日本食品工学会誌
Online ISSN : 1884-5924
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12 巻, 2 号
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解説
  • 﨑山 高明
    2011 年 12 巻 2 号 p. 47-53
    発行日: 2011/06/15
    公開日: 2015/06/18
    ジャーナル フリー
    高分子ゲルの膨潤特性の理解は,ゲル状食品の各種物性の理解と制御に重要である.本稿では,pH応答型の膨潤特性をもつ高分子電解質複合ゲルを主な題材として,高分子ゲルの膨潤挙動とその機構について述べた.pHなどの環境条件の変化に応答して体積が変化する高分子ゲルは,薬物放出制御素子などのインテリジェント制御素子として有用であるが,その研究対象はほとんどが合成高分子であり,天然高分子の研究例は極めて少ない.本稿ではまず,天然高分子を素材とする高分子電解質複合ゲル調製法を紹介し,調製されたゲルの膨潤特性を解説した.また,ドナン平衡に基づく荷電ゲルの膨潤特性の解析理論を紹介するとともに,複合体化に伴って荷電性官能基の酸解離特性が変化することを示す解析結果について述べた.膨潤速度については,荷電のないゲルでは高分子鎖の協同拡散が律速となるのに対し,荷電ゲルでは対イオンの拡散が律速となる研究結果を紹介した.
原著論文
  • 佐藤 貴裕, 福田 翼, 森田 洋
    2011 年 12 巻 2 号 p. 55-63
    発行日: 2011/06/15
    公開日: 2015/06/18
    ジャーナル フリー
    本論文では,原料に糊化米粉を使用し,糸状菌と細菌を混合培養することで液化工程を省略した液体培養法によるグルコアミラーゼ生産法の構築を目的とした.混合培養を行った結果,グルコアミラーゼ生産糸状菌Rhizopus cohniiの増殖に伴って培養液pHが低下し,α-アミラーゼ生産細菌であるBacillus amyloliquefaciensの増殖が困難であった.一方でB. amyloliquefaciens由来のプロテアーゼがR. cohniiの細胞壁溶解に関与することが明らかとなった.これらの問題に対して,酢酸アンモニウムの添加とそのタイミングが重要であることを見出した.とくにB. amyloliquefaciesを24 h前培養した時点でR. cohnii及び3.84% (w/v)の酢酸アンモニウムを添加することで740 U/mlと高い活性を得ることに成功した.
  • 池田 新矢, 合谷 祥一, 深田 和宏, 天羽 優子
    2011 年 12 巻 2 号 p. 67-74
    発行日: 2011/06/15
    公開日: 2015/06/18
    ジャーナル フリー
    希少糖d-プシコースの水和挙動を誘電緩和および水分活性により評価した.時間領域において計測した反射波をフーリエ変換することにより,周波数領域における誘電緩和スペクトルを求めた.得られた誘電緩和スペクトルをCole-Cole式にフィッティングすることにより,誘電緩和時間を算出した.グルコース,フルクトース,d-プシコースおよびスクロース水溶液の誘電緩和時間およびマルトースおよびトレハロースの平均水和数の文献値を用いて,グルコース,フルクトース,d-プシコースおよびスクロースの平均水和数を算出したところ,d-プシコースの平均水和数はフルクトースの平均水和数と一致した.また誘電緩和時間から求められたd-プシコースの平均水和数は,粘度の測定により求められたd-プシコースの平均水和数の文献値とも一致した.
    d-プシコースの水分活性の濃度依存性はフルクトースおよびグルコースの水分活性の濃度依存性とほぼ一致した.実験的に求められた水分活性と水和数,さらには糖水溶液中における物質収支を考慮して糖の水和反応の平衡定数を求めたところ,平衡定数の値はグルコース<フルクトース≈ d-プシコース<トレハロース<スクロース<マルトースの順に大きくなった.d-プシコースの水和挙動はフルクトースの水和挙動と類似することが示された.
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