食品の糞便汚染の指標菌の評価を行うため, 市販食品191検体 (食肉53, 野菜138) および環境材料47検体 (河川水25, 土壌22) に分布する大腸菌群と大腸菌の分離および分離菌の同定を行った.
1) 食品からの大腸菌群, 糞便性大腸菌群, 病原性大腸菌検出率は, 食肉では, それぞれ92, 49, 0%, 野菜では, それぞれ68, 28, 0%であった.分離された大腸菌群206株は16菌種以上に同定された.優勢菌種は, 大腸菌群では
K.pneumoniae, K.oxytoca, C.freundii, E.cloacae, 糞便性大腸菌群ではE. coliであった.食品からの
E.coli, C. freundii, K pneumoniae, K oxytoca, E. cloacaeの分離率は, 食肉では, それぞれ49, 36, 19, 13, 17%, 野菜では, それぞれ29, 20, 17, 15, 7%であった.
E. coliを除く大腸菌群の大部分は44.5℃に発育せず, 7℃で発育した.
2) 低温性大腸菌群は河川水から88%, 土壌から73%の頻度で検出された.分離された低温性大腸菌群の大部分 (44/55) は44.5℃に発育しない
C.freundii, K.pneumoniaeおよび
K.oxytocaであった.低温性の
C.freundii, K. pneumoniae, K. oxytocaの分離率は, 河川水の場合に, それぞれ12, 28, 68%, 土壌の場合にそれぞれ45, 0, 32%であった.
以上の結果から, 食肉, 野菜に分布する大腸菌群の多くは環境にも多く分布する低温発育性の
K.pneumoniae, K. oxytoca, C. freundiiであることが示唆される.
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