日本食品微生物学会雑誌
Online ISSN : 1882-5982
Print ISSN : 1340-8267
ISSN-L : 1340-8267
35 巻 , 3 号
選択された号の論文の12件中1~12を表示しています
総説
シンポジウムⅠ 食環境における安全性確保
原著
  • 水野 卓也, 小山 由美子, 奥田 智子, 亀山 芳彦, 野田 万希子, 後藤 黄太郎
    2018 年 35 巻 3 号 p. 127-133
    発行日: 2018/09/30
    公開日: 2018/10/06
    ジャーナル フリー

    カンピロバクターを対象とした「疫学情報を用いた遺伝子スクリーニング手法」について検討した.初動調査で得られる疫学調査情報のうち①飲食店で生食もしくは加熱不足の疑いがある食肉の提供がある,または飲食店以外では生肉の取扱いを高校生または大学生等が自ら行っている,②24時間以上の潜伏期間,さらに③下痢の有症率は50%以上であり,嘔吐の有症率は33%以下,といった三つの情報があればカンピロバクター食中毒を疑う必要がある.遺伝子スクリーニングは,培養と比較した結果,C. jejuniは,感度88%,特異度90%,C. coli は,感度100%,特異度98%であり,良好な結果が得られた.早期に客観的な結果を得ることができる「疫学情報を用いた遺伝子スクリーニング手法」は,食中毒発生時に迅速な行政指導や検査方針の決定に役立てることが期待される.

  • 右田 雄二, 山崎 省吾, 西山 雅也, 和田 実
    2018 年 35 巻 3 号 p. 134-142
    発行日: 2018/09/30
    公開日: 2018/10/06
    ジャーナル フリー

    V. vulnificusは汽水域に広く存在し,魚介類の生食や海水暴露を介し,希に肝臓疾患などを有するヒトに致死的な感染をひき起こす.有明海沿岸は国内でもV. vulnificus感染症の重症患者の報告が多い.本研究では,16S–23S rRNAオペロン遺伝子間スペーサー(ITS)領域の制限断片長多型(RFLP)に基づくV. vulnificusの高感度検出法について報告する.有明海を含む長崎県沿岸域と九州北部の患者に由来するV. vulnificus 158株を調査した.7クラスター(I~VII)のうち,クラスターIIIには臨床由来株の57%(16/28)が属し,さらにそこに含まれた49株のうち96%の株が臨床型の病原性関連遺伝子(vcg)を保有していた.また有明海由来株は全7クラスターに分布し,その64%の株が臨床型vcg遺伝子を有し,さらにその53%がクラスターIIIに属した.このことは,長崎県の有明海以外の沿岸地域で分離された株の特徴とは対照的であった.これらの結果は,(1) rITS-RFLP法は感染リスクの高いV. vulnificus株を検出するのに十分感度が高く,(2)有明海沿岸域は長崎県のそれ以外の沿岸域に比べてV. vulnificusの多様性が高いことを示している.

  • 高木 啓詞, 太田 俊也, 松村 英功, 望月 光明, 加藤 雄成, 勝亦 正浩
    2018 年 35 巻 3 号 p. 143-148
    発行日: 2018/09/30
    公開日: 2018/10/06
    ジャーナル フリー

    耐熱性菌は,加熱殺菌後の食品を変敗する原因菌として注目しなければならない.一般的に耐熱性菌のスクリーニングは加熱処理したサンプルを培養する方法で行われることが多い.しかしながら,培養条件による偏りが生じるため,網羅的に検出できていない可能性がある.培養によらない生菌の菌叢解析方法としてEMA-PCR-DGGE法が知られている.

    そこで,本研究では加熱処理したサンプルをEMA-PCR-DGGEで解析することで,耐熱性細菌のスクリーニングが可能か検討した.具体的には,フルーツ缶詰製造工場での拭き取り試験液から耐熱性細菌のスクリーニングを行い,培養条件を工夫することで目的細菌を分離した.

    その結果,Micromonospora属とPropionibacterium属の細菌を分離することに成功した.分離した細菌の耐熱性を評価したところ,Micromonospora属の分離株について耐熱性が認められたため,EMA-PCR-DGGEによる耐熱性細菌のスクリーニングの有効性が示唆された.

調査
事例
書評
feedback
Top