近年,人工呼吸器が関連する医療事故が多く発生している。そこで今回,当院における人工呼吸器に関するインシデント事例を分析した。2000年9月から2001年12月までの当院におけるインシデント事例は3,142件であり,そのうち人工呼吸器に関するものは100件であった。それらは操作間違いなどの人為的エラー54件と,整備不良や故障などの機械的エラー36件,分類不能10件に分けられた。当院では2001年6月以前は部署ごとに人工呼吸器の保守管理を行っており,臨床工学技士が関与している部署で40件,関与していない部署で39件の事例が発生し,後者においては機械的エラーが多かった。これに対し2001年7月以降は人工呼吸器中央管理システムを導入することにより,人工呼吸器に関するインシデント事例を減少させることができた。人工呼吸器を安全に使用するためには,適切な保守管理,正しい使用法とその確認が重要であり,これを実現するためには人工呼吸器中央管理システムの導入を含めた組織的な取り組みが必要である。
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