環境感染
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14 巻 , 2 号
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  • 藤瀬 清隆, 斎藤 篤, 小林 正之, 伊藤 文之, 久保 政勝, 柴崎 敏昭
    1999 年 14 巻 2 号 p. 111-113
    発行日: 1999/05/20
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    集団予防接種時に発生した接種事故後の具体的な対応処置について報告し, 対応上の留意点につき専門医の立場より考察した.1997年6月に千葉県柏市の中学校において行われた, 小・中学生62名のBCG集団接種終了後に接種人数と接種に使用した管針の数が一致せず, 1本の管針による複数人接種の事故発生の可能性が示唆された.緊急対策会議の設置と父兄説明会開催後, 事故発生1週間目に対象者全員の採血を行い, 肝機能 (GOT, GPT, γGTP) とHBs抗原, HBs抗体, HCV抗体, HIV抗体の各検査を施行した.その結果, HBs抗原陽性者1名が確認されたため, B型急性肝炎の発症予防を目的に希望者にHBワクチンを2回施行した.また, 経過確認のため事故発生後1, 2, 3, 6ヵ月目に上記血液検査を再施行した.いずれの血液検査の結果においても, 病的意義のある肝機能検査の異常者, HBs抗原, HCV抗体, HIV抗体の陽転者は見られなかった.以上の経過と処置から, 本人, 保護者の精神的動揺を考慮し, 行政, 学校, 医師会との密な連携のもと, 1日でも早い具体的な対応処置についての説明, 事故発生に対して不信感を抱く保護者を納得させるための地域医療の中心となる機関と感染対策あるいは肝臓疾患専門医の参加, 対象者全員の協力による初回の血液検査の実施, 結果報告に際して対象者のプライバシー保守に対する十分な配慮, などが重要であると考えられた.
  • 遠藤 和郎
    1999 年 14 巻 2 号 p. 114-118
    発行日: 1999/05/20
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    新生児ICUに入院する児は未熟な生体防御能, 重篤な基礎疾患, 侵襲的医療機器の多用などにより, 血管カテーテルに関連した菌血症の発生頻度が高い.この菌血症を防止する, もっとも重要な対策の一つがサーベイランスである.専任の感染管理担当者が任命されていない市中病院において, 血管カテーテル関連菌血症のサーベイランスを開始した.診断基準は米国疾病管理予防センターの勧告を参考にし, 感染率はのべカテーテル挿入日数を分母とした血管カテーテル関連菌血症率とした.独自にワークシートとコンピュータシステムを作成し, 一般看護婦の協力を得てサーベイランスの継続が可能となった.1997年1月から1998年8月までに208例に312カテーテルが挿入され, 平均挿入期間は6.2日であった.体重別の菌血症率は1,000g以下; 7.3, 1, 001~1, 500g;2.5, 1, 501~2,500g; 0.0, 2,501g以上; 2.7であった.サーベイランスを継続することで, 菌血症発生の危険因子と有効な対策を明確にし, さらなる改善の足掛かりとしたい.
  • 梶浦 工, 和田 英己, 伊藤 健治, 中嶋 慈夫, 生沢 啓芳, 小山 泰正, 加藤 文男
    1999 年 14 巻 2 号 p. 119-122
    発行日: 1999/05/20
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    食用赤色104号 (フロキシン) 0.5%水溶液による染色を指標とした病院環境ならびに食堂厨房の汚染調査を試みた. 本色素での染色は目視による場合に比較して, より鋭敏に有機物汚染を判定できた. 一般細菌数と染色度は必ずしも一致しなかったが, 染色されなかった箇所では細菌汚染はほとんど認められなかった. 本実験の結果, 食用赤色104号を用いることによって, 清潔を必要とする環境中の有機物汚染すなわち微生物汚染の可能性を, 簡便かつ鋭敏に検査できることが明らかとなった.
  • 手指汚染を視覚的に即時に確認できる装置を使用して
    広瀬 幸美, 矢野 久子, 馬場 重好, 小玉 香津子, 木村 哲
    1999 年 14 巻 2 号 p. 123-126
    発行日: 1999/05/20
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    手洗いは病院感染防止のために最も重要な手段であるが, 医療従事者の手洗いは十分に行われていない.手洗いの動機づけを高める教育を徹底することが重要である.今回, 臨床実習直前の看護学生98名を対象に, 手指の洗い残しが視覚的に直ちに確認できる装置を用いて「衛生学的手洗い実習」を行い, その教育効果について検討した.
    1) 講義前後の手指における洗い残しの変化では洗い損ねた汚染指先の数は, 講義前;平均6.8から講義後;平均1.2に, 洗い損ねた指間の数は講義前;平均5.5から講義後;平均3.1と有意に減少した (p<0.001).手のひら, 手首・第1指の洗い残しも講義前に比べて講義後は有意に減少した (p<0.01, p<0.001).
    2) 手洗いをし損ないやすいと考える部位の変化では, 実習前に比べて実習直後は手のひら, 指先・第1指で手洗いをし損ないやすいと考える学生が有意に増加した (p<0.01, p<0.001).
    以上のことから臨床実習を直前にした看護学生に対して, 自分で行った手洗いを直接確認できる装置を用いた「衛生学的手洗い」の実習は教育上効果があり, 院内感染防止上も意義があったと考えられる.
  • 国定 孝夫, 山田 恵子, 織田 志保美, 原 修
    1999 年 14 巻 2 号 p. 127-131
    発行日: 1999/05/20
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    消毒剤の短時間殺菌力を評価する時に必要な不活化剤のスクリーニングを行った.消毒剤としてはポビドンヨード (PVP-I), グルコン酸クロルヘキシジン (CHG), 塩化ベンザルコニウム (BAC), 塩酸アルキルジアミノエチルグリシン (AEG) を用いた.また不活化剤としてはSodium thiosulfate, Tween80, Lecithin等を配合し試験に供した.
    staphylococcus aureusを用いて不活化効果の確認を行った結果, PVP-IおよびAEGにおいては良好な回収率が得られ, これら消毒剤の活性は測定用培地中に残存していない事が確認された.一方, CHG, BACにおいては不活化剤による希釈のみでは十分な効果が得られなかったが, 測定用培地にも不活化剤を添加することにより回収率の上昇が認められた.特に10%Tween80, 3%Lecitin, 0.5% Sodium thiosulfate配合の不活化剤を用いて希釈し, さらに測定用培地にも同一組成の不活化剤を1/10濃度添加することによりいずれの消毒剤に対しても90%以上の回収率が得られ, 優れた不活化効果が認められた.また, Eseheriehaa coLi, Pseudomonas aeretinosa等においても同様な結果となり, 菌株間の差は認められなかった.以上, 今回設定した不活化剤および不活化方法を用いることにより, 従来, 不活化が困難であったCHG, BACに対しても十分な不活化効果が期待でき, カテゴリーの違う消毒剤の短時間殺菌力を定量的に比較するのに有用であると考えられた.
  • 粕田 晴之, 福田 博一, 林 和, 相賀 美幸, 島崎 則子, 越智 芳江
    1999 年 14 巻 2 号 p. 132-135
    発行日: 1999/05/20
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    本邦での手術時手洗いはスクラブ剤を使用したブラシングを中心に行われてきたが, この方法は皮膚を損傷するおそれのあることと手洗い時間が長いという欠点を有している.我々は, 先に看護婦を対象としグローブジュース法を用いて擦式エタノール薬を併用した短時間手洗い法の有用性について報告したが, 今回は医師を対象として検討した.
    手洗い前の片手当り手指生菌数が104cfu以上で, 「現行の手洗い法: 4%クロルヘキシジンを用い, 素洗いと3回のブラシングで計8分間の手洗い」と「新しい手洗い法: 4%クロルヘキシジンを用いた揉み洗い2回と爪周囲のブラシング1回, 0.2%クロルヘキシジン添加エタノール液を用いたラビング1回で計4分間の手洗い」を2回づつ実施できた外科系医師28名を対象とした.指数減少値からみた減菌効果が, 「現行の手洗い法」では手洗い直後および3時間後が1.49±0.66 (M±SD) および0.99±0.71であったのに対し, 「新しい手洗い法」ではそれぞれ1.61±0.55および1.44±0.52と高い値を示し, 3時間後では両者に有意差が認められた (p<0.05).「新しい手洗い法」は, 揉み洗い中心の短時間で簡便な方法であるにもかかわらず, 手洗い直後ばかりでなく, 手袋をして3時間後にも引き続き殺菌効果を持続する有用な手洗い法であることが示された.
  • 高橋 紀美子, 有田 美知子, 高井 研一, 金政 泰弘
    1999 年 14 巻 2 号 p. 136-141
    発行日: 1999/05/20
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    水道水に食塩を添加した食塩水を無隔膜電解槽で電気分解して得られた弱アルカリ電解生成水 (電解次亜水, 以下電解次亜水と呼ぶ) の殺菌効果について, 院内感染や食中毒の原因菌を中心に15種41株を対象にin vitroで検討した.
    B.subtilis (芽胞型) 以外すべての菌種で混和10秒後で細菌の増殖は認められず, 瞬時の殺菌力を示した.B.subtilis (芽胞型) は10分後に殺菌効果を認めた.
    4℃, 37℃ の温度条件下で抗菌活性は低下しなかったが, 血清, イースト・エクストラクト, スキムミルクなどの有機物の存在は殺菌力を低下させた.
    密閉遮光と開放非遮光とによる異なる保存下における殺菌効果を検討したところ, 30日後においても殺菌力の低下は認められず, 活性は持続していた.
    電解次亜水は強酸性水と遜色ない殺菌効果を持っており, 今後多方面での使用が期待されるが, 有機物の存在はその殺菌効果を減弱させるため注意が必要であると思われた.
  • 国定 孝夫, 山田 恵子, 織田 志保美, 原 修
    1999 年 14 巻 2 号 p. 142-147
    発行日: 1999/05/20
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    臨床分離のMethicillin-Resistant Staphylococcus aureus (MRSA) に対するポビドンヨード (PVPI), グルコン酸クロルヘキシジン (CHG), 塩化ベンザルコニウム (BAC), 塩酸アルキルジアミノエチルグリシン (AEG) の殺菌効果について検討した. PVP-IおよびAEGは0.5~0.05%のいずれの濃度においても作用時間0.5分で残存菌は認めなくなり, 優れた殺菌効果を示したが, CHGでは0.5%濃度に3分間作用させてもかなりの残存菌が見られ, 完全に殺菌するために10分間以上を要した. またBACは0.05%では3分間の作用で, 0.2%では1分間の作用でほぼ全ての株において効果が認められた. なお今回供試したMRSAについて薬剤感受性等の性状について調べたところ, 我国での報告と良く一致する内容であった. ただしいずれの性状も消毒剤の殺菌効果との関連性は見られず, また対照としてMethicillin-Sensitive S.aureus (MSSA) に対する殺菌効果についても検討したが, MRSAと同様な結果を示した. さらに今回, 最も効果の見られたPVP-Iにおいて, 有機物存在下における殺菌効果について検討したところ, PVP-I濃度に依存して有機物の影響が認められたが, PVP-I0.5%ではヒト血清10%存在下でも105CFU/ml以上の菌数の減少を示し, 適正な使用濃度を設定することにより優れた効果を維持できることを確認した.
  • 風間 仁, 石垣 雅子, 濱島 肇, 新井 武利, 笹津 備規
    1999 年 14 巻 2 号 p. 148-152
    発行日: 1999/05/20
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    クーリングタワー冷却水に対する電解殺菌の有効性について検討を行った.実験室内での基礎的検討では黄色ブドウ球菌, 大腸菌, セラチア, 緑膿菌, レジオネラ等の細菌, およびファージに対し強い殺菌効果が認められた.しかし枯草菌類の胞子に対しての効果は低かった.次に応用試験としてクーリングタワー冷却水に対しての電解殺菌試験を行った.その効果は一般細菌やレジオネラ属細菌の増殖を著しく抑制した.これらの結果から, 電解殺菌は消毒剤に変わる殺菌方法としてクーリングタワー冷却水中のレジオネラ汚染防止, および病原細菌の増殖抑制に有効であると考えられる.
  • 高橋 京子, 小松 侯子, 三浦 香苗, 関根 優子, 石田 政子, 辻原 佳人, 高橋 孝行, 山本 道子, 松本 文夫
    1999 年 14 巻 2 号 p. 153-157
    発行日: 1999/05/20
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    病院の栄養科は入院患者に安全かつ衛生的に食事を提供しなければならない.食中毒防止対策では, 栄養科職員だけでなく, 食品納入業者および患者家族などによる病院内持ち込みに対する的確な対応, つまり食品衛生の知識と教育が重要である.今回この三者の衛生管理対策の実態を把握する目的でアンケート調査を行ったところ, 以下の結果を得た.
    1.調理作業前の手指消毒の実施率は病院では100%, 食品納入業者では66.6%, 一般家庭では42.1%であった.
    2.食品納入業者における衛生管理上必要な食中毒の認識度をみると, 菌種名および食中毒の主要原因食品の認識率は食品衛生責任者ではそれぞれ68.8%, 39.6%, 従業員では61.8%, 33.3%であった.
    3.病院栄養士が食品納入業者に対して行う衛生管理指導のうち, 手指洗浄および消毒については, 「衛生管理上必要と思っている」との回答はそれぞれ82.9%, 65.7%であり, その実行率はそれぞれ40.0%, 28.6%であった.
    以上のごとく今回のアンケート集計成績では, 食品納入業者および一般家庭の食中毒予防対策は必ずしも十分ではなく, 危機感の欠如がみられた.食中毒防止には衛生教育の充実をはかり, 調理作業時の衛生管理だけではなく, 食品納入業者も含めた食品取扱者への指導の徹底をはかることが重要と考えられた.
  • 宮崎 元伸
    1999 年 14 巻 2 号 p. 158-161
    発行日: 1999/05/20
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    在宅医療により家庭から排出される廃棄物の廃棄量, 廃棄方法等に関して, 注射針, チューブ, バッグおよび脱脂綿・ガーゼの4種類に焦点を当て, その実態を明らかにする目的で調査を行った.データの収集は郵送調査法を用いた.注射針は大部分 (88.7%) の家庭が医療機関へ持ち込んでいた.しかしながら, 注射針を一般廃棄物として排出している家庭 (5.6%) もあり, 収集・運搬をする者の針刺し事故等による感染の問題が浮かび上がった.チューブやバッグについては, 不燃ごみとして排出している家庭が多かった (それぞれ67.1%, 75.2%).不燃ごみとして廃棄されることで, 感染源による環境への汚染が危惧された.脱脂綿・ガーゼは可燃ごみとして排出している家庭が多かった (89.7%).在宅医療により排出される廃棄物は感染症の感染源として極めて重要であり, きちんとした処理が求められる.訪問看護などを含め在宅医療の需要がますます多くなる中, 環境あるいは人々に感染の危険が及ばないように医療機関と自治体がそれぞれの役割を明確にして協力し合い, 収集・運搬のシステムを作ることが必要と思われる.
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