環境感染
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15 巻 , 2 号
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  • 宮本 幹, 山口 義夫, 笹津 備規
    2000 年 15 巻 2 号 p. 127-132
    発行日: 2000/05/18
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    レジオネラ症や非結核性抗酸菌症の原因となるレジオネラ属菌および非結核性抗酸菌について, その感染源となりうる身近な生活環境中の分布状況を把握するために河川, 湖沼, 海水および土壌等の自然環境, 修景用水, 温泉水, 公衆浴場水, 一般家庭浴水および循環風呂浴水などの人工環境, また各種細菌が検出されないと思われる対照として水道水と飲料用水の調査を行った.その結果, レジオネラ属菌は河川水, 温泉水, 公衆浴場水, 一般家庭浴水および循環風呂浴水から分離された.非結核性抗酸菌はレジオネラ属菌と同様, 生活環境中に広く分布していることが確認された.また, 一部飲料用水からも非結核性抗酸菌が分離された.循環風呂浴水に関しては循環機本体の熱洗浄システム等を導入した物理浄化方式の装置を試験対象とした.その結果, 温泉水や公衆浴場水等と比較してもその菌数, 分布ともに低値であった.
  • 今井 栄子, 若林 剛, 上田 政和, 四津 良平, 北島 政樹
    2000 年 15 巻 2 号 p. 133-138
    発行日: 2000/05/18
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    Objective: To obtain baseline-data of Surgical Site Infection (SSI) in our hospital, surveillance of SSI after general-gastrointestinal surgery and cardiac surgery was performed.
    Methods: All patients, who underwent general-gastrointestinal surgeries or cardiac surgeries in our hospital from January to December 1998., were registered and analyzed in this study. Surveillance of SSI was conducted following Center for Disease and Prevention (CDC) National Nosocomial Infections Surveillance System (NNIS) manual.
    Results: One thousand two hundred fifty four patients underwent the procedures. According to NNIS, SSI rates were analyzed by operative procedure and risk index category in surgical patient surveillance component.
    Total number of patients with SSI was 107, and total SSI ratewas 8.5%.
    Conclusion: The baseline-data of SSI in our hospital were obtained by this study. In comparison wit hNNIS, there were some differences in operative procedures in surgical category and duration cut point. P. aeruginosa seem to be an outbreak SSI pathogen of this year. In conclusion, NNIS can be applied to create infection control system in Keio Univ. Hospital with some modification.
  • 森兼 啓太, 小西 敏郎, 阿部 哲夫, 阿川 千一郎, 西岡 みどり, 谷村 久美, 野口 浩恵, 小林 寛伊
    2000 年 15 巻 2 号 p. 139-144
    発行日: 2000/05/18
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    消化器手術後の手術部位感染 (SSI) サーベイランスを米国のNNISシステムに従って施行した.対象は当科で9ヵ月間に施行された消化器外科開腹手術症例364例とした.感染制御チームを結成し, 巡回により基礎データを収集しSSIを拾い上げ, 外科医が創を観察しCDCの基準に従ってSSIか否かを判定した. 一方でCDCのSSI防止ガイドラインのうち現状を改善することが可能と思われる対策を講じ, 介入を行いつつサーベイランスを継続した.まず, 初めの4ヵ月間の創分類III, IV (汚染, 感染創) の症例ではそれぞれ9例中5例 (56%), 10例中9例 (90%) と高率にSSI発生を認め, 全体のSSI発生率に対する大きな撹乱因子となると考え, 以下の検討から除外した.創分類I, II (清潔, 準清潔創) の症例におけるSSI発生率は全体で35/323 (10.8%) であり, 術式別に分類しても, またrisk index score別にみてもNNISのデータより約3-5倍の高率であった.しかし, 米国では後期SSI発生症例を遺漏している可能性がある. 全例に術後30日のサーベイランスを遂行できた我々のデータとCDCのデータとの単純な比較はできないと思われた.サーベイランスの施行に並行して介入を行い, 主として抗生物質の術前投与が徹底された.しかし本研究期間内にSSI発生率の低下はみられなかった. 今後も継続的にサーベイランスを施行していく必要があると考えられた.
  • 矢野 久子, 奥住 捷子, 森澤 雄司, 馬場 重好, 草場 恒樹, 本田 宏志, 小玉 香津子, 米山 彰子, 木村 哲
    2000 年 15 巻 2 号 p. 145-151
    発行日: 2000/05/18
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    空気感染する感染症 (疑い) 患者が入院した時に, 大掛かりな空調設備の変更をしなくても設置できる簡易型HEPAフィルター空気清浄装置が, 医療従事者の職業感染および他の患者への空気感染拡大の防止技術の一つとして有効かどうかを検討した.
    今回評価した装置は, 病室の天井が装置が開発された米国よりも低いので, そのままでは清浄空気が天井に当り乱流となり, エアーカーテン (清浄空気を1方向に循環させることで形成するバリア) を形成しなかった.しかし, 吹出口にある整流板の前に吹出し角度を微調整できる調整フィンを付けることより, エアーカーテンを形成できた.エアーカーテン内の平均気流は0.5m/sであり, スモークテストを行うと, 患者の頭部付近のスモークは, 医療従事者の口元の方向に流れずに, 患者足元に向かって流れた.
    患者が就床している室内で装置が稼働中は, >0.5μmの空中浮遊塵埃数は, 医療従事者が検温などで立つベッドサイド部, 患者頭部ではNASA規格クラス100,000, 空気吹出口の前ではクラス10,000で清潔区域ないし高度清潔区域並みの清浄度が維持された.室圧は陰圧に保たれた.
    この装置は, エアーカーテンを形成すると患者の飛沫が医療従事者のいる方向に流れないことに加え, HEPAフィルターにより感染性飛沫核の除去 (空気の清浄化) ができる.エアーカーテン内に医療従事者がいれば, 患者からの飛沫や飛沫核が遮断できるので空気感染防止に有効である.さらに, 部屋を陰圧にできるので, 他室にいる患者および医療従事者への空気感染防止に有効と考える.ただし, 室内トイレなどエアーカーテン外での作業があるので, N95マスクなど他の保護技術を合わせて使用する必要がある.
  • 吉澤 穣治, 栗原 健, 畝村 泰樹, 谷藤 泰正, 山崎 洋次
    2000 年 15 巻 2 号 p. 152-155
    発行日: 2000/05/18
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    医療現場における抗菌製品の有用性を検討するために, ICUにおいて抗菌サンダル®(infection control sandals®) と抗菌処理されていない非抗菌サンダル (nontreated sandals) の細菌学的検討を施行した.
    この結果, サンダルに付着していた細菌の種類には差は認められなかったが, 各サンダルに付着していた細菌の数は, 抗菌サンダル®では平均±標準誤差が39.4±6.2個/20cm2であり, 非抗菌サンダルでは81.0±24.6個/20cm2であり, 有意差 (p=0.018) を認めた (n=7).付着菌数の減少は, 清潔区域内の病原菌の減少につながるものと期待できる.
  • 国定 孝夫, 山田 恵子, 織田 志保美, 折笠 義則
    2000 年 15 巻 2 号 p. 156-162
    発行日: 2000/05/18
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    グラム陰性菌に対するPVP-I (ポビドンヨード) 液, CHG (グルコン酸クロルヘキシジン) 液, BAC (塩化ベンザルコニウム) 液およびAEG (塩酸アルキルジアミノエチルグリシン) 液のin vitroでの有効性を, 既に報告した新しい評価方法により検討した.被検菌として臨床由来のPseudomonas aeyuginosa20株, Seyyatia maycescens20株, Burkhorderia cepacia10株, Escheyichia coli10株およびKlebsiella pneumoniae10株を供試した.
    (1) P.aeyuganosaに対して, 常用濃度のPVP-I, BACおよびAEGは供試した全ての菌株を0.5分で殺菌したが, CHGでは0.5%においても3分程度の時間を要する株が認められた.
    (2) S.mamscensはPVP-IおよびAEGに強い感受性を示したが, CHGやBACには抵抗性を示す株が認められた.
    (3) B.cepaciaはPVP-Iに感受性で, BACおよびAEGの低濃度 (0.05%) で抵抗性を示す株が存在した.CHGではほとんどの株が耐性であった.
    (4) E.coliおよびK.pneumoniaeは供試した全ての消毒剤に感受性であった.
    (5) P.aeyuginosaおよびB.cepacia各1株を用い, テフロン片上に形成させたバイオフィルム中の菌に対する殺菌効果を調べた.PVP-Iでは10分以内に完全な殺菌効果が認められたが, CHG, BACおよびAEGでは60分後においても菌数の減少を認めなかった.
  • 芳賀 泉, 齋藤 一文字, 原 澄子
    2000 年 15 巻 2 号 p. 163-168
    発行日: 2000/05/18
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    速乾性手指消毒剤は簡便な手指消毒法として有用であるが, 瀕回使用するため手荒れ面でより改善された製剤が望まれる.該当する製剤としてウエルパス®とヒビソフト®を選び, 皮膚に対する影響についての客観的評価法である皮膚表面コンダクタンス (SSC), 経皮水分損失量 (TWL) に加えてビデオマイクロスコープ (VMS) による解析を前腕内側部で行った.SSCの測定結果では試験開始時と終了時の差がウエルパス®で6.6±0.8であったのに対し, ヒビソフト®では13.7±2.4と有意に保湿性に優れることが認められた (p<0.05).TWLの測定結果では両剤間に有意差はなく, VMS解析の結果では, 両剤間に有意差はないもののヒビソフト®のほうがウエルパス®より優れる傾向が認められた.3項目を総合すると, ヒビソフト®のほうがウエルパス®より, やや優れる傾向が認められた.
  • 花谷 勇治, 小平 進, 浅越 辰男, 長岡 信彦, 金城 領哉, 宜保 淳一, 戸枝 弘之, 川上 小夜子
    2000 年 15 巻 2 号 p. 169-172
    発行日: 2000/05/18
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    当科の入院患者と医療従事者を対象に鼻腔内MRSA保菌率 (保菌率) を調査し, ムピロシン鼻腔用軟膏 (MUP) による鼻腔内MRSAの除菌を試みた.
    除菌前の保菌率は入院患者では33% (15/45), 医療従事者では19% (15/77) と高率であった. 入院患者では年齢が高いほど保菌率が高率であった (P<0.05). また, 手術の有無 (P<0.05), 入院期間 (P<0.001) が保菌率に関与すると考えられた.
    入院患者と医療従事者の全員を対象に4ヵ月間隔で2回, MUPを1日3回, 3日間使用した. この結果, 保菌率は入院患者では18% (P<0.10) に, 医療従事者では4% (P<0.01) に低下した.除菌後6ヵ月経過した時点での保菌率は初回調査時とほぼ同等の成績に戻っており, 継続的な対策の必要性が示唆された. 鼻腔内MRSA陽性者のみを対象に再除菌を試みたが, 入院患者, 医療従事者ともに保菌率の低下は認められなかった. MRSAが蔓延している状況では, 全員を対象としたMUPの使用が効果的と考えられた. 除菌により保菌率が低下していた期間のMRSA検出患者数 (感染症の起炎菌検索のための培養でMRSAが検出された患者数) は除菌前に比べ有意に減少しており (P<0.001), 鼻腔内MRSAを除菌することの重要性が示唆された.
  • 寺田 喜平, 新妻 隆広, 片岡 直樹, 二木 芳人
    2000 年 15 巻 2 号 p. 173-177
    発行日: 2000/05/18
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    我国の看護学生における院内感染予防対策の現状と問題点を明らかにする目的で, 看護大学および短大140校においてアンケート調査を行った.34% (24/71校) の大学で看護学生が水痘, 流行性耳下腺炎, 麻疹, 風疹に, また2校で結核に感染していた.感染対策は既往歴やワクチン接種歴の報告が57%, 検査 (抗体, 便培養) が64%, 何もしていないが14%であった.抗体検査は93%がB型肝炎, 約30%が麻疹や水痘などに対し, また49%がツベルクリン反応を実施していた・抗体測定は感度の低いCF法などの実施例もあった.検査料金は大学の全額補助36%, 一部補助32%, 学生の全額負担28%で, 検査項目数が増加しても補助率はほぼ同じであった.ワクチンの接種勧奨は61%で行っていたが, 接種は本人まかせが56%で, 接種料金は全額補助14%, 一部補助29%であった.その補助費用は88%で大学が, 8%で大学後援会が出していた.問題点は現在の対策がB型肝炎中心で, 結核やウイルス感染に対する対策が遅れていた.また抗体測定法の選択に問題があった.検査料金やワクチン料金は少なくとも補助が必要で, またワクチン接種勧奨するだけでなぐ集団接種や場所, 時間など学生に便宜を計る必要があると考えられた.看護学生に対する院内感染防止には費用も含めた対策が必要である.
  • 矢野 邦夫, 浦野 美恵子, 鈴木 ノブエ, 橋爪 一光
    2000 年 15 巻 2 号 p. 178-182
    発行日: 2000/05/18
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    近年, 国内において医療施設や高齢者施設における結核の集団感染が報告され, 結核は再興感染症として再び認識されてきた.米国においても同様で, 多剤耐性結核の報告が相次ぎ, 特にHIV感染者用住居施設, 高齢者施設, 刑務所における結核対策の重要性が指摘されている.これらを背景に, CDC (米国疾病管理センター) は数多くの結核関連ガイドラインや勧告を公開しているが, サーベイランスの基本となるツベルクリン反応陽性について日米の基準が異なっているため, 彼らの優れた資料をそのまま日本における病院感染対策に導入できない.具体的には, 日本においてツベルクリン反応は発赤の大きさによって測定されているが, CDCは硬結の測定で行うように指導しており, 発赤を測定していない.また, ブースター現象の確認の必要性が叫ばれているが, BCGを基本的な結核予防策として取り入れていない米国におけるブースター現象のデータを, そのまま日本における対策に持ち込むことはできない.今回, 我々はCDCのガイドラインおよび勧告に従ってツベルクリン反応を施行し, CDCの結核対策に従って日本の医療従事者にツベルクリン反応を施行した場合の問題点を明確にした.
  • 岩沢 篤郎, 中村 良子
    2000 年 15 巻 2 号 p. 183-189
    発行日: 2000/05/18
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    強酸性電解水と混同されやすい市販酸化剤の殺菌効果, 有機物に対する影響, 保存安定性試験, 細胞毒性試験を行い, その特徴・差異を明確にするために検討を行った.
    ジクロロイソシアヌル酸ナトリウム製剤と高度さらし粉製剤の塩素系製剤は弱酸性電解水と同じ傾向を示し, 少ない塩素量で幅広い殺菌効果を示しかつ細胞に対する影響は少なかった.二酸化塩素製剤に関しては幅広い殺菌効果を示したものの細胞毒性も強く, 今回の検討からは有効性, 明確な特徴は認められなかった.
    過酸化モノ硫酸カリウム製剤は, 他剤と比べ即効的な殺菌効果は劣るものの安定した殺菌効果を示した.過酢酸製剤は, 内視鏡や透析機器の洗浄消毒に対してグルタラール製剤に代わるものとして注目されている.今回の検討からも優れた殺菌効果を示すことが明らかとなった.しかし, 細胞毒性に関しては他の製剤より強かった.
    有機物添加後の殺菌効果からは過酢酸製剤, 過酸化モノ硫酸カリウム製剤, 二酸化塩素製剤, ジクロロイソシアヌル酸ナトリウム製剤・高度さらし粉製剤の順に影響を受けなかったが, 逆に細胞に対する影響は塩素系の製剤で毒性が低かった.したがって, このような特徴を理解した上で各製剤に適した使用法を確立する必要が考えられた.
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