環境感染
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17 巻, 4 号
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  • 小林 寛伊
    2002 年 17 巻 4 号 p. 305-308
    発行日: 2002/11/26
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
  • 細菌検査室の院内感染対策へのかかわり
    今井 由美子, 伊藤 澄子, 吉川 博子, 藤井 青
    2002 年 17 巻 4 号 p. 309-314
    発行日: 2002/11/26
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    新潟市民病院では, メチシリン耐性黄色ブドウ球菌 (MRSA) 陽性患者は全て感染源として個室隔離を行ってきたが, 陽性患者の増加に対応するため, 院内感染対策委員会で検討し, 感染と保菌を区別するMRSAガイドラ・イン (以下ガイドライン) を1997年12月より施行した. 細菌検査室は, 毎週MRSA検出状況を病棟に報告し, 又各月のデータを院内感染対策委員会に報告している. 今回はこのデータをもとに, ガイドライン施行前後における病棟別新規MRSAについて比較検討した. 新規MRSA数はガイドライン施行1年目に減少傾向を示した. 救急救命センター (以下救命センター) のMRSA患者延べ在院日数も, 減少傾向を示した. そこで同時期の細菌学的背景を知るために, 1993年1月から1999年12月の7年間に提出された血液培養の検査成績について検討したがMRSA分離状況も含め, ガイドライン施行前後で大きな変化は認められなかった.
  • その実態と関連要因
    垣花 シゲ, 佐久田 朝源, 植村 恵美子, 具志堅 美智子, 與古田 孝夫
    2002 年 17 巻 4 号 p. 315-319
    発行日: 2002/11/26
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    沖縄県内の在宅医療行為における針刺し・切創事故の実態を把握するため, 在宅医療施設の看護師・医師を対象に質問紙調査を行った. 回答を得た看護師99名のうち年間事故経験者は11名で, 医師20名のうちで事故経験者はいなかった. 事故の経験と関連のあった要因としては勤務施設の規模, 事故報告システムの有無, 業務時の視力, 疾患の認識などが指摘された. 事故の原因器材は, 主に翼状針やディスポ注射器で, 左人差し指の受傷が最も多く, 事故の大半は器材を患者に使用した後で起こっていた・事故直後の処置, 対応では流水での洗浄よりも消毒が多くみられた.
  • 大毛 宏喜, 竹末 芳生, 横山 隆
    2002 年 17 巻 4 号 p. 320-324
    発行日: 2002/11/26
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    術後感染対策として閉鎖式ドレーンの有用性と問題点について検討を行った. 当科で開放式ドレーンをルーチンに用い, 1週間前後留置していた1992年と, 原則として閉鎖式ドレーンを用い, 排液量が少なければ48時間で抜去するとの基本方針に沿った2000年とを比較して, ドレーンの使用状況, ドレーン感染およびcolonizationの頻度, さらに分離菌を検討した. 1992年は開腹手術症例148例全例に開放式ドレーンを挿入していたのに対し, 2000年には118例中37例 (31.4%) でドレーンを使用せず, 使用した症例でも多くは閉鎖式で, 開放式ドレーンを使用したのは全体の5.1%にすぎなかった. その結果, 1992年はドレーン感染 (4.7%), colonization (22.3%) を合わせて27.0%認めたが, 2000年は合わせて14.8%と有意に減少した (p<0.05). 特に閉鎖式ではcolonizationを11.1%に認めたのみで感染例はなかった. 分離菌も外因性感染であるMRSAは7.4%から1.7%, コアグラーゼ陰性ブドウ球菌は12.2%から1.7%といずれも有意 (p<0.05) に減少した. ドレーン自体の感染減少に加え, 閉鎖式であるためにガーゼ交換が不要となり, 標準予防策を励行する意味からも, 院内感染対策として有用であったと考えられた. 留置期間は, 1992年に開放式を9.6±2.7日留置していたのに対し, 2000年は閉鎖式では4.2±1.5日, 開放式でも4.3±3.1日と短縮していた. 膵手術などでは比較的長期間ドレナージが必要であり, 半閉鎖式ドレーンで対応した. またドレーンの早期抜去により縫合不全の際の対処が懸念されるが, 1998年1月から2001年12月までの4年間に3例の縫合不全に伴う骨盤内膿瘍を経験し, いずれもCTガイド下ドレナージにより, 再手術や人工肛門造設を要することなく治療可能であった. 閉鎖式ドレーンは感染対策として有効であり, 今後は我が国でも, 閉鎖式ドレーンの利点を生かした使用が望まれる.
  • 西 功, 浅利 誠志, 豊川 真弘, 堀川 晶行, 西村 信哉
    2002 年 17 巻 4 号 p. 325-328
    発行日: 2002/11/26
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    医療器具の化学的滅菌・殺菌消毒剤として新たに開発された過酢酸製剤について, 臨床使用後の医療器具を用いグルタラール製剤との殺菌効果比較と, 臨床分離株および標準株に対する殺菌効果の検討を行った.
    臨床使用後の医療器具を用いた検討成績では, 60分間浸漬させたグルタラール製剤に僅かに及ばないが, 過酢酸製剤は5分間の短時間浸漬で良好な殺菌効果を示した. また, 臨床分離株および標準株を対象とした検討において過酢酸製剤は, S.aureus, P. aeruginosa, Candida sppおよび非定型抗酸菌の計46株中41株を1分以内に殺菌し, さらに, 芽胞を有するBacillus spp. を含む全57株を5分以内に殺菌した.
    今回の検討において過酢酸製剤は一般細菌, 非定型抗酸菌および有芽胞菌に対して優れた短時間殺菌能と低刺激性が確認されたことより, 臨床現場の多くの医療器具・機材の短時間消毒剤として極めて有効であることが示唆された.
  • 山本 恭子, 鵜飼 和浩, 高橋 泰子
    2002 年 17 巻 4 号 p. 329-334
    発行日: 2002/11/26
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    本研究は非薬用固形石鹸と流水による手洗いを, 石鹸を泡立て擦り合わせる行為, 流水にてすすぐ行為, ペーパータオルで拭く行為の3段階に分け, それぞれの段階における手指の細菌数の変化を明らかにし, 有効な手洗い方法に関して検討を加えた. 石鹸を泡立て擦り合わせることによる手掌部の細菌数を経時的に測定した結果, 泡立て時間が長いほど細菌数は多くなった. 次に, 15秒間石鹸を泡立てた後流水ですすぎ, 手掌部, 指部, 指先の細菌数を経時的に測定した結果, 3部位ともすすぎに伴い細菌数は減少した. しかし, 手洗い前と比較して, 手掌部では120秒間, 指部では60秒間のすすぎで細菌数は有意に減少したが, 指先では120秒間すすいだ後も細菌数が有意に多かった. また, すすぐ過程で指先を他方の手掌部に擦り合わせることを試みたが, 除菌効果に改善は認められなかった. 最後に15秒間石鹸を泡立て15秒間すすいだ後ペーパータオルで手を拭くことによる除菌効果を調べた. 手掌部, 指部では手拭きの前後で細菌数の有意な減少は認められなかったが, 指先では手拭きによる有意な細菌数の減少が認められた. 以上の結果から, 手洗いで除菌効果を得るためには, 石鹸泡立て時間が長いほど充分なすすぎを行う必要がある. さらにすすぎにより指先は手掌部および指部と比べて除菌されにくく, すすぎ後にペーパータオルで拭くことが除菌に有効であると考えられた.
  • 辻 明良, 加島 千種, 遠藤 英子, 福家 淳
    2002 年 17 巻 4 号 p. 335-340
    発行日: 2002/11/26
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    Bacillus属3菌種 (B. subtilis, B. cereusおよびB. stearotherrnophilus) の芽胞に対する3%, 2%グルタラール製剤および0.55%フタラール製剤の殺芽胞効果を検討した. その結果, グルタラール製剤はフタラール製剤に比べ殺芽胞効果が優れていた. また, グルタラール製剤およびフタラール製剤の平均D値 (接種芽胞数が1/10に減少するまでの時間) はB. subtilis芽胞に対しそれぞれ5.03分および78.55分, B. cereus芽胞で2.31分および10.98分, B. stearotherrnophilus芽胞で11.52分および29.54分を示し, グルタラール製剤はフタラール製剤より短時間殺菌効果が優れていた. また, 調製実用液について, 室温で14日間保存し, 経日的にD値の変化を検討したが, その変化はほとんど認められなかった.
  • グルタラールとフタラールとの比較
    高橋 光良
    2002 年 17 巻 4 号 p. 341-345
    発行日: 2002/11/26
    公開日: 2011/01/25
    ジャーナル フリー
    グルタラール (GA) は, ハイレベル消毒剤として約30年来, 国内外で内視鏡などの消毒剤として用いられている. 一方, フタラール (OPA) は, 1999年カナダ・米国で発売され, 極く最近, 日本に導入され, 新しいハイレベル消毒剤として期待されている. 今回, GAとOPAの殺菌効果をin vitroにより, Mycobacterium tuberculosis (H37Rv, 臨床分離株), Mycobacterium aviurn (ATCC25291, 臨床分離株) およびMycobacteyium chelonae subsp. abscessus (ATCC19977, 臨床分離株) を用いて行った. 結果, これらの抗酸菌株に対して2%, 3%GAと0.55%OPAは, ほぼ同様の殺菌効果を示し, 6log reduction (菌量を106CFU/ml以上減少させる時間) はそれぞれ, 30秒~10分以内, 30秒~5分以内であった.しかし, 0.3%OPAではMycobacterium chelonae subsp.abscessusの殺菌に30分必要であった.
  • 平田 哲生, 座覇 修, 内間 庸文, 當山 真人, 新里 敬, 宮良 高維, 金城 福則, 斎藤 厚, 仲宗根 勇, 前田 久美子, 佐久 ...
    2002 年 17 巻 4 号 p. 346-348
    発行日: 2002/11/26
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    治療前の糞線虫症患者より培養, 分離した糞線虫虫体を用い, 各種消毒薬の効果について検討した.消毒薬は0.2%及び0.5%塩酸アルキルジアミノエチルグリシン, 5%ポピドンヨード, 1%及び2%グルタラール, 強酸性水を用い, それぞれ虫体浮遊液と5分, 10分, 15分, 30分, 60分浸漬した.その後普通寒天平板法にて24時間, 48時間後に虫体の有無, 生死について判定した.0.2%塩酸アルキルジアミノエチルグリシン液, 1%グルタラール, 強酸性水は無効であったが, 0.5%塩酸アルキルジアミノエチルグリシン, 5%ポピドンヨード, 2%グルタラールは殺虫効果を認めた.以上よりエタノールやポピドンヨードあるいは加熱などによる消毒が行いにくい医療器具に関しては0.5%塩酸アルキルジアミノエチルグリシン, 2%グルタラールに60分以上浸漬する方法が適している.
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