環境感染
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18 巻 , 4 号
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  • 伊藤 重彦, 木戸川 秀生, 大江 宣春, 草場 恵子, 金子 裕子, 藤武 隆文
    2003 年 18 巻 4 号 p. 371-376
    発行日: 2003/10/27
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    1999年10月にバンコマイシン耐性腸球菌 (VRE) による院内感染を経験した.VRE分離患者6名の治療経過およびVRE分離, 定着のリスクファクターについて報告する.対象・方法: VRE分離のリスクファクターを検討するため, VRE分離前後5年間 (1997~2001) の入院患者を対象にMRSA菌分離状況, Clostridium difficile関連腸炎, MRSA腸炎の発生頻度とVancomycin (VCM) 使用量を調査した.結果: 6名の菌種はVanA型E.faecalis (3名), VanA+VanC1E.gallinarum (1名), VanA型E.faecalis, E.gallinarurm (1名), VanA型E.faecalis, E.fecaum, E.avium (1名) である.4名から分離されたE.faecalisは同一株由来による院内感染が証明された.6名中5名に複数の抗菌薬が投与され, VRE分離前にMRSA肺炎, Clostridium difficile関連腸炎, MRSA腸炎に対してVCMが投与されていた.VREが分離された年はClostridium difficile関連腸炎が急増し, VCM経口薬の使用量が最も多かった.VRE発生病棟では接触感染対策を徹底することで, Clostriddum difficile関連腸炎, MRSA腸炎患者数は翌年から激減した.結語: 抗菌薬投与, Clostridium difficile関連腸炎およびMRSA腸炎の併存とVCM経口投与はVRE分離のリスクファクターと考えられた.MRSA感染対策の延長線上にVRE感染対策があると思われた.
  • 松岡 俊彦
    2003 年 18 巻 4 号 p. 377-381
    発行日: 2003/10/27
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    Salmonella Enteritidisを添加した溶き卵をボール, 攪拌器及び手袋に付着させ洗浄せずに消毒した後及び洗浄・消毒をしない場合の菌の残存性並びに菌を添加した溶き卵の72時間後までの水分活性と菌量を測定した.その結果, 80℃ の熱湯・温湯へ5分間浸漬後のボール, 攪拌器及び手袋並びに200ppm次亜塩素酸ナトリウム液へ5分間浸漬後のボールから菌は検出されなかったが, 消毒用エタノール噴霧後のボール, 攪拌器及び手袋並びに200ppm次亜塩素酸ナトリウム液へ5分間浸漬後の攪拌器及び手袋からは消毒後に菌が検出された.洗浄・消毒しない場合においては, 4.7×108cfu/mLの菌は72時間後にはボール・攪拌器ではほとんど検出されなかったが, 手袋からは依然として2.66log10検出された.また, 溶き卵の水分活性は72時間で0.98から0.42に減少したが, 菌量は5.8×106から2.5×108に増加した.これらのことから, 器具等が汚染され洗浄・消毒が不十分である場合, S.Enteritidisによる汚染が長期間続くことが考えられるので, 十分な洗浄後熱湯・温湯への浸漬消毒するなどの対策が重要であると考えられた.また, 手袋を使用して割卵等の調理行為を行う場合には, 使い捨ての手袋を使用すること, 素手で割卵又は溶き卵の調理を行う場合は, 作業終了後十分な手洗いを実施する必要があると考えられた.
  • 桜井 直美, 小池 和子
    2003 年 18 巻 4 号 p. 382-389
    発行日: 2003/10/27
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    要介護者の身体の清潔保持, 心身機能の維持・増進のために不可欠な訪問入浴サービスの需要は高まっているが, 易感染状態にある利用者に対する感染予防対策の整備は十分であるとは言い難い.そこで, 感染予防策立案のために環境感染学的な実態調査を行った.
    調査対象として, 入浴水, 浴槽, 担架シート, マクラ, ネットとし, 各々入浴前後, 洗浄 (消毒) 後に検体を採取し, 37℃, 48時間培養後一般細菌数を算定した.
    夏季の月曜日1件目の入浴水では入浴前に104CFU/mLの一般細菌が観察された.これは前日以前からの入浴水のボイラーへの汲み置きによるものであった.そこで, 業務終了後にボイラー内を全て排水し, 業務開始時に注水するように指導したところ, その後の調査では入浴前の入浴水から一般細菌は検出されなくなった.
    入浴介護用品類では, 入浴後に102~103CFU/20cm2の一般細菌が検出されたが, 洗浄 (消毒) 後には101CFU/20cm2程度まで減少した.しかし, 全般的にPseudornonas aeruginosaの検出頻度が高く, IPM耐性株の割合が高かった.これらIPM耐性菌のDNA型を比較したところ, 由来が同一である株が2株存在した.また, 1件目のマクラからの分離株と, 2件目の入浴介護用品や入浴水より分離された株のDNA型に類似性が見られ, マクラを介してP.aeruginosaが伝播する可能性が示唆された.
  • 野上 毅, 後藤 純子, 光武 耕太郎
    2003 年 18 巻 4 号 p. 390-394
    発行日: 2003/10/27
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    感染症原因菌に占めるムピロシン (MUP) 耐性MRSAの検出状況を把握するため, 国立循環器病センター細菌検査室で血液培養から分離されたMRSA171株 [MUP軟膏上市前53株39例 (1992年1月~1996年8月), 上市後118株98例 (1996年9月~2001年12月)] を対象として, ディスク拡散法によってMUP感受性試験を行った.検出されたMUP耐性株はパルスフィールドゲル電気泳動 (PFGE) を用いてタイピングを行い, MUP耐性MRSAの伝播の有無について検討した.MUP上市前のMRSA53株 (39例) からはMUP耐性MRSAは検出されず, 上市後の118株のうち10株 (8.4%) がMUP耐性であり, 1999年に4株 (3例), 2000年に3株 (3例), 2001年に3株 (2例) が検出された.また, 10株 (8例) のMUP耐性MRSAのうち血液培養からMRSAが検出される以前にMUP軟膏の投与歴を持つMUP耐性MRSAは6株 (5例) であった.10株 (8例) のMUP耐性MRSAのPFGEタイピングでは大きく3つのタイプに識別され, 単一株による伝播は認めなかった.
  • 岩井 友美, 茅野 崇, 吉田 敦, 奥住 捷子, 森屋 恭爾, 木村 哲
    2003 年 18 巻 4 号 p. 395-400
    発行日: 2003/10/27
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    内視鏡等の医療器具の消毒に使用されるグルタールアルデヒドは毒性や環境汚染の問題がある.その代替消毒薬として注目される過酢酸製剤について, 各種細菌および肝炎ウィルスに対する効果を検討した.
    その結果, 常用濃度の0.3%過酢酸はStaphylococcus aureus, Pseudomonas aeruginosa, Bacillussubtilisの芽胞を1分以内に, Mycobacterium aviumを3分以内に殺菌した.C型肝炎ウィルス (HCV) に対する効果は, PCR法では血清を50倍希釈 (HCV量;約106kIU/mL) ・100倍希釈 (HCV量;約53kIU/mL), 接触時間30分で核酸断片 (144bp) が検出されなくなった.TRC反応では血清を100倍希釈 (HCV量;約53kIU/mL), 接触時間10分で検出感度以下となった.B型肝炎ウィルス (HBV) に対する効果はPCR法で血清を10倍希釈 (HBV量;約6.3LGE/mL), 接触時間5分で核酸断片 (432pb) が検出されなくなった.
    今回の検討から, 過酢酸製剤は芽胞を含む各種細菌, B型・C型肝炎ウィルスに有効であることが確認できた.低毒性の過酢酸製剤はグルタールアルデヒドの代替消毒薬として医療器具の消毒に有用であると考えられる.
  • 尾家 重治, 神谷 晃
    2003 年 18 巻 4 号 p. 401-403
    発行日: 2003/10/27
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    グルタラール (グルタルアルデヒド) およびフタラール (オルトフタルアルデヒド) の殺芽胞効果について検討した.Bacillus subtilis (枯草菌) の芽胞に対して, グルタラールは6時間で, フタラールは96時間で殺滅効果を示した.また, Clostridium tetani (破傷風菌) の芽胞に対して, グルタラールは5分間で, フタラールは20分間で殺滅効果を示した.一方, Clostridium difficile (クロストリジウム・ディフィシレ) の芽胞に対しては, グルタラールは30秒間で, フタラールは5分間で殺滅効果を示した.グルタラールの殺芽胞効果は, フタラールに比べて優っていた.
  • 堤 徳正, 宇田 恵美, 木内 環, 人見 重美
    2003 年 18 巻 4 号 p. 404-407
    発行日: 2003/10/27
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    Yeasts in the oral cavities of newborns with thrush can transmit to other patients through devices used for milk feeding. We examined the efficacy of boiling with a domestic microwave oven for disinfection of nipples used by patients with thrush. Nipples, used by three patients with thrush, were cleansed by nursing staff and cultured in tryptone broth with 2% glucose at 37° for seven days. Yeast grew in eight of 17 samples with cleansing and all of 15 samples without cleansing (p=0.001). Next, other nipples used were cleansed and boiled by microwave for ten minutes in a container with one liter of tap water. The nipples were left in the container for an additional 50 minutes or more, and individually cultured similarly. Yeast grew in none of 32 samples with cleansing and boiling, and in 32 of 37 samples without cleansing and boiling (p<0.0001). These findings indicate that the combination of hand cleansing and boiling in a microwave oven is an effective procedure for disinfection of nipples contaminated with yeast and that hand cleansing without boiling can significantly but insufficiently wash the organism off contaminated nipples.
  • 青木 茂, 鳥居 裕一, 埋田 聖子
    2003 年 18 巻 4 号 p. 408-410
    発行日: 2003/10/27
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    術後抗菌薬は, 多剤耐性菌の発生予防の為に, 適切なものを, 適切な期間使用することが肝要である.子宮内膜癌, 卵巣癌に対する傍大動脈リンパ節廓清は病期・治療方針の決定の為に必須である.このようなリンパ節廓清例への抗菌薬の適切な使用を検討し, 当日投与に短縮したが, 創感染率に影響をあたえなかった.
  • 当院での取り組みの場合
    大重 育美
    2003 年 18 巻 4 号 p. 411-415
    発行日: 2003/10/27
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    H14年3月に当院のA病棟でのMRSA多発を察知したので, アウトブレイクの確認をするためにICT委員会で調査を行なった.当時, 血管内留置カテーテル関連感染由来のサーベイランスをしていなかったため, まず, アウトブレイクの把握をするために問題とされた時期と過去2年間のMRSA感染率の調査を行なった.また, 状況把握のために病棟聞き取り調査及び感染者リストをもとに感染把握パターン表を作成し疫学的調査を行い, 環境調査及び職員の手洗い後の手指培養・鼻腔培養調査も並行して行った.さらに, リンクナースが自主的にスタッフの意識調査を実施し問題点を明確にしたことが, A病棟の実態を把握する上で重要な資料となった.Dixonは, 疫学的調査所見を重視するように指摘しており, 「疫学的関連性がない限り培養結果は無視するのが原則」 (Dixon, 1992) と助言している.調査結果からは明らかな感染の関連性はみられなかったが, 従来のIVHにおける側注時の手技変更・手洗いの徹底を病棟会で指導するなどのICTの指導介入を行った.さらにこのことを契機に, H14年6月より, 血管内留置カテーテル関連感染のサーベイランスを実施しているが, A病棟での感染率は減少傾向である.
  • 小池 直人
    2003 年 18 巻 4 号 p. 416-424
    発行日: 2003/10/27
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    カテーテルの挿入に伴うカテーテル由来感染症はしばしば院内感染として見られるが, その原因の一つとして輸液ラインの汚染, とりわけ三方活栓部の汚染によることが指摘されている.近年, それらへの対策として, 三方活栓の代わりに閉鎖式注入システム (閉鎖式デバイス) が臨床に導入されつつあるが, それらの感染防御能について5種類の閉鎖式デバイスを対象として基礎的検討を行った.消毒試験, 細菌侵入阻止試験, 無菌保持試験および各デバイスの物理的性状や取り扱い易さ等について比較検討した結果, セイフTポートあるいはインターリンク®が他のデバイスに比べて良好な成績を示した.カテーテルに由来する感染対策の0つとして, 三方活栓に代わり閉鎖式デバイスの導入が有効であることを示唆する結果が得られた.しかし, 個々のデバイスにおいてはそれぞれ改良すべき点もあり, 閉鎖式デバイスの使用時にはそれらの特性を理解した上で使用することが必要であり, 無菌的取り扱い操作など院内感染対策における標準予防策に従った操作を行うことが重要であることもあらためて認められた.
  • 前原 美代子, 遠藤 和郎
    2003 年 18 巻 4 号 p. 425-429
    発行日: 2003/10/27
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    臨床現場において中心静脈カテーテル使用による経血管栄養法や薬物療法は, 多くの疾患の予後を改善するのに貢献してきた.反面, 血管カテーテル関連菌血症という問題も発生させることとなった.米国疾病管理予防センター (Centers for Disease Control and Prevention: CDC) は, 中心静脈カテーテル挿入時にはマキシマル・バリア・プリコーションの遵守を勧告している.当院では1998年より, 中心静脈カテーテル挿入時におけるマキシマル・バリア・プリコーションを勧め, これを徹底させるためにサーベイランスを始めた.サーベイランス施行に際しては, 独自のサーベイランスシステムを構築した.結果を定期的に病棟および医師にフィードバックし, 繰り返し必要性を指導してきた.その結果, 大型滅菌ドレープと滅菌ガウンの施行率が改善してきた.このサーベイランスは, 実際の血管カテーテル関連菌血症の発生率を求めるものではないが, 中心静脈カテーテル挿入の過程が改善されることにより, 最終的には中心静脈カテーテル関連菌血症を減少させるのに寄与すると考える.
  • 高尾 佳保里, 山岸 善文, 根ヶ山 清, 藤田 次郎, 石田 俊彦
    2003 年 18 巻 4 号 p. 430-434
    発行日: 2003/10/27
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    欧米やアジア, アフリカ地域では, 手術時手洗い水に水道水を使用している.水道水でなく, 滅菌水を使用することに関する科学的根拠は特にない.わが国では滅菌水の使用に加えて, スリッパの履き替え, 高性能フィルターの多用等の感染対策を習慣的に実施してきた.最近では滅菌水がどれ程感染防止に有効なのか, むしろ不必要ではないのかという研究結果も報告されてきている.今回我々は, 1) 当センターおよび香川県の主要病院おいて水道水及び滅菌水の中に細菌が存在するか, 否かを検討し, 2) 水道水と滅菌水を使用した場合の手術時手洗いの効果をパームスタンプ法→フィンガープリント法やグローブジュース法にて比較, 検討し, 3) 水道水と滅菌水の塩素濃度を比較し, 4) 滅菌水の使用を中止した場合どれほどのコスト削減の効果があるのか等を研究した・当センターでは水道水と滅菌水の両方とも, 培養にて細菌は検出されなかった.他の主要病院でも同様な結果が得られた.水道水で手洗いした場合の滅菌タオルで拭き取った後の細菌数は, 滅菌水で手洗いした場合との比較では有意差を認めなかった.グローブジュース法でも同様の結果であった.今回の実験結果によると, 個人差も考慮する必要はあるが, 手術時手洗いに滅菌水が必要という根拠はないと考えられた.これによるコスト削減は, 手洗い装置450~500万円/台, フィルター交換代1万円/年, 限外ろ過膜交換代15~20万円/3年が不必要となる計算である.
  • 金澤 美弥子, 桜田 則子, 新井 裕子, 管原 美絵, 龍口 さだ子, 池田 しづ子, 小塚 雄民, 川端 明美, 金沢 きみ代, 波多江 ...
    2003 年 18 巻 4 号 p. 435-439
    発行日: 2003/10/27
    公開日: 2011/01/25
    ジャーナル フリー
    日本における感染予防対策は, この10年間で積極的に取り組まれるようになった.その結果, 経済効果や患者の負担軽減がもたらされる事への認識が高まり, 感染予防対策の実務を担う感染管理看護師 (以下ICNと略) の役割も増加してきた.しかし, 日本のICNはまだ, 人員的にも時間的にも十分とは言えず, また, 専任のICNも少ないので, 期待される膨大な実務を遂行するためには戸惑う状況である.
    英国では40年以上前から, 一般看護師登録と専門課程受講を資格とした, ICN制度を導入し, 現在では, 全ての病院と地域に配置されるようなった.しかし, 配置人員は勧告を上回り, 約.00床に1名程度である.また英国も国民皆保険制度で感染予防対策の経済効果への期待も高い.英国のガイドラインでは, ICNの役割と責任は, ICTの実働の責任を担う者と位置づけられ, 24時間体制で感染対策上の問題に対応していく, と定められている.
    日本と似た状況下でこの責任ある実務をどのように行っているのか, 知り得たいところであったおノースミドルセクス大学病院のICNに同行し, 実務を見聞する機会を得た.ICNは, ICTの実践の責任者として, ICTの年間計画に沿い, ラウンドやオーデット, 教育など実践に焦点を当てた活動を行っていた.ICNのスキルをもとに各部門との連携と信頼関係構築され感染予防対策がなされていた.
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