日本食品微生物学会雑誌
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32 巻 , 4 号
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原著
  • 宮本 真理, 菊次 智, 須藤 朋子, 西原 正晴, 石井 哲, 藤田 孝, 鷲尾 信幸
    原稿種別: 原著
    2015 年 32 巻 4 号 p. 185-191
    発行日: 2015/12/30
    公開日: 2016/01/08
    ジャーナル フリー
    L. monocytogenesは自然界に広く存在することから,感染経路としては原材料を起源として食品中で増殖するだけではなく,環境からの二次汚染も原因と考えられている.そのため,L. monocytogenesの制御には,製造環境の徹底した衛生管理が求められている.

    そこで,環境モニタリングの検査キットとしてVIDAS UP Listeriaを活用するに当たり,その専用増菌培地であるLPT Brothの増殖能を評価した.L. monocytogenesの増殖能はクエン酸鉄アンモニウム(III)を除いたhalf FraserやFraser Brothに比べて最大増殖速度で3.0~6.3倍,ODの最大値で2.4~2.9倍にあり,LPT Brothの方が優れていた.また,LPT Brothではグラム陰性菌であるAcinetobacter, Pseudomonasの多くが増殖しないことも確認できた.増菌培養後のL. monocytogenesの菌数は一般細菌の共存下では低下し,M. arborescensP. putida groupの初期菌数と増菌後のListeria菌数には負の相関が認められた.そのため,一般細菌数が多い検体では,規定範囲内(22~30 hr)で26 hr以上に設定する必要があった.VIDAS UP ListeriaL. monocytogenesだけでなくListeria属菌を広く検知可能であり,定性的な検出に通常4日を要する公定法に対し検査2日目に判定が可能な点から,迅速な対応を必要とする工場の環境モニタリングには有効な手法であった.
  • 秋吉 充子, 中村 寛海, 伊豫田 淳, 石原 朋子, 加藤 結子, 井口 純
    原稿種別: 原著
    2015 年 32 巻 4 号 p. 192-198
    発行日: 2015/12/30
    公開日: 2016/01/08
    ジャーナル フリー
    STECの主要なO血清群(O157, O111, O26, O103, O121, O145)の選択分離には,CT-SMACなどの亜テルル酸塩が添加された寒天平板培地が広く用いられている.しかし,主要なO血清群を除くさまざまなO血清群STECに対しては,STEC選択培地の有用性はあまり評価されていない.本研究ではCT-SMACを含む4種類の市販STEC選択培地(クロモアガーSTEC, XM-EHEC, “KBM” EHEC発色基質培地)を用いて,さまざまなO血清群に属するSTEC 152株の生育特性を調べた.その結果,16種類のO血清群に属する36株は4種類すべての選択培地で生育し,それらすべてが亜テルル酸塩耐性に関与するterAを保有していることがPCRで確認された.そのうち27株はeae陽性STECであり,残る9株はeae陰性STECであった.本研究で明らかとなったO血清群(またはO genotype)に基づく亜テルル酸塩添加選択培地での生育特性とterオペロンの保有分布は,分離標的とされるSTECのO血清群が明らかな場合に,培地を選ぶうえで有用な情報になると考えられた.
短報
  • 森 哲也, 市川 希美, 岸野 かなえ, 和田 真太郎, 鄒 碧珍, 難波 豊彦, 伊藤 武
    原稿種別: 短報
    2015 年 32 巻 4 号 p. 199-208
    発行日: 2015/12/30
    公開日: 2016/01/08
    ジャーナル フリー
    A beef cattle liver and swine liver were collected between July to November 2013 in Japan. Campylobacter jejuni and C. coli were isolated from 21.6% (109/505) of beef cattle liver and from 14.8% (74/500) of swine liver. A total of 184 Campylobacter isolates (109 beef cattle liver isolates and 75 swine liver isolates) were subjected to antimicrobial resistance profiling against eight different antimicrobials. Regarding antimicrobial resistance, C. jejuni (beef cattle liver isolates) and C. coli (swine liver isolates) showed resistance against 1 to 5 and 1 to 6 antimicrobial agent, respectively. For C. jejuni isolates, antimicrobial resistance rates were observed in 2.0% of EM and CP to 58.6% of TC. And for C. coli isolates, these were observed in 8.3% of CP to 84.7% of TC. Pulsed-field gel electrophoresis (PFGE) patterns were examined in Ciprofloxacin (CPFX) resistant strains. CPFX resistant C. jejuni and C. coli were classified into 17 different PFGE patterns and 19 patterns, respectively.
調査
  • 下島 優香子, 井田 美樹, 西野 由香里, 石塚 理恵, 黒田 寿美代, 仲真 晶子, 平井 昭彦, 貞升 健志, 甲斐 明美
    原稿種別: 調査
    2015 年 32 巻 4 号 p. 209-214
    発行日: 2015/12/30
    公開日: 2016/01/08
    ジャーナル フリー
    2010~2013年に都内の食肉処理場および小売店で購入した牛内臓肉104検体について,糞便系大腸菌群,VTEC,C. jejuniC. coliSalmonellaおよびL. monocytogenesの調査を行った.
    その結果,糞便系大腸菌群は, 85検体(81.7%)が陽性であった.VTECは25検体(24.0%)から31株検出された.そのうち1検体は糞便系大腸菌群陰性であった.血清群O157は 17検体(18株),O26が1検体(1株),O103が1検体(1株),その他の血清群(O1,O28,O91,O153,OUT)が7検体(11株)から検出された.付着遺伝子保有状況を調べた結果,eaeは血清群O157,O26,O103の20株が陽性,saaは血清群O28,O153,OUTの5株が陽性であった.aggRはすべての株が陰性であった.C. jejuniは42検体(40.4%)から50株,C. coliは16検体(15.4%)から16株が検出された.Salmonellaは4検体(3.8%)から5株検出され,血清群はO4群が4株(いずれも血清型Derby),O3, 10群が1株(血清型Amsterdam)であった.L. monocytogenesは22検体(21.2%)が陽性であった.
    以上の結果から,牛内臓肉は腸管出血性大腸菌を含む食中毒菌に高率に汚染されていることが明らかとなった.
技術
  • 井口 純, 秋吉 充子, 伊豫田 淳, 大西 真
    原稿種別: 技術
    2015 年 32 巻 4 号 p. 215-218
    発行日: 2015/12/30
    公開日: 2016/01/08
    ジャーナル フリー
    Enterohemorrhagic E. coli (EHEC) or Shiga toxin-producing E. coli is known as an important food-borne pathogen, and O157 is the most frequently reported O serogroups of EHEC strains associated with bloody diarrhea and hemolytic-uremic syndrome worldwide. Subsequently O26, O111, O103, O145, O121 and O165 serogroups of EHEC were also frequently isolated from patients with severe diseases in Japan. The O serogrouping of EHEC is essential in outbreak investigations and surveillance. In a previous study, we developed a comprehensive and practical platform for molecular O-serogrouping of E. coli strains, named as E. coli O-genotyping PCR (Iguchi, A., et al.: J. Clin. Microbiol., in press), targeting unique sequences on each O-antigen biosynthesis gene cluster. Based on the PCR system, we now developed an EHEC-specific multiplex PCR system, named as “MP-1 plus,” targeting seven major EHEC O serogroups and three virulence genes, stx1, stx2 and eae. This primer set contains 10 primer pairs that amplify products with different sizes, and validation studies using reference and wild strains showed that the results were reliable enough. The one-shot PCR method reported here might be a promising tool for the identification and subtyping of EHEC strains for outbreak investigations as well as for the surveillance.
  • 下村 力斗, 清水 大輔, 中川 弘
    原稿種別: 技術
    2015 年 32 巻 4 号 p. 219-223
    発行日: 2015/12/30
    公開日: 2016/01/08
    ジャーナル フリー
    NVに汚染された現場を想定した環境中からのNVの拭き取り試験を行い,拭き取り検体を用いて,生物発光酵素免疫測定法 (BLEIA法) によるNV検出の可能性について検討を行ったところ,BLEIA法でのNVの検出は可能であり,検出感度については,リアルタイムPCR法と同等もしくはそれ以上の検出結果が得られた.また,トイレを想定して試験に供した材質ごとによる検出感度に特異的な差は認められなかった.このことから,NVの拭き取り検査においてBLEIA法の利用は有効であることが示唆された.また,BLEIA法はリアルタイムPCR法などの遺伝子検査に比べ,操作面においても簡便であり,かつ試薬コストも安価であり,さらに,一度に大量検体の処理が可能であることから,調理現場あるいはトイレなどNVの汚染が考えられる特定場所の拭き取り検査に利用が期待できる.
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