環境感染
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18 巻 , 3 号
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  • 佐和 章弘, 赤木 真治, 神谷 晃, 斉藤 雄一郎
    2003 年 18 巻 3 号 p. 299-304
    発行日: 2003/08/25
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    市販データベースソフトを利用して独自の手術部位感染 (SSI) サーベイランスシステム (NISDM-SSI: Nosocomial Infections Surveillance Data Manager for Surgical Site Infection) を開発した. 特徴は (1) 施設問の属性の相異に対応できる高い汎用性,(2) 日本環境感染学会のJapanese Nosocomial Infections Surveillance (JNIS) システムに完全対応し厚生労働省の事業にも使用可能,(3) 簡便で快適な入力環境を実現,(4) 入力データを手術手技毎に集計しリスク・インデックス・カテゴリー別に即座に統計処理が可能,(5) 入力データの安全性を確保するバックアップ機能を保持,(6) サーベイランス結果に関連する各種原データや帳票がボタン指定で直ちに印刷可能, などである.
    本システムを試用し当院の消化器外科部門のSSI感染率を算出したところ, 手術手技毎, リスク・インデックス・カテゴリー別に出力できただけでなく, 執刀医別あるいは患者年齢別に層別表示が即座にできた. また, 厚生労働省提出用ファイルも正常に出力され, データクリーニングの必要はなかった.
    簡便な入出力性, 容易な集計および統計機能を有するNISDM-SSIシステムはSSI感染サーベイランスの実務に有用であった.
  • 薬剤耐性菌感染症発生リスクと入院期間の関係から
    須賀 万智, 真鍋 健一, 宮崎 久義, 吉田 勝美
    2003 年 18 巻 3 号 p. 305-311
    発行日: 2003/08/25
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    目的: 薬剤耐性菌感染症発生リスクが入院期間に依存せず一定であるかを調べ, 薬剤耐性菌感染症発生リスクと入院期間の関係から, 院内感染対策サーベイランスにおける分母のpopulation atriskの設定を提案する.
    方法: 国立熊本病院の2000年度と2001年度の全入院患者を対象にして, 入院数あたりの感染症発生率と入院人日数あたりの感染症発生率を求めた.入院人日数あたりの感染症発生率について, 生存分析の手法を応用して感染症発生リスクと入院期間の関係を調べた.
    結果: 1000入院あたりの発生率と10000入院人日あたりの発生率は一致した月別変動を示した.しかし, 年齢階級別にみたとき, 年齢が高いほど発生率が高いという年齢差の傾向は1000入院あたりの発生率においてより顕著であり, 10歳未満の小児と50歳以上でとくに2つの発生率の解離が見られた.10000入院人日あたりの発生率による感染症非発生率曲線と感染症累積発生率曲線は入院期間が16週を越えると横ばいになり, 感染症発生リスクが低下した.
    結論: 年齢階級間の比較や複数の病院間の比較, 長期経年的比較を目的にする場合, 入院期間の影響が考慮される入院人日数あたりの感染症発生率を用いる必要がある.入院人日数あたりの感染症発生率を用いるとすれば, 入院期間が16週以上の者を除外して, 入院期間が16週未満の者を分母のpopulation at riskにするか, 層別するべきと考えられた.
  • 久田 友治, 津波 浩子, 佐久川 廣美, 上原 勝子, 大湾 知子, 比嘉 太, 健山 正男, 佐久川 廣, 齋藤 厚
    2003 年 18 巻 3 号 p. 312-315
    発行日: 2003/08/25
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    整形外科手術における周術期の感染対策が適切であるかを検討するため, 手術部位感染サーベイランスを実施した. 対象は平成14年6月から8月に当院で施行した整形外科手術113例で, 術式はその他の筋骨格系73例, 骨折の観血的整復15例, 人工股関節6例, 椎弓切除6例, 脊椎固定術6例, 人工膝関節4例, その他の人工関節2例, 四肢切除1例であった. 方法は当院で作成したワークシートに病棟看護師, 麻酔科医, 手術部看護師, 主治医が割りあてられた項目を実施又は観察して記入する前向き法にて行った. 手術患者の71%が除毛を受けず, 24%はクリッパーによる除毛を受けた. 術中の明らかな手袋破損は1例も観察されなかったが, 5時間以上の手術のうち76.2%で手袋交換が行われた. 使用された予防的抗菌薬の割合はフロモキセフ38.6%, セフォチアム31.8%, セファゾリン27.3%であり, 80.4%の症例が執刀前に投与された. 手術時間が5時間以上の手術のうち抗菌薬の追加投与を受けた症例は52.9%であった. 手術部位感染が113例中1例で報告され, 感染率は0.9%であった. 以上の結果から, 整形外科手術における周術期の感染対策は概ね適切であると考えられたが, 長時間手術において抗菌薬を追加投与する手術が少ない事からその検討を要すると考えられた.
  • 加藤 大三, 滝沢 容子, 中村 恵子, 鷲野 恵一
    2003 年 18 巻 3 号 p. 316-322
    発行日: 2003/08/25
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    整形外科にとって細菌感染特にMRSAの感染は手術結果を大きく左右するばかりでなく, 周術期の患者にとっては保菌状況も問題となることが多い. 我々は2001年初頭より導入した標準化予防策 (standard precaution以下SP) を基にした感染防止規定による効果を評価するために病棟の細菌環境について調査を行った, 2000年から2002年の全手術部位感染 (Surgical Site Infection以下SSI) についてSSIサーベイランスを行い, 同時に2002年3月から5月の3ヵ月間および10月の1ヵ月間入院患者の鼻腔, 看護師・医師スタッフの白衣・手指, 環境 (7項目16箇所) から週に1度ずつ培養を採り評価した. また, 入院が3ヵ月以上となる患者を対象にMRSAの保菌について前向き調査を行った. 感染防止規定を導入後SSIは有意に減少していた.また, 保菌者の推移と環境からの検出状況には相関関係が認められたが, スタッフと患者の保菌状況, スタッフと環境からの検出状況には相関関係は認められなかった. 前向き調査から長期入院中に院内伝播と確認された患者は認めず, スタッフや環境が媒介になっているという事実は認められなかった. SPを基にした感染防止規定によりMRSAの伝播を防止し, 術後感染も抑制し得た.
  • 小笠原 康雄, 八島 加八, 近藤 里美, 播野 俊江, 小滝 照子, 長崎 信浩, 三田尾 賢
    2003 年 18 巻 3 号 p. 323-328
    発行日: 2003/08/25
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    当院では, 抗MRSA用抗生物質である塩酸バンコマイシン (VCM)・テイコプラニン (TEIC)・硫酸アルベカシン (ABK) については, 添付文書に記載された投与法が行なわれてきた. しかし, 有効治療域の狭いこれらの薬剤を添付文書通りの投与することは, 患者においては有効血中濃度の確保されていない可能性や副作用防止のトラフ値まで低下していない等の種々の問題が懸念された. そこで, 血中濃度を指標にしたTDMによる治療法が実施される院内のシステム作りを行ってきた.
    平成13年4月より抗MRSA抗生物質 (VCM・TEIC・ABK) に関しては, 処方時に「特定抗生物質使用申請書」の提出を義務付けた. 使用が適応と認められた場合には, 薬剤部にて患者データを基に投与前シミュレーションを行い, 投与量と投与方法を医師に報告, 後日血中濃度を基に再解析を行い, 必要があれば投与内容の変更を行った. TDM導入前の13例と導入以降の17例において比較を行なった.シミュレーション実施による処方設計・血中濃度測定による処方変更は約63%であった. VCMの1回投与量はTDM導入前の平均0.69±0.079からTDM導入以降1.23±0.089に増量となったが, 投与回数は1日2回から1回となり, 投与期間も23.0±4.5日から12.1±1.0日に短縮された. この結果3剤の使用総量は2525 vialから1735 vialへと31%の減少をみた.
    このように, 血中濃度を考慮した個人別の処方設計は, 臨床的に有効であり医療費の削減につながった.
  • 河井 良智, 松田 俊之, 戸島 洋一
    2003 年 18 巻 3 号 p. 329-332
    発行日: 2003/08/25
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    代表的抗MRSA薬である注射用バンコマイシン (VCM) 適正使用の対策として, 当院では2001年12月よりVCM使用時に主治医が届出用紙を提出することを義務づけた.その前後でVCM処方数等の変化を調べ, 届出制導入の処方への影響を検討した. 届出制導入前 (2000年12月~2001年11月) の月平均VCM (0.59) 処方本数は261±119本であり, 導入後 (2002年1月~2002年12月) では月平均139±80本と有意に減少した (P=0.0073). 一方, アルベカシン (ABK) 処方本数は59±45→79±25本と有意差はなかった (P=0.19). 同様に, MRSA検出患者数は45±8→41±9名と有意差はなかった (p=0.29).
    VCM使用届出制導入により, 明らかにVCMの処方に制限がかかった. また, 他のMRSA薬にシフトしていないことから, 本制度はVCMの適正使用を促す一つの手段になり得ると考えられた.
  • ハイリスクレベルと考え, 全例に接触予防策の必要性について
    長谷川 有子, 早野 香代, 豊田 めぐみ, 原田 節子, 辻井 久, 生田 治康, 藤本 嘉子, 竹下 誠治郎, 岡 隆宏, 大野 聖子
    2003 年 18 巻 3 号 p. 333-336
    発行日: 2003/08/25
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    97年11月10日より総合周産期母子医療センターを開設するにあたり, MRSAのサーベイランスを行いながら対策をおこなった. 総合周産期母子医療センター開設前未熟児センターでの97年5月から10月までのMRSA分離患者新規発生数は1ヵ月平均7.3人であった. センター開設にあたり, 一処置一手洗いの徹底を行い, 98年3月よりNICUではさらに, 一処置ごとの手袋履き替えも実施した. しかし, 開設後12ヵ月間の平均は7.8人と変わらなかった. そこで, 全ての児に一処置一手洗い・手袋着用を実施した. 対策実施後1年目のMRSA分離患者新規発生数は平均4.17人, 2年目は1.33人, 3年目は1.83人であった. 厳重なスクリーニングで保菌状態の早期発見, 対処を行なうこと, また全ての児がMRSAの保菌者で有り得るとの認識の元, 全ての児に一処置一手袋の実施, すなわち全ての児に接触予防策をという発想は当院では有効であった.
  • 山崎 隆志
    2003 年 18 巻 3 号 p. 337-343
    発行日: 2003/08/25
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    整形外科手術5006件中25件 (0.5%) の術後深部感染例を対象とし, 感染の原因と対策を検討した. 2000年以降は医師のMRSA保菌状況を調査した. 術後深部感染は1997年後半以降増加し, 起炎菌は大部分がMRSAで, 脊椎後方内固定術, 脊柱管拡大術, 人工骨頭置換術, 骨折観血整復内固定術で多かった. 発生時期が集中しており, 散発的発生ではなく, アウトブレークと考えられた. MRSA保菌率の高い医師が参加した手術に感染が多く, 感染原因としてはMRSAを保菌した術者が考えられた. 医師の手洗い励行, 術衣の変更, 術中洗浄の増加, MRSA保菌調査などの感染対策を開始した. 対策開始直後からの効果はなかったが, 徐々に感染発生は減少した.
  • 携帯型針捨て容器と安全装置付き器材の適切な配備について
    仲村 広美, 大野 聖子, 嶋田 克美, 本 久代, 小林 由美, 南 けさ代, 神 葉子, 田中 淳子, 藤本 嘉子, 岡 隆宏
    2003 年 18 巻 3 号 p. 344-348
    発行日: 2003/08/25
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    1995年と96年の公務災害に申請された針刺し・切創を解析し, 97年より携帯型針捨て容器の導入などの対策をおこなった. ディスポの注射器の針, 翼状針, 留置針, 真空採血針の全体に占める割合は前2年間で28件 (全体の65%) から97年, 98年の10件 (全体の30%) に減少した. 以後3年間の針刺し・切創を併せて解析した. ディスポの注射器の針, 一般留置針, 真空採血針では携帯型針捨て容器で対応可能と考えたが, 翼状針, 透析留置針は安全装置付きが必要と考えた. まず携帯型針捨て容器を設置し, 安全装置付き器材は, EPINet日本語版によるサーベイランスの基に, 器材の特性と使用場所により導入を決定していくことが大切であると考える.
  • 食中毒対策に関するオーデットツールの考察
    村山 郁子, 桜田 則子, 新井 裕子, 遠藤 康伸, 山之上 弘樹, 池田 しづ子, 古田 信弘, 岡田 成彦, 松岡 俊彦, 波多江 新 ...
    2003 年 18 巻 3 号 p. 349-353
    発行日: 2003/08/25
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    病院における食中毒対策は, 当然調理場内での食品の衛生管理, 職員の衛生管理, 施設・設備の衛生管理が重要であるが, それらに加え, 配膳後の食事の管理及び病棟におけるその他の食品の衛生管理も重要と考えらる. しかし, わが国では全体的な視点に立った感染予防対策マニュアル及びチェックシートは見当たらない. 著者らは2001年9月, イギリスのバーミンガムのバーミンガム大学NHS (National Health Service) を視察した際に, 食品衛生に関して調理場及び病棟という全体的な視点から書かれた感染予防対策マニュアル及びチェックシートの提供を受けた. その内容はわが国でも参考となると考えられるので報告する.
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