環境感染
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18 巻 , 2 号
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  • Aeromonas hydrolphila感染により電撃的な経過をとった一例
    徳永 俊照, 角村 純一, 吉留 克英, 永井 勲
    2003 年 18 巻 2 号 p. 223-226
    発行日: 2003/05/15
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    腹腔鏡下胆嚢摘出術および総胆管切石術施行後にAeromonas hydyophila感染により敗血症を併発し, MOFに至るまで急激に進行し, 術後わずか3日目で死亡に至った一例について報告する.
    患者は63歳男性, 平成13年1月2日気分不良, 発熱, 心窩部痛, 嘔吐および灰白色便を認め, 近医にて閉塞性胆嚢胆管炎と診断され, 1月15日当科紹介受診し, 入院となった.入院後, 絶食絶飲とし, 高カロリー輸液を施行した.減黄を待って1月25日腹腔鏡下胆嚢摘出術および総胆管切石術を施行した.術後, 経過は概ね良好であったが, 1月27日, 突然細菌性ショック状態が出現し, その後加療するも, MOF状態となり, 1月28日死亡した.血液培養では激烈な敗血症起因菌として知られているAeromonas hydrophilaを検出した.Aeromonas hydrophilaによる激症敗血症について若干文献的考察を加えて報告する.
  • 胡本 千穂, 喜多 知子, 栄田 敏之, 奥村 勝彦, 李 宗子, 高橋 京子, 木下 承皓, 近藤 信一, 西庄 京子, 横山 直樹, 尹 ...
    2003 年 18 巻 2 号 p. 227-231
    発行日: 2003/05/15
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    塩酸バンコマイシン (VCM) の薬物血中濃度測定に基づく治療管理 (TDM) において, 高齢患者に添付文書通りの用法用量を遵守し投薬しても, 血清中濃度が推奨濃度域に到達せず, 投与スケジュールの変更を余儀なくされる例をしばしば経験してきた. そこで本研究では, VCMの投与法, 血清中濃度, 有効性, 副作用発現 (血清クレアチニン値上昇) の相互関係について, レトロスペクティブにデータ解析を行い, VCMの有効濃度域に関する情報の集積を目指した.
    当院にて, 1g分1又は1g分2投与のVCM治療を受けたMRSA感染症高齢患者のうち, VCMの血清中濃度値 (点滴終了1~2時間後値 (ピーク値) および投与直前値 (トラフ値)) もしくは有効性が確認された, のべ21名を対象とした. 1g分2投与群の場合, ピーク値およびトラフ値が共に推奨濃度域に到達している患者はなく, ピーク値のみに限定した場合でも, 推奨濃度域に到達している患者の割合は33%と低かった. 一方, 1g分1投与群では, ほとんどの患者においてピーク値が推奨濃度域に到達していた. なお, 有効例におけるピーク値は, 必ずしも推奨濃度域に到達していなかった. さらに, 文献調査を行ったものの, 添付文書に記載された推奨濃度域の設定根拠は十分でなかったことから, 今後, 科学的根拠に基づいた添付文書の改訂もしくは情報提供が急務であると思われた.
  • 久田 友治, 健山 正男, 齋藤 厚, 国吉 幸男, 古謝 景春
    2003 年 18 巻 2 号 p. 232-234
    発行日: 2003/05/15
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    手術患者の鼻腔におけるブドウ球菌の定着は術後感染症の危険因子であり, 心臓大血管手術は手術部位感染の推定病原菌がブドウ球菌である手術の中では, 術後感染のリスクが高い.今回, 心臓大血管手術症例におけるMRSA感染予防対策としてのムピロシンの役割を明らかにするため, 介入試験を行った.1997年5月から98年4月までを介入時期とし, その間の全予定手術症例306例のうち心臓大血管の手術症例140例を試験群とした.試験群は術前に鼻腔の細菌検査を行い, MRSAが陽性の9症例にムピロシンの鼻腔内塗布を施行して手術に臨んだ.96年5月から97年4月までの全予定手術症例338例のうち心臓大血管の手術症例141例を対照群とし, 後ろ向き調査を行った.両群の背景因子すなわち, 性, 年齢, 手術時間, 手術対象臓器, 米国麻酔学会のphysical statusに差はなかった.試験群の術後MRSA感染は3例 (2.1%) であり, 対照群の23例 (16.3%) に比し有意に減少した (p=0.0001).感染部位別に見ても手術部位感染 (p=0.01), 肺炎 (p=0.01) が有意に減少した.この結果は心臓大血管の予定手術症例に対するMRSA感染対策としての術前の鼻腔細菌検査とムピロシン鼻腔内塗布の有用性を示唆している.
  • 土岐 昌世, 川勝 奈美江, 藤田 芳正, 山崎 芳郎
    2003 年 18 巻 2 号 p. 235-239
    発行日: 2003/05/15
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    当院では, 1997年より血管内留置カテーテル関連血流感染 (以下CR-BSIとする) の低減を目的としたサーベイランスを行っており, そのデータをもとに院内で統一した血管カテーテル挿入管理基準 (以下基準とする) を作成した. 今回, 基準の導入前後におけるCR-BSIの発生を比較検討し, 作成した基準の有効性を評価することを目的に, 2000年4月から2002年3月にわたりカテーテル挿入時状況, CR-BSI発生時期, 挿入部局所管理状況について観察した. その結果, 高度無菌バリアプレコーションを導入し, 加えて予定挿入部位の皮膚準備として石鹸洗浄および70%イソプロピルアルコールによる清拭を実施したことにより, 挿入後1週間以内のCR-BSI発生割合が, 導入前24例中9例 (37.5%) から導入後15例中4例 (26.7%) に減少した. 挿入部位別では, 内頸静脈から挿入されたカテーテルにおいて留置1000日あたりのCR-BSI発生件数が209例 (Device-day2253) 中10例 (4.44) と最も高く, 挿入部のドレッシング密着を確実に行う固定方法に変更した結果, 235例 (Device-day2088) 中4例 (1.92) に減少した. 特に透析用ブラッドアクセスでは, 内頸静脈に留置した場合においてカテーテル留置1000日あたりのCR-BSI発生件数が, 対策前4.82から0.93と有意 (P<0.05) に減少した. 以上の結果より, 高度無菌バリアプレコーションおよび挿入皮膚の準備ならびにカテーテル挿入部の密閉性を高めたドレッシング固定方法を含むカテーテル挿入管理基準の導入は有効であることが示唆された.
  • 小森 由美子, 福田 修子, 伊藤 由紀, 黒木 朝子, 二改 俊章
    2003 年 18 巻 2 号 p. 240-246
    発行日: 2003/05/15
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    名古屋第二赤十字病院神経内科病棟では医療従事者に対し各種の手洗い教育を試みてきたが, 教育効果を持続させることが困難であるという問題を経験した. そこで「日常的に人の手が触れる環境表面に, どのような種類の微生物がどの程度付着しているか」を医療従事者に示し, 手洗いの励行を促す事を目的として今回の調査を行った.
    病棟内において日常的に不特定多数の人の手が触れる水道周辺を中心に検体を採取し, 菌の同定, 薬剤感受性, 消毒剤に対する感受性試験を行った. その結果水道カランの汚染度が最も高く, カラン全体から処置室と洗面所では103~104cfuレベル, 給湯器や患者病室では102~103cfuレベルの菌が検出された. 洗面所, 患者病室, 給湯器カランではブドウ球菌をはじめとするグラム陽性菌と真菌が多く検出され, 一部にはメチシリン耐性コアグラーゼ陰性ブドウ球菌 (MRC-NS) が認められた. 一方処置室ではグラム陰性菌が多く検出され, ゲンタマイシン, ピペラシリン, セフタジジム, ノルフロキサシン等に耐性を示す多剤耐性株も存在した.
    グラム陽性菌10株, グラム陰性菌6株について消毒剤に対する感受性を検討したところ, 塩化ベンザルコニウム含有エタノール製剤以外の消毒剤では, 手指消毒に推奨される濃度において作用時間1分で十分な効果が得られないケースが散見された.
    これらの結果を医療現場に還元し, 医療従事者に適切な接触感染予防策の実施を促した.
  • 沼口 史衣, 洪 愛子, 広瀬 千也子
    2003 年 18 巻 2 号 p. 247-250
    発行日: 2003/05/15
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    今回, 当教育課程の修了者 (1期生, 2期生) を含む感染管理看護師 (以下ICN) が実践しているサーベイランス活動の現状について調査票を用いて明らかにし, 当教育課程の課題について考察した. 当教育課程修了生の多くがサーベイランス計画を立案し, サーベイランスの必要性および目標を明確にしており, 具体的な感染防止対策の立案・評価につながる部位特異的サーベイランスを実施し, 自身でデータ収集およびケース判定を行うという, より精度の高いデータ収集の方法を選択していた. また, 自施設で得られた感染率をNNISデータと比較し, 感染管理上の問題を明確にするための大まかな指標を得ていた. しかし, 平均値, 標準偏差, カイ二乗検定, t検定などの基礎的な統計学的手法をデータ分析に活用している施設は少なかった. これらの手法は, 感染対策導入後の感染率の変化などを評価し, 自身の感染管理活動の重要性や効果を施設管理者やスタッフに対し, アピールするために不可欠である.当教育課程では, 修了生に対して定期的にフォローアップ研修を実施することにより, 基礎的なサーベイランスデータの解析, 解析結果のプレゼンテーションなどに関する学習の機会を提供する必要があると考える.さらに今後, これらの感染管理専門家に, 組織横断的に活動する専任ポジションを提供し, フルに活用する施設が増加することが望まれる.
  • 大湾 知子, 高良 武博, 上原 勝子, 津波 浩子, 佐久川 廣美, 新里 敬, 健山 正男, 比嘉 太, 佐久川 廣, 草野 展周, 斎 ...
    2003 年 18 巻 2 号 p. 251-258
    発行日: 2003/05/15
    公開日: 2011/01/25
    ジャーナル フリー
    当院の感染性廃棄物処理規定は看護職感染対策室員が厚生労働省のマニュアルに準じ作成し,清掃作業員はその規定に基づき処理を行っている.しかし,この規定は清掃作業員の視点に立ったものではなく,著者らは清掃作業員の役割に応じた指標が必要であると考えた.そこで,清掃作業員のマニュアル作成に向けた検討資料とするために,感染性廃棄物量と梱包状況の測定及び観察調査を行った.感染性廃棄物量は月平均で平成12年が3,534.8Kg,平成13年が4,699.8Kg,患者1人当たりの1日平均でそれぞれ213.2g,286.8gであり,何れも増加傾向にあった.梱包状況は「赤いビニール二重袋による密封」,「ばいおはざーどまーくの貼付」の遵守率が低かった.さらに.梱包が遵守されない要因は,廃棄物量,経験年数及び理解度であった.針刺し事故者は清掃時が2名,運搬カート積載時が1名で報告が遅れる者もあった.看護職感染対策室員の教育・指導に対する理解度は,実演方式が講義方式より高かったが,実際の理解度については別途に評価する必要があると考えられた.従って,清掃作業員のマニュアルには,従来の規程に清掃作業員の役割,密封・内容物の表示・運搬方法,処理状況の評価,教育及び事故時の対応の項目を加える必要があり,新しいマニュアル案を提示した.
  • ろ紙法によるHBs抗原, HBs抗体およびHCV抗体検査
    田口 正博, 平山 聖二
    2003 年 18 巻 2 号 p. 259-264
    発行日: 2003/05/15
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    歯科診療室において感染症の血液検査 (スクリーニング検査) を簡単に実施できるように, 口腔内 (歯肉) からの血液を吸収させたろ紙を検査材料として, HBs抗原, HBs抗体およびHCV抗体の血液検査を行うろ紙法について検討した.
    HBs抗原は磁性化粒子凝集法で, HBs抗体は受身赤血球凝集法で, HCV抗体は粒子凝集法でそれぞれ検査した. 各項目の検査は, ろ紙に血液を吸収させた後に一定面積のろ紙を打ち抜き, 抽出後に凝集像を観察して行った.
    ろ紙法による各検査は, 良好な同時再現性および日差再現性を示した. 血液をろ紙に吸収させたときの保存安定性を検討した結果, 室温においては4週間まで, -20℃, 4℃, 37℃および60℃においては4日間まで結果に変動は認められなかった. ろ紙法で得られた結果は, 従来の血清法で得られた結果とよく一致した.
    ろ紙法を用いることで, 歯科診療室においても簡単に感染症のスクリーニング検査が可能となり, 院内感染予防対策に有効であることが示唆された.
  • 森兼 啓太
    2003 年 18 巻 2 号 p. 265-270
    発行日: 2003/05/15
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    サーベイランスは「結果 (outcome) を改善することができる人々に必要な情報を提供できることを目的として, 特定の疾患や出来事 (event) についての発生分布や原因に関するデータを, 収集, 統合, 分析する組織的な手法」と定義されている. 病院感染のサーベイランスにあたっては, 感染率を算出するための分母となるべき母集団のデータと, 分子である感染例のデータをとって分析する. その目的は, 感染率を現場にフィードバックし, 対策を施すことにより, 提供する医療ケアの質を向上させ, 究極的には感染率を低下させることである.
    病院感染サーベイランスを実施することで病院感染が減少するというevidenceが存在する.それを根拠にしてアメリカでは1970年代から全国的な病院感染サーベイランスが展開されている. その展開の過程で, 費用対効果の面から全病院的サーベイランスは捨て去られ, 感染発生頻度が比較的高い項目, 感染制御による利益が大きい項目, 等に焦点を絞った対象限定サーベイランスが行なわれている. ヨーロッパやオーストラリアなどでもアメリカと同様の全国的病院感染サーベイランスが確立されつつある. 日本でも諸外国の経験というevidenceに基づき, しかも日本の現在の医療システムに適した全国的病院感染サーベイランスの確立へ向けて着実に前進していかねばならない.
  • 吉野 喜代恵, 柴 正恵, 永橋 仁美, 野口 真樹子, 清水 潤三, 瀬田 友子, 高本 いく子, 新見 喜洋, 安井 友佳子, 藤本 卓 ...
    2003 年 18 巻 2 号 p. 271-274
    発行日: 2003/05/15
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    市立堺病院では, 6名のICTに加え, 12人のリンクナースを置き, 活動している.あえて管理職でなく, 中堅のナースを任命し, 現場に密着した活動を実践している.単に情報のまとめ役ではなく, 職員教育や改善策の計画・実行において責任ある役割を果たすことが, リンクナース自身の成長にもつながると考える.リンクナースの適切な任期の長さについては検討を要する.
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