環境感染
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16 巻 , 3 号
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  • 渋谷 泰寛, 菊池 明子, 杉山 幸比古
    2001 年 16 巻 3 号 p. 197-201
    発行日: 2001/08/27
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    在宅酸素療法患者の酸素濃縮器の加湿水について細菌学的検討を行った. 1998年冬期, 1999年夏期の2期に在宅酸素療法を施行中の患者34人 (1998年冬期), 48人 (1999年夏期) の酸素濃縮器の加湿水を採取して, 細菌学的検討を行つた.
    1998年冬期には33検体 (97%) から細菌が分離された.合計菌数は2.3log10±1.1log10cfu/mlであった. また, 1999年夏期には47検体 (98%) から細菌が分離され, 合計菌数は2.3log10±1.1log10cfu/mlで1998年冬期と有意差はなかった. 分離菌種ではCorynebacterium, Brevendimonas vesicularis, Bacillusをはじめとする環境常在菌が多く分離された.しかし, MSSA5株, CNS22株, Klebsiella oxytoca1株, Burkholderia cepacia2株など慢性呼吸器病変を有する患者にとって感染の起因菌となりうる細菌も分離された. 加湿ビンの洗浄後日数と分離菌数との関係では, 洗浄日1~7日後の菌数が洗浄後2~3週間後, 1ヶ月後, 洗浄なしに比較して有意に減少していた (p<0.05).加湿ビンへの水のつぎ足しの日数と分離菌数との間には有意な関係は見られなかった.
    在宅酸素療法患者の酸素濃縮器の加湿水からは季節にかかわらず細菌が分離された.容器の洗浄方法の指導や, 加湿水の必要性の再検討が必要であると考えられた.
  • 宮本 幹, 山口 義夫, 笹津 備規
    2001 年 16 巻 3 号 p. 202-208
    発行日: 2001/08/27
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    浴水循環式濾過装置の設置された特別養護老人ホームの浴槽水について, その汚染状況を把握するために30施設の30浴槽からサンプリングを行い, 細菌学的および理化学的な水質調査を行った. その結果レジオネラ属が新版レジオネラ症防止指針の目標値10CFU/100ml未満を超えて検出された施設は17施設 (56.7%) であった. 非結核性抗酸菌については19施設 (63.3%) から検出された.また消毒副生成物であるトリハロメタンを測定した結果一部上水基準値を上回る濃度の浴槽が確認された. 循環装置の濾材および殺菌方法の分類別に見ると従来型の循環装置では細菌学的な汚染が確認された.従来型の循環装置に塩素を注入したものは細菌学的な有効性が確認された施設もあるが十分な効果の得られない施設も見られた. 塩素注入と併せて複数の殺菌手段および塩素化合物処理濾材を用い, 更にシステム全体を毎日熱水洗浄を行う循環装置を使用した施設においてはレジオネラ属, MAC (Mycobacterium avium complex) 共に不検出であり, その他細菌についても低値であった.また総トリハロメタンも低値であり, 同施設の衛生的な浴槽水質の維持管理における有効性が確認された.
  • 白尾 一定, 川原 元司, 吉永 正夫, 四元 剛一, 中野 一司, 西 順一郎, 本屋 敏郎, 亀割 成子, 小山 由美子, 池 康嘉
    2001 年 16 巻 3 号 p. 209-215
    発行日: 2001/08/27
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    鹿児島大学医学部附属病院で消化器癌の術後にvanA型のバンコマイシン高度耐性腸球菌 (VRE) を分離した2症例を経験した.2例ともに切除術後に縫合不全・腸痩を形成し, 入院経過中にMRSA肺炎, 敗血症を合併した. 症例1はVREが分離されていた可能性が転院した後に気づかれ, 感染所見を認めない状態の患者の尿と便からEnterococcus faecium3株とE. faecalis1株が分離された.症例2は多臓器不全で死亡したが, 病態の悪化後に他の細菌および真菌と共にVREは分離され, 死亡前日の培養ではいずれの検体からも分離されなかったことから, 腸管内に定着していたVREが腹腔内の便汚染に伴い, 浸出液や尿からも一過性に分離されたと考えられた. また, 症例2から分離されたE.faecium4株の染色体DNAはパルスフィールド電気泳動法ですべて同じパターンを示し, 症例1から分離されたE. faeciumとは異なる株であった. 分離されたVRE株の薬剤感受性の検討ではVCMの最小発育阻止濃度 (MIC) は全株128μg/ml以上であったが, teicoplaninのE. faeciumに対する値は2または4μg/ml, ampicillinのE. faecalisに対するMIC値は1μg/mlであった. 症例1の経験後, VREを含めた高度薬剤耐性菌検出時の連絡体制を再検討したことが, 症例2を経験した際の迅速な院内感染対策に有効であった.
  • 永倉 貢一, 深谷 安子, 北原 祥友里
    2001 年 16 巻 3 号 p. 216-219
    発行日: 2001/08/27
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    高齢者関連施設での疥癬多発が周知されているにも関わらず, その実態調査はなされていない. そこで, 神奈川県下の105施設を対象に1995年から1999年までの5年間の疥癬実態を調べた.77施設 (73.3%) で227件 (1施設2.95件) の疥癬発生があった.り患者の88.2%が長期入所者で, 短期入所者と看護・介護職員の感染は少なかった. 発生の85%が特別養護老人ホーム (特養) と特例許可 (特例) 老人病院で起きていた. 療養型病床群での発生は少ないが, 1施設当りのり患者数は26.75人と老健施設 (老健) の5.7人に比べ4.7倍高かった. 発生施設数, 発生件数, り患者数はともに96年から99年まで急増していたが, 発生1件当りのり患者数は96年をピークに減少傾向にあった.さらに, 43か所の施設 (55.8%) では年に複数件の発生があり, その様な施設は96年には1割だったが, 98年では約2.4倍に増加していた. また, 発生総数の50%が集団発生 (集発) で, 特に療養型病床群では70%と高かった.神奈川県での疥癬発生の多くは過去5年間で単独発生化・頻発化しているが, 療養型病床群と老健では集発も今だ多く予断が許せない状況にある.
  • 深谷 安子, 永倉 貢一, 北原 祥友里
    2001 年 16 巻 3 号 p. 220-224
    発行日: 2001/08/27
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    過去5年間に疥癬が発生した神奈川県の高齢者関連施設のうち, 訪問面接調査の了解が得られた40施設を対象に, 1999年の発生状況と発生時の感染防止対策を調査し, 発生の単独化もしくは集団化の要因を調べた.疥癬罹患者142人は, 発疹が限局性の軽症者が66.9%と全身性の重症者が31.7%だった.発生形態では, 単独発生が57.5%と集団発生が40.4%だった.疥癬の重症度が高いほど, また疥癬を疑ってから確定診断に至るまでの期間が長いほど発生が集団化する傾向があった.それらは, 手洗いの徹底, 入所時の疥癬チェックの有無と密接に関連していた.
  • 阿南 節子, 芝 イク子, 藤本 卓司
    2001 年 16 巻 3 号 p. 225-229
    発行日: 2001/08/27
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    市立堺病院では, 抗菌薬の適正使用を目的に, 1996年2月より抗菌薬4薬剤を「Infection Control Team (以下ICT) 連絡薬剤」に指定し運用している.メロペネム注, セフェピム注, テイコプラニン注, ムピロシン軟膏の抗菌薬4薬剤については, 医師は予めICTに連絡をとり, 了解を得た後, 処方を行う.
    今回我々は, このシステムを医師がどのように評価しているか, また今後の課題は何かを検討するためにアンケートを実施した.対象は当院の医師83名で, アンケート用紙を配布し無記名で回収した.ICT連絡薬剤のシステムについては, 74%の医師が「知っている」と回答した.ICT連絡薬剤の必要性については74%の医師が「必要だと思う」と回答したが, 実際に4薬剤全てを, ICT連絡薬剤であると知っていた医師は30%に過ぎなかった.また23%の医師が「ICT連絡薬剤は処方しづらいと感じたことがある」と回答した.
    アンケートの結果からICT連絡薬剤のシステムは定着しつつあるものの, まだ十分には浸透していないと考えられた.また, ICT連絡薬剤の処方頻度は少なく, このシステムが抗菌薬の適正使用に対し効果を持つことが明らかとなったが, 今後はより使用頻度の高い他のカルバペネム系薬剤, バンコマイシン, アルベカシンなどにも範囲を広げる必要があると考える.ICT連絡薬剤のシステムは医師の処方を妨げるものではなく, むしろ抗菌薬の適正使用を支援するシステムであることをアピールする必要がある.
  • 茂木 伸夫, 藤野 典子
    2001 年 16 巻 3 号 p. 230-235
    発行日: 2001/08/27
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    都立駒込病院は, 1879年, 当時人類の脅威であった伝染病の病院として創設された経緯があり, 当歯科も長い間, 感染症患者の診療を行ってきたが, 診療時における感染予防対策として, 様々な工夫, 改良を重ね, 現在の診療体系を構築してきたので, その具体的な方法を報告する.
    当科では歯科医師, 歯科衛生士各3名 (非常勤も含む), 歯科技工士1名という限られたスタッフのため, 感染症患者の歯科診療は, 院内感染防止上, 診療日, 診療時間を一般患者と分けている.感染症診療日は, 設備面として診療台はビニールや滅菌シーツの利用, ディスポーザブル製品の使用を積極的に奨めている.
    具体例として (1) 診療台の椅子やテーブル, ライトなどは市販のビニール袋やディスポーザブルのシーツ, エプロン, 手術用キャップなどを利用してカバーする.(2) タービンヘッド, バキュウムのホースは筒状のビニールでカバーする.(3) 印象物は, ビニール袋の中に入れて, 技工室に運ぶなどである.
    これらの対策の実施により, B型肝炎陽性患者 (歯科感染外来の開始) の治療を初めた1981年来, 感染事故は1例も起きていない.
  • ブラッシングの有用性
    大久保 耕嗣, 山川 良一, 浦上 弘, 多村 憲
    2001 年 16 巻 3 号 p. 236-241
    発行日: 2001/08/27
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    当院内視鏡室では, 上部消化管内視鏡の患者間洗浄消毒に強酸性電解水と同等の物性値を示す酸性次亜塩素酸水を用いているが, 酸性次亜塩素酸水は強酸性電解水同様に有機物の存在により容易に失活してしまう.我々は消毒剤を有効に作用させることを目的として, 鉗子チャンネル内残存タンパク量をアミドブラック10Bを用いて比較検討した.そして, 現在当院で実施している吸引, ブラッシング等の物理的洗浄が血液等の有機物除去にどの程度有用性があるのかを調査した.その結果, ブラッシングに中性洗剤, または酵素洗浄剤を併用することで鉗子孔内の残存タンパク量が著明に減少することを認めた.中性洗剤および酵素洗浄剤の単独使用でも残存タンパク量は減少したが, ブラッシング単独には及ばず, ブラッシングの有用性を改めて確認した.
    また当院における上部消化管内視鏡洗浄消毒法の年次推移と, 上部消化管内視鏡検査後の急性胃粘膜病変 (postendoscopic acute gastric mucosal lesion: PAML) の発生状況を調査した.検査終了後の中性洗剤の吸引操作, 内視鏡チャンネル内の3方向3回ブラッシング法と全管路チャンネルアダプターの使用, および酸性次亜塩素酸水を用いた消毒法に変更して約2年が経過したが, それ以前には0.03%の被験者に発症したPE-AGMLは確認されていない.
  • 宮崎 元伸, 畝 博
    2001 年 16 巻 3 号 p. 242-246
    発行日: 2001/08/27
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    医療機関から排出される感染性廃棄物を含むプラスチック系廃棄物の適性処理がどのようにあるべきかという観点に立ち, ディスポーザブル医療用具の材質と減量化・リサイクルの可能性について調査した.86.0%が少なくとも一部は分離可能な製品であるなか, 今後製品の材質等の改良について予定がないという製品が92.5%も占めた.医療機関で感染性廃棄物の減量化・リサイクルに取り組んでいる施設は6.7%に過ぎず, プラスチック系感染性廃棄物のリサイクルの困難さが浮き彫りになった.感染性廃棄物の範囲を再検討する必要が求められる.
  • 河野 麻紀, 西園 憲郎, 木谷 光博, 河野 龍之助
    2001 年 16 巻 3 号 p. 247-252
    発行日: 2001/08/27
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    第一報にて, 平成11年2月から5月の間に全職員を対象に実施したツベルクリン反応 (以下ツ反) の結果を報告した.今回, 第一報と同様に, 最終判定, 最終発赤径と最終硬結径, 2段階法, BCG接種の既往別に一般病棟勤務の看護婦と結核病棟勤務経験のある看護婦のツ反を比較検討した.更に, 結核病棟勤務経験のある看護婦の勤務期間および勤務後経過期間の影響について検討した.
    結果は, 一般病棟勤務の看護婦と結核病棟勤務経験のある看護婦とでは, 平均最終発赤径において有意に結核病棟勤務経験のある看護婦が大であった.また, 年齢分布を加味した最終発赤径の度数分布は, 両群間で有意差が見られた.ブースター現象陽性率は, 両群間に有意な差はなかった.結核病棟勤務期間と最終発赤径, 最終硬結径には有意の相関は認められなかった.結核病棟勤務後の経過期間と最終発赤径, 最終硬結径の相関係数は, ともに正の相関傾向を示した.
    結核病棟勤務経験のある看護婦の方がツ反検査の反応が強く現れたため, 結核菌に感作されている可能性が高いといえる.今後, 結核病棟に勤務する職員の結核菌の感染対策が課題である.
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