環境感染
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17 巻 , 2 号
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  • 第一報・評価法の確立
    清水 正樹, 奥住 捷子, 米山 彰子, 国定 孝夫, 荒明 美奈子, 小川 弘, 八代 純子, 木村 哲
    2002 年 17 巻 2 号 p. 177-182
    発行日: 2002/05/24
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    手指などの人体に使用される消毒薬であるポビドンヨード (PVP-1), グルコン酸クロルヘキシジン (CHG), 塩化ベンザルコニウム (BAC), および塩酸アルキルジアミノエチルグリシン (AEG) の各菌種に対する有効性評価を行うにあたり, 多くの菌株の消毒薬感受性の測定が同時に可能となる定性測定法 (定性法) による試験法を確立する目的で, 濁度測定に適した不活化条件の検討を試みた. その結果, 15% Tween® 80, 1% lecithin from soybeanおよび0.5%sodium thiosulfate含有tripticase soy brothが適していることを見い出した. この方法を用いて菌の発育をみる定性法により, 従来我々が確立していた残存生菌数を測定する定量測定法 (定量法) と同様の結果が得られることがわかった. この定性法は, 多数検体を用いた各消毒薬に対する感受性分布傾向, さらに各消毒薬抵抗性株の選択等に有用な方法であると考えられた.
  • 佐々木 英祐, 佐藤 良子, 松本 洋美, 貝田 英之, 泉川 公一, 泉川 欣一, 原 耕平, 小出 道夫, 斎藤 厚
    2002 年 17 巻 2 号 p. 183-186
    発行日: 2002/05/24
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    当院の循環式浴槽について, Legionella pneurnophilaの分離状況と浴槽の塩素濃度について検討した. 塩素濃度が0.05ppmの浴槽からはLegionella pneumophilaが分離培養されたが, 0.1ppm以上の浴槽からは分離されなかった. また菌が分離された浴槽において, 塩素濃度を0.1ppm以上に改善したところ菌が分離されなくなった. 以上のことから, 循環式浴槽において, 塩素濃度の管理を十分にすることにより, 菌の増殖を抑制し, レジオネラ肺炎の発症を未然に防ぐことができると考えられた.
  • 薬剤耐性菌感染症発生率についての疫学的検討
    須賀 万智, 真鍋 健一, 宮崎 久義, 吉田 勝美
    2002 年 17 巻 2 号 p. 187-194
    発行日: 2002/05/24
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    目的: 院内感染対策サーベイランスとして薬剤耐性菌感染症発生状況を把握する際のpopulation at riskについて疫学的評価, 検討をおこない, わが国の院内感染対策サーベイランス事業における応用の可能性を明らかにする.
    方法: 国立熊本病院の2000年度全入院患者を対象集団として, 1入院を1 riskとする場合, 1日入院を1 riskとする場合の2通りの方法による薬剤耐性菌感染症発生率 (以下, 発生率) を比較して, 両者の関連を調べた. さらに, 1日入院を1 riskとする発生率について, 病床数と病床稼働率 (簡便法) や各月15日時点の入院状況 (準簡便法) を用いて入院人日を概算した場合の発生率と従来法による発生率を比較した.
    結果: 1入院を1 riskとする発生率と1日入院を1 riskとする発生率の動向はほぼ一致しており, 相関係数は0.99 (p<0.001) を示した. しかし, 年齢差の傾向は前者においてより顕著であり, とくに10歳未満の小児では両者の解離が見られた. 簡便法や準簡便法においても従来法相当の数値が得られた.
    結論: 1入院を1 riskとする発生率と1日入院を1 riskとする発生率は院内感染対策サーベイランスの指標として有用である. 病床数と病床稼働率を用いる簡便法は病院全体の動向の把握, 各月15日時点の入院状況を用いる準簡便法は病院全体の動向のほか, 性, 年齢など属性別傾向の把握を目的として応用可能である.
  • 中山 貴美子, 源馬 均, 上村 桂一
    2002 年 17 巻 2 号 p. 195-200
    発行日: 2002/05/24
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    高齢者のMRSA下気道感染症におけるテイコプラニンTDMの検討を行なつた. 対象は65歳以上のMRSA下気道感染症例のうちTDMの行なわれた18例 (単独感染群6例, 他菌との重複感染群12例). ブドウ球菌感染症におけるテイコプラニン (TEIC) の血中濃度トラフ値は10μg/ml以上が望ましいといわれるが, 今回の検討ではTEIC1日200mg投与群11例の4日目トラフ値は平均5.5±2.3μg/mlであり, 腎不全例を除く全例が10μg/mlに到達していなかつた. この結果をふまえ7例でTEICが増量された. 一方400mg投与群7例の4日目トラフ値は平均10.7±5.3μg/ml (6.29~18.89μg/ml) であり5例で10μg/ml未満であった. 微生物学的効果判定において菌消失率は66.7% (単独感染群83.3%, 重複感染群58.3%), 菌消失までの所要日数は19.3±10.2日で消失時の推定トラフ値は23.5±11.8μ9/mlであった. TEIC投与中に腎機能値異常は認められなかったが, 肝機能値異常が8例 (44.4%) に認められた. 以上より高齢者のMRSA下気道感染症におけるTEICの使用にあたつては, 少なくとも1日400mg (初日のみ倍量の800mg) で投与を開始するのが適当と思われた.
  • 中心静脈カテーテルおよび透析用カテーテルについての検討
    内山 正子, 田中 京子, 渡邊 美登里, 野瀬 優子, 番場 朝子, 田邊 嘉也, 塚田 弘樹, 尾崎 京子, 松山 東平, 伊藤 雅章
    2002 年 17 巻 2 号 p. 201-205
    発行日: 2002/05/24
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    当院における血管内留置カテーテル関連血流感染の現状把握を目的に, 7ヵ月間, 3部署において中心静脈カテーテル (以下CVカテーテルとする) と透析用カテーテルを挿入中の患者を対象にカテーテル関連血流感染サーベイランスを実施した. カテーテル挿入1000日あたりの細菌定着カテーテルの発生率は, CVカテーテルが3.30, 透析用カテーテルが14.2で, 透析用カテーテルがCVカテーテルに比べ有意に細菌定着しやすかった (p<0.001). CVカテーテル, 透析用カテーテル両者において, 挿入部位が大腿静脈, マルチプルルーメン, 留置期間が31日以上の場合, 細菌定着カテーテルの発生率が高い傾向が認められた. 血流感染を来した症例は343例中7例で, その起因菌はMSSAが3例, MRSAが2例, その他, Klebsiella pneumoniae, coagulase (-) staphylococcus (CNS) がそれぞれ1例ずつであった. カテーテル挿入1000日あたりのカテーテル関連血流感染の発生率は, CVカテーテルが0.78, 透析用カテーテルが3.27で, 透析用カテーテルの発生率が有意に高く (p<0.05), 透析用カテーテルの管理方法について, 感染対策委員会の何らかの介入が必要であることが示唆された.
  • 矢野 久子, 奥住 捷子, 馬場 重好, 佐々木 菜穂, 脇本 寛子, 米山 彰子, 木村 哲
    2002 年 17 巻 2 号 p. 206-212
    発行日: 2002/05/24
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    新生児の口腔カンジダ症とは, 児が産道を通過する際にCandida属を含む分泌物を吸入し, 生後7日以内に口腔や咽頭粘膜に生じる灰白色の斑点である. 多くは自然治癒し, 正常新生児の場合は生命予後に影響はない. 1997年4月から1998年3月にかけて関東地方のある病院新生児室において口腔カンジダ症が流行し, 制御する機会を得た. 1997年9月には発症率が52%と高率を示しており, 妊娠中の母の膣分泌物検査ではCandida属陰性の経膣分娩例や, 産道を通過しない帝王切開例にも口腔カンジダ症を発症している児のいることから水平感染が疑われた. そこで,(1) 手洗い励行,(2) Candida属が検出された物品管理の改善 (ハンドドライヤーの清掃, ステンレス製容器内の臀部清拭用脱脂綿の管理),(3) 職員は可能な限り新生児室専属にする, とした. さらに, 水平感染 (疑い) の口腔カンジダ症発症率と月間室内平均湿度間には, Pearson相関係数0.59 (p<0.05) で, 中程度の相関が認められた. この制御策として,(4) 室内湿度調整, を実施した. 後日, この制御を評価するため, 1998年5月18日~11月16日の半年間にわたり新生児室に入室したすべての正常新生児223名の口腔分泌物と, 母215名の膣分泌物のCandida属を検索した. 口腔カンジダ症は母児ともにC. albicans陽性の垂直感染1例に発症しただけであり, 流行は制御された.
  • 伊藤 由紀, 黒木 朝子
    2002 年 17 巻 2 号 p. 213-215
    発行日: 2002/05/24
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    クロイツフェルト・ヤコブ病 (CJD) は, 伝達性病原体 (異常プリオン) による感染症のひとつとして分類される. CJDの有病率は100万人に1人前後と稀ではあるが, 近年医療行為を介した感染の危険性, 狂牛病問題から社会的な関心が高い. 医療機関でCJD患者または疑いの患者が入院した場合には院内感染防止策について検討する必要があり, 医療従事者, 患者, 家族に対してCJDと異常プリオンの性質についての正しい知識と感染防止について十分な教育を行った上で, 現場の感染防止に努めていく必要性がある. 名古屋第二赤十字病院神経内科病棟では, 過去5年間に4例のCJD患者を受け入れてきた. 感染予防マニュアルとして厚生省保健医療疾患対策課の作成した「クロイツフェルト・ヤコブ病診療マニュアル」を活用してきたが, 平成13年1月に4例目の患者を受け入れるにあたりこれまでの経験と最新の情報をもとに従来の感染防止対策を見直し, 臨床現場で活用しやすいCJD感染対策手順を作成したので報告する.
  • 石塚 紀元, 森澤 雄司, 木村 哲
    2002 年 17 巻 2 号 p. 216-222
    発行日: 2002/05/24
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    パーソナルコンピューター (PC) 上でリレーショナルデータベース (RDB) アプリケーションを用い, 業務用システムに依存せずに一般細菌感受性検査結果データを管理する方法を検討した. 使用したデータは, 東京大学医学部附属病院細菌検査室で得られた一般細菌感受性検査結果で, 同医療情報部からテキストファイル形式で提供を受けたものである.
    このデータでは検出された1細菌毎に感受性検査結果が保存されているが, 薬剤別に結果が整理されていないため, 個々の薬剤別の検査結果を抽出することは困難であった. この問題を解決するために, 1回の感受性検査に使用される薬剤に重複はないという点を利用して, 検査結果データを検出菌データ部分と感受性検査データ部分とに分割して管理する方法を検討した.
    この方法は, 個々の検出菌に識別のための管理番号を付け, これまで検出菌毎に保存されていた感受性検査結果を, 管理番号と薬剤との組み合わせ毎に保存するものである. その結果, 従来, 列ごとに分割して保存されていた感受性検査結果データを1つの列に集約することができ, 簡単な操作で任意の菌別, 薬剤別感受性検査結果の抽出, 集計が可能なデータベースを構築する事ができた.
  • 加藤 健, 兼本 園美, 北村 正樹, 畠山 まり子, 奈良 京子, 吉川 晃司, 町田 勝彦, 小野寺 昭一, 吉田 正樹, 柴 孝也
    2002 年 17 巻 2 号 p. 223-228
    発行日: 2002/05/24
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    当院には, 感染制御チームをはじめとする感染症に関する様々な部門が組織化されている. 今回は, 院内感染対策の中心的役割を果たしている感染制御チームと事務局である病院管理課の業務を通じて, 院内感染対策における事務部門の役割について検討した. 事務局が, 感染症関連情報を一元管理することにより, 病院全体での感染症対策のレベルアップや管理体制の整備・拡大につながり, 病院管理部門と診療部門の円滑な運営をもたらすことができ, さらに, 臨床現場の意見が反映された改訂版の感染対策ガイドラインが作成されることになった. このような実績をもとに, 病院のクオリティ向上に貢献するとともに, 院内感染対策に対するリスクマネジメント体制が整備されることになった.
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