日本食品微生物学会雑誌
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31 巻 , 2 号
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教育講演
シンポジウム II 食品微生物の基礎知識の再構築
原著
  • 佐藤 順, 大野 陽華, 松井 千夏
    原稿種別: 原著
    2014 年 31 巻 2 号 p. 86-92
    発行日: 2014/06/30
    公開日: 2014/08/13
    ジャーナル フリー
    牛乳工場で大腸菌群検査に用いられている「DOA培地法」と,その代替法として想定されるISO法である「腸内細菌科菌群試験法」を比較検討した.グラム陰性細菌として大腸菌群あるいは腸内細菌科菌群のみ存在する生乳では,DOA菌数とVRBG菌数との間にはr=0.98以上の良好な相関が得られた.大腸菌群あるいは腸内細菌科菌群に加え,低温細菌であるPseudomonas属等が存在する生乳では,DOA菌数(30℃)とVRBG菌数(37℃)との相関は低かった.大腸菌群であるEnterobacter aerogenes NBRC 13534TおよびKlebsiella oxytoca JCM 1665のVRBG菌数/DOA菌数(対数値)の値は,前者で0.67~1.09,後者で0.95~1.31の範囲となった.一方,Pseudomonas属菌株の菌数はVRBGで十分計測できず,菌株や培養温度の相違,重層の有無によって発育状況が異なった結果となった.牛乳の出荷判定検査において,腸内細菌科菌群のみを管理の対象とする場合は「腸内細菌科菌群試験法」を適用できるが,低温細菌を含めた管理を行う場合には適用は難しいことが明らかとなった.
  • 金谷 潤一, 磯部 順子, 木全 恵子, 清水 美和子, 佐多 徹太郎, 綿引 正則
    原稿種別: 原著
    2014 年 31 巻 2 号 p. 93-99
    発行日: 2014/06/30
    公開日: 2014/08/13
    ジャーナル フリー
    本研究では,1999年および2001年に出された腸炎ビブリオ食中毒発生予防に関連する通知が市販魚介類の腸炎ビブリオ菌数に与えた影響を調査するため, 1979~1995年および2008~2012年にかけて市販魚介類の腸炎ビブリオ菌数を,2008~2012年には漁港海水の腸炎ビブリオ菌数,thermostable direct hemolysin (tdh) gene, tdh保有腸炎ビブリオO3 : K6の検出率を調査した.その結果,1979~1995年の魚介類における腸炎ビブリオ検出率は66.3%(666/1,005検体),幾何平均菌数±SD (log10/100 g) は2.73±1.27であったが,2008~2012年は50.6%(119/235検体)および1.89±0.44であり,有意に低くなった (p<0.05; Student's t test).また,1979~1995年は平均気温が20℃未満のときは58.4%および2.48±0.98, 20~25℃のときは67.6%および2.73±1.17, 25℃より高いときは70.8%および2.95±1.23と,平均気温が高くなるにつれて高くなった.一方2008~2012年においては,平均気温と陽性率,幾何平均菌数のいずれも有意な差は見られなかった.漁港海水の腸炎ビブリオ検出率は86.9%(153/176検体)であり,幾何平均菌数は1.07±0.53であった.そのうち20.5%(36/176検体)からtdh遺伝子が検出され,2検体からtdh保有腸炎ビブリオO3 : K6が分離された.本研究によって,夏季の漁港海水には依然としてTDH産生性を含む腸炎ビブリオが広く分布しているが,魚介類の洗浄における殺菌海水の導入や低温輸送などの衛生管理によって,近年の魚介類の腸炎ビブリオ菌数および検出率は減少し,結果として腸炎ビブリオによる食中毒を減少させることができていると考えられた.
  • 國分 伸紘, 國武 広一郎, 奥芝 崇仁, 松浦 潤一, 村上 拡, 盛田 隆行, 岡部 和彦, 中島 和英, 石崎 直人, 堂ヶ崎 知格
    原稿種別: 原著
    2014 年 31 巻 2 号 p. 100-107
    発行日: 2014/06/30
    公開日: 2014/08/13
    ジャーナル フリー
    加工環境に油脂が多く存在する食肉加工工場のカット作業場を対象に,油脂の簡易定量法を検討し,細菌汚染と油脂量の関係を調査するとともに,短時間かつ効果的な手洗い方法を検討した.油脂量の測定にスタンプスプレードを用いた簡易定量法を検討した結果,10.0 mgまでの油脂を簡便かつ迅速に検出することが可能であった.そこで,一般生菌数と油脂量を指標としてカット作業者手指の汚染状況を調べた結果,作業後に検出される一般生菌数は2.9から4.2 Log cfuに増加しており(p<0.05),油脂量は0.1 mg以下から最大10.0 mgまで増加していた.作業者手指から検出された一般生菌数と油脂量に関連が確認され,食肉加工工場のカット作業者において油脂量は手洗いの有効な指標になりうると考えられた.そこで,一般生菌数と油脂量を指標として食肉加工工場における効果的な手洗い方法を評価した.その結果,今回試験した手洗い方法では,10秒2回法で一般生菌数や油脂量が最も低下することが明らかとなった.
短報
  • 柿坂 将希, 山地 功平, 一色 賢司
    原稿種別: 短報
    2014 年 31 巻 2 号 p. 108-112
    発行日: 2014/06/30
    公開日: 2014/08/13
    ジャーナル フリー
    The purpose of this study is to examine availability of allylisothiocyanate (AIT) that prevent histamine producing in fish meat. Histamine poisoning by fish having red fresh (e.g., bigeye or skipjack tuna) is caused by histamine formed by bacteria. Histamine poisoning can be prevented by basic hygienic control, especially storing and handling fish at low temperatures using. However, there is a possibility of histamine poisoning induced by human error such as unsanitary handling or deficiency of management cold chain distribution. Previous study reported that AIT, essential oil of wasabi (Wasabia japonica), inhibited histidine decarboxylase activity and the growth of bacteria. Therefore, we checked up if AIT is available for one of the hurdle of histamine poisoning in the case of arising human error. We initially searched histamine producing conditions by inoculating with histamine forming bacteria in red fish. Subsequently, we performed experiments that fish were inoculated with AIT. We observed that it containing large amount of histamine forming bacteria without using AIT. In the case of AIT treating, we observed that it inhibited the growth of bacteria and the histamine production in bigeye tuna and skipjack tuna. In conclusion, AIT is suggested for one of the hurdle for preventing histamine poisoning.
技術
  • 多山 賢二, 谷本 昌太, 岡本 洋子
    原稿種別: 技術
    2014 年 31 巻 2 号 p. 113-119
    発行日: 2014/06/30
    公開日: 2014/08/13
    ジャーナル フリー
    厚膜を形成するGluconacetobacter xylinusが生育しにくい食酢設計のために,米酢について検討した.酵母エキスとポリペプトンを含む米酢モデル培地を用い,米酢中の主要成分であるエタノール (EtOH),酢酸,グルコース (GC) およびグルコン酸 (GA) の濃度を変えて本菌の厚膜の形成を追跡し,次にその形成が遅れた組成を示す米酢を実際に試作した.その結果,酢酸を4.4%含む場合は,残留EtOHを0%,GCを10%とし,活性炭処理を組み込むことで,市販米酢(4.4%酢酸含有)の約2倍まで厚膜形成できない期間を延長できた.一方,酢酸より抗菌性が劣るとされるGAであっても,濃度が5~6%の領域であれば,EtOHを0%,GCを10%とし,活性炭処理を行うことで,酸度4.5%の米酢の場合,最も厚膜形成が遅い市販米酢並みに厚膜形成を抑制できた.
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