Japanese Journal of Endourology
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24 巻, 1 号
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特集1:光力学診断の新展開~光の先に何が見えるのか~
  • 平尾 佳彦, 執印 太郎
    2011 年 24 巻 1 号 p. 1
    発行日: 2011年
    公開日: 2014/02/07
    ジャーナル フリー
      光力学診断(photodynamic diagnosis(PDD))は,1980年代に現在の原型システムおよび光感受性物質であるPhotofrin II(HpD)が開発されたことにより臨床応用が試みられたが,光感受性物質の全身投与による光線過敏症を主とする光毒性反応などの副作用から,その後の臨床応用は停滞した.近年,protoporphyrinIX前駆体で生体内に存在する天然アミノ酸である5-aminolevulinic acid hydrochloride(5-ALA)をはじめとする副作用発現の少ない光感受性物質の開発や,青色励起光で赤色蛍光を描出するPDD画像システムの改良・開発により,臨床応用への活路が開けられた.脳神経外科領域ではPDDの併用によるglioblastomaの手術成績の向上が既に報告されており,本邦でも既に多くの施設で実施されている.泌尿器科領域では5-ALAの局所投与が可能な膀胱の筋層非浸潤癌の微小病変や上皮内癌の診断精度が大幅に向上することがドイツを中心に数多く報告されてきた.さらに無作為臨床試験において,PDDを併用することでTURBT術後の腫瘍残存率や膀胱内再発率を減少したとの報告があり,ヨーロッパでは膀胱癌に対するPDDが保険医療の承認をうけ,筋層非浸潤膀胱癌の診断の第一選択になりつつある.
      安全性と診断精度が大きく向上したPDDによる膀胱癌の診断は,疑陽性率の高さが国内外のこれまでの報告でも課題になっている.これには接線効果などの光学的要因や内在性の光感受性物質などの生物学的要因が考えられているが,未だ結論は出ていない.また,青色光の連続照射に伴う蛍光の退色(Photobleaching現象)も診断を困難にする要因となり,診断精度の向上には手際よい診断操作手順の確立が必要である.さらに,本邦においては,PDDシステムの蛍光フィルターが装着された光学視管は薬事の承認を得ているが,PDDにおける主な光感受性物質である5-ALAおよびその類縁物質は未承認で高度医療として医師主導による臨床研究の域を出ないのが現状である.
      本邦におけるPDDの現状については,松山豪泰教授(山口大学)が偽陽性の分子生物学的検討を,井上啓史准教授(高知大学)が膀胱癌を中心とした臨床研究の展開を,また,PDDの応用展開として藤本清秀准教授(奈良県立医科大学)が蛍光尿細胞診を,腎細胞癌に対する応用は上野宗久教授(埼玉医科大学国際医療センター)が,さらに田中 徹部長(SBIアラプロモ㈱)がPDDと光力学治療(PDT)を含めた現状と将来展望について詳細を記述する.現時点では泌尿器科領域におけるPDDは白色光では診断が困難な筋層非浸潤膀胱癌の診断が中心になるが,5-ALAは経口投与が可能であることから腎細胞癌に対する腎部分切除術や前立腺全摘除術の断端の診断をはじめ多くの泌尿器癌の臨床に有意義な展開が期待される.
  • 松山 豪泰
    2011 年 24 巻 1 号 p. 2-7
    発行日: 2011年
    公開日: 2014/02/07
    ジャーナル フリー
      膀胱癌に対するphotodynamic diagnosis(PDD) は,感度は白色光より優れているものの特異度が低く,偽陽性症例が問題となっている.今回筋層非浸潤性膀胱癌からPDD時に採取した60検体(悪性:34検体,良性:26検体) について分子生物学的変異の有無をFISH法で検討した.良性と診断された26検体中11検体に赤色蛍光を認め,同検体は非蛍光検体に比べ有意に9番染色体variant fractionが高く(28% vs 15%,p=0.0225),偽陽性検体にゲノム変異が発生していることが示唆された.つぎに赤色蛍光の原因遺伝子を検討する目的で膀胱癌継代培養細胞株8株を用いてarray-CGHを行った結果,9p24.1領域が共通欠失領域として同定され,同領域上のGLDC遺伝子欠失が赤色蛍光発現に関与している可能性が示唆された.
  • 井上 啓史, 福原 秀雄, 執印 太郎
    2011 年 24 巻 1 号 p. 8-13
    発行日: 2011年
    公開日: 2014/02/07
    ジャーナル フリー
     体内投与した光感受性物質は細胞に取り込まれ,前駆体を経て光活性を有する蛍光物質に生合成される.特に癌細胞ではこの蛍光物質が過剰集積する.この癌細胞中の蛍光物質に特定波長の可視光,主に赤色光(600-740nm)を低出力で照射すると活性酸素が発生し細胞傷害を与える.このように,癌を光で刺激して光化学反応を発生させ傷害を与える治療法を光力学治療(PDT)という.
     5-アミノレブリン酸(5-ALA)は,新世代の癌特異性の高い光感受性物質として注目されている.5-ALAを用いたPDTは,主に治療抵抗性の膀胱上皮内癌を対象とした新しい治療戦略として臨床試行されているが,未だ医師主導の臨床試験の範疇をでていない.本稿では,5-ALAを用いたPDTの現状について概説する.
  • 藤本 清秀, 三宅 牧人, 穴井 智, 中井 靖, 桑田 真臣, 松村 善昭, 平尾 佳彦
    2011 年 24 巻 1 号 p. 14-22
    発行日: 2011年
    公開日: 2014/02/07
    ジャーナル フリー
     近年,5-aminolevulinic acid(5-ALA)やhexaminolevulinate(HAL)など第3世代の光感受性物質を用いた膀胱癌の光力学的診断の有用性を示す論文が多数報告されている.蛍光膀胱鏡は,従来の膀胱鏡では見落としやすい微小病変やcarcinoma in situを,5-ALAやHALの代謝産物であるprotoporphirin Ⅸを腫瘍に蓄積させ,蛍光発色させることで効率的に検出し,筋層非浸潤性膀胱癌の術後再発を抑制する利点を有している.また,low-grade/low-stage腫瘍における尿細胞診の感度の低さが問題となっているが,腫瘍細胞に特有の5-ALAやHALに対する光力学反応を利用することで,low-grade/low-stage腫瘍でも蛍光細胞診やフローサイトメトリーによって腫瘍細胞を検出できることが報告されている.本稿では,膀胱癌の光力学的診断についての諸家の研究報告をまとめながら,われわれが行っている尿中剥離細胞を対象とした蛍光尿細胞診の研究内容と今後の展望について紹介する.
  • 小山 政史, 上野 宗久
    2011 年 24 巻 1 号 p. 23-28
    発行日: 2011年
    公開日: 2014/02/07
    ジャーナル フリー
     5-アミノレブリン酸(5-ALA)を用いた術中光力学的診断(PDD)は通常光では視認困難な腫瘍の同定やサージカルマージンの検索に有用である.泌尿器科領域では従来,膀胱癌に対して5-ALAを膀胱内注入してきたが,内服が可能なことより,最近では腎細胞癌に応用され5-ALAの腫瘍特異性が確認されている.また,腹腔鏡下腎部分切除術に5-ALA-PDDを併用することでサージカルマージンの蛍光発色部位に病理組織学的に癌細胞が確認されている.5-ALA-PDDが手術中リアルタイムにサージカルマージン同定に寄与する可能性が示唆された.尚,5-ALAによる有害事象は本稿で紹介した報告では認めていない.
  • 田中 徹, 石塚 昌宏, 小倉 俊一郎, 井上 克司
    2011 年 24 巻 1 号 p. 29-34
    発行日: 2011年
    公開日: 2014/02/07
    ジャーナル フリー
     5-アミノレブリン酸(ALA)は天然のアミノ酸で広く動植物に含まれ,クロロフィルやヘムの前駆体として重要な役割を果たしている.ALAは通常の食品にも含まれ食品を通じて摂取しており,我々人間の体内でもALAは1日700mg程度生成,消費されていると考えているが,これを上回る量のALAを外生投与するとヘムの前段に当たるプロトポフリリンIX(PPIX)が蓄積する.特にがん細胞においてはPEP-T1などのALA取り込みが亢進しており,また,解糖系にエネルギー生産を依存するためヘムの要求量が低く,その結果,正常組織よりPPIXの蓄積が高い.ALA自身は蛍光を示さないが,代謝物であるPPIXは蛍光物質であり,PPIXの光増感性を利用した光動力学的治療(PDT)や診断(PDD)が盛んに研究され,海外では皮膚がんの治療や脳腫瘍の術中診断などではすでに実用化している.ALAを用いたPDT,PDDはALAやPPIXが内在物であるため,他の増感剤と比較して代謝,排出が早く,光毒性の問題がほとんど起こらない.光毒性の問題がないALA-PDT,PDDは,泌尿器科領域はもちろん,多くの分野でがんの診断,治療に用いられるものと期待されている.
特集2:連載“長期成績”~Ⅳ.“前立腺全摘除術”~
  • 寺地 敏郎
    2011 年 24 巻 1 号 p. 35
    発行日: 2011年
    公開日: 2014/02/07
    ジャーナル フリー
     腹腔鏡下前立腺全摘除術(Laparoscopic radical prostatectomy:以下LRPと略す)はわが国では1999年末に開始された.日本内視鏡外科学会の2年毎のアンケート調査によると,2009年には1,217例を数え,1999年からの合計では5,108例になる.そこで,比較的早くからLRPを行ってきた施設では,制癌性ならびに尿禁制,性機能を含めたQOLの長期成績の解析が期待できる.本特集では中川健先生(慶應義塾大学),臼井幸男先生(東海大学),田中一志先生(神戸大学),木村高弘先生(東京慈恵会医科大学)の4人の先生に,様々な角度からLRPに焦点を当て,それぞれの施設での経験を解析していただいた.制癌性の向上を目指す切除断端陽性率抑制のための工夫,尿禁制ならびに性機能回復向上を目指すDVC処理や神経血管束温存の工夫などを,先駆者の経験から学びとることができれば幸いである.
  • 中川 健
    2011 年 24 巻 1 号 p. 36-39
    発行日: 2011年
    公開日: 2014/02/07
    ジャーナル フリー
  • 臼井 幸男, 寺地 敏郎
    2011 年 24 巻 1 号 p. 40-43
    発行日: 2011年
    公開日: 2014/02/07
    ジャーナル フリー
     【目的】前立腺癌に対する腹腔鏡下前立腺全摘除術(LRP)における切除断端陽性(PSM)とPSA再発(PSAF)について検討した.
     【対象と方法】2002年6月から2010年8月までにLRPを行った423例のうち術前内分泌療法を行った症例とpN+症例を除き,かつ術後3ヶ月以上の経過が追えた288例を対象とした.切除断端陽性は術前因子(PSA,生検時Gleason score,臨床病期分類(T))と病理学的因子(前立腺重量,病理学的病期分類(pT),Gleason score,最大腫瘍径)について,多重ロジスティック回帰分析を用いてリスク因子について検討した.またPSAFはKaplan-Meier法とCox比例ハザードモデルを用いて検討を行った.
     【結果】PSMは69例,24%(pT2:43例 18.3%,pT3:26例 52%)に認められた.PSMのリスク因子として前立腺重量(小さいもの),最大腫瘍径(大きいもの),およびpT(3>2)が挙げられた.また断端陽性部位では尖部に腫瘍がある場合は26.5 %と高率であった.術後平均観察期間は35.2ヶ月(3~93ヶ月)で35例(12 %)にPSAFを認めた.累積のPSA非再発率は3年で86.4 %,5年で82.1 %であった.Cox比例ハザード解析では術前リスク分類,pT,全摘標本でのGleason scoreがリスク因子となり,Kaplan-Meier法では上記に加えPSMもリスク因子として挙げられた.PSMとPSAFの関連については,pT2例ではPSM群で有意にPSA再発率は高かったが,pT3例では有意差はなかった.
     【結語】諸家の報告と比べ%PSM,PSA再発率(3年)はともに高い傾向にあった.PSMとPSAFは主に腫瘍の性質に影響をうけると考えられるが,pT2例においてPSM群は有意に再発率が高こと,またPSMはほとんどが尖部であることは技術的要因も課題のひとつと考えられる.
  • 田中 一志, 川端 岳, 藤澤 正人
    2011 年 24 巻 1 号 p. 44-48
    発行日: 2011年
    公開日: 2014/02/07
    ジャーナル フリー
     【目的】当科における腹腔鏡下前立腺全摘除術について主に癌制御を中心に検討を行った.
     【対象と方法】神戸大学病院泌尿器科において2000年4月から2009年12月までに施行し,Neoadjuvant療法は施行せず術後6ヶ月以上経過観察可能であった234例を対象とした.手術は5 ports,経腹膜アプローチで施行し,手術成績,術後再発,合併症について検討した.
     【結果】平均年齢は67.0歳,術前PSAの平均値は10.2,臨床病期はT1c:87例,T2a:43例,T2b:60例,T2c:33例,T3a:10例,T3b:1例であった.平均手術時間は352.3分,出血量は896.4ml(術野に流出した尿量を含む),同種血輸血を9例に施行した.外科的処置を必要とした合併症を5例に認めた(直腸膀胱瘻2例,創部ヘルニア2例,絞厄性イレウス1例).病理病期はpT0:1例,pT2a-b:35例,pT2c:137例,pT3a:43例,pT3b:18例で,Gleason Scoreは6以下/3+4/4+3/8-10がそれぞれ17/51/27/5%であった.断端陽性は84例(35.9%)で,病理病期別断端陽性率はpT2/pT3でそれぞれ27/64%であった.3年非再発率および5年非再発率はそれぞれpT2/pT3a/pT3bで92/69/42%および86/65/42%であった.
     【結語】諸家の報告および他の術式と比較し,経腹膜アプローチ腹腔鏡下前立腺全摘除術の制癌性はおおむね良好であった.しかし切除断端陽性例がやや多い傾向にあり,術中細心の注意を払う必要があると思われた.
  • ─QOLを中心に─
    木村 高弘, 佐々木 裕, 三木 淳, 山本 順啓, 頴川 晋
    2011 年 24 巻 1 号 p. 49-54
    発行日: 2011年
    公開日: 2014/02/07
    ジャーナル フリー
     腹腔鏡下前立腺摘除術(LRP)の拡大視野により得られる解剖知識の発展により,神経温存の新しいコンセプトとして “Intrafascial nerve-sparing” などが開発された.当初LRPは制癌効果や術後合併症に対し懐疑的な見解が多かったが,近年では開腹手術とほぼ同等とされ,その地位が確立されつつある.これまでに,術後尿失禁の早期回復を目的として多くの術式の改善が行われているが,影響を与える要因などは未だ未確定な部分も多い.こうした背景をもとにQOLを中心に慈恵医大におけるLRPの治療効果を検討した.
     慈恵医大泌尿器科でIntrafascial nerve-sparingが導入された2007年1月以降にLRPを行った232例を対象に神経温存群と非温存群に分けて制癌性と術後QOLについて検討した.
     切除断端陽性症例は全体で28.9%,pT2症例では15.4%であった.術後尿失禁の回復については,両群ともに術後12ヶ月で95%以上が回復していたが,術後1および3ヶ月では温存群が有意に高く,両群の患者背景は違うものの,神経温存が術後尿失禁の早期回復には有利である可能性が示唆された.性機能については,神経温存群では12ヶ月で有意に回復が認められた.これらの結果から,LRPは根治性を含めた “Trifecta” という観点からも開腹手術と遜色ないものと考えられた.
特集3:技術認定制度の現状と今後の課題
  • 寺地 敏郎
    2011 年 24 巻 1 号 p. 55
    発行日: 2011年
    公開日: 2014/02/07
    ジャーナル フリー
     泌尿器腹腔鏡技術認定制度が2004年に発足して6年が経過した.2010年度には,規則に従って制度委員の一部ならびに制度委員長の交代,「技術認定審査体制整備ワーキンググループ」の役割の見直しと「核審査委員会」への呼称の変更,初年度の審査によって技術認定を取得した医師の5年を経過しての技術認定更新が行われた.本制度がさらに信頼性の高い制度となるべくセカンドステップに踏み出した年と言える.
     本特集では,前制度委員長の松田公志先生に本制度の発足の経緯,審査過程ならびに結果,審査の信頼性の評価結果,今後の課題についてご報告いただいた.また,核審査委員の一人である岩村正嗣先生に技術審査の現状と今後の課題について,同じく核審査委員の一人である羽渕友則先生に,技術認定更新者の5年間の手術実績に関するアンケート調査結果についてご報告いただいた.本特集により日本泌尿器科学会,日本Endourology・ESWL学会会員の皆様に本制度についてより深く知っていただくとともに,本制度がより合理的で信頼性の高い制度となるよう,今後のあるべき方向についてご意見を頂戴できれば幸いである.
  • 松田 公志, 寺地 敏郎
    2011 年 24 巻 1 号 p. 56-61
    発行日: 2011年
    公開日: 2014/02/07
    ジャーナル フリー
     泌尿器腹腔鏡技術認定制度は,日本内視鏡外科学会および関連各科と歩調を合わせて2004年に発足した.6年間に延べ906人が申請し,未編集ビデオでの技術評価の合格者は564人,合格率62.3%であった.初回申請者の合格率は62.2%,2回目は64.1%,3回目以降は55.6%である.2名の審査委員のビデオ審査合否一致率は全体で65.7%であった.6年間を集計して検討すると,数名の審査委員が他の審査委員より厳しい判定をしていると考えられたが,担当した審査委員ごとの最終合否判定率には有意な差を認めなかった.今後,審査の信頼性の更なる向上と制度の妥当性,有効性の検証が求められる.
  • 岩村 正嗣
    2011 年 24 巻 1 号 p. 62-68
    発行日: 2011年
    公開日: 2014/02/07
    ジャーナル フリー
     泌尿器科領域における腹腔鏡手術の健全な普及と進歩を目的に,2004年4月に日本泌尿器科学会/日本Endourology・ESWL学会泌尿器腹腔鏡技術認定制度が発足して8年を迎えようとしている.この間,すでに6回の技術審査が行われ,2009年度までに計564名の技術認定医が誕生した.現在,第7回(2010年度)の申請が終了し,4月の発表に向け審査が行われている.本稿では,第1回技術認定から審査に携わってきた筆者の経験をもとに,技術審査の現状と今後の課題について公開されている審査基準に沿って解説する.なお,申請資格や申請方法の詳細については学会ホームページを参照されたい.
  • 羽渕 友則, 寺地 敏郎, 三股 浩光, 近藤 幸尋, 金山 博臣, 市川 智彦, 奴田原 紀久雄, 三木 恒治, 小野 佳成, 馬場 志郎 ...
    2011 年 24 巻 1 号 p. 69-82
    発行日: 2011年
    公開日: 2014/02/07
    ジャーナル フリー
     2004年に発足した泌尿器腹腔鏡技術認定制度も5年を超えた.今回,泌尿器腹腔鏡技術認定制度によって技術認定を受けた術者による泌尿器腹腔鏡手術の安全性,妥当性や質(integrity)を検証するために,初回の技術認定を受けた136名を対象としてアンケート調査を行った.結果として130名より2590件の泌尿器腹腔鏡手術の術中術後データが得られた.更新申請者130名の5年間の泌尿器腹腔鏡手術経験件数と合わせてこれらを解析した.130名の技術認定医が経験した泌尿器腹腔鏡件数は2004年から2009年まで年々増加し,2009年には4599件に及んだ.腹腔鏡下腎部分切除術や腹腔鏡下前立腺全摘除術の件数は年々増加していたが,これらの手術を5年間,経験していない認定医はそれぞれ19.2%,54.6%であった.2590例の調査の結果,開放手術の移行率は2.5%,同種血輸血率は1.6%,重大な術中合併症(Satava分類のⅡ以上)の頻度は1.2%,重大な術後合併症(修正版Clavien分類のⅢ以上)の頻度は0.9%,全ての合併症の頻度は3.7%であった.これらのadverse eventの頻度は欧米やアジアの泌尿器腹腔鏡の経験豊富な施設からの報告と遜色無いか低い数字であった.周術期の死亡例は無かった.技術認定医が手術に参加する場合に,術者か指導者かの役割の違いでこれらのadverse eventの発生頻度に有意な違いは無かったが,副腎摘除術,腎腫瘍に対する腎摘除術,前立腺全摘除術においては経験数が多い認定医は指導医的立場で参加する頻度が有意に高かった.認定医の5年間の経験件数とこれらのadverse eventとの関係を検討すると,全ての泌尿器腹腔手術の解析では開放手術の移行頻度は経験数が少ないと有意に高い結果であったが,その他の合併症や同種血輸血率などでは経験数との関係は明らかでなかった.しかしながら腎部分切除術における開放手術への移行率,前立腺全摘除術における同種血輸血率などでは経験数が少ないと有意に高かった.手術時間では腎尿管全摘除術,前立腺全摘除術,腎盂形成術などで経験数が豊富であると有意に短い結果であった.
     初回の泌尿器腹腔鏡技術認定医は認定後の5年間,術者,指導者としての経験数は術者間に大きな違いがあったが,おおむね経験数に関係なく,低い術中,術後合併症頻度で様々な泌尿器腹腔鏡手術を術者あるいは指導者として施行していることがうかがわれた.
体腔鏡手術
  • Takashi Kasahara, Tsutomu Nishiyama, Masaaki Kaneko, Kei Arai, Tsutomu ...
    2011 年 24 巻 1 号 p. 83-87
    発行日: 2011年
    公開日: 2014/02/07
    ジャーナル フリー
      Objective:To describe our initial experience with retroperitoneoscopic nephrectomy utilizing a GelPort as the main access platform together with a muscle-splitting approach.
      Patients and methods:Between March and August 2009, we performed 8 retroperitoneoscopic nephrectomies utilizing a GelPort. A transverse incision was made along the skin fold, and the flank abdominal muscles were split without cutting. We used standard straight instruments throughout the dissection process.
      Results:The median operative duration and median estimated blood loss were 215 min(range 140-380 min)and 65 ml(range 20-280 ml), respectively. All cases were completed without conversion or serious complications. Complete convalescence took a mean of 24.8 +/-6.5 days. Postoperative follow-up at 1 month showed good cosmetic appearance of wounds as well as high patient satisfaction.
      Conclusion:Retroperitoneoscopic nephrectomy utilizing a GelPort together with a muscle-splitting approach is technically feasible. The required convalescence period is short, and excellent cosmesis is achievable.
  • 玉田 聡, 北本 興市郎, 井口 太郎, 内田 潤次, 鞍作 克之, 田中 智章, 石井 啓一, 川嶋 秀紀, 仲谷 達也
    2011 年 24 巻 1 号 p. 88-92
    発行日: 2011年
    公開日: 2014/02/07
    ジャーナル フリー
     当施設では2003年に鏡視下ドナー腎摘出術(lap. donor Nx)を開始した.その治療成績を報告するとともに同時期に行われた開腹ドナー腎摘出術との比較検討を行った.対象はlap. donor Nx 42例,開腹下36例.Lap. donor Nxは全例ハンドアシストで行い,経腹膜的アプローチで行った.臍部に約7cmの皮膚切開を置き,それ以外に操作用,カメラ用ポートを作成した.手術時間,出血量,入院期間,鎮痛剤使用回数などの項目を比較検討した.手術時間はlap. donor Nxのほうが有意に長く,出血量はlap. donor Nxのほうが有意に少なかった.術後入院期間はlap. donor Nxのほうが有意に短かった.Lap. donor Nxの術中開腹移行例はなかったが,術後創部からの出血で再開腹した症例が一例あった.Lap. donor Nxの安全性は確立されつつあり我々の検討でもそれを裏付ける結果となった.
  • 曽我 英雄, 武中 篤, 石村 武志, 田中 一志, 藤澤 正人
    2011 年 24 巻 1 号 p. 93-98
    発行日: 2011年
    公開日: 2014/02/07
    ジャーナル フリー
     【目的】腹腔鏡下前立腺全摘術において,機能温存と癌制御の両立を目指し,神経部分温存術式を開発した.今回,本術式の神経温存を電気生理学的に評価し,完全温存術式,非温存術式と比較検討を行った.また,その術後性機能に関して検討を行った.
     【対象と方法】腹腔鏡下前立腺全摘除術を施行され,術中に電気生理学的神経温存評価を行った前立腺癌患者28例(56神経血管束)を対象とした.完全温存(15症例;15神経血管束),側方切離を前立腺後外側ラインとした部分温存(8症例;9神経血管束),および側方切離を前立腺後外側から約5-10mm離れたラインで行った非温存(23症例;32神経血管束)の3群に分類し,それぞれの電気生理学的神経温存評価を行い,さらに術後勃起に関してEPICを用いたアンケートにより継時的に評価した.
     【結果】術式と電気生理学的判定の一致率は68%(28例中19例)であった.神経血管束別の評価では,完全温存術式で80%(右;89%,左;67%),部分温存術式で56%(右;50%,左;60%),そして非温存術式で13%(右;13%,左;12%)が神経温存と判定された.片側部分温存術式症例の術後6ヶ月,12ヶ月,18ヶ月,24ヶ月における勃起率は,それぞれ0%,33%,33%,67%であった.片側部分神経温存術式施行症例の術後QOL評価ではSexual function scoreは低値を示すものの,Sexual bother scoreは比較的高値を維持していた.
     【結語】神経部分温存術式は,完全温存術式には劣るものの,一定の確率で神経温存されることが電気生理学的に示された.また,本術式では緩徐ではあるが一定の勃起機能回復傾向も認められた.本術式は性機能温存術式に成りえる可能性が示唆された.
  • Hideaki Miyake, Mototsugu Muramaki, Takeshi Ishimura, Yuzo Nakano, Kaz ...
    2011 年 24 巻 1 号 p. 99-103
    発行日: 2011年
    公開日: 2014/02/07
    ジャーナル フリー
      The objective of this study was to retrospectively compare the impact of body mass index(BMI)on perioperative outcomes between open radical nephrectomy(ORN)and laparoscopic RN(LRN)for patients with renal cell carcinoma(RCC). This study included a total of 220 consecutive patients with clinically localized RCC, of whom 112 and 108 underwent ORN and LRN, respectively. In this study, these patients were divided into the following two groups according to BMI:non-obese group(n = 120, BMI 25 kg/m2 or less)and obese group(n = 100, BMI greater than 25 kg/m2). In the overall patient group, all parameters related to perioperative outcomes except for operative time favored LRN compared with ORN with significant differences. However, in the non-obese group, there were no significant differences in estimated blood loss and interval until permission to discharge between these two surgical approaches, while in the obese group, there was no significant difference in operative time between the two approaches, although the remaining parameters in LRN were significantly superior to those in ORN. Collectively, these findings suggest that the less invasive nature of LRN appears to be more pronounced in the obese group than in the non-obese group.
  • 熊澤 光明, 土谷 順彦, 小原 崇, 鶴田 大, 齋藤 満, 成田 伸太郎, 堀川 洋平, 佐藤 滋, 羽渕 友則
    2011 年 24 巻 1 号 p. 104-108
    発行日: 2011年
    公開日: 2014/02/07
    ジャーナル フリー
     鏡視下ドナー腎摘出術において,手術難易度を反映する肥満指標について検討した.腹腔鏡下ドナー腎摘出術(TN)48症例,後腹膜鏡下ドナー腎摘出術(RN)44症例を対象とした.術前CTで皮下脂肪径,腎周囲脂肪径,全脂肪面積,皮下脂肪面積,内臓脂肪面積,腎周囲脂肪面積を測定,それぞれの項目を中央値で肥満群,非肥満群の2群に分けて出血量,手術時間との関与を検討した.TN群ではいずれの項目においても統計学的有意差を認めなかった.RN群での検討では,腎周囲脂肪厚と内臓脂肪面積による肥満群が非肥満群に比べて有意に出血量が多かったが,皮下脂肪と出血量,手術時間との関連はなかった.また,腎周囲脂肪面積による肥満群は非肥満群に比べて有意に出血量が多く,手術時間が長かった.内臓脂肪,特に腎周囲脂肪は後腹膜鏡下ドナー腎摘出術で手術時間を延長させ,出血量を増加させる要因であった.
  • ─用手補助法との比較─
    佐々木 芳浩, 石崎 淳司, 松本 隆児, 内野 秀紀, 坂下 茂夫
    2011 年 24 巻 1 号 p. 109-114
    発行日: 2011年
    公開日: 2014/02/07
    ジャーナル フリー
     当院の腎盂尿管癌に対する鏡視下手術の成績を術式の変遷を踏まえて安全性と制癌の面から検討した.対象は2000年10月から2009年6月まで腎盂尿管癌の診断で鏡視下手術を施行した54例とし,同時期の開腹手術例は除外した.手術時年齢は中央値74歳であった.術式は腎摘が用手補助手術(HALS)33例,腹腔鏡手術(PLS)21例,下部尿管の処理は下腹部横切開法23例,傍腹直筋切開法30例,その他1例であった.手術時間は中央値230分,出血量は中央値201mlであり3例に輸血を要した.開腹への移行は8例でみられた.術後合併症は8例にみられたが初期のものが多く,重篤な合併症はみられなかった.術後観察期間の中央値は21.8ヶ月であった.膀胱内再発は19例にみられ,1年非再発率は67.4%,3年58.1%であった.癌特異生存率は1年93.9%,3年78.9%,5年78.9%であった.術式別検討では,HALS群33例とPLS群21例の比較において術後入院期間(中央値18.6日 vs.13.8日,p=0.024)と術後観察期間(中央値26.9ヶ月vs.15.0ヶ月,p=0.0013)に差がみられたが,手術時間,出血量,膀胱内再発率,癌特異生存率に差は見られなかった.
  • 中川 剛, 吉井 愼一, 大西 怜, 上村 慶一郎, 林 篤正, 豊澤 徳行, 斉藤 孝二郎, 松尾 光哲, 末金 茂高, 松岡 啓
    2011 年 24 巻 1 号 p. 115-119
    発行日: 2011年
    公開日: 2014/02/07
    ジャーナル フリー
     久留米大学泌尿器科において1993年2月から2010年4月に施行した腹腔鏡下副腎摘除術109例の臨床的検討を行った.到達法は経腹膜到達法81例,後腹膜到達法28例であった.
     全体の平均腫瘍径は26.8±13.3mm(7-70mm), 平均手術時間は259±98分(98-590分),平均出血量は126±238ml(5-1760ml),術後平均在院日数は13±8日(3-64日)であった.
     開放手術への移行は6例(出血4例 癒着1例 位置不明1例)であった.術中合併症は出血4例,短肝静脈損傷1例,膵損傷1例,気胸1例であった.術後合併症は皮下血腫1例,創部感染1例であった.
     経腹膜到達法で手術時間が短く,術後在院日数が短い結果であった.
  • 三宅 見季, 槙山 和秀, 佐野 太, 中井川 昇, 窪田 吉信
    2011 年 24 巻 1 号 p. 120-123
    発行日: 2011年
    公開日: 2014/02/07
    ジャーナル フリー
      【目的】当院で施行した31例の腹腔鏡下腎盂形成術の手術成績を評価した.
      【対象と方法】2005年1月から2010年7月までの期間に,当院で腹腔鏡下腎盂形成術を施行した31例を対象とし,各々の患者背景,術式,治療成績について評価検討した.
      【結果】術式は初期6例が後腹膜アプローチ,以降経腹膜アプローチへ変更した.腎盂形成はdismembered法を標準術式としている.平均手術時間は218.8分(127-308分),術中合併症はなく,平均出血量は7.3ml(0-100ml)であった.全例で術前症状の改善を認めた.評価し得た28例中27例(96.4%)に水腎症の改善,9例中5例(55.6%)にレノグラムでの水腎パターンの改善を認めた.一年以上の長期観察できた症例に症状の再発や増悪を生じた例は認めなかった.
      【結論】当院において,腎盂尿管移行部狭窄症(UPJO)に対する腹腔鏡下腎盂形成術は,標準術式として十分認められる手術成績であった.
Endourology
  • 木村 元彦, 志村 尚宣, 笹川 亨
    2011 年 24 巻 1 号 p. 124-130
    発行日: 2011年
    公開日: 2014/02/07
    ジャーナル フリー
      【目的】腎・尿管結石患者に対する経尿道的砕石術(transurethral lithotripsy;TUL)の治療成績を検討する.
      【対象と方法】2002-2009年の間に延べ256例(男性158例,女性98例)にパルス波色素レーザーを用いてTULを行った.部位(平均長径)は腎(8.2mm)13例,上部尿管(U1, 8.3mm)104例,中部尿管(U2, 9.4mm)53例,下部尿管(U3, 7.6mm)86例.先行治療として平均2.6回の体外衝撃波砕石術(extracorporeal shock wave lithotripsy;ESWL)を153例(59%)に行っていた.
      【結果】手術時間の中央値は53分で,手術時間延長の要因は,結石部位が近位・長径大・水腎症あり・術者non-expertであった.半硬性尿管鏡は全例,軟性鏡は72例で使用し,術後のステント留置は189例で行った.術後3ヶ月の完全排石(率)は全体で224例(89%),腎11例(85%),上部尿管83例(81%),中部尿管48例(92%),下部尿管82例(96%)であった.多重ロジスティック回帰分析では,上部尿管に比べ中部・下部尿管で,長径が大きいものよりも小さいもので完全排石率が有意に良好であった.さらに,過去に検討したESWL単回での治療成績に比べ,今回のTULの成績は大きく上回った.
      【結論】最新の尿管鏡や砕石装置などが必要ではあるが,TULの安全性は高くその手術成績はESWLに比して良好であるといえる.
前立腺
  • 福森 知治, 中逵 弘能, 古谷 俊介, 布川 朋也, 武村 政彦, 山本 恭代, 山口 邦久, 岸本 大輝, 井崎 博文, 高橋 正幸, ...
    2011 年 24 巻 1 号 p. 131-135
    発行日: 2011年
    公開日: 2014/02/07
    ジャーナル フリー
      徳島大学で限局性前立腺癌に対して密封小線源療法を施行し,2年以上経過観察した中間リスク群76例,高リスク群33例の治療成績を検討した.小線源単独治療群は37例(中間リスク群:32例,高リスク群:5例),治療前ホルモン療法併用(NHT)群は72例(中間リスク群:44例,高リスク群:28例)であった.中間リスク群,高リスク群のPSA再発率(PSA cutoffがnadir+2.0 ng/mL以上)はそれぞれ6.6%,9.1%で,臨床的再発は2例(1.8%)であった.両リスク群ともにNHTの有用性は認められなかった.PSA再発群は,非再発群と比較して小線源治療1ヶ月後の90%の前立腺に照射される線量(D90)が135.1 Gyと有意に低く,8例中4例でD90が145 Gy以下であった.中間リスク群,高リスク群での小線源単独の治療成績は比較的良好で,NHTの有用性は認めず,D90が治療成績に重要であった.
  • 石川 隆太, 設楽 敏也, 若田部 陽司, 久保 星一, 平山 貴博, 藤田 哲夫, 岩村 正嗣, 馬場 志郎
    2011 年 24 巻 1 号 p. 136-141
    発行日: 2011年
    公開日: 2014/02/07
    ジャーナル フリー
    【目的】78Wと100Wの違いを検討する.
    【対象と方法】2010年3月から7月に78Wで施行した34例と100Wで施行した21例.P<0.05を有意とした.
    【結果】78Wと100Wで平均切除重量,総エネルギー量は有意差を認めないが,核出時間は100Wで有意に短縮していた(44.8 v 50.7g,130.5 v 127.6kJ,49.7 v 41.8 min).腺腫核出に関する効率についてみると,g/minとkJ/minは100Wで有意に増加しており,kJ/g は有意差がなかった(0.89 v 1.14g/min,2.62 v 3.08kJ/min,3.68 v 3.07kJ/g).
    【結論】100Wでは出力の増加に伴い核出時間が短縮していた.これは主にkJ/minの増加に伴いg/minが改善したものと考えられる.
  • 豊澤 徳行, 植田 浩介, 林 篤正, 吉井 愼一, 松尾 光哲, 末金 茂高, 冨安 克郎, 松岡 啓
    2011 年 24 巻 1 号 p. 142-146
    発行日: 2011年
    公開日: 2014/02/07
    ジャーナル フリー
      ホルミウムレーザー前立腺核出術による中期・長期の成績を検討した.対象は下部尿路症状を有する前立腺肥大症患者で当科においてホルミウムレーザー前立腺核出術を施行された213例のうち手術後の経過を36か月,48か月,60か月まで観察出来た63例,44例,29例である.方法は前立腺体積,IPSS,QOL score,最大尿流率,平均尿流率,残尿量の6項目を手術前,手術後36か月,48か月,60か月の時点で比較した.
      対象の平均年齢は71.6歳,術前平均前立腺体積は65.1ml,平均核出重量は36.8g,術後尿道バルーンカテーテル留置期間は平均2.4日であった.全項目において術後の各期間で術前と比較し有意に改善していた.ホルミウムレーザー前立腺核出術の効果は,手術後36か月,48か月,60か月の中・長期においても持続した.
  • 若田部 陽司, 設楽 敏也, 石川 隆太, 久保 星一, 平山 貴博, 藤田 哲夫, 岩村 定嗣, 馬場 志郎
    2011 年 24 巻 1 号 p. 147-151
    発行日: 2011年
    公開日: 2014/02/07
    ジャーナル フリー
      【緒言】HoLEP術後の尿道狭窄症は,比較的発症率が高く臨床的に問題となる場合がある.当院において2009年よりHoLEPの術式の一部を変更し,尿道狭窄の発生頻度を検討したので報告する.
      【対象と方法】2008年1月から2009年12月までに,当院で単独術者によりHoLEPを施行された188例を対象とした.2008年の83例は,three-lobe techniqueに準じてHoLEPを施行し(A群),2009年の105例は,12時側の腺腫処理の際に,尿道への負担が軽減されるように工夫した新しい術式で施行した(B群).観察期間は2010年6月までとし,術後尿道狭窄症について検討した.
      【結果】処置を必要とするような術後尿道狭窄症は,A群は7例(8.4%),B群は2例(1.9%)であり,有意差をもって低下した.
      【結論】手術手技の工夫により,HoLEP術後尿道狭窄症の頻度を低下できる可能性があると考えられた.
ESWL
  • 青木 雅信, 平野 恭弘, 阿曾 佳郎
    2011 年 24 巻 1 号 p. 152-157
    発行日: 2011年
    公開日: 2014/02/07
    ジャーナル フリー
      ESWL施行後に発生した腎被膜下血腫および腎周囲血腫症例について臨床的に検討した.
      対象は2005年1月から2009年5月までに当院でESWLを施行した腎結石123例で,腎被膜下または腎周囲血腫を合併した28例と合併しなかった95例について臨床的に比較し,血腫形成についての危険因子を検討した.腎周囲血腫を4例認め,そのうち3例に高血圧の既往があり降圧剤を内服していた.血腫形成群は血腫非形成群と比較してbody mass index(BMI)25kg/m2以上の割合が有意に高かった.また,全ESWL180回における検討では血腫形成群においてESWL施行中の血圧が有意に上昇していた.さらにBMI 25kg/m2以上であること,ESWL施行中に収縮期血圧が30mmHg以上上昇することが血腫形成の危険因子であった.
      ESWLを施行する際には,既往歴,内服薬,肥満度を念頭において,施行中の血圧変化に十分な注意を払うべきであると考えられた.
症例報告
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