日本食品工学会誌
Online ISSN : 1884-5924
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9 巻 , 2 号
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  • 熊谷 仁, 熊谷 日登美, 萩原 知明
    2008 年 9 巻 2 号 p. 79-89
    発行日: 2008/06/15
    公開日: 2010/06/08
    ジャーナル フリー
    「食品の物性そして水」というタイトルの解説記事の第1回目として, 食品工学における物性の位置づけ, 水の物性に与える影響について簡単な例を挙げつつ, 概説した.
    物性とは本来, 「物質のサイズや形状には依存せず物質固有の性質を反映する物理量」のはずで, 食品工学で用いる物性の多くはこれである.しかし, 産官学を含む食品科学・工学の研究者や技術者が口にする「物性」には, 本来の物性の他に, 食感・テクスチャなどや, 複数の物理現象が絡んでいる材料の特性などが含まれることがよくある.こうした物性は試料の形状・大きさや測定装置に依存するので, 試料間の相対的な比較にしか使えないものも多いが, 「現場の問題を解決する」という工学の立場として完全に否定することはできないと思われる.
    また, 食品の物性は, 食品科学・工学の研究者や技術者によって, 異なるとらえられ方, 用いられ方をする.工学的な理論やモデルに含まれるパラメータとしての物性値を知ろうとする食品化学プロセス工学的立場, 物性挙動から食品の内部構造 (様々な“レベル”がある) を把握しようとする物性論的立場, 物性値 (広義の物性を含む) を材料の評価に用いる立場など様々である.
    水は, 食品中の多くの成分と相互作用をし, 「物性」に大きな影響を与える.ゾルーゲル転移やガラス転移において, 水の影響で物性が劇的に変化すること, 単分子吸着水のみの状態から自由水が存在する領域に至る間に食品の保存性が大きく変化することは好例である.物性は, 水と他成分との相互作用を考慮したうえで理解する必要がある.
  • 伊佐 亜希子, 羽倉 義雄, 鈴木 寛一
    2008 年 9 巻 2 号 p. 91-98
    発行日: 2008/06/15
    公開日: 2010/06/08
    ジャーナル フリー
    竹粉 (粒径0.2mm) および試料サイズを1mm, 2mm, 3mm角に揃えた木片を遠赤外線加熱 (FIH) を付加した過熱水蒸気 (SHS) 処理で炭化処理し, 試料サイズの違いが炭化速度に及ぼす影響について調べた.SHS温度180℃にFIH温度375, 400, 425, 450℃を付加して, 炭化温度を270, 280, 290, 300℃に調整した.また, SHS温度255, 265, 275, 285℃のSHS単独処理の場合とFIH付加に要する炭化エネルギを比較した.2つの炭化処理で過熱水蒸気生成速度は同じとした.
    炭化速度は, どの試料においても一次反応速度式に従った.活性化エネルギの平均値は, 遠赤外線加熱を付加した過熱水蒸気処理の場合は137kJ/mol, 過熱水蒸気単独処理の場合は149kJ/molであった.これらの値は, 窒素ガス中での澱粉やセルロースの熱分解反応の活性化エネルギの文献値とほぼ一致した.試料サイズと炭化速度定数の関係は, いずれの炭化温度でも両対数紙上で直線で表された.SHS処理にFIHを付加した場合には, SHS単独処理の場合と比較してわずかな熱量の付加で炭化装置を高温条件にすることが容易であり, 遠赤外線ヒータの温度を高温にするほど炭化時間の短縮効果によって炭化に要する熱量は減少した.
  • 福田 翼, 堤 一代, 森田 洋
    2008 年 9 巻 2 号 p. 99-107
    発行日: 2008/06/15
    公開日: 2010/06/08
    ジャーナル フリー
    Rhizopus属菌は, テンペなどの発酵食品に利用されている.これらの発酵食品には抗菌性物質が含まれていることが知られている.しかし, 伝統的手法で製造されたテンペには, Rhizopus属菌以外の微生物が混在しており, Bacillus属菌の存在が多く確認されている.本研究では, Bacillus属菌がRhizopus属菌の抗菌性物質生産に与える影響を調査した.これまでの研究により, R. peka P8は純粋培養条件下において抗菌性物質を生産することが確認された.このR. pekaによる抗菌性物質生産は, Bacillus subtilis IFO3335との混合培養によって促進された.この混合培養条件下において, B.subtilisの添加時間および初発添加濃度条件はR. pekaの抗菌性物質生産性に影響を与えた.最適な添加時間条件は, R. pekaの培養と同時にB. subtilisを接種した時であった.また, 最適な初発添加濃度条件はR. pekaの胞子懸濁液濃度とB. subtilisの細胞懸濁濃度が同等である場合であった.R. pekaの培養液とB. subtilisの培養液および細胞抽出液を混合した場合, 抗菌活性は増大した.同様にR. pekaの細胞抽出液を混合した場合, 抗菌活性は増大した.混合する溶液の一方に加熱処理 (121℃・20分) を行い混合した結果, 抗菌活性が確認されなかった.これらにより, 抗菌活性の増大は酵素反応に起因する可能性が示唆された.
  • 熊谷 聡, 太田 真由美, 中野 寿美, 林 信行, 坂木 剛, 甲斐田 泰彦
    2008 年 9 巻 2 号 p. 109-114
    発行日: 2008/06/15
    公開日: 2010/06/08
    ジャーナル フリー
    著者らは, 高温高圧状態でかつ液体状態の水, すなわち加圧熱水を反応媒体としたリグノセルロース系バイオマスの糖化方法について研究を行っている.その中で, バイオマスを200℃付近の加圧熱水で処理することにより, ヘミセルロースが選択的に糖化され, とくにヘミセルロースが広葉樹や稲わら, 麦わら, 籾殻のようにキシラン系であるものからは, キシロオリゴ糖が得られることが明らかとなった.
    しかしながらバイオマス中には, ヘミセルロースのような有機質だけでなく無機質 (金属) も含まれており, 加圧熱水処理により得られた糖化物を食品関連素材として利用することを考えた場合, 金属のなかには有害なものがあることから, その溶出挙動も併せて調べる必要がある.
    そこで, 本論文では, バイオマスの一例としてモミガラを原料とし, パーコレータ型反応器を用い, 200℃までの加圧熱水で処理し, 溶出される金属の挙動について調べた.
    その結果, 重金属, アルカリ土類金属, ヒ素の溶出に関しては, まず室温処理で籾殻表面の遊離性金属が溶出したのち, 一旦減少し, 温度が上昇するにつれて, 再び溶出しはじめ, 熱水温度が200℃に達した第4フラクションまたは第5フラクションで最大値をしめした後, 漸減する傾向を示すことがわかった.
    一方でアルカリ金属, リン, ホウ素, アルミニウムの溶出に関しては, 明瞭な温度依存性が認められず, 時間にのみ依存して少しずつ溶出する傾向を示すことがわかった.
  • 熊谷 聡, 太田 真由美, 中野 寿美, 林 信行, 坂木 剛
    2008 年 9 巻 2 号 p. 115-119
    発行日: 2008/06/15
    公開日: 2010/06/08
    ジャーナル フリー
    農産廃棄物の一例として大麦わらを原料とし, 160~280℃の加圧熱水中での可溶化・糖化特性について調べた.その結果, 可溶化・糖化特性は220~240℃で大きく変化することが確認された.すなわち, 220℃以下では, 可溶化速度は, 処理温度が高くなるにつれて速かったが, その収率は55wt%付近で一定となった.また得られた可溶化物中にはアラビノース, キシロースおよびキシロオリゴ糖などのヘミセルロース加水分解物が得られていた.一方, 240℃以上では, 可溶化物収率は, 55wt%に留まらず, 増加し, 280℃においては, 95wt%が可溶化物として回収された.また, 得られた可溶化物中には, 220℃以下での生成物に加えグルコース, セロオリゴ糖などのセルロース加水分解物が得られていた.
  • 加藤 幸久
    2008 年 9 巻 2 号 p. 121-122
    発行日: 2008/06/15
    公開日: 2010/06/08
    ジャーナル フリー
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