環境感染
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6 巻, 2 号
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  • 肺葉切除の研究に先駆けて
    崎原 英夫
    1991 年 6 巻 2 号 p. 1-7
    発行日: 1991/12/24
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
  • 戸塚 恭一, 柴田 雄介, 菊地 賢, 長谷川 裕美, 江成 唯子, 四反田 都, 清水 喜八郎
    1991 年 6 巻 2 号 p. 9-12
    発行日: 1991/12/24
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    医療廃棄物破砕薬液処理装置の細菌学的検討を行った.Bacillus subtilis (芽胞), Staphylococcus aureus, Pseudomonas aeruginosa, Serratia marcescensで汚染させた点滴ビン, 注射器, 点滴セット, 輸血バッグなどの医療廃棄物を装置内に投入して, 廃液中および廃棄物中の残存細菌を調べた. 破砕物薬液処理後5分の廃液中にはS. aureus, P. aeruginosa, S. marcescensは認められなかった. B. subtilisは15分後まで104 CFU/ml以上を認めたが, 30分後に160CFU/ml, 60分後に80CFU/mlへと減少し, 120分以降には認められなかった. 固形部分でも同様に5分後以降B. subtilisのみが認められたが, 120分後でも104 CFU/g以上, 20時間後でも4840CFU/gが存続した. 処理中, 処理後の落下細菌として, また処理5分後の空中浮遊菌として投入細菌が認められた. 廃液塩素濃度は処理前が3355ppm, 処理5分後が1395ppm, 15分後が660ppm, 60分後が438ppm, 120分後が365ppm, 20時間後が130ppmであった. pHは5分後までが12以上, 15分, 30分が12, 60分, 120分が11.3, 20時間後が10.3であった.
  • 広瀬 崇興, 熊本 悦明, 塚本 泰司, 小林 宣道, 浦沢 正三, 上原 信之, 大水 幸雄, 黒川 一郎, 千葉 峻三, 浅川 三男
    1991 年 6 巻 2 号 p. 13-19
    発行日: 1991/12/24
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    院内感染について論じるうえで, 病院環境内の細菌分布を定期的に調査することは重要なことである. そこで今回, 新病棟移転後7年間における調査を行い, 旧病棟のそれと比較した. 空中細菌については, 落下細菌数は移転2ヵ月後から旧病棟とほぼ同等となり, 菌種としてはCNSは継続して検出されたが, 黄色ブドウ球菌と腸内細菌群は近年減少していた. また, GNF-GNRは経年的にその種類が変化し, 7年後にはPseudomonas属とFlavobacterium属が主であったが緑膿菌は一度も検出されなかった. また表面環境細菌については, その定着までには空中細菌と異なり約3年程度かかり, 水場から広がることが考えられた. 菌種では, 空中細菌として検出されたGNF-GNRのほかに, 院内感染菌としてとくに問題となる黄色ブドウ球菌や緑膿菌が検出された. さらに, 病院内の流しと病院外の流しで緑膿菌の検出率を比較したところ, 病院内は高頻度に汚染されていた. また黄色ブドウ球菌の鼻腔保菌率を, 医師と病棟には出入りしない教育課程の学生とで比較したところ, 保菌率には差がなく, またMRSAも検出されなかった. したがって病院内環境細菌が院内感染の感染源とならないようにするためには, 水場を中心とした消毒と, 患者が汚染場所と接触するのを防ぐことが重要であると考えられた.
  • 小児科病棟と内科病棟の比較
    坂本 春生, 金子 明寛, 草野 正一, 丹羽 伊知郎, 小松本 悟, 谷 源一, 川島 千恵子, 川田 和弘, 松本 豊美子, 唐木田 一 ...
    1991 年 6 巻 2 号 p. 21-26
    発行日: 1991/12/24
    公開日: 2011/01/25
    ジャーナル フリー
    本院で1986年に各種臨床材料から分離されたMRSA株は, ofloxacin (OFLX) の感受性はMIC90が0.39μg/mlであったが, 1989年株ではMIC90が50μg/mlと耐性化が進んでいた.この中で小児科病棟由来のMRSA株はOFLXに対して1989年株においてもMIC90が0.39μg/mlと良好な感受性を有していた.これは1986年から1989年の間に, ニューキノロン剤の適応のない小児科ではOFLXをまったく使用していないことに起因するものと思われた.そこでOFLXに対するMRSAの感受性を指標として, 小児科病棟と内科病棟の医療スタッフ鼻腔常在菌および各病棟内の環境分布菌について比較検討した.この結果は小児科病棟で検出されるMRSAは鼻腔株, 環境株ともOFLXに対して感受性であったが, 内科病棟で検出されるMRSRはすべて低感受性株であった.このことは内科病棟では, OFLXの投与により誘導されたOFLX耐性MRSAが臨床分離株のみならず, すでに環境株, 医療スタッフの鼻腔内保有菌として定着していることをあらわしている.本院の他科から検出されるMRSAはOFLXに対する耐性株が多いので, 菌の伝播についての結論は出ないが, このことは我々の予想以上に菌の耐性化と伝播には特定の薬剤の使用の影響が大きいことを示唆していた.OFLX耐性MRSAは主にニューキノロン剤の投与で誘導されており, MASAの院内感染を評価する指標として有効であった.
  • 石代 欣一郎, 福地 邦彦, 高木 康, 五味 邦英, 小池 正
    1991 年 6 巻 2 号 p. 27-34
    発行日: 1991/12/24
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    昭和大学病院臨床検査部に提出された, 患者検体より検出されたメチシリン耐性黄色ブドウ球菌 (MRSA) の臨床細菌学的検索, および医療従事者による院内感染の動向, さらには単剤あるいは多剤併用時でのMRSAに対する薬剤感受性について比較検討を加えた.
    1990年5月から12月までの8ヵ月間に臨床検査部細菌検査室に提出された検体総数27,458例中, 黄色ブドウ球菌が検出されたのは1,836例で, うち973例がMRSAであった.そして, 同一人物の重複を除く月別黄色ブドドウ球菌検出数は8月の120件をピークとし, その後は100件前後で横ばい状態であるが, 黄色ブドウ球菌検出数に占めるMRSAの比率は増加傾向であった.また科別MRSA検出率では新生児・未熟児センターを筆頭にICU・CCUがこれについだが, 医療従事者の科別検出状況では内科, 外科の医療従事者にMRSAが多く検出されており, 新生児・未熟児センター, ICU・CCUでのMRSA感染については院内感染の可能性は否定的であった.
    今回検出されたMRSAの型別分析では, コアグラーゼはII型が85%で大半を占め, 毒素型はC型が58%で最多であった.またMSSAには単剤でも感受性である抗菌剤も, MRSAではほとんど耐性となってきているものが多かったが, ABKだけはMICが群を抜いて小さく十分な抗菌作用が期待できた.また2剤併用例ではCZON+IPMが高い相乗効果を示し, 単独使用と比較するとそのMICは約1/10に減少していた.
  • 佐藤 征, 工藤 せい子, 金丸 すゞな, 齋藤 芳彦, 山内 久子, 津島 律
    1991 年 6 巻 2 号 p. 35-39
    発行日: 1991/12/24
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    インスリン自己注射患者は消毒に使用している消毒用アルコール綿 (以下・アルコール綿) が, 作製後どの位の期間使用できるかについて常に不安を持っていることが実態調査で判明した. そこでアルコール綿を作製してから一定期間後に, 遠心によって含有水溶液を分離し, それを被検液として大腸菌とブドウ球菌 (MRSA) に対する殺菌力を生物活性で検討した.
    作製後14日間を経た被検液を希釈して殺菌力を調べた成績は, 大腸菌では被検液4mlを蒸溜水6mlで希釈した場合 (エタノール濃度29wt%, ただし保存中の蒸発を無視した希釈値で, 実際のアルコール濃度はこれより低い値・以下同じ), ブドウ球菌では被検液6mlを蒸溜水4mlで希釈した場合 (43wt%) に0.5分以内で殺菌された. それ以上の希釈度では殺菌に要する時間は段階的に延長した.
    純エタノール (99.1%) 160mlと蒸溜水40mlを混合 (75wt%) 後500mlのビーカーに入れ, 蓋をしないで開放のまま室温 (22℃-20℃) に21日間放置した時のアルコール濃度は47wt%で, 大腸菌とブドウ球菌 (MRSA) を殺菌するには十分な濃度であった.
    以上のことから, インスリンバイアルゴム栓表面や注射部皮膚の消毒は, アルコール綿作製後少くとも21日間は十分に信頼できる.
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