日本食品工学会誌
Online ISSN : 1884-5924
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解説
  • 黒岩 崇
    18 巻 (2017) 4 号 p. 161-167
    公開日: 2017/12/29
    ジャーナル フリー

    食品を構成する生体分子の自己組織化・複合化現象を利用した食用ナノ/マイクロ分散系の作製と利用に関する著者らの研究成果を概説する.本稿では,(1)キトサンと両親媒性脂質分子の複合化によるサブミクロン微粒子の作製,(2)正または負の電荷を有するイオン性多糖を利用した水中油滴型エマルションの安定化,(3)機能成分を高効率で内包可能な脂質分子集合体作製法の開発,(4)可食性の生体高分子を利用した均一径マイクロスフィアの作製,について概述した.分子間相互作用に基づく生体分子の集合化・複合化現象を利用することで,シンプルな作製工程により,過剰なエネルギー投入を必要とせず,食品の構成成分への物理化学的ストレスを最小限に抑え,かつ有害な薬品を使用せずに食品素材のナノ/マイクロ加工が実現できる.また,構成分子の選定に加え,温度や濃度,混合比などの作製条件により,粒径,表面電位,分散安定性,および物質内包/放出特性といった分散系の特性を制御することも可能であることが示された.

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原著論文
  • 前田 玲奈, 森山 章弘, 長谷川 丈真, 岩橋 均, 勝野 那嘉子, 西津 貴久
    18 巻 (2017) 4 号 p. 169-176
    公開日: 2017/12/29
    [早期公開] 公開日: 2017/11/23
    ジャーナル フリー

    本研究の目的は,制菌効果のある静水圧下,制菌効果のある炭酸ガス圧下において,小麦自身がもつ内在性酵素の活性を利用するドウの新規調製法の可能性を見いだすことである.静水圧処理は50 MPa 30℃,炭酸ガス圧処理は1.0 MPa 40℃で制菌効果を確認することができた.本加圧条件下において,小麦粉内在性酵素による澱粉の分解作用によると考えられる糖の増加が確認できたのに加えて,呈味性遊離アミノ酸として知られるグルタミン酸の増加が確認できた.これらのことから良好な甘みと香ばしい外皮,そしてイーストの活性促進というメリットが期待できる.さらに,加圧処理状態においてドウに人為的にアミラーゼなどの酵素を添加することで,さらなる糖の増加や,グルテン分解によるアレルギー対策に寄与するといった活用法の開発が期待される.

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  • 佐藤 加奈子, 井戸川 詩織, 藤井 智幸
    18 巻 (2017) 4 号 p. 177-184
    公開日: 2017/12/29
    [早期公開] 公開日: 2017/11/17
    ジャーナル フリー

    豆乳は,タンパク質溶液にタンパク質粒子と脂質が分散したコロイド分散系である.豆乳中に含まれる脂質はオイルボディとして存在しており,表面を覆うオレオシンによって合一が抑制され,安定なコロイド分散系を形成していると考えられている.豆乳の製造管理および豆乳加工品の開発のためには,豆乳のコロイド特性の把握が重要と考えられる.コロイドの安定性はpHや熱,電解質,有機物の添加などの要因で変動することが知られている.筆者らはアスコルビン酸溶液の添加によるpHの低下に伴って,豆乳の見かけ粘度が急激に変化する挙動を確認している.オイルボディとタンパク質が関わる凝集体の生成により見かけ粘度が上昇すると考えられるが,凝集の詳細は明らかになっていない.pH低下に伴う豆乳コロイドの凝集挙動の詳細を明らかにするためには,豆乳の粒子が孤立状態で存在している段階から,粒子が集まり充填状態やゲル構造を伴う巨大凝集体を生成するまでのメカニズムに関する理解が求められる.本研究では,豆乳のpH低下によって豆乳中に含まれるタンパク質の等電点に近づくことでタンパク質溶解度が低下し,凝集体が形成されると仮説を立て,拡張アインシュタイン型の式とKrieger-Dougherty型の式とを組み合わせた粘性モデルを構築して,その有効性を実験的に調べた.

    原料産地が異なる6種類の豆乳にアスコルビン酸溶液を添加して,pH 5.6-6.2のpH調整豆乳とし,円錐平板型回転粘度計を用いて見かけ粘度を測定した.pHが低下するにしたがい,およそpH 6.0までは見かけ粘度はやや微増するにとどまったが,pHが6.0より低くなると徐々に見かけ粘度が上昇し,pHが5.9より低くなると指数関数的に見かけ粘度が上昇した.また宮城県産大豆から調製した豆乳:Soymilk Aでは,pHがおよそ0.1低い条件で同様の挙動がみられ,品種の違いによるグロブリンタンパク質の含有割合の変化や灰分などの他成分による影響が考えられた.6種類のpH調整剤をアメリカ産大豆から調製した豆乳:Soymilk Bへ添加して見かけ粘度を測定したところ,先述の実験と同様におよそpH 6.0まではpH低下に伴って微増し,pHが5.9より低くなると急激に粘度が上昇する挙動を示した.ただしフィチン酸溶液およびクエン酸溶液の場合は粘度が顕著に変化するpHが低く,これはキレート作用によるものと示唆された.

    6種類のpH調整剤によるそれぞれの結果について,豆乳に含まれる水素イオンの濃度を豆乳のpHから算出し,無次元粘度ηdの実測値との関係を示した.このプロットに対し,拡張Krieger-Dougherty型の式に当てはめて,粘性パラメータhcKcを算出した.hcは凝集体のかさ高さを表し,hcの値が大きいほど凝集体がかさ高いことを示す.Kcは分散相の最密充填率の逆数であり,巨大凝集体のかさ高さを示す.つまりKcの値が大きいほど,凝集体が密ではなく巨大凝集体がかさ高いことを表す.各pH調整剤の系において,拡張Krieger-Dougherty式の適用妥当性を検討したところ,pH調整剤の添加に伴う連続したpH低下による豆乳の凝集形成系について1つの式で良好に記述できることがわかった.

    6種類の豆乳および6種類のpH調整剤を用いて測定した粘度データから得られた粘性パラメータhcKcに負の相関が認められた.つまり,pH低下によって進行する凝集過程において,高pH領域にて生成される凝集体の大きさが大きいほど,巨大凝集体が密に充填してかさが小さくなり,逆に凝集体の大きさが小さいほど,巨大凝集体はかさ高くなることが示唆された.また,pH調整剤の種類によらず同一の曲線上にプロットされたことから,孤立状態にある凝集体の内部構造が架橋機構の違いにより異なっていても,マクロな凝集挙動は同様であることが示唆された.さらに,hcKcに相関関係があるために,高いpH領域で粘度変化を測定することによって,低いpH領域での粘度が予測できることが示された.このことは豆乳におけるpH低下による凝集挙動を高pH領域で予想可能であることを表し,豆乳の品質管理に応用できる可能性が期待される.

    本研究は生研センター「革新的技術創造促進事業(事業化促進)」の支援を受けて行った.

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技術論文
  • 濱地 正嵩, 吉本 則子, 山本 修一
    18 巻 (2017) 4 号 p. 187-191
    公開日: 2017/12/29
    ジャーナル フリー

    拡散係数(分子拡散係数あるいは相互拡散係数)Dmは,クロマトグラフィーや乾燥などさまざまな分離操作・装置の設計に必要な重要な物性値である.また,物質の大きさを知るための重要な情報でもある.拡散係数の測定のために,さまざまな方法が開発され使用されているが,とくに分子量の大きいタンパク質やDNA,さらにはバイオナノ粒子のDmは,ほとんど報告されていない.本研究では,タンパク質および修飾タンパク質(PEG化タンパク質)のDmを比較的簡単な測定操作と装置が簡便である細管内層流速度分布を利用したTaylor法と動的光散乱法で測定した.どちらの方法でもほぼ同じDm値を得ることができた.ただし,それぞれの方法には特徴と問題点があるので,よく理解して相補的な方法として使用することが望ましい.

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