50℃の次亜塩素酸ナトリウム水溶液への浸漬によるヒートショック処理(HT区)とActive MAP(MA区)の組み合わせ(HT+MA区)がカットセルリーを9日間保蔵した場合の褐変抑制に及ぼす効果を調査,検討した.同時にそれぞれ単独での効果も検証した.一般生菌数を調査した結果,MA区およびHT+MA区では保蔵中の菌数増加を抑制する傾向が確認された.逆にHT区は対照区よりも増加する傾向が確認され,ヒートショック処理だけでは保蔵中の菌数増加を促進させてしまう可能性が示された.一方,保蔵中に生じる褐変の程度を表す指標として試料表面の色相角(H°)を評価した結果,HT区,MA区およびHT+MA区いずれでも褐変の進行は有意に抑制されることが示された.さらにヒートショック処理したHT区およびHT+MA区では,PAL活性およびポリフェノール量の増加も確認されなかった.以上の結果から,ヒートショック処理とActive MAPを組み合わせることでカットセルリーの保蔵性は向上することが示された.
食品産業において洗浄工程の能力を正しく把握することは重要である,品質管理分野の工程能力を定量的に評価する指標である工程能力指数を用いて洗浄能力を統計学的手法で評価する方法を考案した.洗浄能力値Pckを定義し,食品製造現場におけるデータに適用し,評価方法や基準値の設定方法について考察した.
クロマトグラフィー分離の温度依存性の簡単な推算方法を考案した.エタノール水移動相を用いたポリマー粒子充填クロマトグラフィーによる2種類のポリフェノール分離をモデル系として選択した.15-45℃におけるHETPと線速度の関係は無次元化することにより,一本の曲線で表現することができた.分配係数と拡散係数の温度依存性を考慮した簡単な分離度の式を導いた.この式を用いて,解析したところ,分離度の最大値を与える温度がある場合とない場合があることが明らかとなった.温度を高くすることにより分離度が多少低下しても,分離時間と分離溶媒量が減少することを考慮すると,好ましい条件になることも考えられる.