環境感染
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13 巻 , 3 号
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  • 東海地区を中心としたアンケート調査から
    神田 裕子, 宮田 完志, 渡邊 英夫, 木戸内 清, 大久保 憲, 太田 美智男, 浦野 美恵子
    1998 年 13 巻 3 号 p. 161-166
    発行日: 1998/08/30
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    医療従事者にとって, 注射針等による誤刺事故の回避は積年の課題となっている.今回, 東海地区を中心とした8施設を対象に, 針刺し・切創事故のアンケート調査を行い3828名の回答を得た.
    事故経験者の絶対数では看護婦が381名と一番多いが, 職種別比率でみると医師の25.9%が一番高く, 4人に1人が事故を経験しており, 事故を経験した医師の61.9%は報告をしていないという結果であった.
    針刺し・切創事故の回避のためには正確な実態を知ることが不可欠で, そのために事故報告システムの完備が重要と考えられる.
  • 布施 淳子
    1998 年 13 巻 3 号 p. 167-172
    発行日: 1998/08/30
    公開日: 2011/01/25
    ジャーナル フリー
    本研究は, 医療従事者の中で血中ウイルスの曝露の危険性がもっとも高い針刺し事故に遭遇することがきわめて高い総合病院の看護婦(n=323) を対象に, EPINet (エピネット) 日本版に加えて看護婦の属性, 職場環境・業務量等に対する意識項目, 日常行動の尺度としてCognitive Failure Questionnaire(以下CFQと称す), Self-Esteemを用い, 針刺し事故の実態と発生要因ならびに針刺し事故と看護婦の行動特性との関係について分析した.
    結果, 1年間の針刺し体験は全体の27.7%を占めた.針刺しの原因となった業務は点滴等の調剤28.6%, 注射器を用いた経皮的注射25.0%, 静脈採血11.9%が上位を占めた.発生時状況はリキャップ時22.6%, 器材を患者に使用する前17.9%が主であった.針刺し事故は職場環境や業務量に対する関連はみられず, 針刺し体験者では日頃の勤務状況との違いはなかったと回答した者が67.9%を占めた.針刺し事故の関連要因として, 就労勤務年数(p<.001), 注射器操作の熟練度(p<.05), 針刺しヒヤリ体験度(p<.001), 穿刺後のリキャップ度(p<.05), CFQ(p<.001) の5つの項目があげられた.
    よって針刺し・切傷事故は, その時の就労環境に影響を受けるのではなく, 1) 経験年数が少ないため医療器材の操作の未熟な看護婦に多く発生する, 2) 日常全般の行動特性が反映する可能性が示唆された.
  • 当院看護職員に対するアンケート調査の結果より
    佐和 章弘, 山嵜 紘道, 尾家 重治, 神谷 晃
    1998 年 13 巻 3 号 p. 173-178
    発行日: 1998/08/30
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    当院の看護職員に対してアンケート調査を実施し, 針刺し事故経験の有無とその分別に影響する要因の解析を実行した.針刺し経験者は75.9%であり, 院内の事故報告書などに表われない水面下の事故が多数存在することが明らかになった.多変量解析で針刺し経験の有無を分別する要因を抽出したところ, その主たるものは看護就業年数, 裸眼視力, 採血回数, 注射回数, 翼状針および注射針の取り扱い回数であった.リキャップ指向性は針刺し経験群と非経験群に有意差は認められなかった.針刺し事故防止策は事故状況の調査のみだけでなく, 事故未経験者のサーベイランスも併せて実施し, 分別要因を解析した上で構築するべきと考える.
  • 千田 好子, 今瀧 清子, 高井 研一, 金政 泰弘
    1998 年 13 巻 3 号 p. 179-183
    発行日: 1998/08/30
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    術前除毛が皮膚細菌叢に与える影響の有無について, 好気性菌ならびに嫌気性菌の両者を対象に検索した.腹部手術予定患者33名をカミソリ除毛12名, 除毛剤除毛10名, 非除毛群11名に分けた.除毛前後および術後1日目に贋部の高さで正中線より4cm左右外側で5×5cm (25cm2) の範囲で菌を拭き取り, 右側は好気培養, 左側は嫌気培養した.生菌数測定後, 菌の同定により皮膚細菌叢の変化と術後創感染の有無を検討した.その結果, 除毛群ではカミソリおよび除毛剤とも除毛前後に嫌気性, 好気性生菌数に有意差は認められなかった.除毛方法 (カミソリと除毛剤) を比較した場合も生菌数の変化に有意差はなかった.また術後1日目の生菌数は, 除毛群と非除毛群ともほとんど0であった.さらに皮膚細菌叢にも除毛前後に著明な変化はなく, また術後創感染の発症もなかった.一般細菌はもちろん嫌気性菌の検索結果からも, 創感染予防を目的とした術前除毛処置は不必要であることが示唆された.
  • 大久保 耕嗣, 浦上 弘, 多村 憲
    1998 年 13 巻 3 号 p. 184-188
    発行日: 1998/08/30
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    食塩水の電気分解で調製した強酸性水, および塩酸と次亜塩素酸ナトリウムで調製した酸性次亜塩素酸水の, 各種菌株に対する殺菌効果をin vitroで比較検討した.強酸性水, 酸性次亜塩素酸水ともに10秒以内に芽胞を形成する菌以外は死滅させた.また強酸性水または酸性次亜塩素酸水の原液, およびこれを注射用蒸留水で段階的に希釈した両液の殺菌能とpH, ORP, 残留塩素濃度の変化を調べたところ, 強酸性水と酸性次亜塩素酸水との間に差異が認められなかった.
    また塩酸水に次亜塩素酸ナトリウムを種々の濃度に添加し, 残留塩素濃度を段階的に変化させた場合のpH, ORPを測定した.その結果, 強酸性水が殺菌作用を示すのに必要な条件として提唱されているpH2.7以下, ORP+1100mV以上という性状は, 塩酸と次亜塩素酸ナトリウムで容易に作り出せることがわかった.この酸性次亜塩素酸水は調製が非常に簡単で, 調製に必要な費用も強酸性水に比べてきわめて安価であり, 今後の利用価値は高いと考えられた.
  • 伊藤 武, 平田 一郎, 新井 輝義, 神 真知子, 楠 くみ子
    1998 年 13 巻 3 号 p. 189-194
    発行日: 1998/08/30
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    腸管出血性大腸菌O157は飲食物を介する感染症であるが, 少量菌で感染が成立することからヒトからヒトへの感染を考慮しなければならない.特に, 乳幼児や学童では手指からの感染が推察される例がしばしば認められる.さらにSalmonellaCampylobacter感染症もヒトからヒトへの感染がみられることから, これらの食中毒起因菌に対する手術用イソジン液および塩化ベンザルコニウム液のin vitroでの殺菌効果について検討した.
    手術用イソジン液 (7.5%PVP-I) 10,100, 1,000, 5,000倍溶液中に各病原菌を30秒から15分間作用し, 菌の死滅をみたところ, O157は100倍希釈液では30秒以内に死滅した.病原血清型大腸菌O86以外の下痢原性大腸菌, SalmonellaおよびCampylobacterも100倍希釈, 30秒以内で死滅した.
    塩化ベンザルコニウム液についても同様に検討した結果, O157は100倍希釈で30秒以内に死滅した.しかし, 毒素原性大腸菌O6, O148, 組織侵入性大腸菌O28, 病原血清型大腸菌O86, SalmonellaEnteritidis, SalmonellaTyphimuriumは30秒の作用後にも残存菌が認められた.以上の成績より, 今回試験に用いた手術用イソジン液はヒトからヒトへの感染がみられる腸管出血性大腸菌O157, SalmonellaおよびCampylobacterの感染防止に有用な消毒剤であると考えられた.
  • 休波 茂子, 一宮 朋来, 割石 富美子, 島田 達生, 那須 勝
    1998 年 13 巻 3 号 p. 195-199
    発行日: 1998/08/30
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    環境消毒として使用され始めているジクロロイソシアヌル酸ナトリウム (SDI) に対する殺菌効果について検討した.菌株はPseudomonas aeruginosaPAO 2001-2とMethicillin-resistantStaphylococcusaureus(MRSA) OMU 91007を用い, biofilm菌を作成して行った.SDIの対照として塩酸アルキルジアミノエチルグリシン (AEG) を使用した.P.aeruganosaに対する殺菌作用は, AEGに比べSDIのほうが強く約15分で殺菌し, MRSAに対する殺菌作用もSDIのほうが強く約30秒で殺菌し, また, 走査電子顕微鏡で各消毒薬によるP.aeruginosaおよびMRSAの菌体構造の破壊が観察された.手術室での消毒薬による減菌値は, AEGに比べSDIのほうが高く, MRSAを含む分離菌の減菌値はSDIでは100%であった.
    以上の結果より, SDIはbiofilm形成菌に対して優れた殺菌効果を有した.保管方法, 濃度調整などが容易であるという利点からも, 病院環境消毒に安全・有効な消毒剤であると思われる.
  • 高橋 孝行, 辻原 佳人, 定本 和恵, 森田 雅之, 佐藤 康信, 伊沢 ゆき子, 金子 政恵, 横山 美佐, 大杉 ミヨエ, 山本 道子 ...
    1998 年 13 巻 3 号 p. 200-204
    発行日: 1998/08/30
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    皮膚保護剤デルマシールド® (DS) が手指消毒剤の殺菌あるいは除菌効果に影響を及ぼせば有用性が低下する.そこで, 4%グルコン酸クロルヘキシジンスクラブ製剤 (ヒビスクラブ®, マスキンスクラブ®) を使用し, DSが手指消毒剤の除菌効果に影響を及ぼすかどうか, さらに手指消毒剤に対する皮膚保護効果および消毒剤の使用感に及ぼす影響について検討した.
    (1) ヒビスクラブ®, マスキンスクラブ®による手指消毒直後, 90分後の消毒効果は, DS非塗布 (NDS) 群, 塗布 (DSU) 群間に差は認められなかった.
    (2) 連続6日間1日5回以上手指消毒を行った結果, NDS群の開始前は36人 (100%) 全員が皮膚荒れがないか弱いであったが, 6日後は強い皮膚荒れが8人 (22.2%) にみられ, 開始前に対して6日後は有意に (p<0.05) 皮膚荒れが増加した (χ2検定).DSU群の開始前は36人中35人が皮膚荒れがないか弱いであったが, 6日後に強い皮膚荒れを認めたのは2人 (8.3%) のみで, 開始前に対する6日後の皮膚荒れの状況に有意差を認めなかった (χ2検定).
    (3) NDS群, DSU群における消毒剤の使用感 (泡立ち, 泡切れ, 臭い) についてアンケート調査した結果, 両群間に有意差を認めなかった (χ2検定).
    以上より, ヒビスクラブ®およびマスキンスクラブ®による手指消毒に, 皮膚荒れ防止のためにデルマシールド®の使用は有効であることが確認された.
  • 片岡 陳正, 宇賀 昭二, 青木 皐
    1998 年 13 巻 3 号 p. 205-208
    発行日: 1998/08/30
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    我々は抗菌タイルおよび抗菌陶器の抗菌効果を, 銀等無機抗菌剤研究会による抗菌力試験法 (フィルム密着法) とは異なるスタンプ法で測定した.その結果, 銀抗菌のタイルおよび陶器は非抗菌のそれらと大差はなかったが, 光触媒抗菌のタイルおよび陶器は菌の減少効果を認めた.しかし消毒薬のような分単位での菌減少はみられず, 時間単位での減少効果であった.
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