環境感染
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21 巻 , 1 号
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  • 真砂 州宏, 三島 真美
    2006 年 21 巻 1 号 p. 1-5
    発行日: 2006/03/24
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    鹿児島県隼人町立医師会医療センターにおいて, 病院感染対策の一環として, 職員および委託職員の麻疹, 水痘, 風疹, ムンプスの抗体検査を実施した. 各疾患の抗体陰性率は麻疹16.8%, 水痘4.4%, 風疹14.6%, ムンプス13.3%であった. 水痘以外は抗体陰性率が10%を超えており, 病院職員間で集団感染する可能性が示唆された. 抗体陰性者にはワクチンの接種を実施し, 抗体獲得の確認を行った. 抗体獲得率は麻疹100%, 水痘76.9%, 風疹68.3%, ムンプス92.1%であった. さらに抗体が獲得されなかった職員に対しては, ワクチンの追加接種を行い, 抗体獲得の確認を行った. 2回目の接種での抗体獲得率は水痘100%, 風疹60%, ムンプス100%であった.
    麻疹, 水痘, 風疹, ムンプスはワクチンにより予防し得る疾患であり, 病院職員はこれらの疾患に対する抗体を保有していなければならない. しかし, vaccine failureの可能性もあるため, ワクチン接種のみでは病院感染対策としては不十分であり, 抗体獲得の確認までする必要があると考えられた.
  • 高田 徹, 石川 崇彦, 村谷 哲郎, 西田 武司, 武田 卓, 山口 覚, 原賀 勇壮, 志村 英生, 橋本 丈代, 坂本 眞美, 恵良 ...
    2006 年 21 巻 1 号 p. 6-11
    発行日: 2006/03/24
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    2004年1月福岡大学病院においてClostridium difficile関連腸炎に対し経口バンコマイシン投与中の患者便よりvanAタイプVREが検出され, また同時期に同一部署に入院中の他患者尿からも同一遺伝子型のVREが分離された. 感染対策室の対応としては, 最初にVREが検出された時点で直ちに現場への介入を行い, 患者の個室への隔離を含む標準予防策および接触予防策の徹底, バンコマイシン投与中止, 患者周囲環境の消毒薬による清拭, を指導し第2例目検出時にはさらに, 感染経路の検索, 病棟スタッフを対象としたVRE感染対策に関するミニレクチャー, 救命救急センター入院全患者に対する便のVREスクリーニング検査, 各種連絡網を通じた病院全部署へのVRE分離例の標準予防策の徹底並びに抗MRSA治療薬適正使用の通知, を行った. 最初の症例は腸炎の改善と共に便中VREは陰性化し, 2例目からのVRE検出は1度のみでVREによる感染徴候は認められなかった. 両者間の伝播経路は不明であったが, 2例以外に同一部署内患者からのVRE分離は認められなかった.今回の事例をきっかけに, Clostridium diffcileトキシン陽性例, 経口VCM処方例における感染対策室の介入を開始した. 当院では, 平成11年より培養検査に供された入院患者の便は全例バンコマイシン含有VREスクリーニング培地へ塗布し, VREのスクリーニングを実施している. 今回早期にVRE保菌者を発見でき, 感染拡大を未然に防ぐことが出来たのは, このスクリーニング検査実施の成果であり, 便VREモニタリング検査はVREの院内拡散防止に有用と考えられた.
  • 継田 雅美, 今井 由美子, 吉川 博子
    2006 年 21 巻 1 号 p. 12-16
    発行日: 2006/03/24
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    当院の一病棟においてClostyidium difficileによる下痢症を発症した患者が約1ヵ月半の間に9例にのぼり, アウトブレイクと思われた.感染制御室では病棟に介入し, 接触感染対策の徹底とC. difficileによる院内感染の注意を喚起し, 院内にも臨時のICTニュースを発行し啓蒙した. その結果アウトブレイクは収束したが経過中再発例があったこともあり, 病棟内の接触感染対策だけでなく治療薬のバンコマイシン (以下VCM) 散の使用法にも問題がある可能性を考え, 全病棟を対象に患者因子, 発症前抗菌薬の有無, VCM散の投与法について調査した.平成12年1月から平成16年5月までにC. difficile腸炎でVCM散が投与された患者は159例で再発は24例・35事例 (複数回再発あり) であった. 再発例の平均年齢は82歳で, 基礎疾患は悪性腫瘍, 糖尿病など易感染性疾患が多かった.再発35事例中抗菌剤の投与がされていたのは16事例であり, VCM散投与日数10日未満での再発は24事例であった. 腸炎再発の原因は抗菌薬再投与, 接触感染が大きな要因ではあるが, 初回発症時のVCM散の10日以上の投与が重要であると考えられた.
  • 荒川 創一, 山下 和彦, 李 宗子, 中野 雄造, 横山 直樹, 瀬尾 靖, 西村 善博, 木下 承晧, 上田 隆, 黒田 嘉和
    2006 年 21 巻 1 号 p. 17-23
    発行日: 2006/03/24
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    外科領域におけるmethicillin-resistant Staphylococcus aureus (MRSA) 感染症に対するteicoplanin (TEIC) の適正用法用量を探る目的で, 本薬剤を投与後の血清中トラフ濃度と有効性の関係について検討し, 下記の成績が得られた.
    1.MRSA感染症に対する全体の有効率は68.8% (11/16例), 疾患別では肺炎83.3% (5/6例), 表在性二次感染100% (2/2例), 敗血症33.3% (1/3例), その他60% (3/5例) であった.
    2.細菌学的効果は菌消失7例, 菌数減少3例, 不変4例で, 菌陰性化率は50% (7/14例) であった. 菌数減少を含めると71.4% (10/14例) であった.
    3.初日800~1200mgの負荷投与実施群 (維持投与量400-600mg/day) の血清中トラフ濃度は3~5日までに11.4μg/mL, 6~8日には17.2μg/mLに達し, 200~400mg投与群 (7.4μg/mL, 12.6μg/mL) に比較し, 両時点とも高い濃度を示した.
    4.菌消失群の血清中トラフ濃度は3~5日までに13.4μg/mL, 6~8日には18.6μg/mLと菌数減少・不変群より高い濃度を示し, 細菌学的効果と血清中トラフ濃度 (6~8日目) の有意な相関が認められた. しかし, 臨床効果と血清中トラフ濃度の関係においては明らかな傾向を認めなかった.
    以上の結果, 外科領域MRSA感染症に対してTEICは3~5日の段階で15μg/mL以上の血清中トラフ濃度を指標とした用法用量により, 高い効果が期待できるものと考えられる.
  • 大城 知子, 佐藤 清冶, 三原 由起子, 高柳 恵, 青木 洋介, 永山 在明
    2006 年 21 巻 1 号 p. 24-29
    発行日: 2006/03/24
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    佐賀大学医学部附属病院において, 緑膿菌の検出率が高い一般・消化器外科病棟で, どのくらいの患者が本菌による感染症を発症しているのか, またそれは交差感染なのかを明らかにする目的で研究調査を行った.
    2000年11月1日から2001年10月31日までの1年間に一般・消化器外科病棟に入院し, 各種臨床検体から緑膿菌が検出された35名の患者とその患者より分離された71株の緑膿菌株を対象とした. 緑膿菌の検出された患者は, 保菌が7名 (7/35=20%), 感染症が28名(28/35=80%) であった. 感染症の様式は,手術部位感染20名(20/28=71.4%), 肺炎7名 (7/28=25%), 尿路感染症1名 (1/28=3.6%) であった. 71株の緑膿菌株についてパルスフィールド電気泳動法(pulsed field gel elctorophoresis; PFGE) によるDNAタイプの解析を行なったところ, 緑膿菌は27タイプに細分化された. この中にはDNAタイプが一致するものがあり, それに基づいて5グループに分けることができ, 交差感染が疑われた. また, 同一患者から検出された緑膿菌は, 検体が異なっても同一のタイプを示すことが多く(p<0.01),内因性感染が考えられた.
  • 中根 香織, 山本 武史, 椎葉 典子
    2006 年 21 巻 1 号 p. 30-33
    発行日: 2006/03/24
    公開日: 2011/01/25
    ジャーナル フリー
    当院救命救急センターでは, 中心静脈カテーテルの初回挿入の多くは初療室で行われている. 挿入時は滅菌手袋と滅菌覆布 (60×60cm) を使用した標準的バリアプレコーションであった. そこでカテーテル関連血流感染の発生率を低減させることを目的として血流感染サーベイランスを実施した. 標準的バリアプレコーションを実施していた期間を前期 (2002年4月1日-6月30日) とし, CR-BSI対策として高度バリアプレコーションを初療室に導入した期間を後期 (2002年7月1日-2004年3月31日) とした. CR-BSI発生率を指標としてカテーテル挿入時のMBPを評価, 検討した. 対象は救命救急センター入室後48時間以上中心静脈カテーテルを挿入している患者とした.
    サーベイランスの結果, CR-BSI発生率は前期10.3/1000, 後期2.3/1000であった. 全米病院感染サーベイランス報告のMajor teaching type of ICUにおけるBSI発生率と比較して, 前期は90パーセンタイルより高値であり, 後期は25パーセンタイルより低下していた. そして前期と後期の感染率をχ 二乗検定を用い比較した結果, 後期は有意に低下しており (p=0.019) MBPの遵守によりCR-BSI発生率は低減できると判断した.
  • 宮原 聡子, 吉田 麻美, 原田 幹子, 安宅 一晃, 光野 典子, 奥山 道子
    2006 年 21 巻 1 号 p. 34-38
    発行日: 2006/03/24
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    中心静脈カテーテル留置に伴うカテーテル関連敗血症 (Catheter related blood stream infection, CRBSI) の重要な原因の一つに三方活栓がある. 今回, 現在使用している保護栓つきの三方活栓 (以下非閉鎖式とする) を, アーガイルセイフアクセスシステムセイフTポート (以下閉鎖式とする) に変更する事により細菌汚染の改善がみられるかを検討した. 当院集中治療室に入室した患者で, 中心静脈カテーテル留置開始後トリプルルーメンカテーテルを使用した症例のうち, 三方活栓を使用してから72時間以上経過した88症例436個の三方活栓を対象とした.
    非閉鎖式39症例169個, 閉鎖式 (死腔あり) 20症例123個ならびに閉鎖式 (死腔なし) 29症例144個の三方活栓について細菌培養を行い, 細菌汚染の陽性率, 検出菌の比較を行った.
    三方活栓全体における細菌汚染度は, 非閉鎖式11.8%の陽性率であったのに対し, 閉鎖式は0.7%と有意に低下した. 閉鎖式で陽性率が低かつた要因として, 外部への開放状態をなくすことにより細菌侵入を防ぐことや, 非閉鎖式に存在するサイドリブの死腔をなくすことで, 菌の増殖を低下させることなどが考えられる. しかし, 閉鎖式を用いても0.7%の陽性率が認められる事から, 閉鎖式を用いるのみでは感染を防ぐ事はできず, 手洗いの励行を初めとする標準的な予防策の徹底や環境整備のあり方, 三方活栓の消毒方法にも目を向ける必要がある.
  • 吉本 静雄, 山平 真弓, 岡内 里美, 鉦谷 久美子
    2006 年 21 巻 1 号 p. 39-44
    発行日: 2006/03/24
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    2000年5月~2005年3月の一般病棟における中心静脈カテーテル関連血流感染 (CRBSI) サーベイランスを閉鎖式輸液回路とマキシマルバリアプレコーション (MBP) の有無により3期間 (非閉鎖式回路期, 閉鎖式回路期, 閉鎖式回路+MBP期) に分け, 各期間のCRBSI感染率の統計学的有意差検定を中心静脈カテーテル (CVC) の留置期間別, 留置部位別にカイ2乗検定を用いて行った. その結果, 非閉鎖式回路期と閉鎖式回路期の感染率は全留置例, 14日未満全留置例, 鎖骨下全留置例, 14日以上鎖骨下留置例, そけい部全留置例では有意差を認めなかったが, 14日以上全留置例 (p=0.040) と14日以上そけい部留置例 (p=0.020) において有意差を認めた.閉鎖式回路期と閉鎖式回路+MBP期の感染率は鎖骨下留置例 (全, 14日以上, 14日未満), 14日以上全留置例, 14日以上そけい部留置例では有意差を認めなかったが, 全留置例 (p=0.007), 14日未満の全留置例 (p=0.024), そけい部全留置例 (p=0.002), 14日未満そけい部留置例 (p=0.027) において有意差を認めた. すなわち, 閉鎖式輸液回路は14日以上長期留置例においてCRBSI感染率を有意に軽減し, MBPは14日未満の短期留置例のCRBSI感染率を有意に軽減した. また, 鎖骨下, そけい部, 頸部の留置部位別検討では, 対策期別, 留置期間別の3留置部位間感染率に有意差は全く認めず, 特に閉鎖式回路+MBP期では鎖骨下とそけい部留置例の感染率にほとんど差は認められなかった.
  • 宮城県内におけるICNネットワークの立ち上げに向けて
    大須賀 ゆか, 土屋 香代子, 伊藤 和子, 菊池 ひで子, 小山田 厚子, 小泉 みどり, 松野 あやえ, 松田 裕子
    2006 年 21 巻 1 号 p. 45-50
    発行日: 2006/03/24
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    宮城県内医療機関で感染管理に携わる看護師のネットワーク構築に向け, 看護師の地域ネットワークへのニーズをあきらかにすることを目的に, 宮城県内147病院の感染管理担当看護師147名を対象に質問紙調査を実施した. 調査内容は, ネットワークの必要性と参加希望, ネットワークの機能である情報の共有・学習の機会・専門家の助言においてニーズが高い感染管理業務, 情報の共有・学習の機会・専門家の助言の具体的な方法とした. 回答が得られた看護師79名中, 71名がネットワークの必要性を感じており, 65名が参加を希望していた. 情報の共有のニーズには, アウトブレイク時の対応, 新興感染症への対応, ICC/ICT活動が認められた.学習のニーズには, 感染防止教育の計画・実施・評価, 新興感染症への対応, リンクナース活動が認められた. 専門家の助言へのニーズには, アウトブレイク時の対応, 感染防止教育の計画・実施・評価が認められた. 情報の共有・学習の機会として, 63名が定期的な集まりを希望していた.希望する学習方法は, 講義形式, 演習, グループワークであった. 希望する専門家の助言方法は, 病院内のラウンドや会議への参加であった. 調査結果より, 感染管理担当看護師の地域ネットワークへのニーズの概要があきらかになった. 調査結果をふまえ, 医療・行政・教育機関が協働し, 宮城県内医療機関で感染管理に携わる看護師のネットワーク活動を展開していく.
  • 山本 満寿美, 千田 好子
    2006 年 21 巻 1 号 p. 51-55
    発行日: 2006/03/24
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    新人看護師の擦式手指消毒のコンプライアンスを高めるために新人看護師61名を対象に, 就職前擦式手指消毒教育を受けた者 (介入群) 3 9名と, 受けなかった者 (非介入群) 22名について, 手指付着菌の減菌率評価と, 看護場面における擦式手指消毒の実施状況を検討した.擦式手指消毒薬の使用後の減菌率は, 手掌, 栂指, 手関節とも介入群の方が高く, 手掌においては有意差を認めた (p<0.05). これは介入群が非介入群に比べ適切な擦式手指消毒を実施しており, 就職前の擦式手指消毒教育の効果があったと考えた. 看護場面における擦式手指消毒の平均実施率は, 介入群が非介入群より有意に高率であった. 中でも, 創傷処置, 静脈血の採血, など侵襲的処置をともなう診療の補助場面における擦式手指消毒の実施率が高かった. このことは, 擦式手指消毒教育を受けた新人看護師の方が, 教育を受けなかった新人看護師よりも, 擦式手指消毒の除菌効果が高いことを理解していたこととも関係していた.
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