浦和のS幼稚園でVero細胞毒素産生性の大腸菌による集団下痢症が発生した. 患者の園児をはじめ飲用井戸水より
Escherichia coli O157: H7が検出された. そこで, 1990年10月から1991年5月にかけて, 埼玉県内の92箇所の井戸水を採取し, 病原大腸菌の汚染実態調査を行ったが, 病原大腸菌は1件も検出されなかった.
一方, 水系感染を解明する目的で, 各種の水に大腸菌を接種し, 経日的に生残性を検討した.
E. coliO55とO157は, 井戸水では30日以上生残し, 滅菌生理食塩水および滅菌蒸留水では50日生残した. また, 残留塩素が0.2mg/L検出された水道水では
E. coliO55, O153およびO157は30秒で死滅した. これらの成績から, 残留塩素が0.2mg/L以上検出される水道水では大腸菌は生残できないものと推察された.
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