心肺蘇生法(以下CPR)実施者の吹き込み呼気を分析し, より高い酸素濃度の呼気吹き込み法を検討した。対象は救命講習会修了者とし,単に吹き込み要領のみ指導した10名(A群),「深く息を吸った後,吹き込む」ように指導した10名(B群),「一度息を吐いた後,深く息を吸い込んでから吹き込む」ように指導した10名(C群)について比較した。測定方法はCPRを5分間実施し,訓練人形に吹き込まれた呼気を代謝モニターに誘導して酸素濃度と換気量を測定した。A群は酸素濃度16.4±0.5%,1回換気量=1,142±451mlで,B,C群はそれぞれ16.4±0.4%,1,042±310ml,17.6±0.5%,1,178±198mlであった。A―B間の酸素濃度に差はなかったが,C群はどちらの群よりも高値を示した。「一度息を吐いた後,深く息を吸い込んでから吹き込む」ように指導することで,1回換気量を増すことなく呼気の酸素濃度を高めることができると考えられた。
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