日本エンドオブライフケア学会誌
Online ISSN : 2758-3570
Print ISSN : 2433-2763
最新号
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巻頭言
原著論文
  • 梅津 千香子
    2025 年9 巻1 号 p. 3-11
    発行日: 2025/03/31
    公開日: 2025/04/15
    [早期公開] 公開日: 2025/01/31
    ジャーナル フリー

    目的】 COPD患者の終末期における訪問看護師の支援のプロセスに生じるパターンを把握し,パターンによって変化する支援の様相を明らかにする.

    方法】 関東圏内の訪問看護師を対象として,グラウンデッド・セオリー・アプローチStrauss & Corbin(1990/1999)を用いて分析した.

    結果】 COPD患者の終末期における訪問看護師の支援のプロセスは,訪問看護師の捉えたCOPD療養者の特徴的な状態に応じて,穏やかな終焉,急激な転帰,病状認識の乖離,増強する孤独感という4つのパターンに分類された.これらのパターンは,予後予測の困難さ,呼吸困難のコントロールの難しさ,差し迫る死の認識,直ぐに対応できる介護力などの影響を受けていた.

    結論】 COPD患者の終末期における訪問看護師の支援のプロセスは,患者に残された時間を見積り,生きるために必要な意志を尊重して,生きようとする力を支えつつも,死に向かう覚悟を形成していくプロセスであった.

  • 鈴木 玲子, 谷本 真理子
    2025 年9 巻1 号 p. 12-23
    発行日: 2025/03/31
    公開日: 2025/04/15
    [早期公開] 公開日: 2025/01/31
    ジャーナル フリー

    目的】 長期透析患者の将来の治療選択と話し合いに関する思いを明らかにし,将来の治療選択や話し合いに向けた支援への示唆を得る.

    方法】 透析導入から10年以上経過している血液透析患者10名を対象に半構造化面接を行い,面接内容を質的記述的に分析した.

    結果】 将来の治療選択についての思いは【将来身体の自由や意識がなくなったら自分の治療に関する意思を尊重してほしい】他6カテゴリー,話し合いについての思いは【将来に備えて,治療や自分のことをよく知る人と話したい】他6カテゴリーが抽出された.

    結論】 将来の治療選択では,今,そして将来の状況に依拠した意思決定への思いが影響する.一方で,終末期の治療選択について考えることや話し合いには消極的な思いをもつ者もいるため,配慮をもった対話を行うことが重要である.

  • 高 紋子, 長江 弘子, 岩﨑 孝子, 原沢 のぞみ, 足立 智孝, 那須 真弓, 川添 紀子, 長坂 眞弓, 山縣 千尋, 髙橋 在也
    2025 年9 巻1 号 p. 24-34
    発行日: 2025/03/31
    公開日: 2025/04/15
    [早期公開] 公開日: 2025/02/04
    ジャーナル フリー

    目的】 地域包括ケアシステムに関わる専門職らが教育プログラムで得た学びを明らかにする.

    方法】 47名のプログラム参加者にグループインタビューを行い,その内容を質的記述的に分析した.

    結果】 分析の結果,【自分の看取りの経験を振り返ることで死を見つめなおし,望ましい死について考えた】【意思表明を支えるには支援者としての難しさを感じた】【支援者として本人・家族が思いを語ることができるよう寄り添い,関係性を築くことが重要だと気づいた】【多職種との連携も含め本人・家族の意思をつなぎ叶えることの必要性を感じた】【意思表明を行うために必要な学びや知識・技術を高めることが必要だと気づいた】【健康な時から死について考え,自分の生き方を意識し,表明することが大切だと気づいた】の6つに分類された.

    結論】 専門職同士が生と死について他者と語る機会を得ることは,日頃のACPの実践を省察する機会となり,本人を中心とした意思表明支援の重要性と難しさを学んでいた.

  • 小川 勝彦, 休波 茂子
    2025 年9 巻1 号 p. 35-45
    発行日: 2025/03/31
    公開日: 2025/04/15
    ジャーナル フリー

    目的】 認知症治療病棟で認知症終末期患者をケアする看護師の葛藤を明らかにする.

    方法】 認知症治療病棟で2年以上の経験のある看護師8名に認知症終末期患者の看護を実践する上で抱く葛藤について半構造化面接を行い,質的帰納的に分析した.

    結果】 認知症治療病棟で認知症終末期患者をケアする看護師の葛藤として,【精神科での認知症治療継続と限界から生じる葛藤】,【治療やケアによる活動低下がもたらすことへの葛藤】,【患者・家族と医療者の関係性から生じる葛藤】,【患者の意思が確認できないことに対する葛藤】,【DNAR選択に関する葛藤】,【認知症患者への家族の苦悩から生じる看護ケアに対する葛藤】,【患者と家族関係の間で生じる葛藤】の7つのカテゴリーが抽出された.

    結論】 葛藤が生じやすい状況や場面を看護チーム全体で把握し,話し合いの場を整え,共通認識を持ったケアの必要性について示唆を得た.

研究報告
  • 伊藤 真理, 吉廻 みゆき
    2025 年9 巻1 号 p. 46-54
    発行日: 2025/03/31
    公開日: 2025/04/15
    [早期公開] 公開日: 2024/12/23
    ジャーナル フリー

    目的】 急性期病院に入院した高齢心不全患者における初回ACPの実態を明らかにし,ACP方法論への示唆を得る.

    方法】 診療録に基づく観察研究で,急性期病院であるA病院に入院した65歳以上の心不全患者17名が経験した初回ACPを対象とした.

    結果】 平均年齢は84歳,約8割は初回の心不全で7割の患者が緊急搬送されていた.ACPの内容は16名が価値観,11名が療養の場,13名が将来の医療,2名が代弁者についてであった.価値観の語りは,長生きしたくない,眠るように逝きたいなど死生観に関する内容が目立った.将来の医療について話し合った11名の高齢かつ初回心不全患者のケースでは,7名が侵襲性のない治療を希望した.

    結論】 高齢心不全患者本人が望まない治療や処置を避けるために重要な示唆を得た.高齢者の場合は,たとえ初回のACPであっても,価値観とともに将来の医療行為の選好を確認しておくことが望ましい.

  • 高取 充祥
    2025 年9 巻1 号 p. 55-63
    発行日: 2025/03/31
    公開日: 2025/04/15
    [早期公開] 公開日: 2025/02/19
    ジャーナル フリー

    目的】 C病院救命救急センターでは,2015年11月にFWR(Family-Witnessed Resuscitation)を試験的導入した.導入前後の医師,看護師の認識を明らかにすることを目的とした.

    方法】 2015年8月~翌年8月に医師・看護師に対し,FWR体験前後の【医師・看護師のFWRに対する意識の変化】と【医師・看護師のFWR条件の変化】を調査した.

    結果】 医師9人,看護師23人の回答が得られた.FWR体験後の意識の変化として,医師・看護師共に【⑤家族が状況を理解できる(医師p=0.01, 看護師p<0.01)】,【⑨実際の処置内容,医療者の様子などを家族に見てもらうことができる(医師p=0.02, 看護師p<0.01)】,他1項目に有意な上昇を認めた.FWR体験後の条件の変化は,医師・看護師共に【①家族の希望】,【⑩対応できるスタッフがいる】,他2項目が上昇した.

実践報告
  • 水野 敏子, 坂井 志麻, 原沢 のぞみ, 渡邉 賢治, 成澤 明, 金原 京子, 佐藤 直子, 山田 雅子
    2025 年9 巻1 号 p. 64-72
    発行日: 2025/03/31
    公開日: 2025/04/15
    [早期公開] 公開日: 2024/06/19
    ジャーナル フリー

    目的】 「独り暮らし高齢者のエンド・オブ・ライフ訪問看護モデル」を活用した看護実践により,独り暮らし高齢者が自分らしい最期を迎えることができるかを検討した.

    方法】 エンド・オブ・ライフ期にある独り暮らし高齢者6名に本モデルを活用した訪問看護を行い,事例ごとに記述した.看護師から訪問時の実践内容,高齢者の状態,高齢者の暮らしの評価としてPeaceful end of life(PEL)の情報を収集した.

    結果】 本モデルを活用した訪問看護実践により最期まで自宅で暮らしたいという望みを全員かなえることができた.高齢者の評価であるPELが高く,主体性を尊重して暮らしが継続できるよう支援し,穏やかな最期を迎えられるようタイミングよく支援していた.

    結論】 本モデルを活用した訪問看護により,独り暮らし高齢者が自分らしい最期を迎えることができることが示唆された.

資料
  • 小野 真由子, 井藤 佳恵
    2025 年9 巻1 号 p. 73-83
    発行日: 2025/03/31
    公開日: 2025/04/15
    [早期公開] 公開日: 2024/12/03
    ジャーナル フリー

    目的】わが国において地域の中で行われているグリーフケアの現状と課題を文献レビューにより整理し,遺族となった高齢者を地域で支えていくために必要な実践とは何か検討する.

    方法】医学中央雑誌,国立情報学研究所学術情報ナビゲーターにハンドサーチを加え,キーワードを,地域,在宅およびグリーフケアとし文献検索した.

    結果】除外条件を設けた2段階スクリーニングにより最終的に31件の文献を抽出した.検討の結果,地域におけるグリーフケアとして,在宅ケアに携わる専門職,宗教者,葬儀社,地域住民等によるものが挙げられた.しかしマンパワーや資金,教育の必要性などの課題があることがわかった.

    結論】高齢となった遺族を支えるためには,継続的なケアに向けたケア資源同士の連携とインフォーマルな資源の活性化,併せてグリーフケアに関わる職種の教育のみならず,地域住民全体に向けた取り組みの推進が必要であることが示唆された.

  • 谷垣 靜子, 仁科 祐子, 乗越 千枝, 長江 弘子
    2025 年9 巻1 号 p. 84-92
    発行日: 2025/03/31
    公開日: 2025/04/15
    [早期公開] 公開日: 2024/12/23
    ジャーナル フリー

    目的】 がん終末期患者とその家族の看取り支援について,訪問看護師の看護実践内容を具体的に明示化することを目的とした.

    方法】 看取り経験を有する訪問看護師5名を対象とし,がん終末期患者とその家族に関わった場面について半構造的な面接を行い,得られたデータを質的に分析した.

    結果】 余命よりも延命したがん患者を看取った訪問看護師の看護内容は,4カテゴリにまとめられた.①身体をきれいにするケアを大切にする ②聴く態度に徹することで,患者や家族のこころの安定を図る ③家では自由に過ごしてもらい,リスクを予測しながら見守る ④家族の置かれている状況を捉え,早めに対応する であった.

    結論】 訪問看護師は,個々の患者・家族の思いを尊重する姿勢を貫き,基本の清潔ケアをとおして生きる力を支援していたと考えられる.

事例報告
  • 田島 玲子
    2025 年9 巻1 号 p. 93-98
    発行日: 2025/03/31
    公開日: 2025/04/15
    [早期公開] 公開日: 2024/06/19
    ジャーナル フリー

    目的】 自宅で暮らす重度認知症高齢者の声出しや多動といった認知症の行動・心理症状(以下,BPSD)に着目した事例について報告する.

    方法】 在宅療養中の2事例について状態をアセスメントし,導き出されたアクションプランを多職種チームで共有してケアに取り組み,介入前後の変化を評価した.

    結果】 事例1は,アルツハイマー型認知症で,BPSDとして毎日声出しと多動があったが,その原因を空腹と寝心地の悪さ等と推察し,ゼリー食の提案や寝具の工夫を実施した結果,BPSDは週に1回以下となった.事例2は,混合型認知症と子宮がんで,BPSDとしてほぼ毎日声出しや多動があったが,介護者からの罵声や子宮がんによる痛み等が原因と推察し,介護者の負担軽減に向けたケア等を実施した結果,BPSDが週に1回と改善した.

    結論】 BPSDに着目してその原因等を多職種チームで情報を共有し介入した結果,BPSDが軽減されたことから,緩和ケアに繋がっていたものと推察する.

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