノール噴霧はいずれの細菌の除菌にも有効であった.以上より, カーテンの交換頻度はMRSA隔離室では患者の退室ごとに, また一般病室では肉眼的汚れに応じ, 年3-4回定期的に交換するのが適当ではないかと考えられた.
  • 松宮 良子, 松波 登志子, 加藤 直樹, 加藤 はる, 渡辺 邦友
    1997 年 12 巻 3 号 p. 181-185
    発行日: 1997/11/28
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    鉗子などの鋼製小物の錆予防と動きをよくするために軽質流動パラフィンを成分とする水性潤滑
    ・防錆保守剤が病院内の衛生材料部門で広く使用されているが, 我々は岐阜大学医学部附属病院中央材料部で使用している潤滑・防錆剤 (ミルクテック®S) 用浴槽の細菌学的検索を行った.その結果, 長年十分な滅菌が行われていなかったミルクテック用浴槽は内部壁面などが細菌により汚染されており, この浴槽で調整後1週間使用していたミルクテック溶液からは108CFU/mlの細菌が検出された.検出菌の大半はBrevundimonas (Pseudomonas) vesicularisStenotrophomonas (Xantomonas) maltophilia, Pseudomonas aeruginosa, Flavobacterium sp.といったブドウ糖非発酵グラム陰性桿菌であった.この槽内の細菌汚染は週2回の浴槽煮沸によって押さえられた.
  • 矢野 久子, 広瀬 幸美, 人見 重美, 木村 哲
    1997 年 12 巻 3 号 p. 186-193
    発行日: 1997/11/28
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    適切に消毒薬を使用できる看護婦育成のために, 消毒薬の使用に関する実態調査を行った.571名に質問紙を配布し487名 (85.3%) の有効回答を得た.その結果, 多くの看護婦が消毒薬使用に関する知識の重要性や不適切な使用による危険性を認識していたが, 日常の使用法で期待する消毒効果があがっているかを心配し, 迷いながら使用していた.知識テストでは総論的質問の正解率は高いが, 各論的質問では低かった.使用に迷った時の判断基準となる主な対処行動は「院内感染対策マニュアルを見る」「他の看護婦に聞く」「添付説明文を見る」であった.知識得点・迷いの程度・迷った時の対処行動の関連をみると, 迷いの程度と知識得点の間では有意な傾向があり (p=0.0502), 迷いが高い群が知識が低く迷いが低い群が知識が高かった (p<0.05).迷いの程度と対処行動の間では, 迷いの高い看護婦は有意に「他の看護婦」に聞き, 迷いの低い者は聞いていなかった (p<0.01).知識得点と対処行動の間では, 知識得点の高い群は「消毒薬の本」を見て, 「他の看護婦」に聞かないで「感染対策メンバー」に聞いていた (p<0.01).また, 知識得点の低い群では「他の看護婦」に聞き (p<0.05), 「添付説明文」「消毒薬の本」を見ていなかった (p<0.01).看護教育では, 消毒薬使用に関する各論的内容に重点をおいて積極的に知識を教授する必要がある.
  • 高橋 孝行, 辻原 佳人, 横溝 雄一, 定本 和恵, 森田 雅之, 坂爪 実夏, 柏木 ひさ子, 岡部 紀正, 桜井 磐, 松本 文夫
    1997 年 12 巻 3 号 p. 194-198
    発行日: 1997/11/28
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    皮膚保護を目的として開発されたデルマシールド®は, 皮膚の角質層に保護層 (皮膜) を形成してほとんどの物質の浸透を遮断する.その機序は疎水性作用による水溶性化学物質の遮断と電荷を持たないためのイオン化物に対する反発遮断である.
    これらの特徴を有する本皮膚保護剤について看護婦, 臨床検査技師を対象に医療業務中に使用することによる手掌での一過性菌の付着防止効果および手指洗浄・消毒に対する皮膚保護効果について検討した.
    1.デルマシールド®(DS) 非塗布 (NDS) 群, 塗布 (DSU) 群での黄色ブドウ球菌IFD 12732の付着実験では, NDS群は平均435.3±42.9個であるのに対してDSU群のそれは平均244.7±16.7個で明らかに付着菌の減少を認め, DSの効果が確認できた (p<0.001).また, 大腸菌IFD 3972の検討でも同様の結果が得られた.
    2.看護婦, 臨床検査技師でのNDS群, DSU群における医療業務中の細菌の手掌への付着率は, 両者のNDS付着を100に対して看護婦DSU群では37.4%, 検査技師DSU群では47.6%であり, NDS群に比べてDSU群で付着防止効果がみられた.
    3.DSの洗浄, 消毒時の手荒れに対する皮膚保護効果をcross-over法で検討したところ, きわめて高い有効性と安全性が確認された.
  • 渡部 節子, 大澤 尚美, 佐藤 芳美, 神永 陽一郎, 戸田 すま子, 奥田 研爾
    1997 年 12 巻 3 号 p. 199-205
    発行日: 1997/11/28
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    MRSAスクリーニングテストチューブの簡便性と正確性について検討する目的でMRSA保存株19種97検体・MRSA陽性患者とその環境 (ベッド周囲の床) を対象に従来法と比較し, 以下の結果を得た.
    1.MRSA保存株は48時間でMRSAスクリーニングテストチューブ (チューブ法) において100%陽性を示し, MRSEとS.epidermidisは陰性を示した.
    2.EfaecalisS.saprgphyticus, S.haemolyticus保存株の一部はチューブ法において陽性を示したが, コアグラーゼ産生能およびフォスファターゼ産生能の両試験では陰性を示した.
    3.事前に鼻腔または咽頭からMRSAが検出された患者5人 (総計7回) と非検出者3人 (総計3回) を対象としてチューブ法で実施した結果, MRSA検出者は4人 (6回) 陽性を示し, 非検出者は全て陰性であった.
    4.上記, MRSA検出者5人 (総計10回) と非検出者3人 (総計4回) の環境 (ベッド周囲の床) をチューブ法で実施した結果, MRSA検出者は4回陽性, 非検出者は全て陰性を示し, 従来法との差はなかった.
    5.MRSAを同定するためのコアグラーゼ産生能およびフォスファターゼ産生能試験の結果に差はなく, 相関が認められた.
    以上のことからMRSAスクリーニングテストチューブは従来法と比較して正確性に問題はなく, 判定においても色調の変化で鑑別するため簡便な方法と考えられる.
  • 田部 陽子, 三澤 成毅, 中村 文子, 小栗 豊子, 面 恵美子, 猪狩 淳
    1997 年 12 巻 3 号 p. 206-210
    発行日: 1997/11/28
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    特別養護老人ホーム内でのMRSAの生息状況の実態把握を目的として入所者の保菌状況を1994~95年にわたって調査した.検出されたMRSAのgenotypingはパルスフィールドゲル電気泳動法 (PFGE) を用い, 相似係数に基づくRFLP解析を試みた.同時に生物学的性状と薬剤感受性パターンによるphenotypingを行った.その結果, 保菌率は94年18.2%, 95年13.3%であった.Genotypeからは保菌者の動向と関連する特定型の伝播や消褪, 外来株の侵入等, 菌の伝播経路に関する情報が得られた.またphenotypeからは将来の除菌の可否の予測に役立つ情報が期待された.両者を組み合わせることによってより有用な疫学的情報が得られるものと考えられた.
  • 片山 知美, 安藤 慎一, 堀場 優樹, 星長 清隆, 名出 頼男
    1997 年 12 巻 3 号 p. 211-214
    発行日: 1997/11/28
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    Biofilm中に混在していると考えられる糖, 蛋白量を指標とし, Pseudomonas aeruginosaのbiofilmに対してpolymyxin B (PL-B) が及ぼす影響をclarithromycin (CAM) を対照薬とし比較検討した.
    マイクロプレートを用い5.5, 6.5, 7.5の3種のpH条件の人プール尿にP.aeruginosa ATCC27853を接種し同時に1/5, 1/10MICのPL-B, CAMをおのおの添加した群 (I群), 菌浮遊液接種後37℃5日間培養しPL-B, CAMをおのおの添加した群 (II群) に群別し, 37℃ で24時間反応させPL-B, CAMを添加しないコントロールとの差を検討した.1群の糖量はコントロールと比べて大きな差は認められなかった.II群はPL-BのpH6.5で-36.0% (1/5MIC), -43.5% (1/10MIC), pH7.5では-40.8% (1/5MIC), -34.5% (1/10MIC) の差が認められ, CAMと同程度の差が認められた.II群の蛋白量はPL-BのpH6.5で-50.4% (1/5MIC), -33.9% (1/10MIC), pH7.5では-50.9% (1/5MIC), -48.4% (1/10MIC) であり, CAMと同程度の差が認められた.また, これら検体のSDS-PAGE像および走査型電子顕微鏡像でも変化を認めた.
    現在, マクロライド剤がいわゆるバイオフィルム感染に有効であると報告されている.今回の検討ではPL-BもCAMと同等の作用を示していた.同剤は局所使用もでき, P.aeruginosaによる尿路バイオフィルム感染症に対して臨床で使用できる可能性があると考えられた.
  • 廣瀬 千也子
    1997 年 12 巻 3 号 p. 217-220
    発行日: 1997/11/28
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    Used linen may be soiled with large numbers of pathogenic organisms. Although these organisms are unlikely to cause infection in patients and health care workers (HCWs) handling the linen, HCWs should follow the appropriate procedure of sorting, transportation and disinfection.
    The results of questionnaires about utilization and laundering practices (30 Private Medical University Hospital in Japans, 1994) by the author showed that most hospitals prefer chemical disinfection to heat disinfection. However, there exist some problems related to chemical disinfection, especially exposure of glutaraldehyde to HCWs.
    In 1996, another investigation was conducted and also pointed out the occupational hazard of handling chemical disinfectants. In Japan, authorized method for disinfection of linen are chemical disinfection and heat disinfection. Many outside commercial laundry services are used for cleaning hospital linen and they generally use various forms of chemical disinfection for cleaning. The present system for the handling of hospital linen has serious problems, particularly the unnecessary use of chemical disinfectants for linen, exposure of HCWs to chemical agents and increase of environmental pollution.
    Used linen have to be handled according to Standard Precautions. That suggests that all blood and body fluids, excretion or secretion are to be regarded as infected. Linen should be divided into three categorizes: 1) contaminated, 2) used, 3) heat-iable. “Contaminated” linen should be defined as linens soiled by blood, body fluids, excretion or secretion and linens from infected patients. These linen should be first placed into a water-soluble bag. Used linen is defined as items soiled by the use of non-infected patients, excluding blood stains, secretion or excretion.
    This report discusses the need for Japanese hospitals to protect HCWs and commercial laundry workers from the exposure to pathogenic organisms or chemical agents, by introducing the correct definition of contamination, appropriate procedures for hospital linens and providing appropriate equipment in hospitals.
  • 藤田 直久
    1997 年 12 巻 3 号 p. 221-225
    発行日: 1997/11/28
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    現在の病院感染対策は主に患者中心に行われているが, 本来病院感染対策は患者のみならず, 病院内に働く職員に対しても, どちらか一方に偏ることなぐ実施されていることが重要である.後者はややもすれば軽視されがちであり, 特に病院内の検査を行い血液検体を含めた数多ぐの感染性検体を取り扱う臨床検査室における感染対策についての実態は不明である.今回, 我国の臨床検査室における感染対策の現状を把握するため, 全国の医科大学付属病院臨床検査室にアンケート調査を行い, 米国臨床検査標準化委員会 (NCCLS;National Comittee for Clinical Laboratory Standards) の「臨床検査室における安全性」に関するガイドライン (Clinical Laboratory Safety: ApprovedGuideline GP-17A, 1996年9月) と比較した.アンケート調査から現場で働く技師の感染対策についての意識が十分でないこと, また施設として十分な感染対策が実施されておらず, その結果, 職員が感染の危険性にさらされていることが明らかとなった.今後, 感染を含めた検査室内の安全対策と, 技師を含めた臨床検査室に働く職員の教育・啓蒙を病院の責任として行うこと, また早急にNCCLSのような検査室の安全性に関するガイドラインの作成の必要性があると考えられた.
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