環境感染
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13 巻 , 2 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
  • 針刺事故および清掃業務における看護婦との連携について
    内田 美保, 人見 重美, 木村 哲
    1998 年 13 巻 2 号 p. 103-107
    発行日: 1998/04/30
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    東京大学医学部附属病院の清掃員を対象にして, 清掃員の針刺事故の実態を調査した.同時に彼らの清掃業務の現状を調べて看護婦と清掃員がどう関係すべきかを考察した.調査できた39名中6名 (41.0%) が今までに針刺し経験があると回答した.事故を起こした場合すぐに消毒すると回答したのは15名 (38.5%) のみで, 残りの人は判断を看護婦に仰ぐのみであったり, 対応は後でするなど不適切と考える対処を行っていた.以上より, 清掃員の針刺事故をより詳しく調査して有効な対策を立てるとともに, 清掃員に対し院内感染の危険性の教育および事故後の対処法の指導をより充実させる必要があると考えた.また, 清掃方法がわからないとき誰にたずねるかという質問では, 清掃員の班長から指示を受けると回答した人が5名 (12.8%) であったのに対し, 27名 (69.2%) が看護婦 (婦長・主任を含む) と回答した.清掃するとき困ることは何かという質問には18名が回答し, 清掃時に医師や看護婦が協力してくれない (7名), 部屋が整理されていない (4名) という回答が多かった.これらのことから, 現場の看護婦と清掃員には密接な関係があり, 患者の治療という目的のために互いに協力しあうことが重要と考えた.
  • 白石 正, 丘 龍祥, 仲川 義人
    1998 年 13 巻 2 号 p. 108-112
    発行日: 1998/04/30
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    注射部位の皮膚消毒には80vol%消毒用エタノール (ETOH), 70vol%イソプロパノール (IPA), 80vol%メタノール変性アルコール (NEO) が使用されている.これらの同等性の如何を検討する目的で, それぞれの試験液 (未希釈液) と1.5倍, 2倍, 3倍希釈液の各種臨床分離株に対する殺菌効果および医療従事者 (n=10) を対象とした皮膚の除菌効果を検討した.その結果, 3種の未希釈液および1.5倍希釈液は各種細菌を15秒で殺菌したが, 2倍希釈液では30秒の接触でETOHに比しIPA, NEOがより高い殺菌効果を示した.皮膚の除菌率ではETOHの未希釈液は99.0±1.3%となり, 2倍希釈液85.0±18.6%および3倍希釈液61.3±30.58%との間に有意差が認められた.NEOにおいても未希釈液98.9±1.6%と2倍希釈液95.2±5.3%および3倍希釈液68.4±35.7%との間で有意差が認められた.しかし, IPAでは未希釈液の除菌率97.7±4.0%と3倍希釈液の除菌率77.3±29.1%の間にのみ有意差が認められた.これらより, 基礎的検討において各消毒剤の未希釈液および1.5倍希釈液は高い殺菌効果を有していたが, 臨床的検討ではIPAがETOHおよびNEOに比し, 高い殺菌効果を示したことから, 総合的に見た殺菌力ではIPA>NEO>ETOHであることが認められた.
  • 吉野 節子, 藤田 直久, 中村 弥生, 小森 敏明, 高林 敏之, 吉村 学
    1998 年 13 巻 2 号 p. 113-117
    発行日: 1998/04/30
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    院内感染予防対策の一助として抗菌加工製品に着目し, まずin vitroの実験として, Methicillin Resistant Staphylococcus aureus (以下MRSAと略す) の菌液を抗菌加工されている布と加工されていない布に接種し, MRSAの菌量の変化を比較した.また, 集中治療部 (以下ICUと表す) で抗菌加工リネンと一般リネンをおのおの半年間使用し, MRSA感染患者発生率を比較し臨床的有用性を検討した.
    1) In vitroの結果は, 糊付けをしていない抗菌加工布の場合には一般の抗菌加工されていない布に比べMRSAの菌量は有意に減少し, 抗菌効果が認められた.しかし, 糊付けをすると抗菌効果は減弱した.
    2) 臨床においては, 糊付けを行っていなかったにもかかわらずMRSA感染患者発生率からは有意な効果は得られなかった.このことは, ICU入室後MRSAが検出された患者数が両期間とも少なかったこと, また院内感染は種々の要因が関与して起こるものであり, 抗菌効果のある布を使用しただけでは防ぐことはできないためであると考えられた.
  • 岩沢 篤郎, 中村 良子
    1998 年 13 巻 2 号 p. 118-123
    発行日: 1998/04/30
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    腸管出血性大腸菌O157: H7による食中毒が問題化し, 効果的かつ有効な予防対策が急務であり, 種々の消毒薬が使用されている.これらの消毒薬は適切な使用法を誤ると生体に対する毒性や, 環境汚染が問題となる.今回, in vitroでの殺菌効果が高く, 毒性が低いこと, ランニングコストが安いことなどの特徴を有する酸性電解水を用い, 0157防疫対策の基礎的検討を行った.
    市販の酸性電解水は混和5秒後で菌の増殖は認められず, 優れた殺菌効果が認められた.電顕観察でも菌の萎縮, 菌体外に小顆粒状物質が走査型で観察され, 菌膜の剥離が透過型で観察された.
    化学的に調整した疑似的酸性水の検討で効果的な殺菌効果を示したのはpH2.6以上pH3.12で, 塩素量5mg/lの濃度であった.pHが中性域になるほどより多くの塩素量を必要とし, 逆にpH2以下では殺菌効果が安定しなかった.
    以上, 腸管出血性大腸菌O157: H7に対しても酸性電解水は殺菌効果が認められ, 防疫対策に有効と考えられた.
  • 坂下 聖加子, 大崎 千恵子, 田沢 節子, 岩沢 篤郎, 中村 良子
    1998 年 13 巻 2 号 p. 124-128
    発行日: 1998/04/30
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    医療従事者の履物による交差感染が示唆されている今日, 院内感染防止対策は必須であり, その原則は病原体の遮断である.そのため我々は, 除菌洗浄剤である過酸化モノ硫酸カリウムを主成分とするアスパックAC-1を含有した湿潤マットの, 除菌効果と臨床使用方法について検討した.また除菌効果については他社の湿潤マット, 粘着マットと比較し以下の結果を得た.
    1) 除菌洗浄剤はナースシューズの底に付着した菌に対し速効性のある優れた除菌効果が認められた.2) 他社の湿潤マット, 粘着マットに比べると除菌洗浄剤を含有した湿潤マットは除菌効果が優れていた.3) 当湿潤マットは臨床使用において安全性, 操作性については日常使用上の問題はなかった.
    以上のことから当湿潤マットは臨床において有効であると同時に, 細菌による床汚染の拡大を防止できる可能性を示唆するものと考える.
  • 高橋 武秀, 藪内 英子, 遠藤 卓郎, 古畑 勝則
    1998 年 13 巻 2 号 p. 129-136
    発行日: 1998/04/30
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    「24時間風呂」といわれる, 生物浄化装置を利用した浴水の循環保温装置の衛生保持機能の欠如と, Legionella pneumophilaおよびその他の細菌, 原生動物の定着・増殖に関する知見が公表されたことから, 国民健康保持の重要性に鑑み, 通商産業省は同商品の製造・販売企業94社に対し衛生問題対策について回答を求める要請を発するとともに, 「24時間風呂衛生問題検討専門家会議」を編成した.併せて以上の点を報道機関に公開した.
    この要請に対する各社の回答, 諸種資料, 国内外の文献を精査するとともに, 更なる実地培養試験などの結果をふまえ, 「専門家会議所見」が公表された.これにより業界の自主的対応が求められることとなった.
    24時間風呂業界は衛生問題に対する自主基準を設け, 消費者の啓発に努めているが, 種々の点で困難な問題が残っており, その解決は今後の努力にまたねばならない.
  • 藪内 英子, 山本 啓之, 遠藤 卓郎, 八木田 健司, 守尾 輝彦
    1998 年 13 巻 2 号 p. 137-140
    発行日: 1998/04/30
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    On 9 March 1996, a 57-year-old Japanese drunken male drown in a public bath in Tokyo. He was transferred to a emergency hospital and recovered. After his discharge on 11 March by walking, he became febrile at night. Next day, because of high fever and dyspnea, he came to the medical attention, and was immediately hospitalized under the diagnosis of acute pneumonia. Although bacteriological, serological examinations and chemotherapy for suspected Legionella pneumonia, definite diagnosis was not obtained and the patient died on 6 April. Culture of the autopsied lung tissue yielded colonies of Legionella pneumophila serogroup (SG) 6, and reexamined serum antibody titer against. L. pneumophila serogroup 6 was 1: 1024 by microplate agglutination test.
    Examinations for legionellae and their host amobae in the water of 22 bath tubs of 6 public bath facilities located in the area including the facility concerned were carried out on 22 April without notification in advance. Free residual chlorine concentrations of the 22 bath water were from 0.1 to more than 5 mg/L, and water from 2 bath tubs (0.1%) of low chlorine level were legionellae-positive. Host amoebae for legionellae were detected from 10 bath tubs of 5 facilities.
    Though Naegleria was detected, the bath water where the patient drowned was negative for viable legionellae by repeated trials of culture, 3 times intraperitonal passages of guinea pigs, and coculture with amoebae. The 16S rRNA gene specific for legionellae was detected from the bath water by nested PCR method using primers, 225A-854B and 448A-854B. After filtration of 10 ml bath water, the membrane filter was stained by indirect fluorescent antibody (IFA) method. Rodshaped organisms trapped on the membrane filter were IFA-positive against L. pneumophila SG 6, same with the isolates from lug tissue, and their presumptive number in bath water was estimated as 102-103/ml. Based on the results of nested PCR and IFA staining of rod-shaped bacteria trapped on the membrane filter, the bath water was regarded as contained with viable legionellae due to unknown reason and could be the source of infection when the patient was drowned.
  • 宮崎 元伸
    1998 年 13 巻 2 号 p. 141-145
    発行日: 1998/04/30
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    アフリカ大陸南部に位置するジンバブエでは, 他のアフリカ諸国と同じようにHIV感染とエイズが問題となっている.エイズは男性, 女性ともに報告数は増加し, 男女比は1.2対1と男性がやや優位となっている.年齢別では男性は0から4歳と30から39歳に, 女性は0から4歳と20から29歳に報告数のピークがある.HIV抗体陽性率は妊産婦の12%から42%, 男性労働者の19%, 性感染症患者の8%から60%に認められている.HIV抗体陽性率は感染症の既往者や複数の性交渉相手を持つ者にも高値を呈している.ジンバブエにおけるHIVの感染は異性間性的接触と母子感染により拡大している.保健省は1996年末におけるHIV抗体陽性者を1,400,000人と推計し, 2005年までには合計1,900,000人がエイズで死亡すると推察している.
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