日本食品微生物学会雑誌
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33 巻 , 3 号
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総説
特別講演
  • 渡邉 治雄
    2016 年 33 巻 3 号 p. 107-113
    発行日: 2016/09/30
    公開日: 2017/01/20
    ジャーナル フリー

    近年,食中毒の報告件数が減ってきている.しかし,腸管出血性大腸菌やカンピロバクターを例にとると,現在のシステムで報告されている数が氷山の一角であることがわかる.実数を把握するサーベイランスシステムの再考が必要であろう.腸管出血性大腸菌感染症等に関して,食中毒を減らすための種々の対策がとられてきているが,その効果が一時的である場合がある.厚労省および農林省等の連携に基づく持続的効果が見られるような根本的対策に向けての対応が望まれる.

シンポジウムI 食品の微生物制御の抱える課題と検査
短報
  • 木村 俊介, 鈴木 優子, 阿部 美和, 菅原 直子, 植木 洋, 渡邉 節, 野田 衛
    2016 年 33 巻 3 号 p. 138-141
    発行日: 2016/09/30
    公開日: 2017/01/20
    ジャーナル フリー

    宮城県では,生カキ喫食に関連したノロウイルス(NoV)による食中毒を未然に防止するため,市販カキを対象としてNoV遺伝子検出検査を実施している.検査は,厚生労働省の通知(食安監発第1105001号「III リアルタイムPCR法によるノロウイルスの定量的検出法」,以下通知法)に従って行われていた.しかし,過去にわれわれが行った調査では,real-time PCR法により検出されたNoV遺伝子数が陽性基準値未満であっても増幅曲線が確認されたすべての検体から,nested PCR法により増幅産物が生成され,特異的プローブを用いたサザンハイブリダイゼーションによりNoV遺伝子であることが確認された.以後,われわれの検査室では特に通知法上の陽性基準値を満たさないものの増幅曲線が認められた検体については,遺伝子の増幅とその増幅産物を特異性の高いプローブを用いて確認することが同時にできるnested real-time PCR法により,陽性および陰性の判定を行うこととしている.本研究では,カキなどの検出されるNoV遺伝子数が少ない検体を対象としたnested real-time PCR法の有効性を検討するために,平成23年11月から平成27年3月までに県内で買い上げた市販カキ894個体を対象として通知法のreal-time PCR法によるNoVの検査を実施した.その結果,陽性基準値である10コピーを満たさないものの増幅曲線が確認されたのは256個体(28.6%)であり,これら256個体についてnested real-time PCR 法による検査を実施した結果,73個体(28.5%)からNoV遺伝子が確認され,通知法の陽性基準を満たさないものの増幅曲線が確認された場合には,nested real-time PCR 法による検査が必要であることが強く示唆された.

  • 森 哲也, 市川 希美, 岸野 かなえ, 和田 真太郎, 鄒 碧珍, 難波 豊彦, 伊藤 武
    2016 年 33 巻 3 号 p. 142-149
    発行日: 2016/09/30
    公開日: 2017/01/20
    ジャーナル フリー

    We evaluated the prevalence and antimicrobial susceptibility of Campylobacter jejuni (Cj) and C. coli (Cc) in chicken meats. Samples were collected from retail-stores and poultry-processing plants in Japan, between July and November 2013. Campylobacter was detected from 34.6% (109/315) and 35.9% (69/192) of chicken meats from retail-stores and poultry-processing plants, respectively. One-hundred Cj and fourteen Cc, and 66 Cj and 6 Cc were isolated from chickens of retail-stores and poultry-processing plants, respectively, including 5 and 3 chickens meats of retail-stores and poultry-processing plants, respectively, contaminated with both Cj and Cc. 35.0% (35/100) and 37.9% (25/66) of Cj isolates from retail-stores and poultry-processing plants were resistant to ciprofloxacin, while all the isolates were sensitive to erythromycin. In the case of Cc isolates, 35.7% (5/14) and 50.0% (3/6) from retail-stores and poultry-processing plants, respectively, were resistant to ciprofloxacin, while 30.0% (6/20) were resistant to erythromycin. Cj showed 14 antimicrobial resistance patterns, with the tetracycline/nalidixic acid/ciprofloxacin combination being the most prevalent (14.5%, 24/166). Cc showed 6 different antimicrobial resistance patterns, with the streptomycin/erythromycin/tetracycline/chloramphenicol/nalidixic acid/ciprofloxacin combination being the most prevalent (15.0%, 3/20). The results showed a high proportion of samples are contaminated by Campylobacter, more than half of which are antimicrobial resistant strains.

調査
  • 大西 貴弘, 都丸 亜希子, 吉成 知也, 鎌田 洋一, 小西 良子
    2016 年 33 巻 3 号 p. 150-154
    発行日: 2016/09/30
    公開日: 2017/01/20
    ジャーナル フリー

    2010年4月から2016年3月までに発生した生鮮魚介類の生食に関連した有症苦情事例のうち,44事例の喫食残品65検体を収集した.これらの事例の症状は下痢,嘔吐,腹痛などで重症例はなかった.また,多くの事例では初発の潜伏時間が6時間以内と短く,K. septempunctataによる食中毒症状と類似していた.喫食残品中の粘液胞子虫の検出を行ったところ44事例中,粘液胞子虫のDNA が検出されたのは31事例(70%)で,そのうち,顕微鏡検査で胞子を確認できたのは23事例(52%)だった.検出された粘液胞子虫のうち,U. seriolaeが最も多く,カンパチ,ヒラマサ合わせて20検体中,15検体(75%)から分離され,カンパチの生食に伴う事例とU. seriolaeの間に関連性が示唆された.

  • 下島 優香子, 井田 美樹, 西野 由香里, 福井 理恵, 神門 幸大, 黒田 寿美代, 仲真 晶子, 平井 昭彦, 貞升 健志
    2016 年 33 巻 3 号 p. 155-159
    発行日: 2016/09/30
    公開日: 2017/01/20
    ジャーナル フリー

    2000~2015年に東京都内で採取した,RTE食品829検体および加熱せずにそのまま喫食する可能性のある食品59検体,計888検体を供試し,旧IDF法に準じる旧通知法(1993年,従来法)と現在の通知法(2014年)の基となるISO定性法による検出の比較を行った.また,陽性検体についてはISO定量法とMPN法により,定量法の比較を行った.その結果,計888検体中43検体(4.8%)からL. monocytogenesが検出された.従来法とISO定性法の両方法で検出されたのは25検体,従来法のみ,ISO定性法のみで検出されたのはそれぞれ10および8検体であった.陽性検体のうち24検体について,ISO定量法およびMPN法でL. monocytogenes菌数を比較したところ, ISO法では,290, 65, 35, 20 cfu/gが各1検体であり,20検体は5または<10 cfu/gであった.対応する検体のMPN法での値は,それぞれ>110, 110, 7.5, 9.3 MPN/gであり,そのほか20検体は<3 MPN/gであった.以上の結果から,今回の検討では従来法およびISO定性法による定性試験法,ISO定量法およびMPN法による定量法ともに,大きな違いは認められなかった.

  • 川上 優太, 原 彩香, 川瀬 遵, 黒崎 守人, 角森 ヨシエ, 林 芙海, 村上 佳子
    2016 年 33 巻 3 号 p. 160-165
    発行日: 2016/09/30
    公開日: 2017/01/20
    ジャーナル フリー

    2010年に発生したサルモネラO4群による集団食中毒2事例の患者および元施設従事者由来株について,詳細な解析をしたところ,STのmonophasic variantであるSalmonella serovar 4,[5],12 : i : – であることが判明した.2事例の疫学調査からウズラ卵が原因食品と推定されたため,県内に流通するウズラ卵のサルモネラによる汚染実態を調査した.その結果,ウズラ卵からSalmonella serovar 4,[5],12 : i : – は分離されなかったが,ウズラ卵のサルモネラによる汚染が確認されたことから,ウズラ卵の取扱いは注意する必要がある.

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