環境感染
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22 巻 , 1 号
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  • 阪口 勝彦, 野田 明宏
    2007 年 22 巻 1 号 p. 1-6
    発行日: 2007/03/30
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    グルタラール使用時に呼吸器用保護具として使用されるマスクに注目し, その有効性を検証した. まず, 消毒作業時のマスク装着状況を調べるために, 和歌山県下の45施設を対象にアンケート調査を行った. その結果, マスク装着率は51.6%, また使用マスクの68.8%はディスポーザブルのサージカルマスクであった. 次に, 有効性を調べるために数種類のマスクを対象に, 国家検定規格試験方法に準じて除毒能力試験及び呼気抵抗試験を行った. 除毒能力試験の結果, G-7型防毒マスクは約172時間, 活性炭繊維使用のMS-51防臭マスクは約33時間, また活性炭シート使用のKM-E200防臭マスクは約50分間厚生労働省が示しているAGの環境濃度 (0.05PPm以下) を維持できたが, サージカルマスクは有効性が認められなかった. 呼気抵抗試験の結果, G-7は80Paと通気抵抗が高い値を示したが, MS-51は13Pa, KM-E200は11Pa, サージカルマスクは5Paと低い値を示し, 通気度が高いことが判った.さらにフィット性を調べたるためにマンテストを行った. マンテストの結果, 顔のカーブに合った立体接顔型のMS-51が最もフィットに優れていた. 以上の結果から, 特殊処理活性炭繊維で顔のカーブに合った立体接顔クッションを使用したマスクは手軽に使用でき, フィット性も良く, GAに対する防御能に優れていることが判った.
  • 吉本 静雄, 山平 真弓, 岡内 里美, 鉦谷 久美子
    2007 年 22 巻 1 号 p. 4-18
    発行日: 2007/03/30
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    2000. 5.~2005. 12.の尿道留置カテーテル関連尿路感染 (CRUTI) サーベイランス期間の感染率を, 留置日数別 (1~5日, 6~10日, 11~30日, 31日以上) および留置境界日数 (3, 5, 7, 10, 14, 17, 20日) 以内の短期留置例と境界日数を超える長期留置例別に集計し, さらに, 2000. 5.-2006. 4.の全留置例について, 留置時尿培養陽性例と陰性例に分けて感染率を算出して各感染率の統計学的有意差検定を行った. 総カテーテル日数は7151, 総カテーテル数は889本. 45本が感染判定され, 感染率は6.29であった. 留置日数と感染率は1-5日: 2.73, 6~10日: 3.56, 11~30日: 8.35, 31日以上: 8.47で, 6~10日から11~30日への感染率の上昇が顕著であった.境界日数による短期例・長期例の感染率は, 3日: 0・7.04, 5日: 2.73・7.20, 7日: 2.81・7.77, 10日: 3.14・8・39, 14日: 4.22・8.33, 17日: 5.69・7.14, 20日: 5.50・7.83であり, 境界日数14日までの感染率に有意差を認めた. 留置時培養陽性例と陰性例の感染率は各々18.69, 7.07であり, 陽性例の感染率が有意に高かった (P: 0.0074). 以上より, 尿道留置カテーテルは14日以内に留置を中止することがCRUTIを最小限に抑制するためには必要であり, CRUTIサーベイランスによるCRUTI対策の評価にはカテーテル留置時の尿培養結果を考慮することが必要である.
  • 上村 桂一, 源馬 均, 中山 貴美子, 佐藤 雅樹, 毛受 百合, 鈴木 健之
    2007 年 22 巻 1 号 p. 7-12
    発行日: 2007/03/30
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    インフルエンザは感染力が強く, しばしば病院内で流行するため, その院内感染対策はきわめて重要である. 今回, 我々は病床数400の急性期型総合病院において, 2002年秋から2005年春までの3シーズン中のインフルエンザ院内感染を調査し, 現状の把握を行った. 2002年秋から2005年春までの全シーズンにおいて, 入院中にインフルエンザと診断された患者は50例であり, うち37例 (74%) が院内感染と考えられた. 50例の発症から診断までの日数を調査した結果, 34例 (68%) が発症当日または発症翌日に診断されていた.しかし, 38℃ 以上の発熱で発症した25例と発症時の体温が38℃ 未満の25例を比較したところ, 発症時に38℃ 未満だった群は診断が遅れる傾向にあった. 院内感染の37例中, 11例 (30%) で感染源を推定できたが, 残りの26例 (70%) では感染源不明であった. インフルンザと診断された患者の同室者162名中, 抗インフルエンザ薬の予防内服をなしえた78名では, インフルエンザの発症を認めなかったが, 予防内服できなかった84名のうち2名にインフルエンザが発症した.インフルエンザは発症直後の症状の乏しい時期でも感染源となりえること, くわえて発症当日の迅速診断検査は3割程度が偽陰性を示すので, 早期診断, 早期隔離だけの院内感染対策では, 不十分であろう. 入院患者がインフルエンザに暴露する機会を減少させ, 暴露後の予防内服を推奨する具体的方策が必要と思われた.
  • 和田 陽子, 白井 美紀, 大崎 角栄, 金沢 宏, 吉川 博子
    2007 年 22 巻 1 号 p. 19-22
    発行日: 2007/03/30
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    心臓血管外科手術症例を対象とした手術部位感染 (SSI) サーベイランスの結果を基に, 2000年から剃刀を使用した術前剃毛から電動クリッパーを使用した除毛への変更や当日除毛の施行等を実施し, SSI発生の減少に有効な結果を示してきた.2001年10月より消毒薬を使用したスクラブ法によるシャワー浴 (以下薬液シャワー浴とする) を開始し, 心臓大血管手術と人工血管使用血管手術症例を対象としたSSIサーベイランスの結果をもとに術前薬液シャワー浴の効果について検討した.薬液シャワー浴開始前後のSSI発生率を比較すると, 薬液シャワー浴開始前 (2001年4月から9月) は9.5% (手術件数74件, SSI発生数7例) であったが, 薬液シャワー浴を開始してから (2001年10月から2002年9月) は4.8% (手術件数186件, SSI発生数9例) となった.また薬液シャワー浴を対象者全例で手術当日朝の実施に変更した2002年10月から2004年4月までのSSI発生率は3.7% (手術件数328件, SSI発生12例) となり, 薬液シャワー浴開始前のSSI発生率と比較し有意に低下した (P=0.034).以上の結果より, 術前における薬液シャワー浴はSSI発生の予防に有効であることが示唆された.
  • 島田 憲明, 岡村 央, 渡部 江津子, 清水 彩加, 三浦 邦久
    2007 年 22 巻 1 号 p. 23-27
    発行日: 2007/03/30
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    内科入院患者を対象にrisk factor surveillanceを行い, MRSAを検出する危険性の高い患者の推定を試みた.2002年10月から2006年1月までの40ヵ月間に当院内科病棟からハイリスク報告された1005例を対象とした. ハイリスク報告患者1005症例中153症例 (15.2%) からMRSAを検出した. 年齢が59才以下では検出率は8.6%であったが, 80才以上では21.6%と高値を示した. リスク別のMRSA検出率は0-37.5%であった. 該当患者数が100名以上のリスクではIVH挿入, 抗菌薬使用, 尿道カテーテル留置の各リスクを有する患者でMRSA検出率が高値であった. MRSA検出症例153症例中107症例 (69.9%) が抗菌薬の投与を受けており, ペネム系, ペニシリン系抗菌薬の投与を受けた患者で検出率が高値であった. MRSA検出患者の平均リスク数は2.46, MRSA非検出患者の平均リスク数は1.54で複数のリスクを持つ患者ではMRSA検出率が高値であった. 以上の結果より80才以上の高齢者, IVH挿入患者, 尿道カテーテル留置患者, 抗菌薬投与患者, および複数のリスクを併せ持つ患者ではMRSA検出危険度が高く, これらの患者についてICTはより厳重に監視していく必要がある.
  • 今村 豊, 山下 葉子, 因幡 美津子, 石橋 和重
    2007 年 22 巻 1 号 p. 28-32
    発行日: 2007/03/30
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    MR02B2 (0.5w/v%グルコン酸クロルヘキシジン (CHG) 含有エタノール製剤) の手指消毒効果を医療従事者に対して, WU (0.2w/v%CHG含有エタノール製剤: ウエルアップ) を対照とし, グローブジュース法により比較検討した. 消毒直後の指数減少値は, MR02B2群1.801±0.938, WU群1.688±0.906であり, 両群とも十分な消毒効果を示し, 2群間に有意差は認められなかった. 消毒6時間後では, MR02B2群1.598±1.078, WU群0.955±0.784であり, 2群間に有意差が認められ (p<0.0001), MR02B2は消毒6時間後においてWUよりも優れた消毒効果を示した. 消毒後の菌種同定の結果, MR02B2群, WU群において最も多く検出された菌種は, 消毒直後, 消毒6時間後ともにBacillus speciesであった. MR02B2はWUと比較し, 手指消毒直後に同程度の消毒効果を有すると共に, 優れた持続効果が認められ, 病棟・病室での手指消毒に加え, 特に持続効果が要求される手術時の手指消毒に対しても有用な消毒薬であると考えられた.
  • 萱沼 保伯, 奥住 捷子, 吉田 敦
    2007 年 22 巻 1 号 p. 33-36
    発行日: 2007/03/30
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    獨協医科大学病院では, カルバペネム薬の届出制や許可制を導入していないが, Infection Control Team (ICT) により, 造血器疾患などの抗菌薬ガイドラインを見直すことにより, 使用量が2005年10月を境に大幅に減少した.抗菌薬使用量比較指標としての抗菌薬使用密度 (Antimicrobial Use Density: AUD) は, 2003年度前期 (4月~9月) では29.12だったが, 2005年度後期 (10月~3月) は17.05となり, 現在も減少している. また, 抗菌薬ガイドラインの見直しによる適正使用と使用量の減少により, 緑膿菌検出率の減少傾向が認められた. 以上より, カルバペネム薬の適正使用に対するICT活動の効果があったと思われる.
  • 中居 肇, 田村 健悦, 平賀 元, 古川 卓哉, 伊藤 宏彰, 舘 幸子
    2007 年 22 巻 1 号 p. 37-40
    発行日: 2007/03/30
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    各医療施設において抗菌薬適正使用の推進は, 感染対策の重要な課題であり, 地域としての取り組みも重要である.八戸市では2003年より細菌感受性動向調査連絡協議会が発足し, 活発な意見交換がおこなわれている.収集するデータの各項目や表示形式などについては, 統一の必要性から統一データシートを作成した.その結果, 各施設における抗菌薬の使用動向が評価しやすくなり, 薬剤細菌感受性率についても耐性化の傾向が明確となった.また協議会で検討された内容については, 各施設の院内感染対策委員会に報告し, 地域における現状の理解を深め, 問題提起となる情報提供となった. 地域ネットワークを構築していくためには, 地域全体で感染に関する様々な情報を共有化していくことが重要である.
  • 学習機会, 所属機関, 訪問看護経験年数による比較
    小松 妙子, 滝内 隆子, 前田 修子
    2007 年 22 巻 1 号 p. 41-45
    発行日: 2007/03/30
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    在宅における感染管理に関する教育プログラムを開発するための資料を得る目的で, 訪問看護従事者を対象に在宅における感染管理に関する学習の現状と要望について質問紙調査を実施し, 訪問看護に従事してからの在宅における感染管理に関する学習機会の有無, 所属機関, 訪問看護経験年数で比較・分析した. 結果, 学習機会のある者は約7割で, 所属機関や訪問看護経験年数の相違に関係なぐ学習方法はカンファレンスの割合が最も高く, 学習媒体の使用頻度はビデオ等の視聴覚教材より書籍の方が高かった. 学習方法への要望は, 学習機会の有無, 所属機関や訪問看護経験年数の相違に関係なく研修会, 学習媒体への要望では, 在宅向けの書籍が最も高かった. このことから学習方法としては研修会やカンファレンス, 学習媒体としては在宅向けの感染管理に関する書籍等の作成を考慮して在宅における感染管理に関する教育プログラムを開発する必要性が示唆された.
  • 宇佐 美恵
    2007 年 22 巻 1 号 p. 46-51
    発行日: 2007/03/30
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    手指衛生教育の資料として看護ケアに伴う手の細菌汚染度のデータをとることによって, 通常の手指衛生教育以上に, 看護師および介護職員の看護ケア後の手指衛生の実施頻度, 実施方法を改善するかどうかを検討した. 療養病床に勤務する対象者に, 1回目は通常の資料, 2回目は看護ケアによる細菌汚染度のデータを示す資料を用いた2回の手指衛生教育を行い, その前後での手指衛生施行状況を調査した. 2回目の教育は, 期待とは異なり効果が認められなかったが, これまでの手指衛生の改善を目的とした研究報告が, その効果の長期の持続を認めなかったのとは異なり, 4ヵ月間にわたって効果が持続した. この理由としては, 手指衛生についての認識不足が改善したことと, この間5回の調査を行ったこと自体が動機付けになったことが考えられる (ホーソン効果). 2回目の教育効果が認められなかった理由としては, 細菌データを効果的に教育に活用できなかった問題があげられるが, 手指衛生を実施しやすい環境での手指衛生実施率が90%と高い実施率であったことから考えると, 改善を期待するには手指衛生教育とともに, 手指衛生のための施設の改善が必要であることが考えられた. さらに, 看護師の手指衛生実施率に及ばなかった介護職員の手指衛生実施率を改善するためには, 看護ケアを支える基礎教育を, いかに充実させるかが今後の課題である.
  • 石井 誠一, 佐藤 成, 國島 広之, 位田 剣
    2007 年 22 巻 1 号 p. 52-56
    発行日: 2007/03/30
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    医学科の学生が臨床実習に参加する際, 感染対策に係る技能は必須の能力であり, 昨今の診療参加型臨床実習の推進にともないその重要性は増している. 全国の医学部 (医学科) 学生に課されている臨床実習開始前の共用試験のうち, 技能評価を行う客観的臨床能力試験 (OSCE) では感染対策は外科系手技の一部として扱われている.しかし, 実際にOSCEで外科系手技の中から感染対策に関する課題を採用している大学は少数に留まっている.今回, 医学科学生の臨床実習中の医行為経験頻度と各医行為に対する重要性認知度等を検討するため, 平成16年度の臨床実習を修了した東北大学の医学科学生と学生教育を担当した大学病院全科の指導主任教員を対象として, 質問紙法による調査を行った.その結果, 感染対策は診療科の専門性に関わらず臨床実習における経験頻度, OSCE課題に取り上げるべき必要性の認知度ともに高かった.病院感染対策は知識のみでなく技能として習得し実践することが必須であるため, 医学科学生の臨床実習開始前教育に手指衛生等の実技教育を積極的に取り入れるべきであり, OSCEの課題としても採用することが望ましいと考えられた.
  • 山内 勇人, 濱田 樹里, 佐伯 真穂, 猪野 元由美, 河野 恵, 大西 誠
    2007 年 22 巻 1 号 p. 57-60
    発行日: 2007/03/30
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    感染源として想定した標的に蛍光塗料を塗布し, その検出に携帯用のブラックライトを用いることで, 手指を介した塗料の空間的拡散の様子を視覚的に直接確認できる方法を考案した. 基礎実験として, 手指に塗布した塗料が連続接触によって, 減弱しながら伝播する様子を確認した.また, 別の被験者が汚染部位を触れることで, 更なる連続した接触も証明でき, 交差伝播のモデルとなり得ると考えられた. 汚染源と仮定して塗布した塗料は少なぐとも3時間は残存しており, 一度付着した塗料は72時間後まで検出可能であった. 本法の実用例として, トイレ洗浄レバーへ塗布しておいた塗料が, トイレ利用により手すりや内鍵へ伝播した状態を検証し得た. 視覚的に汚染部位を検出することで, 汚物処理などの様々な処置工程や感染管理上問題となるドアなどのハード面での問題を検討する上で有用であり, 重点的に清掃・消毒すべき箇所も一目瞭然となる. 本法は, 現場に適した感染対策を展開すると共に, 接触感染, 感染伝播の防止を教育する上で有用であると考えられる.
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