日本食品微生物学会雑誌
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24 巻, 3 号
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総説
原著
  • 樋脇 弘, 江渕 寿美, 馬場 愛, 瓜生 佳世, 宮本 敬久
    2007 年 24 巻 3 号 p. 122-129
    発行日: 2007/10/15
    公開日: 2008/05/23
    ジャーナル フリー
    辛子明太子におけるL. monocytogenes の汚染実態調査を行うとともに, 辛子明太子の製造モデル実験を行い, 添加物製剤などを用いて本菌の制御方法を検討した.
    辛子明太子144検体中16検体 (11.1%) にL. monocytogenes の汚染が認められたが, 汚染菌量は非常に低いレベルであり, 約80%の検体が1/g未満であり, 100/gを超える検体はなかった. 辛子明太子は低温処理中でのL. monocytogenes 増殖の可能性が低い食品に該当するため, 今回の実態調査で判明した汚染菌量は, 健康人にとっては低リスクな範囲であると考えられた.
    しかし, 取扱いの不備によってL. monocytogenes の濃厚な汚染が生じた原卵および塩たらこなどの原材料は, 調味液の組成によっては製造工程で本菌が減少しない場合がある. そこで, そのリスクを低減させる目的で, 通常の製造法よりawを0.97と高めに設定した辛子明太子の製造モデル実験により, 食品添加物5製剤とナイシンの計6剤についてL. monocytogenes に対する制御効果を調べた. L. monocytogenes の菌数の減少に優れた効果を示したものは, 2種類の酢酸ナトリウム製剤とナイシンであり, これら3剤のいずれかを塩たらこの塩蔵工程や辛子明太子の調味工程で添加すれば, L. monocytogenes によるリスクを低減できるものと考えられた.
  • 小野 一晃, 安藤 陽子, 柳川 敬子, 中川 俊夫
    2007 年 24 巻 3 号 p. 130-133
    発行日: 2007/10/15
    公開日: 2008/05/23
    ジャーナル フリー
    市販の輸入鶏肉からカンピロバクターの分離を行ったところ, Preston培地を用いた場合に26/100検体 (26.0%), Bolton培地を用いた場合に13/100検体 (13.0%) から菌が分離された. 雑菌に対して抑制の弱いBolton培地は, 増菌培地に肉を残したままの培養には適さないことが示唆された.
    24時間増菌培養後にPreston培養液の1ml を新たなPreston培地 (10ml ) に接種した二段階増菌では, 菌分離率は42.0%まで増加し (p<0.05), 他方, 1ml をBolton培養液からPreston培地に接種した場合には菌分離率は33.0%まで増加した (p<0.05).
    輸入鶏肉のように冷凍保存された検体では, 凍結・解凍過程において, 食品中でカンピロバクター菌数の減少が想定されることから, 検体の乳剤全量をBolton培地で前増菌 (24時間) 後, 培養液の一部をPreston培地に接種する, 二段階増菌法が有効であることが示唆された.
資料
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