日本食品工学会誌
Online ISSN : 1884-5924
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16 巻 , 1 号
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解説
  • 羽倉 義雄
    2015 年 16 巻 1 号 p. 1-12
    発行日: 2015/03/15
    公開日: 2015/05/12
    ジャーナル フリー
    食品素材は,一般に複数の組織(部位)から構成されている.各部位は,生物学的機能などの違いにより,化学的組成(水分,たんぱく質含有量,脂質含有量など)が異なることが多い.これらの組織の化学的組成の違いは,材料力学物性の温度依存性にも影響を及ぼす.そこで,食品を構成する組織の材料力学物性の温度依存性を理解した上で,食品の加工温度や加工方法を工夫することにより,従来の方法では困難であった機械的な加工が比較的簡単にできる場合がある.筆者らは,食品素材の温度を制御し,食品を構成する複数の部位の材料力学物性(破壊応力,弾性率,ポアソン比,脆化温度など)を最も加工に適した状態とすることにより,機械的加工を容易にする新たな食品加工技術を検討してきた.本稿では,温度変化に伴う食品素材の材料力学物性の変化を食品の機械的加工処理に積極的に利用する方法について紹介する.
  • Sosaku ICHIKAWA
    2015 年 16 巻 1 号 p. 13-15
    発行日: 2015/03/15
    公開日: 2015/05/12
    ジャーナル フリー
  • 安達 修二
    2015 年 16 巻 1 号 p. 17-26
    発行日: 2015/03/15
    公開日: 2015/05/12
    ジャーナル フリー
    粒子の微細化技術が進展し,食品分野においても,ナノテクノロジーに対する関心が高まっている[1,2].O/Wエマルションや粉末油脂のような分散系食品において,分散相粒子径(油滴径)を微細化すると,油滴の比表面積が増大するため,酸化されやすくなるといわれる.しかし,油滴径が脂質の酸化速度に及ぼす影響は複雑で,相反する結果が報告されている.O/Wエマルションや粉末油脂を調製する最初の段階は乳化である.ホモゲナイザなどを用いて機械的に油滴を微細化する過程で脂質にストレスがかかる.この段階でのストレスが一定で,脂質の状態がまったく同じで油滴径のみが異なる分散系を実現することは実験的に難しい.このような困難を克服して,油滴径のみの影響を評価する1つの手段がコンピュータ・シュミレーションである.
    O/Wエマルション系について,油滴の表面に吸着した乳化剤の疎水基に着目して,脂質の酸化速度に及ぼす油滴径の影響を説明するモデル[3]と,ある油滴内で発生した酸化脂質は他の油滴内の脂質の酸化に影響を及ぼさないと考えて,脂質の酸化挙動に及ぼす油滴径の影響を評価するモデル[4]を紹介する.また,微小な油滴を食品高分子の乾燥層で被覆した粉末油脂では,粉末の表面に露出した油滴の割合である表面油率が高くなると,脂質は酸化されやすい.そこで,粉末油脂の表面油率に及ぼす油滴径の影響[5]と,油滴と粉末の大きさの比が表面油率に及ぼす影響[6]を評価するモデルを紹介する.
    O/Wエマルション中の油滴の表面では,親水基と疎水基がそれぞれ水相と油相に配向するように乳化剤が吸着する(Fig. 3).油相に入り込んだ乳化剤の疎水基は酸化されにくい成分であり,油相の基質(脂質)濃度を低下させ,脂質の酸化を抑制する.このような効果(希釈効果と仮称)は,油滴径が100 nm以下になると顕在化する可能性を示唆した[3].
    脂質の酸化過程は自触媒型の速度式(1)で表現できる.この式から理解できるように,油滴を構成する脂質分子が少なくとも1分子は酸化されないと,その油滴中の脂質はいつまでも酸化されない.換言すれば,油滴内の脂質が1分子でも酸化されると,その油滴内の脂質の酸化は止められない.N個の未酸化の脂質分子を含む油滴をm個の微小な油滴に分割した状況を考え(Fig. 5),ある微小な油滴内で1分子でも酸化脂質が生成すると,その油滴内の脂質は式(2)に従ってすべて酸化されるが,その影響は他の油滴に及ばないと考える.このような効果(隔離効果と仮称)を確率論的に取り扱い,コンピュータ・シュミレーションによって解析したところ,油滴を分割して微小な油滴の数が増える,すなわち油滴を微細化するほど,酸化誘導期は延長され,脂質の酸化が遅延された[4].
    前述した乳化剤の疎水基による希釈効果と油滴の微細化による隔離効果が相乗的に作用し,油滴を小さくするほど酸化は遅延されると予測される.これらの効果は,油滴径がμmのオーダーではほとんど認められず,100 nmまたはそれ以下で顕在化すると概算された.粉末油脂の表面に露出した油脂は酸化されやすく,表面油率は粉末油脂の酸化に対する安定性を評価する指標になると考えられる.そこで,浸透理論[21]に基づいて,粉末中の油脂の体積分率や油滴径が表面油率に及ぼす影響をコンピュータ・シュミレーションにより考察した.粉末油脂を正方形または立方体と近似し,それらの一辺をN分割した.乱数を発生させることにより,粉末中の油脂の体積分率に適合するように,油脂が存在する格子を決定した.油脂が存在する表面の格子と,二次元モデルでは辺で,三次元モデルでは面で接する格子中の油脂は表面と連結しているとみなして表面油率を推算したところ(Fig. 10),油滴を微細化すると表面油率が低下して,脂質の酸化に対する安定性が向上することが示唆された[5].
    上記では,油滴と粉末の大きさはともに一定として解析したが,実際には油滴と粉末のいずれも大きさに分布がある.したがって,油滴と粉末の大きさの比にも分布がある.そこで,油滴と粉末の大きさの比が対数正規分布で表されると考えて,二次元モデルにより,油滴と粉末の大きさの比の期待値Eと分散Vおよび油脂の体積分率が表面油率に及ぼす影響を評価したところ,油滴と粉末の大きさの比の期待値(平均値)は表面油率に影響するが,分散はほとんど影響しないことが示された[6].
    このように,O/Wエマルション系と粉末油脂系のいずれにおいても油滴を微細化すると,脂質の酸化が抑制される可能性が示唆された.
    なお本稿は,Foods & Food Ingredients Journal of Japan(FFIジャーナル)219巻4号324~331頁(2014年)に掲載された原稿を,許可を得て,英訳したものである.
  • Turkan AKTAS
    2015 年 16 巻 1 号 p. 29-36
    発行日: 2015/03/15
    公開日: 2015/05/12
    ジャーナル フリー
    Drying process is very important preservative method for foods and usually brings about some degradation of the final products. For this reason, some handlings such as pretreatments (physical, thermal, chemical etc.) are generally required to preserve the product quality either during drying or storage. One of the most important exporting stuff of Turkey is dried fruits and vegetables and the most acceptable dried grape (raisin), apricot, fig, tomato, hazelnuts over the world are produced in Turkey. In this article, some traditional and commercial applications to decrease quality losses during drying and storage of fruits and vegetables in Turkey and some constraints about these applications were explained and discussed. In addition to these applications, some results of recent researches performed in Turkey to keep the quality of dried fruits and vegetables and decrease the activity of molds and yeasts were explained.
  • スーチンタワット アピナン, パータネン リッタ, ネオ ツー ルーン, 吉井 英文
    2015 年 16 巻 1 号 p. 37-52
    発行日: 2015/03/15
    公開日: 2015/05/12
    ジャーナル フリー
    食品の香りのコントロールは,食品素材の付加価値を大きく高める技術として注目され,フレーバーの徐放制御特性などの新しい機能を付与した機能性粉末を作製する研究が行われている.食品工業において,フレーバーの包括粉末化は重要なプロセスである.本総説において,噴霧乾燥によるフレーバーの包括粉末化と噴霧乾燥粉末からのフレーバー徐放挙動についてまとめた.疎水的フレーバーは,一般的にオイルにフレーバーを溶解させたもの,またはフレーバーオイルそのものを,界面活性剤,賦形剤を溶解した溶液に添加後乳化した溶液を噴霧乾燥機で粉末化する.親水性フレーバーは,噴霧乾燥粉末内に均一に分散するため包括率は賦形剤に大きく依存する.これらのそれぞれの粉末作製における賦形剤,フレーバーのタイプについて,既往の研究をまとめた.噴霧乾燥粉末は,粉末が凝集したものや,凸凹のしわが多い粉末,粉末内部が中空や結晶が析出したものといった様々な形態の粉末がある,この粉末の形態は,粉末内機能性物質の安定性や粉末の流動性に大きく影響する.食品粉末のフレーバーの保持,徐放特性は,粉末の品質の点から非常に重要である.フレーバーの徐放に関して多くの研究が行われており,粉末からのフレーバー徐放特性が貯蔵温度における相対湿度と密接に関係していることが報告されている.乳化フレーバー噴霧乾燥粉末の緩和現象の係わる事項として,貯蔵中に賦形剤の相変化,粉末からのフレーバーの移動,酸化,賦形剤中の酸素移動,水分の移動といった諸現象の経時変化がある.フレーバー粉末の徐放性に関する研究のほとんどは,恒温恒湿環境下(静的方法)における粉末からのフレーバー徐放特性から評価されている.乳化フレーバー粉末やフレーバー包接シクロデキストリンからのフレーバー徐放挙動は,次式のアブラミの式で良好に相関できる.
    R=exp (−(kt)n)     (1)
    ここで,Rは粉末中のフレーバー残留率(−),kは徐放速度定数(s−1),tは時間(s),nは徐放機構定数(−)である,このアブラミ式(Weibull式)は,結晶成長を相関する速度式で多くの事象を解析するのに用いられている.異なるnの値を用いて,多くのフレーバー徐放機構に対応しフレーバー徐放挙動を相関できることから,この式は非常に有用な相関式である.フレーバー粉末が球で賦形剤中の拡散速度によりフレーバー徐放速度が決まる場合は,徐放機構定数nは0.54付近の値をとる.アブラミ式を用いて噴霧乾燥粉末からのフレーバー徐放速度定数の湿度依存性(ガラス転移温度依存性)をみた結果,ガラス転移温度Tgと徐放環境温度Tの差(T-Tg)に依存していた.
原著論文
  • 曽根 遙香, 表 千晶, 宮脇 長人
    2015 年 16 巻 1 号 p. 55-59
    発行日: 2015/03/15
    公開日: 2015/05/12
    ジャーナル フリー
    種々の成分間相互作用の異なる二成分水溶液系について水分活性(aw)を測定し,成分間相互作用を無視した以下に示すRoss式との比較を行った.
    aw=aw1 aw2
    ここに,awは二成分混合溶液の水分活性,aw1,aw2は,それぞれ,成分1および2のみが,同一条件で単独で存在するときの水分活性である.電解質,糖類,中性アミノ酸などのみの混合溶液では成分間相互作用はそれほど強くはなく,測定されたawはRoss式による予測とそれほどの差異はなかった.これに対して,酸-塩基系の場合,中和反応のため両者は大きく異なる結果となった.高分子系については,牛血清アルブミン(BSA)とスクロース混合系において,両溶質による協同的効果のため,測定awはRoss式より遙かに低い値となった.60℃におけるグリシン-リボース混合系においては,アミノカルボニル反応のため327 nmにおける吸光度が時間とともに大きく増大し,これに伴って水分活性も大きく上昇した.これは,初期反応におけるシッフ塩基形成での水分子放出と引き続く複雑なメイラード反応での溶質分子数減少の影響によるものであろう.
  • 水野 寛士, 田中 仁奈, 橋本 早紀, 山本 達也, 中野 龍平, 牛島 幸一郎, 久保 康隆
    2015 年 16 巻 1 号 p. 63-70
    発行日: 2015/03/15
    公開日: 2015/05/12
    ジャーナル フリー
    エダマメを凍結すると細胞が損傷し,食感品質が低下する.デンプンを多く含むため,食感に影響する要素として糊化度に注目し,凍結時の糊化度が物性に及ぼす影響を,‘味緑’と‘湯あがり娘’を用いて調査した.
    加熱時間を変えて糊化度の異なるエダマメを数種類作成し,凍結した.流水解凍した後,再度加熱し,ほぼ完全に糊化させた.物性を測定した結果,凍結時の糊化度の影響を受けて検体間で異なる値を示した.糊化度55~83%で凍結したエダマメは,解凍後の荷重,CI値が高く,ほぼ完全に糊化させても値は大きく低下せず,他糊化度で凍結したもの比べて高い値を示した.しかし,糊化度41%以下で凍結したエダマメは,解凍後高い荷重,CI値を示すが,加熱によりほぼ完全に糊化されることで値が大きく低下した.また,糊化度92%以上で凍結したエダマメは,解凍後の時点で低い荷重,CI値を示し,ほぼ完全糊化の加熱により値が若干低下した.
ノート
解説:環境・エネルギー研究会
注目しています.その技術!
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