環境感染
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15 巻 , 4 号
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  • 北目 文郎, 大堀 直美
    2000 年 15 巻 4 号 p. 285-290
    発行日: 2000/11/09
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    同一患者から間隔を置いて分離されたMRSAのDNA型の異同と検出部位の異同, および分離間隔の長短との関係を明らかにすると共に, 間隔を置いて分離された株間でDNA型が異なっていた例については, その原因が異なる株の再感染によるのか, または同一クローンの遺伝子変異によるのかを考察した結果, 以下のことが示唆された.
    1. 同一患者から間隔を置いて分離されるMRSAは初回と同じ株が分離される傾向があり, 特に分離間隔が短く, かつ検出部位が初回分離と同じ場合には同一株が分離される確率が極めて高い.
    2. 同一患者由来の株であっても, 分離間隔の長短や検出部位の異同にかかわらず, 初回分離株と異なる株が分離されることがある.
    3. 同一患者から間隔を置いて分離された株間でDNA型が異なる原因には, 再感染による場合と, 遺伝子変異による場合とがある.
  • 井原 基公, 三田尾 賢, 小滝 照子, 重光 昌信, 木村 公重
    2000 年 15 巻 4 号 p. 291-294
    発行日: 2000/11/09
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    母子同室を行っていなかった母子異室期間と, 希望者に対し母子同室を行った母子同室期間での退院前新生児鼻腔からのブドウ球菌メチシリン感受性黄色ブドウ球菌 (以下MSSAと略), メチシリン耐性黄色ブドウ球菌 (以下MRSAと略), コアグラーゼ陰性ブドウ球菌 (以下CNSと略) 検出率を比較し, 母子同室が新生児のMRSA院内感染に及ぼす影響について検討した.
    母子異室期間 (1567例) では黄色ブドウ球菌は5.8% (MSSA5.0%, MRSA0.8%) に検出された. これに対し母子同室期間 (927例) では黄色ブドウ球菌は5.8% (MSSA5.7%, MRSA0.1%) に検出され, 母子異室期間と母子同室期間において有意差を認めなかった. 母子同室期間で母子同室実施者 (555例) では黄色ブドウ球菌は7.6% (MSSA7.4%, MRSA0.2%) に検出された. これに対して母子異室実施者 (372例) では, 黄色ブドウ球菌は7.3% (MSSA7.3%, MRSA0.0%) に検出され, 母子同室実施者と母子異室実施者で差を認めなかった.
    この結果から, 母子同室がMRSAを含めた黄色ブドウ球菌による新生児院内感染増加の要因とはならないことが判明した.
  • 大堀 直美, 北目 文郎
    2000 年 15 巻 4 号 p. 295-305
    発行日: 2000/11/09
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    標準的な院内感染防止対策を講じてはいるものの, MRSAによる院内感染流行の実態が未解明であった一大学病院におけるMRSAの流行状況を把握するため, 1995年9月以降の約4年間に対象施設の5つの診療科で分離された215株のMRSAの染色体DNA型, 抗生物質感受性型およびコアグラーゼ型, ならびに起因菌分離の疫学的背景に基づき院内感染の有無および流行の規模, ならびに流行に関与した因子を考察した.
    215株のMRSAは34種のDNA型に分類されたが, この中の9型のMRSAが5つの診療科のどこかで流行を起こしていた. 5つの診療科の全てで4~6種のDNA型のMRSAによる流行が発生 (4年間の総数: 23例) し, 流行に巻き込まれていた患者と医療従事者の総数は133名に達していた. 特にDNA型がA1, A2, A4およびD1型のMRSAによる流行は, それぞれの型の同一起因菌の株が診療科の垣根を越えて複数の診療科に拡散し, 多くの患者を巻き込んだ規模の大きな流行であった. 5つの診療科を対象とした流行状況の解析により, 対象施設におけるMRSAの流行には患者の転病棟やICU入室歴および医療従事者を介した起因菌の伝播が深くかかわっていた疑いが認められ, MRSAの流行におけるこれらの背景に対する見直しが今後の課題として示された.
  • 土井 まつ子, 竹村 ひとみ, 青木 寿予, 岩本 義久, 臼倉 幸宏, 志村 浩二, 神田 成夫
    2000 年 15 巻 4 号 p. 306-311
    発行日: 2000/11/09
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    1998年5月から7月までの2ヵ月半の間にNICU病棟に入院中の患者28名から分離されたMethicillin-resistant Staphylococcus aureus (MRSA) 94株について, コアグラーゼ型別試験, 薬剤感受性試験, 制限酵素Sma IによるDNA切断片の電気泳動パターンによって菌株のタイピングを行った. あわせて対象患者からの菌の分離状況と治療や入院との関係を調べ, 菌株間の関係を解析した. 薬剤感受性型とDNA切断片の電気泳動パターンによって識別された2つのタイプのMRSAがNICU病棟においてしばしば分離されており, 患者間に伝播されていることが示唆された.また他施設から菌が持ち込まれる場合もあることが示された.
  • 桜井 直美, 中西 陽子, 小池 和子
    2000 年 15 巻 4 号 p. 312-315
    発行日: 2000/11/09
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    リハビリテーション分野における院内感染対策の一環としてMRSA保菌患者の機能訓練後のMRSAの分布状況について調査を行った. I医療大学付属病院においてMRSA保菌患者の作業療法機能訓練施行前後で, 訓練中に患者が接触する場所, 担当の作業療法士の手掌, 顔面, 頸部, 白衣について調査を実施した. 一般細菌数計測用として標準寒天培地, 多剤耐性菌検出用としてPMAC (Pseudomonas, MRSA, ampicillin, cefminox) 寒天培地を用いた. さらにS.aureusについてはPCR法によるmec A遺伝子の検出と薬剤感受性試験を行い, MRSAか否か判定した. MRSA保菌患者の機能訓練前後において, 調査箇所のほとんどで訓練後に一般細菌数の増加が観察された. また作業療法士の手掌, 顔面, 頸部, 衣服等から機能訓練後にMRSAが検出された. このMRSAの各種抗生物質に対する感受性は患者喀痰由来株とほぼ一致し, 作業療法士の身辺から分離されたMRSAは患者由来である可能性が高く, 機能訓練を介して患者から患者へMRSAが伝播される可能性があることが示唆された. したがって, リハビリテーション分野においても院内感染対策の強化が不可欠であることが明らかとなった.
  • 高濃度の菌液注入後の三方活栓の培養実験結果からの考察
    近藤 真紀
    2000 年 15 巻 4 号 p. 316-324
    発行日: 2000/11/09
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    近年, 否定的であるにもかかわらず, いまだに日本では三方活栓 (以下三活とする) が使用されている頻度は高い. 一般的に三活注入口はエタノール清拭で消毒を行っていたが, 近年, エタノール噴霧消毒 (以下噴霧消毒とする) を行う施設がみられ, 噴霧法が臨床において有効という報告もある. この報告から注入口からの菌侵入する確率は低く, 三活が感染因子となる理由は注入口以外にあるのではないかと考え, 注入口とともに三活の輸液が流れているライン側 (以下ライン側とする), 三活内腔のコックの回転する部分 (以下コック部とする) の細菌付着について明らかにすることとした. その結果, 注入口への噴霧消毒は, 菌液として使用したS. epidermidisについては有効であったが, Bacillus spp. に対する限界が残された. ライン側, コック部の細菌付着が認められた. このことから, 注入口は噴霧消毒によって菌の管内侵入のリスクを下げることができるが, ライン側やコック部については管外から菌付着防止対策をとることは難しいことが示唆された. しかし, 実験の結果は高濃度の菌液を使用しているため, 直接臨床への応用については限界があるが, 輸液ライン由来感染防止のため三方活栓使用の見直しや, 接続部分を最小限にすること, 薬液作成の環境の見直し, 薬剤部への輸液調剤依託など他職種と連携を図る必要があると考えた.
  • 大塚 督子, 礒本 暁子, 中尾 美幸, 高橋 紀美子, 千田 好子, 高井 研一, 金政 泰弘
    2000 年 15 巻 4 号 p. 325-331
    発行日: 2000/11/09
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    Staphylococcus aureusPseudornonas aeruginosaに対して, 5種類の抗菌成分の異なる抗菌加工繊維製品の基本的抗菌活性を湿潤, 乾燥条件下にて経時的に検討した.
    1. S. auyeusに対しては, Ag, Zn, アンモニウム性ゼオライト系の抗菌加工繊維製品は, 湿潤, 乾燥条件下で3時間後より抗菌活性が認められた. 脂肪族イミド系は乾燥条件下で24時間後に抗菌活性が認められたが, 第4級アンモニウム塩系では抗菌活性は認められなかった. キトサン系では乾燥条件下で3時間後から抗菌活性が認められた.
    2. P. aeruginosaに対しては, Ag, Zn, アンモニウム性ゼオライト系の抗菌加工繊維製品は3時間後から抗菌活性が認められ, 特にキトサン系は速効的かつ持続的に抗菌活性が認められた. 24時間経過後には5種類すべてに抗菌活性が認められた.
    これらの結果から各種抗菌加工繊維製品の抗菌効果の評価を行った. 各種抗菌加工繊維製品の抗菌活性は菌種や湿度環境また経過時間においても異なるものとなり, 臨床現場におけるその選択や使用法にこれらの条件を考慮する必要があることが示唆された.
  • 永倉 貢一, 田邉 晃久, 深谷 安子, 田爪 正気
    2000 年 15 巻 4 号 p. 332-337
    発行日: 2000/11/09
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    疥癬は重要な院内感染症の1つである. しかし, 院内流行防止策が徹底されていないために疥癬が発生した現場では対応に苦慮している. 1998年7月から99年10月にかけて, 神奈川県内の1特別養護老人ホーム (入所利用者50人) で4回の普通疥癬の発生があった. 4回の発生のうち99年9月の集団発生事例は, 特定のショートスティ利用者の施設内持ち込みで発生したと推測される. 本施設の疥癬感染は年齢・入所月数に無関係に起き, 女性の感染 (61.1%) が男性より有意に高く, 主感染者はADL Grade IV以上の独歩不能の女性要介助者, 特に寝たきり女性であった. 寝たきり入所者と同室の独歩可能な自立者たちに感染がないこと, 感染者の居室の塵芥から疥癬ダニと卵が検出されなかったことから, 介助職員の着衣を介した接触伝播で広がったと推定した. さらに疥癬の伝播防止に対応上留意を要した諸点についても考察した.
  • 浦田 秀子, 田代 隆良, 松本 麻里, 志水 友加, 福山 由美子, 金 鳳壬, 梁 炳善
    2000 年 15 巻 4 号 p. 338-344
    発行日: 2000/11/09
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    日本と韓国の2大学病院においてメチシリン耐性黄色ブドウ球菌 (MRSA) 感染または定着患者に対する看護婦 (士) の感染防止対策実践状況を自記式質問紙を用いて調査した. 対象は日本のN大学病院と韓国のK大学病院の看護婦 (士) で, 調査項目は標準予防策の基本である手洗い (頻度, 方法, 時間) と手袋・マスク・ガウンの着用状況である. ケア前の手洗い実施頻度は両大学病院で有意差はなかったが, ケア別にみると食事介助, バイタルサイン測定, 点滴交換の3項目でN大学病院が有意に高かった (p<0.01). ケア後の手洗い実施頻度はN大学病院が高く, 9項目すべてのケアで有意差が認められた (P<0.01). 手袋の着用はK大学病院が高く, 清拭, 体位変換, 包帯交換, 食事介助で有意差が認められた. マスクおよびガウンの着用はN大学病院が高く, 9項目すべてのケアで有意差が認められた (p<0.01).
    N大学病院ではMRSA感染患者は原則として個室隔離しているが, K大学病院では隔離していないことが感染防止対策実践状況の違いに関与しているものと思われる. しかし, 標準予防策はMRSA感染患者を隔離する・しないにかかわらず, 遵守すべきであり, N大学病院では患者との接触が濃厚なケアでの手袋の着用, K大学病院では手袋をはずした後の手洗いとマスク・ガウンの着用をより徹底する必要があると思われる.
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