パン酵母
Sacchayomyces cerevisiaeの新鮮培地での一時間の培養 (前発酵) をパン生地の一次発酵のモデルとして利用し, 酵母の冷凍耐性について検討した.定常期の細胞と前発酵後の細胞を比較すると, 後者の冷凍耐性が低下していることを見出した.一方で,
S. cerevisiaeは, 前発酵後にも耐熱性と冷凍耐性に正の相関性が見られたので, 耐熱性変異株の中から, 前発酵後に冷凍耐性を有する変異株を選び出した.この変異株を冷凍パン生地に使用した結果, 焼成後のパンのふくらみは親株を用いた場合よりも優れていた.
さらに, 培養条件と, 冷凍温度の冷凍耐性への影響についても検討した.炭素源を含まない培地で培養することが酵母の冷凍耐性の向上には最も有効であり, -35℃で7日間冷凍したパン生地に用いた場合でも, 冷凍していないパン生地の場合とほぼ同じ程度のパンのふくらみを示した.
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