目的:外傷全身CT で上肢下垂はポジショニング時間の短縮に有効か自験例の後方視的検証を行うこと。方法:2011年1月〜2015年12月の間に外傷全身CTを行った1,078症例を対象とした。TRISS法による予測生存率(probability of survival;Ps),上肢挙上の有無,頭部撮影後から体幹部撮影開始までの時間(interscan delay time;IDT)を調査し,上肢挙上の有無によるIDTの差を比較した。Psより中等群(1〜0.5),重症群(0.49〜0.25),超重症群 (0.24〜0)に分類し,IDTの中央値を重症度ごとに比較した。結果:上肢挙上群と下垂群ではIDTに差を認めた。各重症群の中央値での比較では超重症群の差が156秒と一番大きい差であった。結語:上肢下垂法はポジショニング時間に差を認め,とくに重症例で有用であった。
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