日本食品工学会誌
Online ISSN : 1884-5924
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15 巻, 1 号
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解説
原著論文
  • オルテガ-カリシック メルバ・パヅア, 中野 真仁, 萩原 知明, 﨑山 高明
    2014 年 15 巻 1 号 p. 7-11
    発行日: 2014/03/15
    公開日: 2014/06/30
    ジャーナル フリー
    腸炎ビブリオによる食中毒は交差汚染によって起こることも少なくないため,加工中に食品が接触する表面の衛生管理が重要である.本研究では食品接触表面の代表としてステンレス鋼の表面を取り上げ,交差汚染の初期段階である腸炎ビブリオ菌体の付着・生残挙動について検討した.ステンレス鋼平板に腸炎ビブリオ懸濁液を接触させて人為的に汚染し,水中に浸漬した後,表面に残存する生菌数を測定した.表面残存生菌数は水に1分浸漬することで激減したが,それ以上浸漬を続けても減少はわずかであり,生残菌が完全になくなることはなかった.この生残菌は付着菌全体からするとごく一部ではあるが,極めて強く付着しており,超音波処理を加えても減少しなかった.また水に浸漬した後の表面残存生菌数は,人為的汚染に用いた懸濁液の菌濃度に依存したが,接触時間には依存しなかった.以上,腸炎ビブリオの交差汚染リスクの管理に有用な基礎データを得た.
  • 秋間 彩香, 谷米(長谷川) 温子, 熊谷 日登美, 熊谷 仁
    2014 年 15 巻 1 号 p. 15-24
    発行日: 2014/03/15
    公開日: 2014/06/30
    ジャーナル フリー
    味覚が類似し,テクスチャーの異なるゲルを用いて,国の「えん下困難者用食品」の基準中の方法に基づいた2-バイトTPA(Texture Profile Analysis)試験を行った.得られたTPA曲線から,3つのパラメータ「硬さ」(hardness),「付着性」(adhesiveness),「凝集性」(cohesiveness)を求めた.また,同一のゲルを用いて,超音波パルスドプラー法により,咽頭部通過時の食物の流速を測定した.3つのパラメータの中では「硬さ」が,誤嚥リスクを予測しうると報告がある咽頭部最大流速Vmaxとの相関が最も高かった.試料濃度の増加に伴って,「硬さ」と咀嚼物粘度は共に増加したので,このことが「硬さ」とVmaxが相関する理由と考えられた.「硬さ」の値が数千N/m2以上では,Vmaxの値が誤嚥しにくいとされるヨーグルト程度となり,誤嚥の危険性がかなり低減することが示された.一方,「凝集性」は,咽頭部流速分布との相関がみられなかった.
技術論文
  • 五月女 格, 井上 孝司, 片桐 孝夫, 竹内 博一, 津田 升子, 岡留 博司, 五十部 誠一郎
    2014 年 15 巻 1 号 p. 25-35
    発行日: 2014/03/15
    公開日: 2014/06/30
    ジャーナル フリー
    流動層造粒では粉末に水溶液バインダを噴霧して粒子を結着させ顆粒を生成するが,顆粒の含水率増加は製品の品質変化や乾燥工程の長時間化の原因となる.本研究では流動層造粒における粉末への加水量削減を目的として,水蒸気-水二相(SWTP)バインダを利用した.SWTPバインダによる造粒では,127°Cで138 kPaGの過熱水蒸気および水を,トウモロコシデンプン800 gおよびデキストリン200 gを混合した粉末に対して,一流体ノズルを通して,それぞれ18.8 g/minおよび約0~40 g/minで噴霧した.SWTPバインダにおいては,液体バインダによる造粒と比較して40~84%の加水量で同等径の顆粒が生成された.水滴流量が少ない条件で加水量低減効果が顕著であったが,同時に粗大粒の発生もみられた.水蒸気は水滴により生成された成長核に凝縮し効率的に顆粒を成長させたが,成長核が不足すると顆粒径の不均一性を増大させた.
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