環境感染
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20 巻 , 3 号
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  • 菊池 雷太, 野村 憲弘, 板谷 一宏, 福地 邦彦, 五味 邦英
    2005 年 20 巻 3 号 p. 159-163
    発行日: 2005/09/30
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    2003年5~7月に多剤高度耐性Enteyobactey cloacaeによる院内交差感染が疑われたため, 感染経路解析の目的で分子疫学解析を行った. 解析は同時期に分離されたE. cloacae26株を対象として行った. このうち, 同一医療従事者グループが関わる可能性が高い症例から分離され, アウトブレイクが疑われたのは10株であった. 細菌ゲノムDNAのSpe I切断後のパルスフィールド電気泳動を行ったところ, 10株中6株が完全に同一の泳動パターン (ゲノム型) を示し, 交差感染が強く示唆された. これら6株はすべてampicillin, piperacillin, cefazolin, cefmetazole, cefaclor, ceftazidime, cefotaxime, aztreonam, levofoxacin, gentamicin, trimethoprim-sulfamethoxazoleに耐性の多剤耐性菌であった. PCRにより, これら6株のすべてからIMP遺伝子が検出されたが, そのうち1株はimipenemのMICが1μg/mL以下で, IMP遺伝子の存在とMIC値が相関しなかった. 院内交差感染が疑われた際には, すみやかに感染の起点となるspreaderと感染経路の特定を行う目的で, 抗菌薬感受性検査のみでなく, ゲノム型および耐性遺伝子解析が必須である.
  • 小森 由美子, 二改 俊章
    2005 年 20 巻 3 号 p. 164-170
    発行日: 2005/09/30
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    メチシリン耐性ブドウ球菌 (MRSAおよびMRCNS) の市中における保菌者の状況を明らかにするため, 2000~2004年の5年間に医療従事者を含まないボランティア723名を対象として調査を行った. 鼻腔から採取した1059株のブドウ球菌でメチシリン耐性と判定されたのは207株 (19.5%), 耐性株の保菌者は191名 (26.4%) であった. 耐性株の内訳はMRSA8株, MRCNS199株で, 各菌種の耐性率は, Staphylococcus auyeus 3.4%, Sepidermidis28.7%, その他のCNS (coagulase-negative Staphylococci) 13.1%と, CNSで高い傾向が認められた. MRCNSの67.2%はオキサシリン (MPIPC) のMICが4μg/mL以下であったが, MRSA全株とMRCNSの22.1%はMIC 64μg/mL以上の高度耐性株であった. またMRSA全株とMRCNSの約半数の株が3剤以上の抗菌薬に耐性を示した. 11歳以下のボランティア60名中メチシリン耐性株が検出されたのは31名 (51.7%) で, 耐性菌検出率は他の年齢層と比較して有意に高く, またMICのより高い菌株が多く検出された. アンケート調査から, 検体採取時に通院していた場合や過去3ヵ月以内に抗菌薬の服用歴がある場合, 家族に小児や看護師がいる場合などは, メチシリン耐性菌検出率が高いという結果が得られたが, これらのリスクがないボランティアでも耐性菌が検出される場合があり, その伝播経路を確認することはできなかった.
  • 大久保 耕嗣, 山川 良一
    2005 年 20 巻 3 号 p. 171-177
    発行日: 2005/09/30
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    内視鏡吸引管路内におけるブラッシング用手洗浄と内視鏡洗浄消毒装置 (OER-2) の洗浄効果を, ATPとアミドブラック10Bを指標として比較検討を行った. ATP量の測定は, 洗浄後の管路内にブラシを一往復させて, それに付着したATP量を測定した. ブラッシングとOER-2洗浄間に有意差を認めなかった. しかしアミドブラック10Bで残存タンパク量を測定した結果, ブラッシングはOER-2洗浄より有意に残存タンパク量が少なかった. 残存タンパク量の実験では測定値に大きなばらつきを認めなかったが, ATPの実験では測定条件ごとに約100倍程度の測定値の変動を認めた. 内視鏡吸引管路内の洗浄度評価にATPを指標として行う際には, その回収方法に工夫が必要である. さらに, OER-2洗浄後にブラッシングを行うと, 残存タンパク量が有意に減少した. すなわち, ブラッシングという物理的洗浄方法の重要性を確認した. 本院における上部消化管内視鏡洗浄消毒法の年次推移と, 上部消化管内視鏡検査後の急性胃粘膜病変 (postendoscopic acutegastric mucosal lesion: PE-AGML) の発生状況を10年間に渡り調査した. 本院の内視鏡室では, 1999年10月以降より従来の洗浄方法に全管路チャンネルアダプターを併用してから, 約6年が経過した. その結果, 毎年発症したPE-AGMLは斜視鏡1例を除いて確認されていない. 斜視鏡については, 用手洗浄後にOER-2を用いた洗浄を併用しており, その後PE-AGMLは確認されていない.
  • 中心静脈輸液と輸液ラインの細菌学的検討を中心に
    土井 まっ子, 荻野 洋二, 鈴木 麻裕, 近藤 陽子, 斉藤 麻子, 竹村 ひとみ
    2005 年 20 巻 3 号 p. 178-183
    発行日: 2005/09/30
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    中心静脈輸液を行った患者の輸液バッグと輸液ライン内の輸液から微生物を分離し, 汚染状況を調査した. その結果, 輸液バッグでは95検体中3検体 (3.2%), 輸液ライン54本中3検体 (5.6%) において細菌が分離された. 細菌が分離された輸液バッグは, 全て病棟において調製されたものであり, 薬剤部で無菌的に調製された輸液からは菌が分離されなかった. 細菌が分離された輸液ラインは, 三方活栓などのライン開口部から薬液の注入や採血などが行われたラインであり, 操作がなかったラインからは細菌は分離されなかった (P<0.05). また, フィルターの下流からも細菌は分離されなかつた. これらの結果から輸液の汚染を防止するためには, 輸液調製時と開放型輸液ラインからのアクセスにおける汚染を防止することが重要と考えられた.
  • 志田 泰世, 野口 久美子, 金子 潤子, 金沢 宏, 吉川 博子
    2005 年 20 巻 3 号 p. 184-187
    発行日: 2005/09/30
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    平成15年12月30日, 新潟市民病院の神経内科と整形外科の混合病棟の入院患者47名中13名に下痢, 嘔吐の症状が出現した. 準夜勤務者 (3名) にも同様の症状が認められた. 病棟発生調査とおよび脱水症状の患者への治療が開始された. 出勤していないスタッフにも同様の症状が多いことがわかった. 緊急対策会議を開催し, 患者隔離・スタンダードプリコーションの徹底及び厳重な接触感染予防策が実施された. 胃腸炎の原因はノロウイルスであることが判明した. 1月8日には有症状患者は0となり, 10日患者の隔離解除・平常業務体制となった. ノロウイルス感染の症状は, 嘔吐69%, 下痢66%といわれ, 成人では下痢, 小児では嘔吐が多いとされている. そのため, ノロウイルスの主要感染ルートは, 糞口感染で, 高齢者ではおむつ交換時, 汚染された水や貝 (二枚貝) で, 時に飛沫による感染が推定されることから, 注意が必要である.
  • 戸島 洋一, 松田 俊之, 河井 良智, 服部 万里子
    2005 年 20 巻 3 号 p. 188-192
    発行日: 2005/09/30
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    当院では抗菌薬適正使用推進のため2001年末に採用注射用抗菌薬を整理し, 第4世代セフェム薬を3剤から1剤に, カルバペネム薬を3剤から2剤に削減, ペニシリン薬とキノロン薬を追加した. その前後2年間ずつにおける注射用抗菌薬使用量と多剤耐性グラム陰性菌の検出数, 緑膿菌の耐性率を調べた. 注射用抗菌薬の使用数は整理前後の2年間ずつの平均で比べると約11%減少した. 第1世代セフェムの使用数は増加, 第3+4世代セフェムは16,810本/年から11,043本/年へと34%減少, カルバペネム約は27%減少した. 多剤耐性グラム陰性菌の検出数はB. cepaciaなどが減少傾向を示した. 緑膿菌のイミペネム耐性率は有意に減少したが, 多剤耐性緑膿菌検出数は減少しなかった. 削減されなかったメロペネム, セフォゾプランに対する緑膿菌の薬剤感受性は変化がなかった. 以上より, 採用抗菌薬の整理 (削減) は抗菌薬総使用数の減少をもたらし, 多剤耐性グラム陰性菌の検出数は増加せず, 残された薬剤の緑膿菌に対するMICは変化がなかったことより, 今回行った採用抗菌薬のコントロールは意義があったと考えられる.
  • 増田 道明, 藤澤 隆一, 山本 勝彦, 奥住 捷子
    2005 年 20 巻 3 号 p. 193-199
    発行日: 2005/09/30
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    コア・カリキュラムの導入や診療参加型臨床実習の重視, 臨床研修の必修化など, 卒前・卒後の医学教育は変革期にある. かかる状況にあって, 医学生や研修医に対する感染制御教育は重要な課題である. 本研究は, 医師の卒後臨床研修開始時における導入的感染制御教育の実践的フォーマット作りを目的としている.臨床研修開始直後の研修医39名を対象とし, まず10項目の設問から成るプレアンケートにより, 感染制御に関する知識や実践能力の自己評価を実施した. その後, 感染予防策や院内感染対策マニュアルの解説, 手洗い・手指消毒, ガウンテクニック, N95マスク着用法等に関する実習, 感染症法の改正内容等に関する講義を行った. 3日後, 実習結果の判定および講評を行い, プレアンケートと同じ設問のポストアンケートにより再度自己評価を行った. さらに, 9ヵ月後にも同じアンケートにより, 長期効果の判定を行った. 今回の方法は, プレとポストのアンケート結果比較において自己評価の有意の上昇も認められ, 導入的感染制御教育の原型フォーマットとして供しうると考えられた. 講習全体を通じて, 研修医の反応も良好であり, 感染制御に対する関心も喚起できたと思われる. また, 9ヵ月後のアンケートから効果の持続も認められた. 今後, 指導法や指導効果の判定法の改良に向けて, さらに検討していきたい.
  • 須賀 万智, 吉田 勝美, 武澤 純
    2005 年 20 巻 3 号 p. 200-204
    発行日: 2005/09/30
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    2000年7月~2002年5月, 厚生労働科学研究参加34施設から収集されたICU患者データをもとに, 年齢16歳以上, ICU在室24時間以上1000時間未満, APACHEスコアの情報が得られ, 他院ICU転出例を除いた13630名を対象にして, 工CU在室中の感染症発症を調べた. 観察期間はICU入室から最初の感染症発症を確認された日またはICU退室日またはICU入室後22日目までにした. 対象者をAPACHEスコアにより0-10群 (6116名), 11-20群 (5304名), 21以上群 (2210名) の3群にわけ, 各群の感染症発症率を求めた. さらに, 観察期間を5区間 (0~2日, 3~7日, 8~12日, 13~17日, 18~22日) にわけ, 各群の区間別感染症発症率を求めた.
    観察期間内の感染症発症者は1412名 (10.4%) であった. APACHEスコアによる3群を比較すると, 0-10群で249名 (4.1%), 11-20群で653名 (12.3%), 21以上群で510名 (23.1%) であり, APACHEスコアが高いほど感染症発症率が高い傾向を認めた (p<0.001). APACHEスコア0-10群は, 観察期間が長いほど区間別感染症発症率が高い傾向を認め (p<0.001), 区間別感染症発症率を結んだ回帰直線の傾きは5区間では0.009 (95%信頼区間: -0.009~0.027) であったが, 人数が少ない18-22日を除いた4区間では0.018 (95%信頼区間: 0.015~0.022) であった. APACHEスコア11-20群は, 観察期間と区間別感染症発症率の明らかな増減傾向を認めず (p=0.4), 区間別感染症発症率を結んだ回帰直線の傾きは-0.005 (95%信頼区間: -0.008~-0.001) であった. APACHEスコア21以上群は, 観察期間が長いほど区間別感染症発症率が低い傾向を認め (p<0.001), 区間別感染症発症率を結んだ回帰直線の傾きは-0.018 (95%信頼区間: -0.029~-0.007) であった.
    ICU患者における感染症発症率は, APACHEスコア0-10ではICU在室日数が長いほど増加, APACHEスコア21以上ではICU在室日数が長いほど減少, APACHEスコア11-20ではICU在室日数の影響を受けず, ほぼ一定であることが明らかにされた.
  • 境 美代子, 安岡 彰, 北川 洋子, 鳴河 宗聡, 三村 泰彦
    2005 年 20 巻 3 号 p. 205-209
    発行日: 2005/09/30
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    医療機関から排出される廃棄物の中で, 特に感染性廃棄物の処理が問題となっている. 当院では, ダイオキシン類対策特別措置法の施行に伴い, 開院 (昭和54年) からの施設内処理の運用をすべて外部委託に変更した. この時点で, 院内感染対策チーム (ICT) が廃棄物運用に関する見直しと減量対策に取組んだ. ICTが廃棄物処理施設などの実地視察後に, 廃棄物の範囲, 分別容器, 集積・運搬方法などを検討した. また廃棄物減量対策に積極的に院内ラウンドを実施し, 1年間の感染性廃棄物処理量を前年度と比較し14.4%減量できた. 廃棄物処理状況と地域のごみ処理システムに応じた病院ごとの感染性廃棄物処理法を構築することが必要である.
  • 感染症治療の観点から
    吉川 博子, 斎藤 英樹, 内藤 真一, 金沢 宏, 今井 由美子, 渋谷 宏行, 継田 雅美, 勝山 新一郎, 今井 昭雄
    2005 年 20 巻 3 号 p. 210-214
    発行日: 2005/09/30
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    感染制御の基本は交叉感染を防ぐこと, 同時に耐性菌をつくらない抗菌薬の使い方を心がけることであろう.(1) 耐性菌の減少,(2) 抗菌薬のコストの抑制,(3) 術後感染など, 本来おこしてはならない感染症の減少, これらを確認することができれば, 感染制御を行うことの意義が明確になるのではないだろうか. 当院では, 1999年よりInfection Control Team (以下ICT) が結成され, 2002年までの耐性菌を抑制する点にも重点をおいた活動の前後で,(1) 緑膿菌の耐性率の推移,(2) 抗菌薬のコストの変化,(3) 手術部位感染サーベイランスによる術後感染率の変化を経時的に検討した. 米国の感染制御のあり方と比較検討を行った.
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