腹腔内精巣の最も確実な診断法は腹腔鏡検査である.しかし,腹腔鏡下精巣検索および手術に難渋した症例を経験したので報告する.
腹腔内精巣100精巣のうちの14例(18精巣)を原因別に分けて検証する.
①long vasによる精巣血管と精管血管の見誤り,5 cases(6 testes)
②spleno gonadal fusion 1 cases(1 testis)
③HCG試験偽陰性例 1 case(1 testis)
④Beckwith-Wiedemann症候群合併症としての腹壁破裂 3 cases(5 testes)
⑤複数回の腹膜炎手術後の癒着状態 1 case(2 testes)
⑥prune belly症候群 1 case(1 testis)
⑦横断性精巣転位 2 cases(2 testes)
MRI検査にて精巣が判明する症例もあり,健側の代償性肥大がない場合は施行して,腹腔鏡下精巣検索時の補助診断としていくべきである.またHCG試験陰性例のなかに腹腔内胚細胞陽性例が認められるため,注意を要する.腹腔内高位精巣の場合,将来,胚細胞腫瘍発生防止のため,最低限,見落としを避けることが大事である.
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