環境感染
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21 巻 , 3 号
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  • 清水 正樹, 田端 麻紀子, 平石 徹, 高田 利彦, 疋田 宗生, 石原 和幸, 中川 種昭
    2006 年 21 巻 3 号 p. 155-161
    発行日: 2006/09/28
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    In vitro歯周病関連菌biofilm形成モデルを構築し, 本モデルに対するポビドンヨード (PVP-I) を含む各種含嗽剤の殺菌力を検討した. ポリカーボネイトメンブレン (PCM) 上でActinobacillus actinomycetemcomitans Y4 (ATCC 43718) を単独培養することにより本菌biofilm像が, またA.actinomycetemcomitans Y4, Streptococcus oralis ATCC 10557およびFusobacterium nucleatum ATCC25586を混合培養することにより上記3菌種の混合biofilm像 (共凝集像) が観察され, 本歯周病関連菌biofilm形成モデルの構築が確認された.A. actinomycetemcomitansを1および3日培養することにより形成されたbiofilmに対して0.23%PVP-Iを3分間作用させた場合, 本菌の生菌数変化はそれぞれ-3.59および-3.39 (Δlog10CFU/mL) であり, 本菌biofilmに対するPVP-Iの殺菌力は0.02%塩化ベンゼトニウム (BEC) および0.002%グルコン酸クロルヘキシジン (CHG) と比較して強かった.また本菌biofilmに対して0.23%PVP-Iを1分間×3回/日繰返し作用させた場合, 5日目における本菌の生菌数変化はそれぞれ-4.85および-3.55 (Δlog10CFU/mL) であった.A.actinomycetemcomitans, S. oralisおよびF. nucleatumを1日混合培養することにより形成されたbiofilmに対して0.23%PVP-Iを3分間作用させた場合, 上記3菌種の生菌数変化はそれぞれ≦-3.00, -2.31および≦-1.50 (Δlog10CFU/mL) であり, 3菌種の混合biofilmに対するPVP-Iの殺菌力は0.02%BECあるいは0.002%CHGと比較して強かった. 以上, 歯周病関連菌biofilmに対してPVP-Iが有効であることが明らかとなった.
  • 宮崎 博章, 入江 利行, 素元 美佐, 溝口 裕美, 永山 眞紀
    2006 年 21 巻 3 号 p. 162-167
    発行日: 2006/09/28
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    本邦では, メタロ-β-ラクタマーゼ (MBLs) を獲得した緑膿菌が多くの病院で検出され, 院内感染として社会的に問題となっている. 当院では, 2002年初めから, MBLsを産生する多剤耐性緑膿菌の院内感染を経験した. カルバペネム薬の過剰使用と長期投与, さらに, 不十分な院内感染対策が, この原因の一つと判断して, 2003年1月より, ICT (infection control team) が中心となり, 抗菌薬適正使用を目的として, 抗菌薬管理システム ((1) 院内適正使用ガイドラインの作成,(2) カルバペネム薬の使用制限,(3) 使用期間の制限,(4) 使用状況の情報開示) を構築, 実施した. また, 同時にCDCのガイドラインに準じた院内感染対策を開始した. カルバペネム薬使用量AUD (antimicrobial use density) はシステム実施前22.5±4.0 (2002年) から, 実施後9.3±1.3 (2003年), 5.9±0.9 (2004年) と有意に減少した (p<0.01).また, imipenem (以下IPM) に対する耐性率は, 実施前20.5%から, 実施後13.8%, 5.7%と耐性率は有意に低下した (p<0.01). また, 多剤耐性緑膿菌の検出率も実施前5.1%から, 実施後1.7%, 0.7%に有意に低下した (p<0.01). カルバペネム薬の使用量の削減と使用期間の制限により, IPM耐性緑膿菌と多剤耐性緑膿菌の検出率を低下させた. ICTが抗菌薬管理を運営することで, カルバペネム薬の削減が可能となり, 多剤耐性緑膿菌の院内感染をコントロールできる可能性が示唆された.
  • 森山 和郎, 登坂 直規, 三村 敬司, 都倉 昭彦, 砂川 富正, 中島 一敏, 谷口 清州, 岡部 信彦
    2006 年 21 巻 3 号 p. 168-174
    発行日: 2006/09/28
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    2004年2月から8月に, A病院入院患者において24名からVanB型バンコマイシン耐性Enterococcusfaecium (以下VRE) が便培養検査にて分離された. VREによる感染症と診断された者はいなかった. 全症例の分離株の分子疫学的解析の結果から, 全例同一の起源に由来するVRE株による院内感染事例と考えられた. VREの伝播経路, 保菌の危険因子同定のため, 施設の観察・聞き取り調査や症例対照研究を実施した. 多くの症例間は直接接触が無く, 医療従事者のみが日常的に接していた. VRE集団分離前の, 標準予防策, 接触感染予防策は一部に不徹底が認められ, おむつ交換などの患者処置時に医療従事者の手指・着衣を介した伝播が発生していたと考えられた. また, 床面を直接這う等の行為により, 汚染された病室環境を介して伝播が発生した可能性が強く疑われる症例も認められた. 症例対照研究結果から, 特定の病棟を中心に伝播が起こったと考えられた. また95%の症例で認められた「VRE検出前・1ヵ月間の抗菌薬使用歴」は多変量解析で境界域の関連 (オッズ比7.5, p=0.081) となったが, 単変量解析では有意に強い関連が認められ (オッズ比8.9, p=0.013), 保菌の危険因子の可能性が示唆された. VRE拡大防止上, 標準予防策, 接触感染予防策の強化が必要と考えられた. また床面を手などで直接触れる患者がいる状況では, 床面の便汚染予防や清掃消毒も必要と考えられた. また抗菌薬投与患者における注意深いVRE感染予防と監視の重要性が示唆された.
  • 寺田 喜平, 黒川 幸徳
    2006 年 21 巻 3 号 p. 175-179
    発行日: 2006/09/28
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    病院改修時にアスペルギルス胞子が舞い上がり, 入院中免疫抑制患者に侵襲性アスペルギルス症の増加が報告されている. 2002年11月より当院の改築が開始となったため, サーベイランス方法について検討を行った. 第1回アスペルギルス抗原の検討では1999年前半から2002年前半まで抗原粗陽性率は4%以下であったが, 2002年後半7.6%, 2003年前半14.3%と増加した. 入院診療録から抗原陽性となった免疫抑制患者数を検討したが増加を認めなかった. 2002年9月から検査法が凝集法からELISA法に変更され, 感度の増加が原因と考えられた. 第2回は同一患者からの重複検体を除外し, 患者陽性率を調査した. 2004年前半3.5%, 後半3.2%, 2005年前半6.3%と増加していた. また血液内科の入った病棟で増加を認め, 病棟の実地調査からクリーンルーム移動に際した病棟内工事との関連が疑われた. 侵襲性肺アスペルギルス症患者は幸い発生せず, ターミナル患者においてアスペルギルス抗原が陽性化した. その後院内での啓発と病棟での対応についてマニュアルを作成した. アスペルギルス抗原陽性率のサーベイランスと実地調査が有効な方法であると考えられた.
  • 木津 純子, 土屋 雅勇, 小林 典子
    2006 年 21 巻 3 号 p. 180-184
    発行日: 2006/09/28
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    注射剤の混合業務は, 中心静脈栄養 (IVH) の調製を中心に増加の一途をたどっている. 感染制御の上から, IVHなどは薬剤師がクリーンベンチ内で, 抗悪性腫瘍剤は安全キャビネット内で無菌的に混合調製する重要性が叫ばれている. 今回, 医療施設にアンケートを送付し, 注射剤混合業務に関する実態調査を実施した. アンケート項目は, クリーンベンチ・安全キャビネットの設備状況, 主に混合調製を行っている医療スタッフ, 混合時の服装, IVH投与時および混合調製時のフィルタ使用の有無およびフィルタの種類などとし, 118施設より回答が得られた. クリーンベンチは94.1%, 安全キャビネットは71.2%の施設に設置されており, その大半は薬剤部内に設置されていた. しかしながら, IVH, 抗悪性腫瘍剤, その他の注射剤の混合調製のいずれも, 看護師により設備の整っていない環境下で実施されている率が高いことが認められた. また, 混合時の服装についても, 薬剤師においては無塵衣, 手袋, マスク, 帽子ともに70%以上の着用率であったが, 薬剤師以外においてはいずれも着用率が低いことが認められた.また, IVH投与時のインラインフィルタの使用率は79.7%であり, 混合調製時のメンブランフィルタの使用率は49.4%であった. 今後, 感染制御の面から, 薬剤部内の設備を活かし, 薬剤師による混合調製を推進していく必要があると考える.
  • 畑中 重克, 門谷 美里, 高橋 陽一, 小泉 祐一
    2006 年 21 巻 3 号 p. 185-190
    発行日: 2006/09/28
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    1996年4月より2004年11月まで約8年間の針刺し・切創報告について, EPINet日本版 (以下エピネット) 報告書式に記入されたデータを, 当院独自のソフトで入力・分析し, 月別・職種別. 経験年数別・場所別・原因別・器材別の件数や割合を求め, それらと針刺し・切創のリスクとの関連性について検討した. 発生件数の年次推移は, 年々減少した. 特に使い捨ての注射器の針での針刺しが減少しており, 2001年に導入した安全装置付き血液ガス採血セットの効果があったと判断できた. 発生場所別では病室が最も多かった. 器材別では使い捨ての注射器の針が最も多く, 次いで翼状針の順であった. 原因別では, “リキャップ時”が最も多く, 次いで“廃棄するまで”の順であった. しかし, 年次推移を見ると, 総件数のうち“リキャップ時”の占める割合は減少傾向を示し,“廃棄するまでの間”の占める割合は増加傾向を示し, リキャップ禁止が定着しつつある現状で, 病室は針の使用頻度が多いにもかかわらず針廃棄容器が近くになく, すぐに廃棄できない状況がうかがえた. 今後針の種類に適した廃棄方法の確立とその定着化が必要であると思われた. 針刺し・切創報告の集計公表は, 実施してきた事故防止対策の長期的な検証に効果があった. 一方, 受傷職員のHBs抗体保有率が低いことも露呈し, 予防対策の構築が急務であった.
  • 院内情報紙を使った情報共有化の有用性
    中居 肇, 吉田 泰憲, 佐藤 幸緒, 平野 佐和子
    2006 年 21 巻 3 号 p. 191-196
    発行日: 2006/09/28
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    当院では, 以前よりセフェム薬の使用割合が多く, 全体の使用量の約半数を占めていた. そこで, 病棟別使用割合を作成し院内感染対策委員会で協議した結果, 院内情報紙を全セクションに発行して情報を共有化することとした. その結果, 抗菌薬総使用量及びセフェム薬の使用割合は減少し, ペニシリン薬の使用割合が増加した. また, S. marcescensに対するフロモキセブとセフタジジムの耐性株検出数は減少し, P. aeruginosaに対するセフタジジムとイミペネムの耐性株検出数も減少した. 院内情報紙発行による院内全セクションにわたる情報の共有化は, 抗菌薬の適正使用と薬剤耐性菌の検出減少に有用な方法の一つと考えられる.
  • 佐多 照正, 常磐 光弘, 岩下 佳敬, 石田 和久, 末田 英志郎, 古賀 淳子, 立石 繁宜
    2006 年 21 巻 3 号 p. 197-199
    発行日: 2006/09/28
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    当院では自己導尿カテーテルの消毒潤滑液として1%ポビドンヨードグリセリン液 (PVIG) を採用してきたが, カテーテルへの着色や, 挿入時の刺激等の改善を目的とし, 0.025%塩化ベンザルコニウム含有グリセリン液 (BZCG) に全面切り替えとなった. BZCGの臨床ならびに抗菌力の同等性を検討したところ, BZCG導入後5ヵ月間で, 患者から刺激痛やカテーテルへの着色の訴えは聞かれなかった. また, 尿路由来の発熱症状が見られた患者数はBZCG導入前では, 12名中5名であったが, 導入後では12名中1名のみであった. また, 尿からの菌検出件数は導入前が8件提出中4件検出し, 導入後は3件提出中1件検出した. 抗菌薬の使用は導入前が3名に対し, 導入後は1名であった. 一方, BZCGとPVIGの15分作用における抗菌活性を比較すると, すべての供試菌においてほぼ同等の活性を示した. 以上よりBZCGとPVIGはほぼ同等の抗菌効果があることが確認できた. PVIGが院内製剤であることを考えると, 既製品のBZCGは自己導尿カテーテル使用患者への消毒潤滑液として有用であることが考えられた.
  • 小林 寛伊, 大久保 憲, 木津 純子, 藤井 昭, 朝野 和典, 尾家 重治, 賀来 満夫, 三宅 寿美, 新井 晴代, 坂本 史衣, 辻 ...
    2006 年 21 巻 3 号 p. 200-208
    発行日: 2006/09/28
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    全国の臨床研修指定病院638施設を対象として, 2004年10月に病院感染制御の体制や取り組みに関する有記名・自己評価記入式の調査を実施した. 質問項目は, 病院の規模や職員数, 医療機能評価機構の認定の他に, 1) 病院感染制御の組織体制, 2) 病院感染サーベイランス, 3) 感染経路別予防策, 4) 針刺し対策, 5) 病院食の衛生管理, 6) 医療廃棄物の処理, 7) カテーテル関連感染症対策, 8) 洗浄・滅菌業務, 9) 抗菌薬の使用法, 10) 手術室・ICUにおける感染制御, 11) 職業感染制御, 12) 病院感染制御に対する職員意識, 13) 病院感染制御の問題点, などであった. 446施設 (69.9%) から回答が得られた. ほとんどの病院が感染対策委員会を設置しており, 4分の3が感染対策チームを組織していたが, 感染制御担当者が感染制御の実務に充当する時間は限られていた. 医療機関が対応に苦慮している感染制御は, 「病院感染サーベイランス」, 「耐性菌保菌者の隔離」, 「カテーテル由来血流感染症の対策」, 「適切な洗浄・滅菌」, 「適切な抗菌薬使用のコントロール」, 「職員のインフルエンザ予防接種」などであった. また, 手術室やICU入室時の靴の履き換えなど, 現在必要とされなくなった感染制御も, 依然として高率に実行されていた. 効果的な病院感染制御の実施には, 感染制御専任者や専門的知識を持ったスタッフの確保を始めとする, マンパワーの問題を早急に解決する必要がある.
  • 前崎 繁文, 松本 千秋, 山崎 勉, 山口 敏行, 岡 陽子
    2006 年 21 巻 3 号 p. 209-215
    発行日: 2006/09/28
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    埼玉県下の社会福祉施設307施設 (特別養護老人ホーム199施設, 介護老人福祉施設108施設) および医療施設499施設 (有床診療所139施設, 病院360施設) を対象に院内 (施設内) 感染対策に関してアンケート調査を行った. その結果, 院内 (施設内) 感染対策委員会の設置など体制に関しては医療機関の多くで整備されていたが, 社会福祉施設では半数近くの施設で設置されていなかった. 職員の教育・研修に関しても社会福祉施設では医療機関に比して不十分であったが, 栄養課の職員に関してはほぼすべての社会福祉施設で行われていた. 職員の肝炎ウイルス抗体検査は社会福祉施設でも行われていたが, B型肝炎ワクチンの実施に関しては特別養護老人ホームで9%, 介護老人福祉施設で14%と極めて限られた施設であった. また, 速乾式擦り込み手指消毒薬の設置に関しては病院では247施設 (91%), 有床診療所では73施設 (90%) と多くの施設で設置されていたが, 特別養護老人ホームでは65施設 (41%), 介護老人保健施設では35施設 (41%) と半数以上の施設では設置されていなかった. 以上の結果から今後は社会福祉施設においても適切な施設内感染対策が行われることが必要であり, そのためには地域のネットワークを利用した院内 (施設内) 感染対策の実施が不可欠と考えられた.
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