本研究の目的は,他者と共に身体を彫刻のように制止させて表現する「彫刻家と粘土」(Spolin, 1968)を実践し,その体験者の振り返り記述の全体的傾向を明らかにして,「彫刻家と粘土」を保育者志望学生が体験することでどのような協働的な学びが期待できるかを考察することである.本研究の方法は,計量テキスト分析のソフトウェアを補助的に活用し,その振り返り記述の中から,使用頻度の高い語に注目し,特徴的な内容を抽出することである.結果としてわかったことは,保育者志望学生にとっての協働的な学びの導入的活動として,三点が期待できることである.一つめは他者の存在によって活動の幅が広がることの実感が得られる学び,二つめは他者のイメージを汲み取る意欲が高まる学び,三つめは他者のもつ自分と異なる部分を大事にする学びである.
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