環境感染
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4 巻, 2 号
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  • 小張 一峰
    1989 年 4 巻 2 号 p. 1-6
    発行日: 1989/11/01
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
  • 細菌遺伝学と疫学マーカー: その1
    坂崎 利一, 三木 寛二
    1989 年 4 巻 2 号 p. 7-10
    発行日: 1989/11/01
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
  • 鈴井 勝也, 石川 周, 品川 長夫, 由良 二郎
    1989 年 4 巻 2 号 p. 11-17
    発行日: 1989/11/01
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    経中心静脈高カロリー輸液管理における感染予防対策として, 輸液用フィルターの効果, カテーテル刺入部の管理方法, カテーテル刺入部に使用したポビドンヨードゲルの効果について検討した. 輸液用フィルターの培養成績ではボトル側で25.8%に菌を検出したが, 患者側では2%前後に減少し輸液用フィルターの除菌効果が認められた. フィルターよりの分離菌種は真菌, グラム陽性球菌が大半を占めた. 三方活栓よりの薬液の注入の回数と菌検出率の間には著明な関係は認めなかった. また抗生物質の使用により菌検出率の低下も認めなかった. カテーテル先端培養では42例中3例 (7.1%) に菌を検出し, この中で2例が菌血症様の症状を示した. カテーテル刺入部皮膚の培養では18%に菌を検出しグラム陽性球菌, 真菌がその多くを占めた. カテーテル刺入部に用いたポビドンヨードゲルの濃度測定では, その色調が薄くなるにしたがって残存濃度が低下し, 菌検出率が上昇していた. 我々の施設での経中心静脈高カロリー輸液施行法によるCatheter Sepsis Frequency Indexは1.09ときわめて良好な成績を示した.
  • 山添 喜久雄, 岩井 紀代身, 安田 公夫, 水上 勇三, 渡辺 邦友, 上野 一恵
    1989 年 4 巻 2 号 p. 19-23
    発行日: 1989/11/01
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    日常手指消毒剤として当院で繁用されているイルガサンDP300含有薬用石けん (グリンス®) と, 各種の薬剤との消毒効果の比較を目的として, 各種消毒剤の単回手洗い後の除菌効果と, 看護業務中に作業と手洗いを順次繰り返した場合の効果について検討した. 単回手洗いの検討ではグルコン酸クロルヘキシジンのべースン法 (ヒビテン®) やスクラブ法 (ヒビスクラブ®), また塩化ベンザルコニウムアルコールのラビング法 (ウェルパス®) に良好な除菌効果が認められた. グリンス®では被験者間で効果のバラツキがあった. 作業と手洗いを繰り返した検討では, ヒビスクラブ®に除菌効果の持続性が認められた. ウェルパス®やグリンス®には効果の持続性は観察されず, この2剤の手洗い後の細菌数はほほ同様であった. 臨床現場で消毒剤の評価を試みた結果, 使用感に問題点はあるがヒビスクラブ®に高い有用性が認められ, グリンス®はウエルパス®とほぼ同等の除菌効果を有し使用感の良い薬剤であった.
  • 高橋 孝行, 松本 文夫, 増田 久子, 高崎 中夫, 谷藤 正明, 坂上 吉一, 横山 浩
    1989 年 4 巻 2 号 p. 25-31
    発行日: 1989/11/01
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    臨床材料から分離されたMRSA19株を用いて, in vitroで各種消毒剤の殺菌力を比較した.殺菌力は塩化ベンザルコニウム (BAC) およびポビドンヨード (PVP-1) が強く, グルコン酸クロルヘキシジン (CHG) およびアルキルジアミノエチルグリシン (TG) は弱かった.BACにエタノール (10~30%), または炭酸ナトリウム (0.01%) を添加することにより, 殺菌力は大幅に増加した.
    今回の殺菌力試験の結果より, 消毒剤によるMRSAの感染防止対策として, 次のことが考えられる.
    1. 手指消毒剤としてBACを単独で用いる時は濃度0.25-0.5%が, またBAC濃度を0.1%で用いる時はエタノール濃度を30%添加することが必要である.
    2. 院内環境消毒剤および医療器具の消毒剤として, BACを単独で用いる時は濃度0.25-0.5%が, またBAC濃度を0.1%で用いる時は炭酸ナトリウム (0.01%) を添加することが必要である.
    3. 創傷部位および手術部位の消毒にはPVP-1が適当なものと考える.
  • 松本 哲朗, 田中 正利, 野間 秀哉, 熊澤 淨一
    1989 年 4 巻 2 号 p. 33-38
    発行日: 1989/11/01
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    泌尿器科領域における術後感染症の実態調査を行い, 以下の結論を得た. 泌尿器科手術後の尿路感染は3.5%, 創感染は1.7%の頻度で発生し, 術後尿路感染症は腎盂形成術, VUR防止術, 内尿道切開等のカテーテル留置期間の長い手術に多く, 分離菌はEnterobacterspp.が主であった. 創感染は根治的膀胱全摘除術後にもっとも多く認められ, 腸管利用尿路変更術との関連が考えられた.創感染分離菌はBacteroidesspp.を主体とする嫌気性菌と好気性グラム陽性球菌が大部分を占めた. 根治的膀胱全摘除術兼腸管利用尿路変更術においては, 術前腸管処理をKanamycin内服からTobramycinとVancomycinの内服へ変更したところ, 術後感染を撲滅しえた. この腸管処理法においては, 腸内細菌叢としての嫌気性菌と, Pseudomonasspp.およびCandidaspp.を除く好気性菌を減少させえた.このことが, 術後創感染の制御に関連したものと思われた.
  • 草地 信也, 炭山 嘉伸, 宮崎 修一
    1989 年 4 巻 2 号 p. 39-44
    発行日: 1989/11/01
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    最近, 消化器手術後のMRSA感染症が急増していることから, 入院患者, 医療従事者, 患者周囲からMRSAを検索し, その感染経路を検討した. 当教室で1987年9月より1988年2月までに経験したMRSAによる術後感染症例は22例で, 初期には同菌による感染性腸炎がほとんどであった. このうち9例は同時期にリカバリー室で治療を受けており, これらの症例から分離されたMRSAはいずれもコアグラーゼII型, エンテロトキシンC型, TSST-1を産生し, ファージ型はNTであったことから院内感染が考えられた. そこで医師, 看護婦, 入院患者の鼻粘膜からMRSAを検索したところ, 7-33%の保菌者が認められた. しかし, これらから分離されたMRSAの性状は患者のそれとは必ずしも一致しなかった.そこで82例の手術症例の入院時, 手術前, 手術後に鼻粘膜からMRSAを検索したが, MRSAによる術後感染症は必ずしも保菌者から発症していなかった. そこで, リカバリー室からMRSAを検索したところ, MRSAによる術後肺炎患者の在室しているときには, 患者周囲のシーツ, カーテン, 空中からMRSAが検出され, 同室患者の鼻粘膜からも本菌が検出された. また, これらの菌の性状が一致したことから, 患者を介した院内感染の可能性が示唆された. そこでMRSA患者は隔離し, 医師・看護婦はマスク, 帽子, 手袋を着用し, 処置後の手洗いの励行とともに, 病室の滅菌に努めたところ, 術後MRSA感染症, 特にMRSAによる感染性腸炎は激減した.
  • 川口 眞理子, 大塚 邦子, 宮崎 修一, 五島 瑳智子
    1989 年 4 巻 2 号 p. 45-52
    発行日: 1989/11/01
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    病院内には感染に対する抵抗力の弱い, いわゆるcompromisedhostが多く, 医療行為による感染の機会が多い.また院内感染で問題となる菌種も年次的に変貌している.このような現状において術後感染の感染経路を把握することは, 院内感染防止対策上重要である.今回, 消化器疾患病棟において, 手術施行後Pseudomonas aeruginosaおよびP. aeruginosaStaphylococcus aureusの混合感染を起こした患者の身体由来の材料, 排泄物, リネン, 床, 手洗い場等の周囲の環境および関連する医療従事者を対象に細菌調査をし, 疫学的に検討を行った.
    P. aeruginosa感染のケースは, 患者の創部と痰, 医師1名の鼻腔から, 血清型, 薬剤感受性が同じ性状のP. aeruginosaが検出され, 感染経路として医師の鼻腔が原因となっている可能性が考えられた.
    P. aeruginosaS. aureusの混合感染のケースでは, 創部, 創部ガーゼ周囲, 各ドレーン挿入部, 痰, 便から同性状のP. aerugznosaが検出され, 患者自身の便が原因の内因性感染であると思われた.またS.aureusは創の各ドレーン挿入部, 鼻腔, 手指, 痰, 尿, リネン, 床からコアグラーゼ型, ファージ型, 薬剤感受性がともに同一の菌株が検出され, 患者自身が鼻腔に保有していた菌が手指を介して感染した可能性が考えられた.
  • ストマ症例との比較
    神谷 保廣, 品川 長夫, 水野 章, 由良 二郎
    1989 年 4 巻 2 号 p. 53-60
    発行日: 1989/11/01
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    消化器外科手術における術野汚染菌の検出状況をストマ症例と比較するとともに, 検出菌の消毒剤および抗生物質の殺菌効果, 感受性について検討した.非ストマ症例では消毒前皮膚からグラム陽性菌が主体に検出されたのに対して, ストマ症例ではグラム陰性菌が70%以上を占め, かつ多菌量の細菌が検出された.また, ストマ症例は非ストマ症例に比べ消毒後の皮膚菌残存率および閉腹前創面, 術者手袋からの菌検出率も高かった.検出菌に対し消毒剤および抗生物質は各薬剤とも良好な殺菌効果および抗菌力が認められた.ストマ症例においては, 術中の術野の汚染が高いことから, その閉鎖術にあたり術後創感染に対する十分な対策が大切である.
  • 石郷 潮美, 水口 一衛, 山本 洋子
    1989 年 4 巻 2 号 p. 61-66
    発行日: 1989/11/01
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    1986年1月から1987年9月までの間に, 当院集中治療室の入院患者12名より今まで検出されたことのない第3世代セフェム剤に耐性のEnterobacter cloacae (以下, 耐性E.cloacaeと略す) が24株分離されたことから, 院内感染を疑い実態調査をし次のことが判明した. 1) 薬剤感受性成績 (昭和一濃度ディスク法) では, ampicillin, piperacillin, cefazolin, cefmetazole, cefotetan, ceftizoxime, cefotaxime, latamoxefのβlactam剤とfosfomycinに対し耐性を示した. またバイオテスト1号® (栄研) を用いる生物型は24株すべて同一であった.2) 在室期間別分離頻度は, 短期在室 (30日未満) 患者由来E.cloacae22株のうち耐性E.cloacae2株 (9.1%) に対し, 長期在室 (30日以上) 患者由来E.cloacae24株のうち耐性E.cloacae22株 (91.7%) であり, 長期患者に分離頻度が高かった (P<0.01).3) 臨床的背景から耐性E.cloacae検出患者は他のE.cloacae検出患者に比べ重症患者であり, 滞在期間, 第3世代セフェム剤投与例に有意差 (P<0.01) が認められた.4) 環境調査では患者のベッドサイド近くに設置されている流し台排水口4ヵ所より検出された.以上のことから長期滞在による交差感染もしくは自己感染が考えられた.対策として耐性E.cloacae検出患者には有効であった抗生剤imipenem/cilastatin sodiumを投与するとともに, 交差感染防止のために環境整備と手洗いの励行を徹底した.その結果, 新たな患者発生をみることなく沈静化することができた.
  • 三木 寛二, 坂崎 利一
    1989 年 4 巻 2 号 p. 67-70
    発行日: 1989/11/01
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    Enterobacter cloacaeの院内感染追究のための疫学調査のマーカーとして, 小検査室でも実施可能な生物型別方法を研究した.本法はマロン酸, DL-3-ヒドロキシ酪酸, D-リンゴ酸, L-フェニルアラニン, L-オルニチン, プトレッシン, ズルシット, エスクリン, リクソースおよびD-アラビットの計10種類の炭素源利用テストに基づくもので, 数施設から収集したE. cloacae 151株を供試したところ, それらは71生物型に分けられ, しかも菌株の分散が特定の生物型に偏る傾向はみられなかった.用いたテストには再現性もあり, 我々の生物型別法は疫学調査に利用できると思われた.
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