水産海洋研究
Online ISSN : 2435-2888
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81 巻 , 1 号
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原著論文
  • 銭谷 弘, 河野 悌昌, 亘 真吾
    2017 年 81 巻 1 号 p. 1-17
    発行日: 2017/02/25
    公開日: 2021/02/26
    ジャーナル フリー

    餌(カイアシ類)をめぐる競合によるカタクチイワシ資源へのミズクラゲの影響を評価するため,栄養塩–植物プランクトン-カイアシ類-ミズクラゲの捕食–被食動態とミズクラゲとカタクチイワシ仔魚の生残,成長過程を瀬戸内海中央部に位置する燧灘においてモデル化した.2001–2005年の春夏季のカイアシ類の変動をモデルにより再現し,ミズクラゲ分布密度とカタクチイワシの生残,成長率の関係を検討した.摂餌開始5.7 mmから体長40 mmまでのカタクチイワシの生残,成長率はミズクラゲの出現日の分布密度と反比例の関係にあり,傘径100 mmのミズクラゲが100 m3当たり10個体以上出現すると,餌不足となりカタクチイワシが生残できなくなることが示された.2007–2009年の5–8月の燧灘において,平均傘径72 mmのミズクラゲの分布密度は最大100 m3当たり10個体であり,2000年代後半において,ミズクラゲとの餌の競合によりカタクチイワシの仔稚魚の生残が低下しはじめていた可能性がある.

  • 上村 泰洋, 川端 淳, 米崎 史郎, 髙橋 正知, 由上 龍嗣, 渡邊 千夏子
    2017 年 81 巻 1 号 p. 18-28
    発行日: 2017/02/25
    公開日: 2021/02/26
    ジャーナル フリー

    2008–2015年に中部太平洋に位置する天皇海山海域において,遠洋底曳き網漁で漁獲されたゴマサバの年齢,成長,成熟,食性を調査した.漁獲物標本の尾叉長範囲は211.1–443.5 mm FLであった.鱗による年齢査定により,年齢範囲は0–9歳と推定された.年齢と尾叉長の関係から求めたvon Bertalanffyの成長式は,FLt=432.7×(1-exp(-0.24(t+2.59)))であった.GSIの季節変化から推定された産卵期間は3–7月であった.胃内容物解析を行ったところ,オキアミ類,イカ類,有殻翼足類,サルパ科,ヒカリボヤ科,魚類の出現頻度が高かった.本海域で漁獲されたゴマサバの多くは2008年級群で構成されており,その他の年級群の顕著な加入は認められなかった.2008年に伊豆諸島の八丈島以南の海域で産卵量が多かったことが明らかとなっていることから,この海域において産卵された個体が黒潮,黒潮続流によって天皇海山海域に輸送されたと考えられた.

  • 小川 奈津子, 吉田 英可, 中村 玄, 加藤 秀弘
    2017 年 81 巻 1 号 p. 29-35
    発行日: 2017/02/25
    公開日: 2021/02/26
    ジャーナル フリー

    スナメリ(Neophocaena asiaeorientalis)の個体数推定を目的に,伊勢湾・三河湾を対象に,航空目視調査を行った.調査年は2002, 2003, 2014年であった.調査線を海岸線に対してほぼ直角に設置した.2002年は90本(計1,869 km),2003年は60本(計1,244 km),2014年は26本(計614.4 km)の調査線を飛行した.2002年は225頭の発見があり,個体数は2,776頭(CV=24.9%),密度は1.09 ind・km-2と推定された.2003年は216頭の発見があり,個体数は3,176頭(CV=19.7%),密度は1.25 ind・km-2と推定された.2014年は178頭の発見があり,個体数は3,920頭(CV=21.9%),密度は1.41 ind・km-2と推定された.2002年から2014年にかけて,個体数推定値に統計的に有意な変化は認められなかった.

  • 増田 義男, 小野寺 恵一, 片山 知史
    2017 年 81 巻 1 号 p. 36-42
    発行日: 2017/02/25
    公開日: 2021/02/26
    ジャーナル フリー

    2014年7月から2015年6月の1年間に宮城県沿岸域で漁獲された288個体のヤリイカについて,平衡石を用いた日齢解析を行い,孵化時期の推定及び成長様式を明らかにした.

    日齢と外套長の関係について,ロジスティックの成長式が適合し,雄及び雌の成長式は,それぞれM.L.=312(/1+e4.87–0.0294t),M.L.=225/ (1+e4.68–0.0317t)で示された.雌雄の成長差について,F検定を行った結果,有意な差が検出され(F=44.2, p<0.01),雄のほうが雌より成長が良いことが確認された.日齢解析から推定されたヤリイカの孵化時期は2月から9月であり,その主な時期は4月から6月であることが明らかとなった.

  • 渡慶次 力, 西口 政治, 桟敷 孝浩
    2017 年 81 巻 1 号 p. 43-49
    発行日: 2017/02/25
    公開日: 2021/02/26
    ジャーナル フリー

    本研究では,宮崎県北浦漁業協同組合の中型まき網漁業を研究対象とした操業実態調査およびアンケート調査から,宮崎県水産試験場の海況情報の漁業者への経済効果を試算した.その結果,海況情報を利用することで年間約219百万円の便益額があり,その内訳は漁場推測による漁獲機会の増加に伴う水揚金額の増加額(約181百万円),操業が難しい速い流れの日に無駄な出漁をしないことによる燃油削減金額(約24百万円)及び労務時間の削減金額(約14百万円)であった.本研究の試算は,海況情報の漁業者への経済効果を評価するのに簡便で有益な方法だと考える.

  • 城 幹昌, 三好 晃治, 佐藤 政俊, 佐野 稔
    2017 年 81 巻 1 号 p. 50-59
    発行日: 2017/02/25
    公開日: 2021/02/26
    ジャーナル フリー

    北海道オホーツク海沿岸でディスク型タグや水温ロガーを未成熟ミズダコに装着して標識放流を行い,移動と成長,そして経験水温を明らかにするとともに,主要なミズダコ漁場である網走市能取岬沖の海底に水温ロガーを設置して夏-冬季の漁場水温を連続観測した.ミズダコの成長は夏–秋季に速く,冬–春季に遅かった.当海域のミズダコは放流された地区で再捕される割合が86%と高く移動距離は比較的小さかったが,季節的な深浅移動は顕著で7–9月には深場へ10月以降は浅場へ移動する傾向が強かった.2013年8–9月の水深40 m以浅の海底水温は20°Cを上回ることが多く,夏季の深場への移動は沿岸の高水温の回避が目的であると考えられた.経験水温の最高値は20.1°Cで,平均値は4個体(50%)で15.0°C以上であった.本研究は当海域のミズダコ漁場水温の時空間的変化,ミズダコの移動や成長を明らかにするとともに,ミズダコの経験水温を初めて直接把握することができた.

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