目的:疾患の季節変動や統計的な背景を明らかにし,救急業務遂行に役立てることを目的とした。対象と方法:平成20年1月1日から平成22年12月31日までの3年間に,当院に搬送された二次および三次救急患者を対象とした。傷病者搬送通知書の病名,重症度などを集計し検討した。結果:二次救急17,492名,三次救急3,941名で,総数21,433名であった。月別の比較では,冬季に重症患者が多い傾向があり,夏季に比べ約1.2倍増加した。時間帯では,10~12時ごろと19~21時ごろに二峰性の搬送数増加がみられた。年齢別では,0~5歳ごろの幼少期と76~85歳ごろの高齢期にピークを認めた。疾患別に月別分布をみると,循環器系疾患が冬季に多かった。心肺停止状態の患者数は,夏季に少なく冬季に多い分布を示した。結語:冬季に多い疾患や,発症頻度の高い時間帯について理解することは,迅速な患者の病態把握に有用であると考えられた。
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