日本食品工学会誌
Online ISSN : 1884-5924
Print ISSN : 1345-7942
13 巻 , 4 号
選択された号の論文の9件中1~9を表示しています
解説
  • 安達 修二
    2012 年 13 巻 4 号 p. 59-71
    発行日: 2012/12/15
    公開日: 2015/06/18
    ジャーナル フリー
    バルク系,ミセル系,O/Wエマルション系および粉末化系における脂質の酸化過程を測定した.O/Wエマルション系および粉末化系における脂質の酸化過程は,油滴径が小さいほど遅延された.自触媒型反応速度式を基礎として,これらの酸化過程の特徴を記述するモデルを提出した.水-有機溶媒二相系でβ-グルコシダーゼを用いた縮合反応によりアルキルグリコシドを合成した.また,微水有機溶媒系でのリパーゼによる縮合反応により親水基と疎水基からなるエステルを合成した.これらの系で生起する物理化学的な現象を説明するモデルを提出し,生成物の収率に影響を及ぼす因子を定量的に解析した.
  • 生形 省次, 鍵谷 和生, 川地 真由
    2012 年 13 巻 4 号 p. 73-77
    発行日: 2012/12/15
    公開日: 2015/06/18
    ジャーナル フリー
    この10年間,野菜飲料市場は急拡大してきたが,ここ数年は伸び悩んでいるのが現状である.そこで,野菜飲料市場の活性化に向け,野菜飲料の新ブランド・新商品「やさいしぼり」の開発を開始した.「やさいしぼり」の開発にあたっては,“野菜本来のおいしさを実感できること”を目標品質に掲げた.
    本商品では,野菜本来のおいしさを追求した結果,内容物のpHが高く,高い殺菌条件が必要となった.通常使用している間接加熱殺菌方式(プレート式)で殺菌したところ,加熱臭が強く,目標品質と程遠い結果となった.また,生産面では間接加熱殺菌方式(プレート式)では,短時間でプレートの焦げ付きの兆候がみられ,連続生産困難と判断された.
    何とか,このおいしさを商品化できないかと考え,殺菌での熱履歴の低減が期待できる,直接加熱殺菌方式(蒸気と内容物を直接接触させ,瞬間的に加熱殺菌・冷却)の検討を行った.直接加熱殺菌方式としては,スチームインジェクションとスチームインフュージョンの両者について検討を行った.
    その結果,間接加熱殺菌方式と比較して,直接加熱殺菌方式の方が高い品質が得られ,さらに,直接殺菌方式の中ではスチームインフュージョンの方が高い品質が得られたことにより,インフュージョン式を採用した.また,連続生産性については,プレートのように焦げ付き問題はなく,連続生産可能であった.
    今後も,世界中から厳選した“原料”とおいしさを損なわない“商品化技術”により,市場に新しい価値を提供し続けていきたい.
  • 熊谷 仁
    2012 年 13 巻 4 号 p. 79-90
    発行日: 2012/12/15
    公開日: 2015/06/18
    ジャーナル フリー
    食品ハイドロコロイドの物性は内部の高分子の分散構造の反映である.本稿では,食品ハイドロコロイドの内部構造を解析するために有効な理論であるパーコレーションモデル,誘電解析,フラクタル解析について解説した.また,食品ハイドロコロイドの嚥下困難者用介護食への応用についても述べた.パーコレーション理論は,ゾル-ゲル転移点近傍における食品ハイドロコロイドの物性挙動の記述に有効であった.BSA,ゼラチン,アルギン酸などの溶液について観測される誘電緩和は,ハイドロコロイドごとに異なる電気双極子の運動を反映していた.多糖類などの高分子電解質溶液のMHz近辺で観測される誘電緩和の解析には,スケーリング則が有効であった.ガラス状の試料に関しては低含水率では,分子の運動性,水の可塑剤としての効果が,誘電緩和法によって得られる緩和時間τや活性化エネルギーEactによって定量的に評価できた.高含水率あるいは高温におけるガラス転移点近傍あるいはラバー領域においては,電気弾性率M*を用いた解析が有効だった.フラクタル解析により,複雑な形状の物体の構造を特徴づけることができた.希薄溶液系においては,タンパク質表面荷電量を制御することにより,クラスター-クラスター凝集モデルの典型例である拡散律速型および反応律速型の凝集体が生じた.球状タンパク質の加熱凝集ゲルの弾性率の挙動は,内部の凝集体のフラクタル構造の反映であった.食品ハイドロコロイドの物性が,超音波パルスドプラー法で測定される食塊の咽頭部流速に及ぼす影響に関して検討を行った.その結果,粘度μ,動的粘性率η’,複素粘性率が,液状の嚥下困難者用介護食の物性指標として有効であると考えられた.
  • 小川 剛伸, 安達 修二
    2012 年 13 巻 4 号 p. 91-107
    発行日: 2012/12/15
    公開日: 2015/06/18
    ジャーナル フリー
    Microsoft Excel® is most popularly used spreadsheet software. Although figures can be drawn using the software, their quality seems to be unsatisfactory for the use in scientific papers or reports. The quality can be improved using Microsoft PowerPoint®, which is also software in Microsoft Office® and is widely used as a presentation tool. A rough figure is prepared based on the data in the Excel, and it is modified to fine one using the PowerPoint. It will be explained how to draw fine figures using both the software.
原著論文
  • 川井 清司, 籐 翠, 坂井 佑輔, 羽倉 義雄
    2012 年 13 巻 4 号 p. 109-115
    発行日: 2012/12/15
    公開日: 2015/06/18
    ジャーナル フリー
    乾燥食品のガラス転移温度(Tg)は示差走査熱量計(DSC)によって明らかにされる.しかし,様々な成分が混在した加工食品の場合,DSC曲線は極めて複雑な挙動を示すため,Tgは不明瞭となる.筆者らはレオメーターに温度制御装置を取り付けることによって試料に一定荷重を加えた状態で等速昇温可能な測定システム(昇温レオロジー測定)を構築した.これは熱機械測定の原理に基づくものであり,ガラス転移に伴う軟化を捉えることができる.本研究ではモデルとして非晶質イヌリンを用い,DSCによって明らかにされるTgと昇温レオロジー測定によって明らかにされる軟化温度(Ts)との関係を調べ,両者は良好な正の相関を示すことを明らかにした.また,これまでにTgに関する報告が殆ど無かったクッキーを対象とし,昇温レオロジー測定によって軟化を明確に捉えられること,得られたTsは含水率の増加と共に低下することなどを明らかにした.
  • 伊地知 南, 清水 詩織, 中西 良博, 佐藤 典子, 池田 真理子, 中野 一輝, 赤尾 真, 熊谷 仁, 熊谷 日登美
    2012 年 13 巻 4 号 p. 117-125
    発行日: 2012/12/15
    公開日: 2015/06/18
    ジャーナル フリー
    カルボキシレートタイプ陽イオン交換樹脂によるタンパク質の脱アミド化の機構を解明するために,表面プラズモン共鳴(SPR)法を用いて大豆7Sグロブリンとカルボキシル基の相互作用の解析を行った.脱アミド化に用いる溶媒として,緩衝溶液の種類,溶液のNaイオン濃度,pHを変えて検討を行った.大豆7Sグロブリンとカルボキシル基との相互作用の程度は,デキストランマトリックス上にカルボキシル基を有するセンサーチップを装着したSPRバイオセンサー(Biacore)により評価した.大豆7Sグロブリンのポリマー上のカルボキシル基との親和性,大豆7Sグロブリンの脱アミド化のレベルともに,Naイオン濃度が低いほど高く,pHについては6.0で最大だった.また,緩衝液としては,検討した中ではリン酸緩衝液が脱アミド化に最も適していた.全体的に,大豆7Sグロブリンの脱アミド化度とセンサーチップ上のカルボキシル基との親和性には,高い相関がみられた.
技術論文
  • 五月女 格, 井上 孝司, 片桐 孝夫, 竹内 博一, 津田 升子, 竹中 真紀子, 岡留 博司, 五十部 誠一郎
    2012 年 13 巻 4 号 p. 127-136
    発行日: 2012/12/15
    公開日: 2015/06/18
    ジャーナル フリー
    流動層造粒は様々な粉末食品の流動性および溶解性を向上させるために広く使用されている.流動層造粒では粉末に水溶液バインダを噴霧して粒子を結着させ顆粒を生成するが,顆粒の含水率増加は製品の品質変化や乾燥工程の長時間化の原因となる.本研究では好適なバインダ噴霧条件を得るため,トウモロコシ澱粉800 gおよびデキストリン200 gを原料として,バインダ供給速度(10~40 g/min)およびバインダ微粒化空気圧(0.05~0.25 MPa)が,流動層含水率および顆粒成長におよぼす影響について検討した.バインダ供給速度が速くなるにしたがい,造粒に寄与せず蒸発するバインダの量は増加したが,そのバインダ供給量に対する比率は約60%から30%に減少した.流動層含水率に対するバインダ微粒化空気圧の影響はみられなかった.バインダ供給速度が速く噴霧圧が低い条件では少ないバインダで顆粒が成長したが粗大粒が発生した.バインダ供給速度が遅い条件では球形で均一な顆粒が得られた.
ノート
注目しています. その技術!
feedback
Top