環境感染
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20 巻 , 1 号
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  • 山根 紀子, 中村 洋之, 金丸 トモ子, 松下 恵子, 冨木田 地春, 堂尾 律子, 亀井 勝彦, 杉元 幹史, 谷本 清隆, 塩谷 泰一
    2005 年 20 巻 1 号 p. 1-6
    発行日: 2005/03/15
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    2000年に導入した電子カルテシステムによって, 医療情報の収集と知識の共有化が容易となった当院での, 院内感染対策におけるIT (Information Technology) 化の意義について報告する.
    サーベイランス活動は, 検査技師によってサーバーの感染制御チーム (ICT) フォルダ内に作成された感染症患者一覧をもとに, 感染担当看護師 (ICN) が患者背景因子を入力することからはじまる・サーベイランス担当ICNは, 感染制御医師 (ICD) とともに電子カルテで個々の症例を検討し, ICTメンバーとの日常的なやりとりを院内メールで行いながら, 月1回の定例会議に臨んでいる.
    電子カルテシステムは, アクティブのみならず, インアクティブ患者の感染情報を院内どこの端末からでも得ることを可能にし, ICTサーベイランス活動を効率化させている. また, このシステムを活用して開始された広域抗菌薬の使用届けの義務化は, 医師の感染症治療に対する意識を覚醒させ, 結果として, その使用量は前年比45%と著しぐ減少した. 一方, 総合型医療情報システムによって, ICTが関与した感染対策のための医療材料コストも簡単に把握することが可能となり, ICTの活動は感染対策コストの削減をもたらすことになった.
    電子カルテを含む医療情報IT化は, ICT活動を変え, 病院医療の質を向上させることは明らかであり, 時代が求めている「高品質と低コスト」という相反する命題の解決には, 医療のIT化が必須であるといえる.
  • SSIサーベイランスとクリテイカルパスの有用性
    吉川 博子, 斎藤 英樹
    2005 年 20 巻 1 号 p. 7-12
    発行日: 2005/03/15
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    消化器外科予定手術を対象とし, 各々の要因別に手術部位感染 (SSI) 発生率を検討した. SSIは全体で8.9%にみられ, 手術手技別では, 肝・胆管・膵臓, 大腸, 胆石の各手術で10%以上の高い値を示した. SSIサーベイランス導入例, クリティカルパス導入例ではSSIの発生率が低値であった.手術予定時間の増加, およびASA分類, 創分類, NNIS risk indexでの危険度の増加はSSIの発生率を有意に増加させた. 抗菌薬は第一世代セフェム (CEZ) が全体の66.9%に使用されていたが, SSI発生率は4.5%であり, 第二世代 (CTM, CMZ), 第三世代 (FMOX, CPZ/SBT) の19%, 17%に比べて有意に低値であった. 創外感染ならびに全体のMRSA発生率も第一世代使用例が最も少なかった. 術後入院日数はSSIの発生で有意に増加した. 多変量解析 (パス解析) により各要因とSSI発生との関連を探索したところ, T時間の増加および胃手術に比べた時の肝・胆管・膵臓, 大腸, 胆石手術は独立したSSI発生の正の危険因子であり, 逆にクリティカルパスの導入は負の危険因子であった. 抗菌薬とSSIとの関連では, 第一世代が第二世代に比べてSSI発生への関与が低いことが認められた. SSIの低減にはクリティカルパスによる管理ならびに第一世代セフェム系抗菌薬の予防投与が有用である可能性が示唆された.
  • 大須賀 ゆか
    2005 年 20 巻 1 号 p. 13-18
    発行日: 2005/03/15
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    2002年, CDCは新しい手指衛生に関するガイドラインが提唱したが, 擦式手指消毒薬の使用により手指衛生行動が改善した報告は少ない. そこで, 手指衛生に関する今後の課題をあきらかにするために, 擦式手指消毒薬と流水下での手指衛生行動 (実施率・方法) を比較検討した. 構成的観察法により93名の看護師を観察した結果, 仕事数が最も多い病棟では, 擦式手指消毒薬による手指衛生の割合は最も高かったが, 手指衛生実施率と手指衛生方法の得点は最も低かった. また, 擦式手指消毒薬による手指衛生は, 流水下に比して手指衛生方法の得点が低かった. 以上から, 忙しい状況では擦式手指消毒薬を使用しても手指衛生実施率の改善にはいたらず, 擦式手指消毒薬による手指衛生は流水下に比して手指衛生の質が低下するリスクがあることがあきらかになった. 擦式手指消毒薬を使用する場合, 手指衛生のトレーニングを強化する必要性があることが示唆された.
  • 当院でのクリティカルパス運用の効果
    入江 英治
    2005 年 20 巻 1 号 p. 19-23
    発行日: 2005/03/15
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    2000年4月から2003年4月までの3年間で, 調査期間に設定した各時期に熊本中央病院外科病棟で外科手術を受けた合計557例を対象に, 術後感染予防のための抗菌薬使用状況について, 2000年8月の感染予防のための抗菌薬投与基準導入前後で比較調査した.
    (1) 清潔手術施行例ではいずれの調査時期でも, 90%以上の症例に対してセファゾリン (CEZ) が使用されており, 抗菌薬投与基準導入後の薬剤費は導入前の約1/3であった.
    (2) 準清潔手術では平均在院日数, 平均投与日数, 平均投与本数のいずれも投与基準導入による影響は大きぐなかった. しかし, 投与基準導入後はCEZが60%以上の症例に使用されており, 薬剤費の減少傾向が確認された.
    (3) 抗菌薬投与基準導入前後で, 手術部位感染発生頻度に大きな差はなかった.
    以上の結果より, 清潔手術や準清潔手術施行例では薬剤費が安価なCEZ使用を基本とし, 患者状況などを見ながら, 適切な抗菌薬を選択すべきであると考える.
  • 須賀 万智, 吉田 勝美, 武澤 純
    2005 年 20 巻 1 号 p. 24-30
    発行日: 2005/03/15
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    2001年1月~12月, 厚生労働省院内感染対策サーベイランス事業 (JANIS) に参加した25施設を対象にして, ICU入室患者の院内感染に関連する施設要因を検討した。郵送法による質問紙調査から各施設の施設要因 (施設の属性, スタッフ, ケアプロセス, 感染制御, リスクマネージメント) の情報を収集した. 一方, 院内感染サーベイランスから各施設のICU入室患者の情報を収集した. 外部要因依存性が大きいと考えられるAPACHEスコア0-10群の院内感染の罹患率 (感染率) に注目して, 各施設のAPACHEスコア0-10群の区間感染率 (工CU入室後7日未満とICU入室後7日以上) の傾向から, 増加した11施設 (増加群) と減少した14施設 (減少群) の施設要因の分布を比較した.
    増加群と減少群のp<0.2の差を認めた項目は救命救急センター (あり), 夜間の研修医 (あり), 定時回診 (日に1回以下), カンファレンス (月に4回以下), 血液浄化管理指針 (なし), 抗菌薬予防投与の取り決め (なし), はさみの個別化 (なし), 酸素センサーの個別化 (なし), ガーゼ交換時手袋着用 (なし) であった.これら要因は, 施設数を2倍の50に仮定した場合, p<0.05の有意差が認められた.
    ICU入室患者の院内感染のリスクは救命救急センターがある施設, 夜間の研修医がいる施設において大きく, 定時回診やカンファレンスの開催, 血液浄化管理指針や抗菌薬予防投与の取り決め, 使用機材の個別化, ガーゼ交換時手袋着用により軽減される可能性が示唆された.
  • 藤田 芳正, 山崎 芳郎
    2005 年 20 巻 1 号 p. 31-36
    発行日: 2005/03/15
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    MRSAなどの耐性菌の増加防止には, 広域スペクトルをもつ抗菌薬の適正使用が必要とされているが, 院内の全ての臨床医に適正使用を求めることは現実的にはかなりの困難を伴う. かつ, 何が適正なのかという具体的なガイドラインも必要である.
    当院では, 平成12年11月よりカルバペネム薬, 第4世代セフェム薬, シプロキサシン (点滴用, CPFX) および抗MRSA薬などの特定抗菌薬の使用に際し使用届け出制度を導入した (使用制限はせず). さらに平成14年3月より, 多剤耐性緑膿菌の出現を契機に, これら抗菌薬の使用に際して使用許可制を導入し, ICDの許可を必要とした.この使用許可制導入後, 2年が経過した現在, 当院での抗菌薬使用量は, カルバペネム薬の使用量は10分の1以下に減少し, かつ抗MRSA薬の使用量も半減した. 同時に, 当院で検出される各種検体別細菌の検出頻度と, 各抗菌薬に対する感受性表を基盤とした「当院の抗菌薬使用マニュアル」も作成した.
    更にICT回診などにおいて広域抗生剤の使用にあたっては, 常に感染のフォーカスはどこか, 推定される菌は何か, それに対して適切な抗菌薬は何かといった質問を医師に問いかけ, ディスカッションをしながら感染症治療を行った.また, MRSAが検出された時には, 『本当にMRSAの感染症なのか, Colonizationに過ぎないのか』を主治医と議論しつつ治療にあたった.こうした結果, 当院での抗MRSA薬の使用量は半減すると共に院内のMRSA感染率・MRSA保菌率の割合も年々減少傾向を認めた. また, 今のところ新たな他の多剤耐性菌の増加や出現も見られておらず, 抗菌薬の適正使用に向けたコントロールは, 耐性菌増加の抑制, 感染症教育にも有用な手段であると考えられた.
  • 吉本 静雄, 岡内 里美, 鉦谷 久美子
    2005 年 20 巻 1 号 p. 37-43
    発行日: 2005/03/15
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    平成13年5月から平成14年7月の間に32名の患者から多剤耐性緑膿菌 (MDRP) を検出した. 32症例より33菌株のMDRPが分離され, このうちの28菌株についてPFGEによるDNA解析を実施した結果, 他の症例との疫学的関連性が認められなかった1例と初診時の腹水より検出された1例を除いた25症例26菌株は, その泳動パターンが70%以上の相同性を示し, 近縁株であった. さらに, その中の20例においては90%以上の相同性を示し, ほぼ同一菌株であると考えられた.検出検体は尿が28例, 腹水, 胆汁, 喀痰, 褥瘡が各1例であり, 尿から検出された28例の患者は全て尿道留置カテーテルを使用されていた. また, アウトブレイク病棟での初発例は全てMDRPが検出される前に泌尿器科外来にて尿路処置を受けていた. 以上より今回のアウトブレイクの感染ルートは, 最初に泌尿器科外来にて尿路処置を介した交差伝播が起こり, MDRPを保有した患者が入院することにより病棟に持ち込まれ, 病棟内においては尿道留置カテーテル操作を介して伝播が拡大したと考えられた. さらに環境調査による疫学的検討や尿道留置カテーテル操作手技の検証の結果, 泌尿器科外来では手洗い・洗浄用流し台の周囲環境が感染源である可能性が考えられ, 尿道留置カテーテル操作では集尿バッグ排尿口の管理に問題が判明し, これらに対する対策を実施した結果, アウトブレイクは終息した.
  • 木津 純子, 巨勢 典子, 小林 洋一
    2005 年 20 巻 1 号 p. 44-50
    発行日: 2005/03/15
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    日局消毒用エタノールおよび香料添加消毒用エタノールをそれぞれ日局脱脂綿に含浸させた製剤を用い, 両薬剤の使用感と残存性を比較検討した.(1) 室温放置の質量測定で, 両製剤の残存性に差は認めなかった.(2) 医療器具 (ステンレスバット・プラスチックバット・輸液バック・ガラス輸液ボトル) の清拭について, 両薬剤を無作為に割付けた官能検査により, 外観への影響・べたつき感について清拭者, 直後の評価者, 60秒後の評価者とも両薬剤に有意差は認めなかった. 臭いの強さについては清拭者および60秒後の評価者においては差を認めなかったが, 直後の評価者における輸液バックとガラス輸液ボトル清拭直後の評価のみ, 香料添加消毒用エタノールの方が有意に強かった.(3) 皮膚消毒について, 両薬剤を無作為に割付けた官能検査により, 清拭者, 被清拭者とも清拭中の臭いの強さ, 10秒後の臭いの強さ, 臭いの好みにおいて差は認めなかった.(4) 手指消毒における使用感についてアンケート調査を実施した結果, 医療従事者は使用中の臭い, 10秒後の臭い, 臭いに関する好みに関して差を認めず, また職種による差も認めなかった. 学生では使用中および10秒後の臭いで香料添加消毒用エタノールの方に臭いを強く感じた者が多かったが, 臭いの好みには差を認めず, また性差も認めなかった.
    従って, 両薬剤の使用感・残存性について大きな差はなく, 香料添加消毒用エタノールは消毒用エタノールの代替として使用し得ることが示唆された.
  • 頼岡 克弘, 大愼 昌文, 長野 恵子, 尼崎 正路, 白野 陽正, 佐和 章弘, 尾家 重治, 神谷 晃
    2005 年 20 巻 1 号 p. 51-54
    発行日: 2005/03/15
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    山口県下の9病院で使用中の生検チャンネル付き鼻咽喉ファイバースコープ計13本の生検チャンネル内の微生物汚染について調べた. 13本中5本 (38.5%) が104~106生菌数/本の汚染を受けており, これらの主な汚染菌はPseudornonas aeruginosa, Brukholderia cepaciaおよびStaphylococcus aureusなどであった. 細菌汚染を受けていたこれらの鼻咽喉ファイバースコープ計5本の消毒法は, 2本が簡易自動洗浄機を用いたグルタラール浸漬, 3本が用手法によるグルタラール浸漬であった. また, これらの細菌汚染を受けていた5本では, ブラシ洗浄およびアルコールフラッシュのいずれも行われていなかった. 細菌汚染を受けていたこれらの5本に対して, ブラシ洗浄およびアルコールフラッシュを実施するようにしたところ, これら5本の微生物汚染はみられなくなった.
  • 池野 貴子, 田邊 忠夫, 村谷 哲郎, 小竹 友子, 白川 嘉継, 谷口 初美, 松本 哲朗
    2005 年 20 巻 1 号 p. 55-63
    発行日: 2005/03/15
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    産業医科大学病院ICG (Infection Control Group) 委員会 (現病院感染防止委員会) は, 2001年9月から約4ヵ月間, 同病院NICUにおいて色素産生性Serratiar marcescensによる集団保菌 (感染症は未発症) を経験した. 当該事例は, 患者の臀部清拭用消毒綿 (0.01%ハイジール®含有) と, それを保管した湿布缶が汚染源となり, 職員の手指を介し患者間に伝播したと推測された. 種々の対策を講じた結果, 2002年1月に保菌者は0名となり, 2002年3月ICG委員会において終息とみなした. 対策の1つであった患者の監視培養を解析した結果, 2001年8月から2002年1月まで, 1791検体中316検体 (17.6%) からS. marcescensを検出した. 便と咽頭からの検出率が高く, ピーク時にはそれぞれ59.4%と64.5%であった. 薬剤感受性試験結果から, ceftazidime, amikacin, levofloxacinに感受性で, 多剤耐性菌ではなかった. 入院後S. marcescensを検出するまでの日数は, 平均11.0日であり, S. marcescensを単独で検出した割合は, 33.5%であった. 監視培養結果の病棟一覧表作成と病棟への迅速な情報提供が, 対策を講じる際有用であり, NICUにおける感染対策の手段として, 監視培養の重要性が示唆された事例であった.
  • 2005 年 20 巻 1 号 p. 64
    発行日: 2005年
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
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