環境感染
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14 巻 , 3 号
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  • 藪内 英子, 坂井 小枝佳, 不破 和美, 為定 誠, 浅野 健治, 高橋 武秀, 辻野 隆志
    1999 年 14 巻 3 号 p. 181-188
    発行日: 1999/08/31
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    Legionella sp.を検出する目的で, 北海道から長崎に至る計20世帯の24時間風呂から採取した生物浄化槽濾材の洗液を抗酸染色して多数の抗酸菌を検出したので, この装置への抗酸菌の定着・増殖状況と検出菌株の性状を調べ菌種を同定した.
    対象とした20世帯のうち, 8世帯の24時間風呂は塗抹・培養ともに抗酸菌陽性であった.鏡検時の検出抗酸菌は細長でやや湾曲し, その菌数は浴槽水沈渣ではおおむね毎視野1, 2個であったが, 濾材やプレフィルターの洗液などでは無数であり, 巨大菌塊も検出された.
    検出した抗酸菌18株はすべてナイアシンを産生せず, そのうち色素非産生の14株と光発色性の1株の計15株は, DNA-DNA hybridization (DDH) でMycobacterium aviumと同定された.M. gordonaeM. peregrinumも各1株あったが, M. intracellulareはなかった.暗発色性の1株はDDHでも同定できなかった.
    M. avium15株はすべてサイクロセリンにのみ感受性で, 他の9薬剤には耐性であった.M. avaum基準株と24時間風呂濾材由来の1株は, それぞれ80℃32分と64分の加熱に抵抗し生残した.
    被験20世帯のうち18世帯の24時間風呂はレジオネラ陽性であったが, それに加えて近年M. tuberculosisについで重視されるM. aviumがその40%に定着・増殖していることは臨床例の報告と併せて注目しなければならない.
  • 松村 久美, 高橋 あずさ, 坂田 宏
    1999 年 14 巻 3 号 p. 189-191
    発行日: 1999/08/31
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    1996年4月から1997年10月までに旭川厚生病院NICUに入院した, 出生体重2000g未満の低出生体重児79名の児の入院時から1週間ごとに鼻咽頭スワブを採取し, 細菌培養を行った.79名中48名 (60.8%) が入院中に1回以上MRSAが検出された.MRSAが検出された児とされなかった群の出生体重は1410±371g (平均±標準偏差) vs1721±249g (p<0.0001), 人工換気期間は14.8±22.7日vs4.3±9.5日 (P=0.0175), 抗生物質投与期間は5.2±4.9日vs2.5±2.3日 (p=0.0057) と検出されなかった群より有意に出生体重が少なく, 人工換気期間が長く, 抗生物質投与期間が長かった.出生体重1000g未満の児のMRSA検出時期は6.4±3.7週, 1000から1500gの児は4.3±2.8週, 1500から2000gの児の2.1±1.2週 (p=0.0011) と出生体重が少ないほど検出される時期が遅かった.
  • 長浜 りか, 遠藤 和郎
    1999 年 14 巻 3 号 p. 192-195
    発行日: 1999/08/31
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    臨床現場において末梢静脈カテーテル (以下, 末梢カテ) の使用頻度は高く, 時に静脈炎や菌血症などの血管カテーテル関連感染の原因となる.これを防ぐために適切な血管カテーテル管理を遵守する必要がある.
    末梢カテの適正な管理方法として, 定期的に刺し換えを行い下肢への挿入を極力避けるように心がけてきた・対策の施行状況を調査するために, 末梢カテの固定テープへの挿入日の記載の有無, 留置期間, 挿入部位について調査した.1) 挿入日の記載状況は調査開始当初の1994年前半は68.0%であったが, 1997年には97.4%に改善した.2) 4日間以上末梢カテが留置されていたのは小児科病棟 (22.5%), 小児科・内科混合病棟 (15.5%) に多く, 循環器内科, 神経内科, 一般外科病棟では少なかった.3) 下肢から末梢カテが挿入されていたのは小児科 (14.1%), 小児科・内科混合 (9.4%), 神経内科病棟 (13.5%) に多くみられた.
    サーベイランスの継続, 結果のフィードバック, そして適切なカテーテル管理を指導することで管理状況の改善がみられた.今回, 我々の行ったサーベイランスは実際の菌血症発生率を求めるものではないが, 日常の管理方法を改善することにより, 最終的には血管カテーテル関連感染を減少させるのに寄与すると信じている.
  • 藤本 卓司, 芝 イク子
    1999 年 14 巻 3 号 p. 196-199
    発行日: 1999/08/31
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    市立堺病院では1997年10月から胃手術の創感染サーベイランスを開始した.その結果および市中病院のおいて創感染サーベイランスを実施する意義について検討したので報告する.
    対象は創感染サーベイランス開始前の1996年10月から1997年3月まで, サーベイランス開始後の1997年10月から1998年3月までに当院で実施した胃手術のすべてである.外科医師, 病棟看護婦を対象に, 創感染とその予防の具体策, サーベイランスの意義, 方法などの学習会を実施した後, サーベイランスを開始した.
    創感染率はサーベイランス開始前後で30.8%から9.7%へ減少した.症例の大半を占めるNNIS危険指数1の群では27.3%から8.0%へ減少したが, CDC基準値5.6%に比べると高値であった.創感染に係わる因子の中では手術時間, 予防的抗生物質の投与開始のタイミング, 投与日数に有意な変化が認められた.手術時間は5時間59±112分から4時間25±88分へと短縮した.抗生物質を出棟時あるいは執刀時, すなわち手術直前に開始した症例は12%から61%へ増加し, 投与日数は5.3±2.7日から3.7±1.5日に短縮した.
    創感染サーベイランスは日本においてまだ広く行われていないが, これを実施することにより各医療施設での危険因子が明らかになり, 創感染の減少に寄与しうると考える.
  • VRE保菌患者の入院を経験して
    渡邉 都貴子, 安井 晃榮, 信定 さおり, 光畑 律子, 狩山 玲子, 公文 裕巳, 佐竹 幸子
    1999 年 14 巻 3 号 p. 200-204
    発行日: 1999/08/31
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    1998年5月, vanA遺伝子保有Enterococcus faeeium (VREF) を保菌した患者が入院した.
    岡山大学医学部附属病院院内感染対策委員会は, 直ちにVRE院内感染制御に関する検討をした.VREの検出方法としてvancomycin (VCM) 6μg/mlおよび32μg/ml含有VRE選択寒天培地, VRE選択増菌培地を使用し, またVRE選択寒天培地でVREを疑う検体についてはPCR法を用いた.この方法により, 迅速かつより確実にVREを検出することができた.また, 検査室でVREが検出された場合, 直ちに院内感染制御体制が取れるように報告体制および制御体制のフローチャート, サーベイランスのフローチャート, VRE院内感染予防対策マニュアルを作成した.今回我々が実施したVRE院内感染制御方法により, 当院においてVREの院内感染は予防でき, また患者自身もVREの感染症を起こすことなく治療を終了し退院した。
  • 石塚 紀元, 人見 重美, 木村 哲
    1999 年 14 巻 3 号 p. 205-211
    発行日: 1999/08/31
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    感染症を抗菌薬で治療する場合, 最初に使用する薬剤選択のための情報と, 効果が得られなかった場合に選択する薬剤に関する情報が重要である.これらの情報を数値として抗菌薬感受性検査結果から算出する方法を検討したところ, 最初のものとしては患者に占める感性菌検出者率, 次のものとしては感性菌検出者に占める非感性菌検出者率が相当するものと考えられた.
    これらの数値を1997年の当院入院患者検出Pseudomonas aeruginosa感受性検査結果より集計したところ, 感性菌検出者率はAMK 95%, CAZ 92%, CPZ 91%, GM 93%, IPM 93%, PIPC 98%, LVFX89%と一様に高い数値が得られたが, 感性菌検出者に占める非感性菌検出者率はAMK9%, CAZ 25%, CPZ 26%, GM 12%, IPM 20%, PIPC 10%, LVFX 20%と薬剤により差が見られた.データを患者の検査件数で分けて調べたところ, 感性菌検出者率は患者の検査件数の多少による差は見られなかったが, 感性菌検出者に占める非感性菌検出者率は全ての薬剤で検査件数が多い患者ほど高くなる傾向が見られた.また診療科別の数値では科によって感性菌検出者率, 感性菌検出者に占める非感性菌検出者率共に差が見られ診療科別の情報の作成も必要であることが示された.
  • 宇佐美 郁治, 久野 篤, 山田 三枝子, 横山 美佐, 伊藤 恵子, 磯田 ミチ子
    1999 年 14 巻 3 号 p. 212-215
    発行日: 1999/08/31
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    当院では1993年より針刺し事故対策に取り組んだ.現状調査を行ったところ, 5ヵ月間で51件の事故が報告された.針刺し事故の報告体制を確立し, 報告の内容に基づいて針回収容器, 処置トレイの発泡スチロールなどを考案した.針刺し事故件数は4月~8月の集計で, 1993年の51件から1994年14件, 1995年16件, 1996年5件, 1997年8件, 1998年5件と減少させることができた.アンケート調査では針回収容器を持っていく, リキャップをしないなど, 職員の意識の向上がみられた.しかし, 未報告例の調査では針刺し事故が15例に対し, 2例の未報告例がみられた.
  • 白石 正, 仲川 義人, 太田 伸, 長井 克浩, 全田 浩, 黒瀬 幹彦, 牧野 公博
    1999 年 14 巻 3 号 p. 216-222
    発行日: 1999/08/31
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    消毒剤は, 医療器具などの消毒を目的に医療現場において広く使用されているが, 殺菌効果のみならず消毒対象物に損傷を与えないことが条件となる.今回, 新規第四級アンモニウム化合物 (AD1, AD2およびT-2220) を合成し, その殺菌効果と防錆性を塩化ベンザルコニウム (BAC) のそれらと比較した・殺菌効果は, 11菌種の臨床分離菌を使用して接触時間を3分および10分とし, 清浄状態と2W/V%酵母液存在下で各薬剤を比較した.T-2220は各菌種に対してBACとほぼ同等の殺菌効果を有していたが, AD1およびAD2はBACに比べて, 殺菌効果が多少劣っていた.防錆性は鉄, 亜鉛, アルミニウム, 銅, ステンレス片を各薬剤に浸漬し, 経時的に96時間まで観察した.また, 歯科用スチールバー, カーバイトチップバーにつていは48時間まで観察した.鉄片, 亜鉛片, スチールバー, カーバイトチップバーに対して, T-2220はBACより防錆性に優れていた.これらのことから, T-2220の殺菌効果は, BACと同等, 防錆性ではBACより優れていることが認められた.
  • 石塚 紀元
    1999 年 14 巻 3 号 p. 223-228
    発行日: 1999/08/31
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    1991年8月から1992年12月にかけて経験した疥癬のアウトブレイクとその制御について報告する.流行が見られたのは老人性痴呆患者の病棟で同一フロアの左右を占め中央にはナースステーションが位置している.1つの病棟には全介助患者が93名, もう1つの病棟には俳徊を伴う患者が66名収容されている.病棟間の患者の移動は制限されているが職員はナースステーションを通じ行き来できるようになっている.
    1991年9月に両病棟で新規に17名の疥癬患者が発生するというアウトブレイクが見られ, 同年7月入院の患者が感染源と考えられた.その後, 発生数は減少したが終息には至らず, 1992年10月には発生数22名と再度のアウトブレイクを見た.この段階で対策の見直しを行い, 感染源, 感染経路, 感受性宿主の三要素それぞれに, 目的を明確にして単純で確実に実行できることに重点を置いた対策を立案した.最も重視したのは感染源対策で, 患者発見時にその感染力をなくすことを第一の目的とした.そして患者の処置方法と, 感染者, 非感染者の取り扱い方法を統一した.使用薬剤は25%安息香酸ベンジルローションである.その後, 患者の発生は減少に転じ, 同年12月に未発症の感染源撲滅のため, 全患者に一斉処置を行い, 新規発生患者の監視体制を整備した.新規発生数は1993年1月2名, 3月1名となり, その後の発生は終息した.
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