教育実践学研究
Online ISSN : 2435-9521
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原著論文
実践論文
  • 星 裕
    2025 年27 巻1 号 p. 31-43
    発行日: 2025/09/30
    公開日: 2025/12/23
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究の目的は,地域の創り手の育成を目指した小学校における総合的な学習の時間のカリキュラムを開発・実践し,子供たちへの影響を明らかにすることであった.子供たちが発表した活動報告の原稿を分析の対象とし,SCAT (Step for Coding And Theorization) を用いて分析を行った.ESDの視点に立った学習指導で重視する能力・態度を枠組みとして分析した結果,本研究で開発したカリキュラムは重点をおいた3つの能力・態度の育成につながったと考えられる.これらの結果を「正統的周辺参加(Legitimate Peripheral Participation:LPP )」の理論的枠組みでとらえ直すと,本カリキュラムにおいて子供たちが地域のまちづくりに取り組んだ経験は,まちづくりや地域活性化に取り組む実践共同体における周辺的参加から十全的参加への移行,つまり,将来の地域の創り手の育成につながる機会となり得る可能性を有していることが示唆 された.
  • 李 瀟, 中村 史朗, 青木 善治
    2025 年27 巻1 号 p. 45-59
    発行日: 2025/09/30
    公開日: 2025/12/23
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究は,中国江西省の中学生を対象に,博物館と連携した書法鑑賞活動の実践を通じて,自己肯定感を育む書法教育の可能性を探ることを目的とした.そのために,「木版印刷」を研究事例とし,書写材料の鑑賞や木版印刷の関連道具を用意し,生徒が自由に鑑賞しながら安心して交流できる活動環境を設定した.滸湾木版印刷博物館で実施した授業における生徒の相互行為分析をもとに,書法鑑賞が生徒の学習態度や理解に与える影響を検討した.また,生徒の「よくわからない」という状態が尊重される環境において,対話的な学びを通じて生徒が自己肯定感を高め,積極的な学習態度の形成に寄与していることが明らかになった.本研究は,博物館と学校教育の連携を通じた書法教育の新たな可能性を提示し,今後の教育実践への活用が期待されるものである.
  • 細江 快, 長倉 守
    2025 年27 巻1 号 p. 61-72
    発行日: 2025/09/30
    公開日: 2025/12/23
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究の目的は,小学校理科において新たな問題を見いだし,吟味し,解決に至る学習過程を基盤として,日常生活との関係を意味づけ,理科の有用性の認識を促す授業実践の開発を行うことである.本研究における理科の有用性とは,理科の学習と日常生活との関連の認識である.有用性の認識を促すために,既存のカリキュラムの学習後に,新たな問題を見いだし,日常生活への適用可能性,実験による解決可能性を吟味したうえで,解決するカリキュラムモデルを構想し,単元に実装した.その結果,「理科が日常生活に役立つ」「学習内容が日常生活に役立つ」において有意差が見られた.このことから,授業実践を通して開発したカリキュラムは理科の有用性の認識を促すことに有効であることが明らかになった.
  • 宮野 周
    2025 年27 巻1 号 p. 73-85
    発行日: 2025/09/30
    公開日: 2025/12/23
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究の背景となる『子ども元気プロジェクト』は「子育てをキーワードとした豊かな社会システムのあり方」について検討することを目的として進めてきた.本研究の目的は,学生が企画・実施した2023 年度の本プロジェクトにおける「造形ワークショップ」に焦点を当て,「まなびほぐし」や「状況的・対話的な学び」,「身体的・状況的専門性」を視座にした実践を通して,学生が保育者の専門性を学ぶ場としての造形ワークショップの題材化の可能性を検討してきた.結果として,①ブラックライトと蛍光絵の具を用いた「絵の具の活動」と,②静電気の「くっつく」活動を通して,学生たちは子どもたちの行為や対話を通して既成の造形表現に対する概念を壊し,身体を使った描画表現の可能性と場の有用性や,子どもたちの「くっつく」ことへの気づきによる遊びの工夫と展開について確認し学ぶことができた.
  • 木野 正一郎
    2025 年27 巻1 号 p. 87-102
    発行日: 2025/09/30
    公開日: 2025/12/23
    ジャーナル オープンアクセス
    高等学校の道徳教育は,「人間としての在り方生き方」を公民科や総合的な学習(探究)の時間等を用いて指導する.筆者は2018 年に柳沼(2014)の「道徳性の三側面形成」理論を援用し,特に公民科と総合的な学習の時間を横断させた道徳教育の小単元プログラムを開発実践した.そこで,本研究では筆者が研究中のナラティブ教育(「小さな物語」を含めて詳細な国家像を描く探究的な学習)の指導法を用いて新たな小単元プログラムを再構成したのだが,その際に過去の開発実践をR.ローティ(1989a)に起因する「進歩の物語」と,柳沼(2019)のナラティブ教育で期待される教育効果,及び英雄物語やマイノリティ物語でアイロニックに疑う批判的精神に基づいて検証した.本稿の主題である価値伝達型教育から価値創造型教育へ質的転換を図るべく,その要点と課題等をまとめ,今後の開発実践に必要な視点を論じた.
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