水産海洋研究
Online ISSN : 2435-2888
Print ISSN : 0916-1562
83 巻 , 1 号
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原著論文
  • 川村 耕平, 山田 智, 中嶋 康生, 服部 宏勇, 成田 正裕, 平澤 康弘
    2019 年 83 巻 1 号 p. 1-9
    発行日: 2019/02/25
    公開日: 2021/02/26
    ジャーナル フリー

    三河湾の小型底びき網漁場におけるバカガイの資源管理のため,2017年2月から2018年2月にかけて採集された個体の成熟年周期と殻長組成を調査した.成熟個体は主に4月から7月に得られた.生殖腺は8月以降退行し始め,11月から翌2月に得られた個体の大部分が回復期の段階にあった.これらの結果から三河湾におけるバカガイの産卵期は4月から7月であると考えられた.殻長組成に基づくコホート分析の結果,2017年2月から5月に得られた個体は,大部分が漁獲可能サイズの殻長40 mmを超えていたが,9月には殻長30 mm未満の新規個体群の加入が認められた.新規個体群の割合は9月から11月にかけて増加した.新規個体群は急激な成長を示し,2018年2月には大部分が漁獲可能サイズに達した.これらの結果から,春から初夏にかけて着底したバカガイ初期稚貝は,1年以内に漁獲可能サイズに達すると考えられた.

  • 日野 晴彦, 馬場 真哉, 駒澤 一朗
    2019 年 83 巻 1 号 p. 10-18
    発行日: 2019/02/25
    公開日: 2021/02/26
    ジャーナル フリー

    八丈島周辺海域におけるメダイの資源動向および黒潮流路が漁獲量に与える影響を調べた.一般化線形モデル(GLM)による解析の結果,年,月,黒潮流路が漁獲量に影響し,また操業隻数および黒潮流路が漁獲効率(操業隻数あたりの漁獲量)に影響することが示唆された.GLMの年の係数がメダイの資源動向を反映すると仮定すると,減少傾向にはないことが示唆された.漁獲効率は操業隻数の増加に伴って向上し,その要因として漁場探索の効率化が考えられた.操業隻数の増加による漁獲効率の向上効果は,黒潮が八丈島の南側を通過するC型流路の方が非C型流路よりも高く,C型時に半月間の操業隻数が13.3を超えると非C型よりも漁獲量が増加することが示された.C型に移行すると深層の水温が低下して適水温の深度が上昇することから,漁場が浅層に形成されて潮流の影響が緩和され,さらに一度の操業に要する時間の短縮によって漁獲効率が向上すると考えられた.

  • 谷津 明彦, 高橋 清孝, 渡邉 一功, 本田 修
    2019 年 83 巻 1 号 p. 19-27
    発行日: 2019/02/25
    公開日: 2021/02/26
    ジャーナル フリー

    マサバ太平洋系群の粗脂肪含量(Fc)と肥満度(Cf)の季節変化と経年変動要因を明らかにするため,尾叉長と漁獲日(各年1月1日からの日数)および漁獲年に対するFcとCfの関係を調べた.道東から鹿島灘の海域で2012–2017年にまき網で漁獲された2,085個体(尾叉長21–42 cm)のFc,尾叉長,体重を測定した.FcとCfは9–1月に高く,2月にやや低下した.試料の少ない3–8月のFcは2月より低水準であったが,Cfは2月の水準に近かった.CfとFcの関係,尾叉長とFcおよびCfの関係は非線形であった.応答変数をFcまたはCf,説明変数を年(カテゴリカル変数),漁獲日と尾叉長をスプライン関数として独立または同時に考慮した場合について,AICで最適とされた一般化加法モデルでは,Fc・Cfとも年の効果が見られた.Fcについて2016年と2017年に強い正の効果が認められ,この原因を考察した.

  • 横山 寿, 藤原 建紀
    2019 年 83 巻 1 号 p. 28-41
    発行日: 2019/02/25
    公開日: 2021/02/26
    ジャーナル フリー

    瀬戸内海における底質環境の変遷を把握するために,環境省が2016年7月に中西部135地点より採取した0–5 cm層堆積物の全有機態炭素量(TOC),全窒素量(TN)および炭素,窒素安定同位体比(δ13C, δ15N)を分析し,C:N比および同省による6項目(泥分率,強熱減量,化学的酸素要求量,全リン量,酸化還元電位,酸揮発性硫化物態イオウ量)の分析結果を加えて主成分分析を行った.当水域は泥質で有機物量が多いA区,砂質で有機物量が少ないB区,δ13C, δ15Nが低く,海岸近くのC1区,沖合のC2区に4区分された.C1区では陸起源有機物の割合が高かった(37%)が,C2区では低いC:N比(5.4)より陸起源有機物は少ないと判断した.1980年代以降の環境省による3回の調査結果と比較し,広島湾のA区のみTOCとTNの有意な減少を認めた.

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