環境感染
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9 巻, 2 号
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  • 松尾 知子, 大嶋 恵子, 重富 映子, 野島 三千代, 村上 紀之, 向野 賢治
    1994 年 9 巻 2 号 p. 1-5
    発行日: 1994/10/12
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    平成2年8月より, 脳外科病棟において個室隔離・手指消毒の徹底などを中心としたMRSA感染防止対策を実施した結果, 病棟のMRSA感染症患者の発生が減少し, 定期的な鼻腔・手指の保菌検査からも患者・職員のMRSA保菌率に減少傾向がみられた. また, 同病棟の看護職員の保菌状況を検討した結果,(1) MRSAの鼻腔保菌と手指の保菌に相関がみられた.(2) 鼻腔保菌傾向に個人差がみられた.(3) 勤務中・勤務時間外の保菌率に有意差はなかった.
  • コアグラーゼ型, β-ラクタマーゼおよび薬剤感受性パターンを中心として
    豊田 和正, 新里 敬, 仲宗根 勇, 草野 展周, 小出 道夫, 斎藤 厚
    1994 年 9 巻 2 号 p. 6-11
    発行日: 1994/10/12
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    メチシリン耐性黄色ブドウ球菌 (MRSA) の分離症例が多かった外科, さらには内科および小児科の各病棟の空中浮遊のMRSAと臨床材料由来のMRSAをコアグラーゼ型別, β-ラクタマーゼ産生性, 薬剤感受性パターンから比較し院内の汚染状況を検討した.
    空中浮遊のMRSAのほとんどは, それぞれの病棟の臨床材料から分離されるMRSAのタイプと一致していた.
    今回はじめてVII型が外科病棟の空中浮遊のMRSAから分離されたが, その後の医療従事者の鼻腔内および臨床材料から同型のMRSAは分離されず, VII型による病棟汚染の可能性は低いと思われた.
    分離されたMRSAの約80%はII型であったが, 小児科病棟の患者を中心としてIPM/CSに中等度耐性, OFLXに感受性傾向を示すI型の増加傾向が認められた.
    臨床材料からのMRSAは外科病棟において分離頻度が高く, ほとんどが入院患者由来であったが, 外来でのMRSA分離患者の割合が年々増加傾向にあった.
    今回の検討では, 以前のものに比べMRSAのタイプの変化と外来患者での分離頻度の増加が認められており, 今後も継続したMRSAの院内環境調査および分離患者の監視が必要と思われた.
  • 足立 タツ子, 山本 千恵子, 尾家 重治, 神谷 晃
    1994 年 9 巻 2 号 p. 12-15
    発行日: 1994/10/12
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    メチシリン耐性黄色ブドウ球菌 (MRSA) 汚染を受けたガウンおよびシューズの除菌法について検討した. MRSA汚染ガウンに対する除菌率は, 回転式紫外線ロッカーで100%, また消毒用エタノール噴霧で96%であった. 一方, MRSA汚染シューズに対する除菌率は, 消毒用エタノール清拭で100%, 消毒用エタノール噴霧で99%, 粘着マットで50%であった. 以上の除菌率や簡便性を考慮すると, MRSA汚染ガウンには回転式紫外線ロッカーや消毒用エタノール噴霧が, またMRSA汚染シューズには消毒用エタノール噴霧が適切な除菌法といえる.
  • 尾家 重治, 神谷 晃
    1994 年 9 巻 2 号 p. 16-19
    発行日: 1994/10/12
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    Microbial contamination was investigated for communal hand towels used by healthcare workers in hospital wards. All 8 towels studied were contaminated with a microbial level of 104-109 viable counts/towel. The main organisms identified were glucose nonfermentative gram-negative bacilli, including Acinetobacter spp. and Pseudomonas spp. In addition, methicillin-sensitive Staphylococcus aureus, 3.4×102-3.7×105 viable counts/towel, was detected in 4 (50%) out of the 8 towels; methicillinresistant Staphylococcus aureus was also detected in 1 of these towels (12.5%). The results suggested that the use of communal hand towels should be avoided from the viewpoint of preventing nosocomial infections.
  • 余 明順, 秋山 美章, 下川 樹也, 本田 武司
    1994 年 9 巻 2 号 p. 20-23
    発行日: 1994/10/12
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    食塩水の電気分解により得られる電気分解産物 (電解水) の殺菌効果について検討した.残留塩素濃度3.6PPmで1分間, 接触させるとmethicillin-resistant Staphylococcas aureus (MRSA) をはじめ各種細菌を死滅させた. しかし有機物が共存するとその効果は著しく低下した. 試作した装置は, 用時, 電気分解により次亜塩素酸を作ることができ, これを水道水で必要な濃度に希釈して給水栓から供給できるので, 流水式手洗い消毒システムとしての利用を考え, 短時間接触での効果を調べた結果, 5ppm, 5秒間ですべての菌を死滅させることがわかり, 流水式手洗い消毒に有効であると思われた.
  • 松宮 良子, 桑原 裕子, 奥村 悦子, 三輪 峰子, 加藤 はる, 加藤 直樹, 渡辺 邦友, 上野 一恵
    1994 年 9 巻 2 号 p. 24-27
    発行日: 1994/10/12
    公開日: 2011/01/25
    ジャーナル フリー
    産婦人科病棟で外性器の洗浄などを目的として日常使用している診療ユニットの温水器および温水器内の滅菌蒸留水について, 細菌学的検索を行った.検体は, 温水器内の水や温水器内壁擦過物で, これらを各種寒天平板を用いて定量培養した.その結果, 温水器全体の水からは1.26×103CFU/mlの菌が検出され, その他の検体からも同様な菌数が得られた.検出された菌は, Buykholdeyia (Pseudomonas) cepacza, Pseudomonasfluorescens, Burkholderia (Pseudomonas) pickettii, Sphingomonas paucimobilisの4種類の糖非発酵グラム陰性桿菌とYeast, Micyococcus属であった.以上の成績は, 温水内の水はたとえ滅菌蒸留水を使用していても, 何らかの経路で侵入した菌が増殖することがあることを示すものである.このように菌で汚染された温水を創部などに使用することは, 感染に対する抵抗力の低下した患者に日和見感染を引き起こすことが懸念されることから, 温水器の適切な維持, 管理法を早急に確立することが必要であると思われた.
  • 吉沢 花子, 山川 真理子, 鈴木 明子, 西尾 淳子, 黒須 洋子, 三輪 清子, 助川 淑子, 小嶋 昌子
    1994 年 9 巻 2 号 p. 28-34
    発行日: 1994/10/12
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    長期入院患者に持続的に使用されている加温加湿器セットの使用・管理状況を調査し, 細菌汚染防止対策を検討した.加温加湿器の加湿器ボトルは24時間ごとに交換されるが, 蛇管・マスクは週2回, トラキユニットは週1回交換するシステムで使用されている.
    第一期調査では, 24時間使用後の加湿器内残留液およびトラキユニット貯留液から大量のPseudomonas属およびAcinetobacter属菌が検出され, マスクからの噴き出し蒸気からも高率に菌が検出され, 65%のマスクからは102 CFU/10min以上の菌が検出された. また, 加温器からも上記2属の菌が大量に検出された. そこで, 加温器を挿入する際にはアルコール消毒を行うよう操作を改めた.
    加温器のアルコール消毒の実施が病棟内でルチーン化されてから行った第二期調査では, 加温器・加湿器からの菌の検出率は前回の1/2以下となり, 菌量も減少していた. 噴き出し蒸気からの検出率も低下し, 検出菌量も0-42CFU/10minとなり, 我々が通常吸入している菌量よりかなり低い菌量となった.
    加温加湿器が使用されている患者の93%は気管切開されているが, 免疫機能の低下は特に認められていないことから, 加温器挿入時のアルコール消毒と無菌操作を徹底させるならば, 従来のシステムでも, 許容できる程度の菌量におとすことが可能と考える.
  • 長 秀男, 武内 可尚, 青山 辰夫, 安倍 隆, 山下 行雄, 野田 美恵子
    1994 年 9 巻 2 号 p. 35-39
    発行日: 1994/10/12
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    院内感染の観点から, 小児科スタッフの急性感染症罹患状況を把握する目的で, 医師および看護婦の呼吸器系ウイルスに対する血清反応の変動を6ヵ月間継続的に観察した.
    平成3年10月から4年3月にかけて, 月1回小児科スタッフ34例から採血し, 141検体についてインフルエンザウイルスA, B, アデノウイルス, RSウイルスに対するCF抗体価およびパラインフルエンザウイルス1, 2, 3に対するHI抗体価を測定した.
    冬期6ヵ月の間に, 小児科スタッフ34例中16例に1回ないしそれ以上の有意の抗体価の上昇を認めた.その内訳はA型インフルエンザ9例, アデノウイルス11例, RSウイルス4例, パラインフルエンザウイルス1型5例, 3型1例で, 残りの2種に対する抗体価の上昇例はなかった.
    A型インフルエンザに対する抗体上昇例数は, 当科患児からのウイルス分離数と一致した経時的推移を示した.当科患児からのRSウイルス抗原検出は例年通り12月にそのピークに達したが, 小児科スタッフの抗体上昇例は11月と3月に2例ずつ認めたにすぎなかった.アデノウイルスに対する抗体価上昇例は11月と1月にピークがあり, 1月には患児からスタッフへの感染を示す事例を認めた.これらウイルスの月別抗体上昇例数の経時的推移は院内感染の一因としてスタッフと患児の間の様々な関わり合いを示す所見と考えられる.
  • 白石 正, 仲川 義人
    1994 年 9 巻 2 号 p. 40-43
    発行日: 1994/10/12
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    アルキル基の異なる両性界面活性剤, Alkyldiamino ethylglycine (ADEG) およびAlkylpolyamino ethylglycine (APEG) の殺菌効果を0.009-0.1%の範囲で比較した.
    被験菌は山形大学医学部附属病院の臨床検査材料から分離したMethicillin-sensi. tive S.aureus (MSSA), Methicillin-resistant S. aureus (MRSA), P. aeruginosa, E.coli, P. mirabilis, S. maycescensの各3株, 合計18株を使用した.
    その結果,(1): 0.009~0.1%ADEGおよびAPEGは, E.coliP. aeruginosaの全株を1分以内に殺菌した.(2): 0.03%以上のADEGはS. maycescensを1~5分, その他の被験菌を1分以内に殺菌した.(3): APEGは被験菌によって殺菌効果が大きく異なっていた. すなわち, 0.1%APEGではS. marcescens3株とP. mirabilis1株を10分以内に殺菌できなかった.その他の被験菌はMSSAを除いて, 殺菌までに5分以上を要した.
    以上より, ADEGはAPEGよりも短時間で殺菌効果を示すものと思われた
  • 片岡 陳正, 荒川 創一, 守殿 貞夫, 青柴 孝宏, 金子 常雄
    1994 年 9 巻 2 号 p. 44-47
    発行日: 1994/10/12
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    空中浮遊微生物捕獲器 (BAC) を用いて布類に表在する微生物を検査する新しい方法を考案した. 従来法のスタンプ法と比較した結果, スタンプ法では菌検出にばらつきがあり, かつ検査に時間を要するのに対し, 吸引捕獲法を用いる本法は, より多数の微生物が検出され, 検査も迅速にでき, 有用な検査法と思われた.
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