長期入院患者に持続的に使用されている加温加湿器セットの使用・管理状況を調査し, 細菌汚染防止対策を検討した.加温加湿器の加湿器ボトルは24時間ごとに交換されるが, 蛇管・マスクは週2回, トラキユニットは週1回交換するシステムで使用されている.
第一期調査では, 24時間使用後の加湿器内残留液およびトラキユニット貯留液から大量の
Pseudomonas属および
Acinetobacter属菌が検出され, マスクからの噴き出し蒸気からも高率に菌が検出され, 65%のマスクからは10
2 CFU/10min以上の菌が検出された. また, 加温器からも上記2属の菌が大量に検出された. そこで, 加温器を挿入する際にはアルコール消毒を行うよう操作を改めた.
加温器のアルコール消毒の実施が病棟内でルチーン化されてから行った第二期調査では, 加温器・加湿器からの菌の検出率は前回の1/2以下となり, 菌量も減少していた. 噴き出し蒸気からの検出率も低下し, 検出菌量も0-42CFU/10minとなり, 我々が通常吸入している菌量よりかなり低い菌量となった.
加温加湿器が使用されている患者の93%は気管切開されているが, 免疫機能の低下は特に認められていないことから, 加温器挿入時のアルコール消毒と無菌操作を徹底させるならば, 従来のシステムでも, 許容できる程度の菌量におとすことが可能と考える.
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