水産海洋研究
Online ISSN : 2435-2888
Print ISSN : 0916-1562
81 巻 , 4 号
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原著論文
  • 谷津 明彦, 川端 淳
    2017 年 81 巻 4 号 p. 271-280
    発行日: 2017/11/10
    公開日: 2021/02/26
    ジャーナル フリー

    東西太平洋のマイワシ資源変動の同期性を検討するため,漁獲量,漁獲死亡係数,親魚量及び生産力(加入量の対数残差:LNRR)を検討した結果,以下の結論を得た:

    1)フンボルト海域のマイワシ(Sardinops sagax sagax)と日本のマイワシ(S. melanostictus)太平洋系群の生産力は1970–99年に同期した,2)1970年代初期のフンボルト海域と日本のマイワシの加入量と生産力の増加は各海域の表面水温の好適な偏差と関連し,1977年以降の好適レジームにより水温偏差は更に増加した,3)フンボルト海域,日本および恐らくカリフォルニア湾のマイワシ(S. sagax caeruleus)で1988/89年に生じた加入の失敗は気候レジームシフト年と一致した自然現象,2008–12年に生じたカリフォルニア北部系群マイワシの加入の失敗はこの間のPDOとCalCOFI海域の表面水温の負偏差と一致した自然現象である,4)1990–2000年代はPDOが一般的にマイワシに好適と見なされるレジームであったが,フンボルト海域と日本のマイワシへの高い漁獲圧と各海域の不適な表面水温偏差により資源回復が妨げられた.漁業管理への意義についても考察した.

  • 大美 博昭, 佐野 雅基, 日下部 敬之
    2017 年 81 巻 4 号 p. 284-292
    発行日: 2017/11/10
    公開日: 2021/02/26
    ジャーナル フリー

    大阪湾において2012–2014年の8–10月に出現したウシノシタ科稚魚について形態および分布を調査した.調査ではイヌノシタ,アカシタビラメ,ゲンコの3種が採集された.イヌノシタは背鰭,臀鰭鰭条数で他2種と識別され,鰭条数範囲が重なるアカシタビラメとゲンコは左眼と口の位置関係,有眼側の黒色素胞の分布や眼径により識別が可能であった.最小サイズは,イヌノシタで標準体長(以下,SL)9.6 mm,アカシタビラメ7.2 mmSL,ゲンコ11.0 mmSLで,アカシタビラメは他2種に比べ10 mmSL未満の割合が高く,着底サイズは3種の中で最も小さい10 mmSL未満と推定された.イヌノシタ稚魚は主に8, 9月に湾中央部の水深20–30 mに,アカシタビラメ稚魚は主に10月に湾北部の水深10–20 mに,ゲンコ稚魚は主に10月に湾全域の水深10–30 mに分布する傾向がみられ,種により分布が異なった.

  • 法理 樹里, 釣田 いずみ, 但馬 英知, 牧野 光琢
    2017 年 81 巻 4 号 p. 293-299
    発行日: 2017/11/10
    公開日: 2021/02/26
    ジャーナル フリー

    沿岸域の生態系サービスから享受する福利の構造を可視化し,地域間比較することを目的として,人間と海との関わり方が異なると想定される国内2サイト(岡山県備前市日生および沖縄県石垣市)において調査を実施した.国連ミレニアム生態系評価で定義されている福利の5要素(安全,快適な生活のための基本的資材,健康,良好な社会関係,選択と行動の自由)は,互いに影響を及ぼしあう構造を有していることが国内において初めて確認された.しかしその一方で,各要素間の影響関係は地域ごとに異なり,日生では,特に「安全」が「健康」に強く影響することを通じて最終的に「選択と行動の自由」を高めること,石垣では「快適な生活のための基本的資材」が「良い社会関係」への強い影響を通じて最終的に「選択と行動の自由」を高めることが明らかとなった.これらの結果は地域の人々の沿岸域との関わり方の違いに由来すると推察された.

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