日本食品工学会誌
Online ISSN : 1884-5924
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10 巻 , 1 号
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解説
  • 萩原 知明
    10 巻 (2009) 1 号 p. 1-8
    公開日: 2015/06/27
    ジャーナル フリー
    ガラス転移の食品科学・工学への応用について,研究事例を述べながら解説した.初めにガラス転移の応用についての概要を述べ,次にガラス転移と食品の諸性質との関連を調べた研究例の説明を行った.熱分析測定の結果,カツオ節は,ガラス状態を取りうることが確認され,また,ガラス状態とカツオ節の切削性には密接な関係があることが確かめられていることを述べた.凍結濃縮相をガラス状態にすることで,マグロ魚肉中の酵素反応,スクロース溶液中の氷結晶の再結晶化は劇的に進行が抑制された.この結果は,凍結濃縮相のガラス転移温度以下で顕著な品質安定性が得られることを示唆していることを説明した.種々の糖溶液に関して,凍結濃縮相の水の自己拡散係数と氷結晶の再結晶化速度との間には良好な正の相関関係あることを述べた.以上,ガラス転移現象に着目することで,食品の製造・貯蔵時にみられる現象や食品の諸性質の理解が進展する可能性を示した.
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総説
  • 安達 修二, Sanne MINTEN, 小林 敬
    10 巻 (2009) 1 号 p. 9-15
    公開日: 2015/06/27
    ジャーナル フリー
    脂質は栄養面のみならず嗜好性の点でも重要な食品成分の1つである.しかし,不飽和脂肪酸を含む脂質は酸化されやすく,酸化されると異臭を生成するのみならず,人体に好ましくない影響を及ぼす場合もある.一方,食品分野でもナノテクノロジーに対する関心が高まっており,固体や液体粒子の微細化による新たな機能性をもつ食品素材の開発が期待されている.エマルションのような脂質を分散相とする系で,分散相の粒子径を小さくすると,比表面積が増大するため,脂質の酸化が促進されることが危惧される.しかし,系統的な検討は十分には行われていない.そこで著者らは,水中油滴(O/W)型エマルションの油相やミセルに可溶化された脂質の酸化速度に及ぼす分散相の粒子径の影響について検討した.その結果を概観するとともに,関連する論文を総括する.また,分散系における脂質酸化の基礎となるバルク系での脂質の酸化反応速度についても著者らの既往の研究の概要を紹介する.
    さらに,粉末化した脂質の酸化速度に及ぼす分散粒子径の影響についても簡単に紹介する.バルク系でのn-6系高度不飽和脂肪酸(PUFA)の酸化過程は自触媒型の反応速度式で表現できた.また,熱重量分析装置および定温で操作した示差走査熱量計による測定から,n-6系PUFAの酸化過程における酸素との化学量論係数は全期間を通して1であった.さらに,n-3系PUFAの酸化過程の前半も自触媒型の反応速度式で表現できた.しかし,n-3系PUFAの酸化過程の後半は同式では表現できず,1次反応速度式を適用した.食用脂質は複数の脂肪酸からなるトリアシルグリセロールである.その酸化過程に対する基礎的な知見を得るために,PUFAに飽和脂肪酸またはそのエステルを混合した系におけるPUFAの酸化過程を測定した.飽和脂肪酸はPUFAに対する希釈剤として作用し,酸化速度定数が低下した.一方,あるPUFAに別のPUFAを混合すると,各PUFAの残存量と酸化により消失した両PUFA量の和の積に比例すると考える一種の自触媒型の反応速度式で表現できた.
    次に,不飽和脂肪酸を油相とするO/W型エマルション系での脂質の酸化に関与する多くの因子について概観した.さらに同系で,分散粒子径が脂質の酸化速度定数に及ぼす影響を検討したところ,油滴を微細化,とくに100 nm以下の粒子径になると,比表面積が飛躍的に増大するにもかかわらず,分散粒子径が小さいほど酸化速度定数が低下した.また,界面活性剤ミセル中に不飽和脂肪酸を可溶化させた場合にも,分散粒子径が小さいほど酸化速度定数が低下した.これらの現象を,界面活性剤の疎水部が脂質を希釈することによる効果に起因するとのモデルにより定量的に表現できることを示した.
    脂質の粉末化は,液状脂質と包括剤の濃厚水溶液から調製したO/W型エマルションを噴霧乾燥などにより急速に脱水することにより得られる.この第一段階であるO/W型エマルション中の油滴径が粉末化したのちの脂質の酸化過程に及ぼす影響を検討したところ,乳化時の油滴径が小さいほど脂質の酸化が遅延されることを見出した.
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原著論文
  • 清田 正徳, 福富 純一郎, 西 健織, 寺島 紀男
    10 巻 (2009) 1 号 p. 17-22
    公開日: 2015/06/27
    ジャーナル フリー
    前報で提案した50 kg/hの処理能力をもつ乾燥器の内部の流れの観測と解析をまず行った.高速度ビデオにより,乾燥ドラム内でのおからの分散状況や,分級チャンバー内の左回りの大きな旋回流が観測できた.解析により,ドラム内には内壁に沿って高速気流部があり,その内側に右回りの循環流が形成され,じゃま板の反対側には左回りの循環流があること,また,チャンバー内には左回りの大きな循環流があることが確認できた.解析結果は,実際の内部流れの画像や流速分布の測定値と良く対応しており,本解析は有効であることがわかる.そこでこれを用いて,乾燥ドラムを5/4倍にして,処理量を5倍とするためには,チャンバー入口を比較した3種類の内Bタイプとし,さらにチャンバー高さを500 mm高くするとよいことがわかった.得られた結果に基づいて試作した乾燥器により,およそ300 kg/h程度まで良好におからを乾燥できることがわかった.
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  • 吉野 功, 大嶋 孝之, 佐藤 翔子, 佐藤 正之
    10 巻 (2009) 1 号 p. 23-28
    公開日: 2015/06/27
    ジャーナル フリー
    高電圧パルス電界印加法は,非加熱殺菌の1つの手法であり実用化に向けて研究されており,殺菌効率の向上のために,電極槽の改良が検討されている.一方,銀は抗菌効果が古くから知られている金属である.今回の研究では,銀ワイヤをスパイラル電極に用いた高電圧パルス処理装置を作成し,大腸菌に対する殺菌効果を検証した.
    ステンレス電極を用いた場合,電圧無印加では殺菌効果はなく,電圧を上げるにつれて大腸菌の生菌率が下がった.銀を高電圧側の電極に用いた場合,パルス印加により高い殺菌効果が得られた.これはパルス付加による効果と銀による効果の相乗と考えられた.
    アース側に銀電極を用いた場合,銀の溶出がおさえられたが,ステンレス電極を用いたときよりもパルス付加による殺菌効果は高く,またパルス付加による殺菌時間の短縮効果がみられた.
    硝酸銀溶液または,パルス付加により銀電極から溶出させた銀溶液を同濃度に希釈した試験溶液に大腸菌を懸濁し,ステンレス電極でパルス付加したところ,電極から溶出させた銀溶液中のほうが,パルス付加による殺菌効果が大きかった.このことから,パルス付加と同時に銀イオンが発生することが殺菌効果の向上につながっていると考えられた.
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  • 松野 隆一
    10 巻 (2009) 1 号 p. 31-35
    公開日: 2015/06/27
    ジャーナル フリー
    食料価格の高騰が始まり,その原因の1つが食料系バイオマスからのバイオエタノールの生産であるといわれている.それを避けるべく,生産を森林などから新たな耕地を開墾するとすれば,もともと二酸化炭素排出削減を目指したことが,逆効果になりかねない.これらのことを,バイオエタノール生産を,既存の耕地で行う場合と,新たに開墾した耕地で行う場合について,既存のデータや統計的データなどを使って考察した.既存の耕地を使った場合,人の使用するガソリンは膨大な量であり,年間生産される全世界の穀類を全てエタノールに変換してもその量はガソリンに対して約43%,日本では5.5%にしかならず,食料価格に影響がでることが必至であることが示された.また,開墾した場合には,開墾時の大量の二酸化炭素排出により,排出削減効果は数10年から数100年のオーダーの後にしか現れないことが示唆された.
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  • 上野 茂昭, 重松 亨, 陸 賢太郎, 斉藤 恵, 林 真由美, 藤井 智幸
    10 巻 (2009) 1 号 p. 37-43
    公開日: 2015/06/27
    ジャーナル フリー
    High-pressure effect on the properties of onion was investigated. The dielectric properties of high-pressure treated onion were measured at 50 Hz- 5 MHz. Radius of Cole-Cole arcs of high-pressure treated samples were smaller than untreated. Radius of treated onion completely disappeared at 400 MPa. This indicated that cell structure would be damaged by high-pressure treatment. Next influences of high-pressure treatment on functional properties were analyzed. Antioxidative activities of high-pressure treated onion at 200 or 400 MPa were increased during storage at 25℃. The constituents of high-pressure treated onion were analyzed by HPLC. Scatter plot between high-pressure treated and untreated peak area ratio (sample peak area/internal standard peak area) were analyzed. Area ratios of untreated samples were plotted on x-axis and those of high-pressure treated were on y-axis according to the retention time. The slope with the retention time of 27.3 min was over 1.0. This indicated that the slope over 1.0 was positive-affected by high-pressure treatment. The ingredient with the retention time of 27.3 min was identified as quercetin. Scatter plot was a novel tool to extract the high-pressure effected substances from multiple and unidentified data. These changes of structural and functional properties of foodstuffs are defined as “High-Pressure Induced Transformation (Hi-Pit).”
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  • 石山 洋平, 高田 剛臣, 中西 利公, 金桶 光起, 渡邊 健一, 柳田 藤寿, 陳 奕伸, 高屋 朋彰, 田中 孝明, 谷口 正之
    10 巻 (2009) 1 号 p. 45-53
    公開日: 2015/06/27
    ジャーナル フリー
    Lactococcus lactis subsp. lactis C101910(C101910)およびLactococcus lactis subsp. lactis NBRC 12007(NBRC 12007)が生産するバクテリオシンを用いて、清酒製造プロセスの中の水麹工程において、火落菌であるLactobacillus hilgardiiの増殖を阻害することを検討した。C101910およびNBRC 12007が生産するバクテリオシンは、pHと温度に依存して、プロテアーゼ活性を有する麹抽出液中でゆっくりと失活した。しかし、C101910およびNBRC 12007が生産するバクテリオシンの活性は、pH 3、10℃の条件で12時間処理した後でも、それぞれ初期の活性の約50%と約70%が残存していた。既に報告した方法に従って調製したC101910およびNBRC 12007由来のバクテリオシン溶液を、麹抽出液(pH 3、10℃)にそれぞれ5%(v/v)および1%(v/v)の割合で添加することによって、L. hilgardii の生細胞数は12時間以内に、初期に添加した濃度(2.5-3.2×105 cells/ml)に比べて検出限界(1.0×102 cells/ml)以下まで減少した。米麹と乳酸溶液を含む水麹(pH 3、10℃)中では、C101910およびNBRC 12007由来のバクテリオシンのL. hilgardiiに対する増殖阻害活性は、麹抽出液中に比べて低下した。しかし、バクテリオシン溶液の添加割合を10%にすることによって、L. hilgardiiの生細胞数は、初期に添加した値(1.0×105 cells/ml)に比べて2オーダ以上減少した。
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技術論文
  • 渡辺 昌規, 津山 力, 一瀬 和紀, 柏村 崇, 佐々野 和雄, 渡辺 健吾
    10 巻 (2009) 1 号 p. 55-61
    公開日: 2015/06/27
    ジャーナル フリー
    本研究では,洗米排水成分添加による精製米デンプン粒子への凝集・沈降性付加について検討を行った.その結果,洗米排水への酵素添加は,サンプル中のリン酸イオン濃度を特異的に増加させ,その後,精製米デンプン添加により,リン酸濃度の速やかな減少が確認された.さらに,解離型リン酸が存在するpH領域内(pH 3~6)において,特異的に精製米デンプンの凝集・沈降性付加効果を確認するとともに,FT-IR解析の結果,P-O吸収帯の透過率の減少が確認された.以上の検討結果より,酵素処理により洗米排水中固形成分から溶出(放出)したリン酸イオンは,精製米デンプンと結合後,リン酸基由来の負電荷をデンプン表層に形成.さらに,多価陽イオンによる静電的な架橋形成により,精製デンプンのマクロ分子を形成,至っては凝集・沈降性付加ならびに促進が可能となったと推察された.
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  • 篠原 英介, 脇坂 港, 白井 義人
    10 巻 (2009) 1 号 p. 63-68
    公開日: 2015/06/27
    ジャーナル フリー
    これまでの研究から凍結融解法は懸濁固形分(SS)を多く含む溶液の固形分除去に有効であることがわかっている.本研究においては,サンプル溶液をSS除去が必須であると考えられている食品ごみ糖化液とし,凍結融解法のSS除去能の検討を行った.SS濃度が52700 ppmの食品ごみ糖化液に凍結融解法を適用すると,含まれるSSは1300 ppmまで低減された.さらにその溶液を一晩静置し,浮遊しているSSを沈降させクリアな上清を採取することによって,溶液に含まれるSSは220 ppmまで低減された.つまり凍結融解後一晩静置させるという一連の操作によって食品ごみ糖化液原液に含まれるSSを99%以上除去できた.
    また,食品ごみ糖化液はその性状から非常に腐敗しやすい特徴を持っている.糖化液を発酵原料と捉える場合,貯蔵・保管の観点から,冷凍による一時保管が想定されるため,凍結融解法によるSS除去は一石二鳥な処理法である.
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ノート
  • Isao KOBAYASHI, Kunihiko UEMURA, Mitsutoshi NAKAJIMA
    10 巻 (2009) 1 号 p. 69-75
    公開日: 2015/06/27
    ジャーナル フリー
    Straight-through microchannel (MC) arrays consisting of numerous oblong straight-through holes are promising MC emulsification devices for producing monodisperse emulsions in large droplet-production scales. We investigated the effects of MC dimensions and velocity of a cross-flowing continuous phase on the production of soybean oil-in-water emulsions using straight-through MC arrays made of single-crystal silicon. The aspect ratio of oblong MCs with equivalent diameters of 21μm to 22μm significantly affected droplet generation and the sensitivity of droplet size to continuous-phase velocity. Uniform oil droplets with diameters of about 100μm and coefficients of variation of less than 3% were generated using large oblong MCs with equivalent diameters of 54μm to 55μm. Data analysis demonstrated that oblong MCs with aspect ratios exceeding a threshold of 3 were necessary to generate uniform oil droplets in a wide range of MC cross-sectional sizes. Moreover, the cross-flow of the continuous phase did not affect the size of the droplets generated using oblong MCs with a large aspect ratio.
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