水産海洋研究
Online ISSN : 2435-2888
Print ISSN : 0916-1562
83 巻 , 2 号
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原著論文
  • 谷津 明彦, 高橋 清孝, 渡邉 一功, 本田 修
    2019 年 83 巻 2 号 p. 75-86
    発行日: 2019/05/25
    公開日: 2021/02/26
    ジャーナル フリー

    近年減少している北日本近海へのサンマ来遊量の経年変動機構検討のため,2012–2017年9–12月に北日本近海で漁獲されたサンマ大型魚(1歳魚)796個体の可食部の粗脂肪含量(以下,脂肪量),肉体長,体重を測定した.漁獲日(各年1月1日からの経過日数)と脂肪量の関係は有意な負相関,体長と脂肪量の間には有意な正相関がみられた.脂肪量を応答変数とし,漁獲日,体長および漁獲年を説明変数とした重回帰分析の結果,切片,漁獲日,体長,年,漁獲日と年の交互作用から成るモデルがAICにより選択された.各年の切片(脂肪量を代表)は日本のサンマ漁獲量および標準化CPUEと有意な正相関を示した.その原因として,6–7月の資源量,道東沖の海況,1歳魚の割合などを検討し,8月の脂肪量の多寡が南下回遊の開始時期や経路に影響するという仮説を提唱した.また,北上期(5–8月)に脂肪が蓄積される海域についても検討した.

  • 宍道 弘敏, 水野 紫津葉, 小松 輝久
    2019 年 83 巻 2 号 p. 87-92
    発行日: 2019/05/25
    公開日: 2021/02/26
    ジャーナル フリー

    我々は,ブリの主産卵場である東シナ海から鹿児島県海域へのモジャコ(ブリ稚魚)来遊予測技術の開発を行っている.この一環として,2010~2012年3~4月に鹿児島県海域で採集されたモジャコ計343尾の尾叉長と耳石日輪解析結果から日齢と孵化日を推定し,成長を調べた.耳石解析で得られたモジャコの日齢範囲は22~69日齢で,孵化日は,3月採集群が1月中旬~2月中旬,4月採集群が2月上旬~3月中旬と推定され,孵化日範囲に年による大きな差はなかった.日齢と尾叉長の関係に基づいた成長速度は,2012年4月採集群,2010~2011年4月採集群,2010~2012年3月採集群の順に速かった.さらに,本研究で用いた採集群の成長速度は,先行研究で報告された例(1992年5月,東シナ海の五島周辺採集)よりも速かった.発生時期及び発生海域の違いに起因する経験水温の違いが,採集群間及び先行研究との標本間における成長差の一因であると考えられる.

  • 石川 和雄, 伊藤 幸彦, 中村 啓彦, 仁科 文子, 齋藤 友則, 渡慶次 力
    2019 年 83 巻 2 号 p. 93-103
    発行日: 2019/05/25
    公開日: 2021/02/26
    ジャーナル フリー

    東シナ海由来のアカアマダイ卵・仔稚魚の宮崎県沿岸域への輸送過程を,海洋同化システムの再解析値を用いた粒子追跡実験により調べた.主産卵季・産卵場である秋季・東シナ海陸棚縁辺から輸送される粒子のうち,平均的な着底時期とされる45日目に宮崎県沿岸域に到達したのは全体の0.01–0.7%で,その約90%が大隅海峡を経由,トカラ海峡経由は約10%であった.宮崎県への到達粒子数は,大隅海峡を通過する粒子数と有意な正の相関があったが,大量に到達する事例には黒潮小蛇行に伴う大隅分枝流の減速が関係していた.宮崎県沿岸に到達しなかったものを含め,太平洋側に出た粒子は全体の10.8%,日本海側に出た粒子は1.5%であり,88%は東シナ海に留まった.これらの結果より,東シナ海のアカアマダイは域内で再生産しつつ,日本沿岸に仔稚魚を供給していること,宮崎県沿岸に対しては大隅海峡が主要な輸送経路であることが示唆された.

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