日本食品工学会誌
Online ISSN : 1884-5924
Print ISSN : 1345-7942
19 巻 , 1 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
解説
  • 後藤 元信
    2018 年 19 巻 1 号 p. 1-8
    発行日: 2018/03/15
    公開日: 2018/03/29
    ジャーナル フリー

    コーヒーの脱カフェインやビールのホップの抽出など超臨界流体は食品関連物質に適用されている.ここでは亜臨界・超臨界流体の基礎的特性を概説する.超臨界流体中への溶質の溶解度は分離プロセスにおいてもっとも重要な要素である.固体原料からの超臨界二酸化炭素による抽出プロセスについて説明する.脂質や精油の分離のように液体混合物の分画も重要な分野である.近年,天然物の抽出プロセスにおいて亜臨界水も適用されている.超臨界二酸化炭素と液体の水を用いたハイブリッド抽出プロセスを極性,無極性物質の同時抽出法として提案し,食品関連物質の抽出に応用した.カロテノイドなどの天然物の超臨界二酸化炭素を用いた微粒子化法について説明した.亜臨界水抽出物をその場で微粒子化する手法についても解説した.

  • 川井 清司
    2018 年 19 巻 1 号 p. 9-14
    発行日: 2018/03/15
    公開日: 2018/03/29
    ジャーナル フリー

    近年,食品を構成する親水性成分の多くが非晶質(アモルファス)にあり,温度や水分含量の変化によってガラス-ラバー転移(ガラス転移)すること,ガラス転移によって食品の加工性,保存性,食感が大きく変化することが明らかとなり,食品のガラス転移特性を理解することの重要性が広く認識されるようになった.食品のガラス転移特性はガラス転移温度(Tg)によって特徴付けられる.本稿では食品成分ならびに食品のTgに関する筆者らの研究成果を中心に紹介する.凍結乾燥マンゴーピューレにおけるTgの水分含量依存性を示差走査熱量(DSC)測定によって調べ,それはマルトデキストリンの添加によって制御可能なことを明らかにした.クッキーのTgはDSC測定によって決定することはできなかったが,昇温レオロジー測定によって力学的Tgを決定することができた.クッキーの力学的Tgは配合する糖質によって制御可能なことを示した.

総説
  • Alex LANGFORD, Bakul BHATNAGAR, Robert WALTERS, Serguei TCHESSALOV, Sa ...
    2018 年 19 巻 1 号 p. 15-24
    発行日: 2018/03/15
    公開日: 2018/03/29
    ジャーナル フリー

    ほとんどのバイオ医薬品は水分を多く含み,その量が80%w/wを超えるものも少なくない.そのため乾燥プロセスを用いた水の除去は,製品の取り扱いを容易するだけでなく,運送コストの低減,保存安定性の向上など,数々の利点をもたらす.一般的に,バイオ医薬品の生産工程での乾燥は,ほとんどが凍結乾燥法で行われているが,この方法には生産コスト高,乾燥時間が長い,エネルギー効率が低いなどの欠点がある.バイオ医薬品の乾燥技術としては,現在も凍結乾燥が信頼性の高い標準法であるが,凍結乾燥がもつ課題を克服するための,代替となる新しい乾燥技術の開発と評価が進んでいる.これらの乾燥技術には共通の目的(脱水和)があるものの,エネルギー効率や乾燥対象物に与える影響が異なるため,その特性に合わせた選択と最適化が必要となる.この総説では,種々の新しい乾燥法の長所と欠点を凍結乾燥法と比較して考察し,これらの技術をバイオ医薬品の乾燥に応用する可能性を論じた.

原著論文
  • Sunisa BOONMA, Wanpeeti RANGSEE, Suparin CHAIKLANGMUANG
    2018 年 19 巻 1 号 p. 27-34
    発行日: 2018/03/15
    公開日: 2018/03/29
    ジャーナル フリー

    This study investigated the effect of hydrothermal pre-treatment on ferulic acid content and antioxidant activities of corn hydrolysate. The low-grade corn was treated by hot water and autoclaving process at different temperatures and times. The highest phenolic content (471.7±7.4μg FA.mL-1, p<0.05) was obtained by autoclaving at 121℃ for 90 min. High performance liquid chromatography (HPLC) revealed 277.3±3.2μg.mL-1 of FA, which was 2.05 times higher than that of the control (unheated sample). The high yield of FA obtained here may be due to high-temperature autoclaving eliminating the FA-lignin and FA-polysaccharide bonds. Furthermore, the optimal hydrothermal pre-treatment at 121℃ for 90 min improved the DPPH and ABTS radical scavenging activities by 1.3 and 1.5 fold, respectively, compared to the control. On the other hand, the dextrose equivalent (DE) values obtained from corn hydrolysate at the different heat treatments in this study were in the range of 23.2±0.7 to 28.7±0.9. These results illustrated that autoclaving method showed a promising pre-treatment process to add value of corn hydrolysate product.

技術論文
  • 杉山 征輝, 吉本 則子, 山本 修一
    2018 年 19 巻 1 号 p. 35-41
    発行日: 2018/03/15
    公開日: 2018/03/29
    ジャーナル フリー

    最適化された繰り返しクロマトグラフィー(RCO)の操作条件に基づいた連続クロマトグラフィー(擬似移動層SMB)の操作条件および生産性の計算方法を提案した.移動相組成により分配係数を変化させることができる2成分分離をモデル系とした.最初に,RCOの試料負荷量,流速に基づいてSMBの8流速のうち,入口2か所,出口2か所,ゾーン2か所を決定した.RCOとSMBのどちらにも同じHETPと線速度の関係式を使用した.決定された変数を用いてSMBシミュレーションを分配係数差が異なる2つのケースについて実行した.分配係数差が大きいときはRCOの生産性が高く,小さいときはSMBの生産性が高いという結果が得られた.本方法を用いて,広範な条件におけるRCOとSMBの生産性比較をすることにより,さらなる知見が得られると期待される.

  • 齋藤 俊樹, 髙橋 希元, 天野 かよ, 岡﨑 惠美子, 大迫 一史
    2018 年 19 巻 1 号 p. 43-47
    発行日: 2018/03/15
    公開日: 2018/03/29
    ジャーナル フリー

    低利用資源であるヨシキリザメ筋肉を有効利用するためにアルギン酸ナトリウムを添加し,塩化カルシウム溶液に浸漬することでタンパク質-アルギン酸複合ゲルを調製し,その低いゲル形成能の改善を試みた.本種筋肉に3%以上のアルギン酸ナトリウムを添加し,1%塩化カルシウム溶液に浸漬することでゲルの破断応力が有意に向上することが明らかとなった.一方で,アルギン酸ナトリウムの添加によりゲルの破断歪率は減少し,アワビと似た物性を示すゲルが得られた.SDS-PAGEの結果より,多量体の形成が確認された.以上の結果から,本研究で用いた手法により,ヨシキリザメ筋肉を用いてアワビ様の特有な食感を有する新規練り製品を開発できる可能性が示唆された.

ノート
  • Naomi SHIBATA-ISHIWATARI, Tomoyo TAKAGI, Mika FUKUOKA, Noboru SAKAI
    2018 年 19 巻 1 号 p. 49-56
    発行日: 2018/03/15
    公開日: 2018/03/29
    ジャーナル フリー

    The aim of this study was to investigate the effects of salt on the kinetic parameters of thermal protein denaturation of egg constituents. Egg whites and yolks containing different quantities of added salt were analyzed using differential scanning calorimetry (DSC) and dynamic viscoelastic oscillatory measurements. DSC measurements revealed an increase in the denaturation temperatures of the second peaks of egg whites and yolks in the presence of elevated salt concentrations. Given that the activation energy values obtained from the kinetic analysis of egg proteins using dynamic DSC were comparable, we suggest that salt affects not the denaturation rate of the egg protein, but the temperature of denaturation. Dynamic viscoelastic oscillatory measurements revealed that the gel-point temperatures increased with increasing salt concentrations. The elevated gel-point temperatures coincided with the temperature of the maximum denaturation rate calculated using the kinetic parameters.

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